コマンドウルフ アーバイン仕様 <COMMAND WOLF IRVINE CUSTOM>

■コマンドウルフ アーバイン仕様(オオカミ型) データベース■

 発売年月 1999年12月  発売当時価格 800円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 Zi-024

 スペック 全長14.7m 全高8.6m 重量48.0t 最高速度200km/h 乗員1名

 主な武装
  ロングレンジライフル エレクトロンバイトファング スモークディスチャージャー(×2)

 特徴
  盗賊アーバインの愛機コマンドウルフは、帝国軍との戦いで傷つき、乗り捨てられた共和国ゾイドを彼自身が修理回収したものだ。
  規格外のパーツが数多く使われているためクセが強く、乗り手を選ぶゾイドだが、乗りこなせれば正規軍仕様機以上の戦闘能力を発揮する。
  また、背中に装備したロングレンジライフルは、本来ゴジュラス用に開発された武器であり、直撃すれば、大型ゾイドすら一撃でしとめるパワーをもつ。


前後より

コマンドウルフのバリエーションキットです。黒いカラーが特徴的な「アーバイン仕様」です。
1999年に放映されたアニメゾイド、その中の主要キャラ・アーバインの愛機を再現しています。
キットはRZ-009コマンドウルフから比べて色変更+専用パーツという構成です。
RZ-009コマンドウルフの発売は99年8月、そこから4ヶ月を経てアーバイン仕様は発売されました。

1999年といえばゾイド復活の年。
復活したゾイドはジオラマ戦記(バトスト)とテレビアニメを同時に展開しました。
そして販売されたキットは全てバトスト仕様となっていました。
基本的にバトストもアニメも登場する機体は同じだし、カラーにもそれ程の差がなかったからそれで良かったのでしょう。
しかしそんな中、アーバイン仕様のコマンドウルフだけは違いました。
機体としてはコマンドウルフだがカラーが特徴的で、バトスト仕様(RZ-009)とはまるで印象が異なります。

例えばアニメの主役機はシールドライガーでした。バトスト仕様のシールドと劇中バン仕様のシールドは若干色が違いました。
といっても劇的な差ではありません。アニメファンであっても、まあバトスト仕様で満足できるものでしょう。
ただアーバイン仕様は全然違う。

ゾイドはメカ生体の頃から、そして1999年当時もユーザーに「改造」を推奨していました。
なのでアーバイン仕様は自らで塗装して再現するしかないのかなあと思っていました。
そんな中、突如としてアーバイン仕様の発売はアナウンスされました。
その発表にそうなのかと驚いていた思い出があります。


仕様

アーバイン仕様は要注目な点が多くあります。
初のアニメ仕様キットという事もですが、「バリエーションキット」という事もです。
メカ生体ゾイドの頃から、ゾイドではバリエーションキットを展開するのは定番でした。
しかし基本的に新しいバリエーションが出ると従来仕様は生産停止というのが常でした。
アーバイン仕様はこの点が特徴的です。アーバイン仕様が発売された後も、通常版のRZ-009は生産停止せず並行販売されたのです。
これは革命的だったと思います。

またカラーがアニメを細部に至るまで再現したものになっている点も特筆です。
ランナー単位で色を分けただけじゃない、ランナー単位では再現しきれない細かい部分は「塗装済みパーツ」になっていたのです。
塗装済みパーツは後に多くのゾイドが採用するようになります。
それを初めて行ったのはアーバイン仕様です。

当時このキットを買った時、塗装済みパーツにはかなり驚きました。
塗られているだけではない、質感はかなり綺麗で細かな塗り分けもはみ出しがなく完璧でした。
こんな事が出来るんだ……凄い…… というのが感想でした。
肩のパーツの塗り分けも凄いのですが、私が特に驚いたのはスモークディスチャージャー部の細かい塗り分けでした。

これによってメカとしてのリアル感が格段に向上しています。

不満として「ゲート位置の塗膜が剥げる」という回避不可能な問題も発生していました。
ただこれは元のコマンドウルフの仕様が塗装済みパーツという仕様を想定していないから仕方のない事です。

更に価格面も要注目でした。
塗装済みパーツの採用、そして追加パーツも加えた特別仕様なのに定価は800円と通常版と同じです。
これは凄い事だと思います。
当時、アニメゾイドは大人気でした。その中でも黒いコマンドウルフ、アーバイン仕様はシールドライガーと人気を二分する存在でした。
なので確実に「売れる」見込みがあって価格を据え置いたのだと思います。しかしそれにしても大英断だったなと思います。


