ゾイドマンモスの生産や配備状況を考える

こちらのコラム(ゾイドマンモス奇跡の一戦)でも書いたが、ゾイドマンモスの戦歴で一番有名なのはやはりデスザウラーを撃退した伝説の一戦だろう。

これはZAC2046年……、第二次中央大陸戦争中期に行われた。

この頃、既にゾイドマンモスは「第一線を退いたゾイド」という扱いだった。(ゾイドバトルストーリー3巻付録のカタログ参照)
ではなぜ、この改造ゾイドマンモスは一線で戦っていたのだろう。
これはおそらく、「生産ラインは停止し新造機が誕生する事はない。だが前線で生き残っている機体はそのまま運用が続いていた」のだろう。

デスザウラー参戦(ZAC2044年)直後のカタログ冊子を見ると、この時期にはまだ一線級ゾイドの扱いだった。

第二次中央大陸戦争前期はどうにか生産ラインが生きていたようだ。
ただこの次のカタログ(共和国24ゾイド登場/ZAC2045年)からは外れてしまった。
資料を見比べると、デスザウラー参戦後に生産ラインが閉じて一戦を退いた扱いになったのだろう。

ゾイドマンモス完成から退役に至るまでのグラフを作ると以下のような感じになると思う。

ゾイドマンモスはゴジュラスの少し前に完成した。そしてグローバリーIII飛来後に近代化改修される事がなかった。
それゆえゴジュラスが華々しく活躍する裏で、ひっそりと旧式化し戦力不足化していったのだ。
何とも物悲しいゾイドだ。それゆえに最後に見せた奇跡が魅力的でもあるのだが……。

さてマンモスの歴史を見ていて疑問なのは、あんがい長く運用されているなということだ。
もっと早くに退役していても良さそうに思える。
なぜなら第一次中央大陸戦争後期の時点で既に戦力不足になっていた。
レッドホーンにさえ勝てない。更にZAC2034年の第二次ゾイド開発競争以降は小型ゾイドにも苦戦するようになった。
この戦力を思えば、第二次中央大陸戦争中期まで生き残っていたのは凄いことだ。

確かに寒冷地には強い。ただ強いといっても、「ここでは無敵!」と言える程ではない。
ゾイドバトルストーリー1巻「大氷原の戦い」では、エコーの乗るコングMK-IIに破壊されたであろう残骸が出てくる。

 

デスザウラーと交戦したのはZAC2046年。D-DAY上陸作戦から5年後、もはやゴジュラスさえ容赦なく破壊されるような時代になっていた。
マンモスの新造が停止し「第一線を退いたゾイド」として扱われたのは当然だ。いや、というか、この少し前まで生産していたというのは驚きだ。
最近になってようやく生産を止めたというのは遅すぎでは。せめて第一次中央大陸戦争後期には生産停止した方が良かったのではないだろうか。

思うに……、
第一次中央大陸戦争でマンモスは旧式化した。
それゆえ使い道がなくなり輸送用等になったが、その分野では後年グスタフに取って代わられた。
前線で使い続けられる機もあったが、ほとんどは新鋭機に一方的にやられた。
そういう状況だった。

マンモスは第一次中央大陸戦争においては「一線級ゾイド」の扱いだった。
旧式化が露呈していたのだが、それでも一線を退いた扱いではない。新造機もまだ作られていた。
それの理由として、大型機にしては比較的生産性が高かったのだと思う。
ビガザウロと大部分のパーツが共通だからだ。

ビガザウロを製造できる工場であれば、少し部品を追加するだけでマンモスも作れるようになる。
これがゴジュラスだと、共通パーツもあるが独自パーツの割合がかなり多い。
しかも二足歩行用に調整なども高度にされているだろう。共通パーツがあるといっても実質的には別ラインであると思う。


ゾイドマンモス→ビガザウロを製造できる工場なら、少し手を加えれば製造可能
ゴジュラス→ビガザウロを製造できる工場でも、大規模な設備を加えねば製造はできない
という事情を想像をする。

「新型機が開発されたなら旧型機は生産ストップ。以後は全て強い新型で」というのは想像しがちだが、実際は様々な問題がある。
設備が無いとそもそも生産できない。
例えば太平洋戦争末期の日本では「零戦」が既に旧式化していて、実質的な後継機である「紫電改」があった。
だが末期においても生産数で零戦は圧倒的に多く、紫電改は少ない。
それは量産体制が取れる状態にするのがいかに大変かということをよく示している。
状態が整うまでは旧型機であっても生産し続けなければいけないという事情だ。