色・追加パーツ

色はランナー単位では再現不可能な所を塗装済みパーツで再現する程のコダワリっぷりです。
塗装済みパーツの綺麗さは先に書いた通りで大満足です。
ただ、機体全体の色については当時不満も感じていました。塗装済み部分は最高です。そうではなくてランナーの成型色が不満だったのです。
アーバイン仕様コマンドウルフは黒いのですが、キットの成型色部分の黒はかなりぼんやりとしたグレーです。

劇中の色と比べると明らかに明るい。アーバイン仕様といえばそうなんだけど……、なんかちょっと違う………。そんな風に思っていました。
もう少し暗ければ良かったのですが。ここはこのキットで最も残念な点でした。

 

追加パーツは背中の大型砲とパイロットフィギュアです。
背中には大型砲「ロングレンジライフル」が付きました。
設定的には「本来はゴジュラス用の強力砲として開発されていたものを無理やりコマンドウルフに積んだ」というものです。

ログレンジライフルは新規造形されています。
強化パーツではありますが、メカ生体ゾイド終了から長いブランクを経てようやく新しく作られた新規造形がロングレンジライフルです。
そう思うと何とも記念碑的なパーツです。
機獣新世紀ゾイドでは多くの新型ゾイドやカスタマイズパーツが造られました。ロングレンジライフルこそはその走りです。

ただし造形は正直に言うとあまり好きではありません。
「長砲身のライフル」というのは凄くカッコいいし全体的なシルエットは良いと思います。ただあまり武器としてリアルな造形ではないと思います。
全体的にディティール量が少なく、ゾイドの他の武器と比べるとオモチャ感の強い仕上がりをしています。
特に基部付近において顕著です。妙に丸いのが気になります。
他のパーツに比べて妙にツヤの多い感じでもあります。その事もオモチャ感を高めてしまっていると思います。

あと、ロングレンジライフルは元々あった対ゾイド2連装ビーム砲座を包むように造形されています。

それは良いのですが、「砲座」がそのままなのが気になります。
対ゾイド2連装ビーム砲座にあったパイロット用シート、これがロングレンジライフルが付いた状態でもそのまま剥き出しです。

これは「専用の砲手が必要」と強く思わせます。
「一般機として」ならこれで良いのですが、アーバイン仕様はアーバインが一人で乗り全ての操縦を彼一人で行う仕様です。
なぜここをむき出しにしたのか……というのはかなり疑問です。埋めてしまった方がアーバイン仕様として良かったと思うのですが。

あと、キットを見ると「対ゾイド2連装ビームの機能を残したうえでロングレンジライフルが追加された」ように見えます。
ただ武器設定を見ると対ゾイド2連装ビームは表記から外されています。
どっちなんだろう……というのが少し気になります。

 

ロングレンジライフルの他に、パイロットのフィギュアも付いています。
もちろんアーバインで、立ち状態と座り状態が付くという大盤振る舞いです。
造形はよくできています。
残念ながら塗装はされておらず真っ黒です。しかし造形が良くできているので、塗るとまさにアーバインという感じになります。

アニメ仕様という事で、フィギュアを塗ると思い入れは格段に増します。
細かい塗装になりますが、是非とも挑戦したくなります。


設定

アーバイン仕様は設定も魅力的です。
もちろんアーバインの愛機なんですが、それだけでは言い表せない深い設定があります。

「放棄され死を待つのみだった機体をアーバインが(規格外部品も多く使いながら)修理した」とされています。

ボディの外観は通常機と同じに見えますが、中身は全く別なのでしょう。
増設や規格外品使用のおかげでスピードは200km/hに低下、更にバランスも悪くなっています。しかしアーバインが乗れば恐るべき能力を発揮します。
この設定はいかにも「愛機」という感じがして好きです。

ヒーローにありがちな最新鋭でワンオフの専用機ではなく、捨てられた機体を救って再生したというのが良いです。
ゾイドは生物です。アーバインが乗れば恐るべき能力を発揮する、そこに絆を感じる事ができるのが嬉しいです。

「放棄されていた機」というのは気になる設定です。
元は共和国正規軍で使用されていたコマンドウルフだと思いますが、どんな部隊にいたんだろう…、そしてどんな戦いをしていたのだろうか。想像がふくらみます。
個人的には、キャップの色が特徴的な白をしている事から旧大戦で使用された「コマンドウルフnew type」じゃないかなと思っています。

ゾイドとの絆を感じられる点も良いし、過去について想像が膨らむのも良いです。


カラバリ

ロングレンジライフルを外してノーマル状態にする事もできます。
というか、アニメでも当初はこの状態で登場していました。ロングレンジライフルが増設されたのは後からの事です。

コマンドウルフとしては4種類目のカラバリです。
従来のコマンドウルフは、いずれも白いカラーをしていました。コマンドウルフ=白というイメージが強固にあったと言えるでしょう。
その固定概念を打ち破ったのがアーバイン仕様です。
従来と真逆の黒。そのカラーは大きな衝撃でした。これを機に、コマンドウルフは吹っ切ったように多くの色を採用するようになります。
翌年以降は赤、青、緑など様々なコマンドウルフが登場します。アーバイン仕様は多彩なカラバリの先駆けとなりました。

ただし超超重箱の隅をつつくようなことを言えば、実は黒と赤のコマンドウルフはメカ生体時代にも一応ありました。
本家キットではありませんが、あの「ゾイドガム」のコマンドウルフがこんなカラーでした。

(未所持につきCGで再現しています)
黒と赤のコマンドウルフ…。
まぁ、この弾のゾイドガム版は成型色が「黒、赤、青で構成する」というルールで作られているのでその結果としてこうなったに過ぎません。
ゴルヘックスもこんな色です。

まさかゾイドガム版の色を意識したということはあり得ないでしょう。確実に偶然の一致だと思います。
ですが、ゾイドガム版を知っていると少し「おっ」とも思えるようなカラバリでもありました。


活躍

アニメでは3話から登場して素晴らしい活躍をみせました。
性能で言えば主人公バンが乗るシールドライガーよりも格下です。しかしそこはアーバインの技量およびコマンドウルフとの絆でもって活躍を続けました。
アーバインはとにかく手練れといった感じで、コマンドウルフを的確に操り格上機を相手に何度も勝利を収めています。
個人的に印象深かったのは、ロングレンジライフルを接射しダーク・ホーンを仕留めたシーンです。

さてアニメゾイドでは中盤より徐々に敵ゾイドが強化されていき、ジェノザウラーの登場を境に主人公機シールドライガーさえもが性能不足になっていきます。
シールドライガーは撃破され、後にブレードライガーとして蘇ります。
しかしそんな中でも、コマンドウルフ アーバイン仕様は戦い続けました。
長い間ずっと、性能面で言えばもはや付いていけないはずの状況なのに立派に戦い抜いた描写はとてもカッコ良かったです。
作中のキャラ位置でいえばバンは少年目線の共感できるキャラ、アーバインは頼れる兄貴という感じでしょう。
コマンドウルフで戦い続けたアーバインは最高でした。

第二部・ガーディアンフォース編にて遂に超強力機ジェノブレイカーの登場を受けて撃破されます。
しかしその戦いの記憶やアーバインとの絆は絶える事なく、次世代機ライトニングサイクスに受け継がれていきました。
ライトニングサイクス起動の回は屈指の名シーンとしてファンの間でも人気が高いのですが、その評判に違わぬものです。
愛機との絆 というとありがちなネタに聞こえるかもしれませんが、アニメゾイドにおけるアーバイン仕様を通して見ているとこみあげるものがある伝説の回でした。

あと、本来はアニメ仕様ですがバトストにもわずかに出演しています。
こちらでもやはり”傭兵”アーバイン仕様として登場しましたが、残念ながらアイアンコングPKによって早期に破壊されています。
しかしその一件は、それまで誰にも心を開かなかった荒くれ「ゴジュラス・ジ・オーガ」を突き動かすことになった……という重要な扱いでもありました。
登場シーンこそ少ないものの、こちらでも魅せてくれた機体でした。


ロングレンジライフル装備 コマンドウルフ アーバイン仕様

色のグレーについては残念感も感じます。ロングレンジライフルの作りも甘いと思います。
ですが弱点を補って余りある仕様でもあります。
多くの要素でゾイドキット展開の可能性を切り開いた仕様だと思います。
新世紀ゾイドの造形はここから始まりました。

アニメでの活躍、バトストでの活躍、そしてキットとして果たした意義。
多くのものが詰まった名機、名バリエーションです。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド コマンドウルフ

 メカ生体ゾイド コマンドウルフNEW

 機獣新世紀ゾイド コマンドウルフ

 レッドコマンドウルフ

 ブルーコマンドウルフ

 ミッドナイトブルーコマンドウルフ

 機獣新世紀ゾイド コマンドウルフAC

 ゾイドフューザーズ コマンドストライカー

 コマンドウルフホロテックス

 コマンドウルフLC

 コマンドウルフRGC


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