国力の高い共和国は設備投資など一気にやってしまいそうな気もする。
がしかし、「地球人来訪→ゾイド近代化→新型機も続々開発される」という中ではさすがに全てに手が回りきらなかったのだろう。

あとは、「機種転換訓練」という問題もあっただろう。
「今後はマンモスをやめてゴジュラスにする!」としたらマンモス乗りはゴジュラス乗りになると思うが、なにぶん特性が大きく違うので訓練に大きな時間と手間を要する。
二足と四足では特性が違いすぎる。格闘主体という点では似ているが……。

また大型ゾイド乗りとなればエリートだろうし、マンモスだからパイロットは格闘戦を好む荒っぽい面子だろう。
思い入れも格別に強かったかもしれない。

こちらのコラム(ゴジュラス・ジ・オーガとアーバイン)で、「ゴジュラス特有の迫力や力強さはやっぱりゾイド乗りの誰しもが憧れる存在なんだろうなぁ……」と書いた。
ゾイドマンモスにも、「こいつにこだわりたい!」と思わせるものがあったのかもしれない。
何といっても巨大で雄大なゾイドだ。そんな事情も想像した。

そんな状況でマンモスの生産はズルズルと続けられた。しかし戦いは非情である。マンモスが活躍できる場所はどんどん減っていった……。

私は、第一次中央大陸戦争後期からマンモスの戦力不足は深刻化していたと思う。
様々な事情からまだ生産は続くしパイロットも多い。しかし………。
その解決として、「寒冷地への大移動」があったと思った。

今戦場にある機。そしてこれから生産される機。
これらの全てを、まだしも戦える寒冷地へ送ろうという事だ。

寒冷地だと多くのゾイドが性能を低下させる……。だがゾイドマンモスは寒冷地に強い。相対的な戦力差は縮まる。
それでもアイアンコングやサーベルタイガーが相手なら厳しい。けどレッドホーンくらいならどうにか……。

一斉に集めたのだから、かなりの数が揃った。
ちなみに「寒冷地への転勤」はパイロットとしてはとても嫌なものである。
寒冷地への一斉大移動は、「お前らはそれでもゾイドマンモスに乗り続けるのか? それともゴジュラスへの機種転換訓練を受けるのか?」というふるい落としの作業を兼ねていたのかもしれない。

さて寒冷地のゾイドマンモスはかなりの数が集まった。また生産された分が後から補充されたりもした。
もちろん寒冷地でいくらかマシな戦いができるといっても旧式機。そこはやっぱり撃破されることも多い。
そこで、せめてもう少しマシな戦い……、願わくばレッドホーンくらいには確実に勝てるような位になれないかという思いで研究にもいそしみ、そうして冷凍ガス砲を装備した件のタイプが生まれたのかもしれない。
このような状況の中で、デスザウラーとの一戦が起ったのだと思った。

 

この戦いの直後に、新鋭機「ベアファイター」「ディバイソン」の生産数が増えた。
両機は寒冷地でも十分に戦える。これによって、ついにゾイドマンモスは「寒冷地なら」という一芸を失い機種転換されたのであった……。


この頃になると、もはや生産は終了していた。
「既存機での共食い整備」でどうにか戦力を維持していたような状態だろう。
その共食い整備さえ出来ないような状況になり始めており、更に新鋭機の増産。
こうして、ついに運用を終えたのだと思った。

 

という風にゾイドマンモスの状況を妄想してみた。

書いている中で、そういえばディバイソンはゾイドマンモスの後継機としてまさに最適だと思った。


「デスザウラーへの暫定的な対抗機」という部分がクローズアップされがちだが、ゾイドマンモスの後継機という部分から考えても面白いかもしれない。
突撃機という部分で共通する。パワーも同じくらいはありそうだ。
頭部と背部にコックピットを持つ。この配置も似ている。
ディバイソンは収納式の大型レーダーを持つ。これも似ている。ゾイドマンモスの耳は3Dレーダーだ(もっとも性能は今ひとつだったようだが)。
カラーリングも同じだ。

機種転換訓練は最短で済むだろう。
ディバイソンは就役するや超大量生産されて突撃しまくった。それはもうデスザウラーに挑んだり、集団でアイアンコングをぶっ飛ばしたり凄まじい活躍をした。
まさにパワフルを極めた。
これは、ゾイドマンモスから機種転換したパイロットがようやく存分に戦える強力機を手にしたことで鬱憤を晴らすべく張り切りまくった裏事情があったのかもしれない。

ただ、大陸間戦争になるやディバイソンはゾイドマンモス並の戦力不足機となってしまい、予備役のような扱いを受けていた。
そこのところでもゾイドマンモス的になってしまったのは哀愁があると思うのだが……。

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