ゾイダーの屠龍さんから頂きました。ゾイドの戦記小説です。
「僕達が繋がる物語」のバッドエンド物となっています。

投稿時に頂いたコメントを先に紹介します。

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SSのバッドエンド物も投稿させていただきます。
私のSSでバッドエンド物は初めてなので至らない点はありますがこちらも掲載させて頂けたら幸いです。
なお、ゾイド好きには辛いかも知れない描写がありますが、私は敢えて心を鬼にして執筆しました。
その意図を汲み取って頂けたら幸いです。

注意
キャラ崩壊あり。ゾイド好きには辛いかも知れない描写があります。
今回は救いがありません。バッドエンド物が嫌いな方は注意してください。

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ifルート僕達がバラバラになった物語

彼ーエンド・レオンハートは俺の大切な親友だった。
なんで過去形かって?
自殺したからさ。否、運命の悪戯に殺されたんだ。
キサラギもモモノ教官もそうだ。
これから話すのはそんな、どこかで運命の歯車が狂った物語。

 

俺は集中治療室の前で祈るような気持ちでキサラギが助かる未来を待っていた。
エンドも教官もそうだ。
特にエンドは何かに縋るかの様に一心不乱に祈っていた。
エンドは教官の身を案じて、教官に睡眠薬を盛った。
けれど、もし教官もエンドと一緒にキサラギを助けに行っていたら、もし、エンドがもっと早く出撃出来ていたらーこんな事にはならなかった筈だ。
俺は無力だ、エンドが瀕死のキサラギを連れて帰還した時、俺は何も声を掛けてやれなかった。
何か声を掛けてやればこんなにエンドが落ち込む事は無かったかも知れない。

集中治療室から医者が出てきたのはそんな時だ。
「キサラギは!」
エンドが普段からは想像出来ない位狼狽した声で医者に詰め寄った。
「残念ですが…亡くなりました」
亡くなった?キサラギが?嘘だろ? 俺ですらそうだからエンドはもっと狼狽して、そして何かの憑物が落ちた様にその場にへたり込んだ。

 

霊安室で俺たちはキサラギと対面した。
キサラギは眠っている様な、何かに満足した様な、今にも目を覚ます様な顔で眠っていた。
エンドがキサラギの手を握った途端、一気に泣き崩れた。

あぁ、あのエンドがこんな姿を晒すとは、普段は俺たちを導いてくれるあのエンドがこうも取り乱すとは、誰が想像しただろうか。
俺も涙が止まらなかった。何かに当たり散らしたかった。
けど、俺は我慢出来た。
エンドに何の非があろうか?
エンドは唯俺たちの代わりにこうも悲しみに打ちひしがれてるだけだ。

だけど、教官はそうも出来なかった。
だから言ってしまったんだ。
ーエンドの所為でキサラギは死んだんだ、と。
無論本心では無い事位教官自身分かってた筈だ。
けどエンドは間違って解釈した。
泣きながら、この世の物とは思えない、ゾッとする様な笑い声をあげ始めたんだ。

俺は怖かった。
エンドの笑い声もそうだが、あの後悔の念に満ちた教官の表情も。
取り返しのつかない事が起きるのは容易に想像出来た。

落ち着け、教官だって辛いからつい言っただけだ。
俺はそう言った。
教官もエンドに泣きながら謝った。
本心では無い、何かに当たらなければ私が壊れそうだからつい酷いことを言ってしまった、だから…
そう教官は言って謝った。土下座までしてエンドに謝った。

でも手遅れだった。
エンドは完全に壊れてしまったんだ。
元々色んな事を一人で溜め込むタイプだった。
俺やキサラギ、それに教官だってその事を心配していた。
だからエンドは涙が枯れた頃、自ら命を絶った。
享年19歳でエンドは呆気なく死んだ。
どんな戦場でも死ななかったのに。
どんなに俺たちを心配して、愛してくれていた事だったか。
それなのに俺は何もしてやれなかった。出来なかった。
俺は無力だ。

エンドの葬式は質素なものだった。
エンドは身寄りがなかったから喪主は校長が務めた。
教官は何かおかしかった。
とても思いつめて、何かに押しつぶされそうだった。
でも、まさか教官まで自殺したりしないだろう。
俺はそう漠然と思ってた。
フブキ・リコリスという少女が参列するまでは。

フブキは教官を見つけると黙って近づき、いきなり教官を殴った。
この人殺し!私はあの人を尊敬してたのに!憧れていたのに!返して!さぁあの人を返せ!
人間は此処まで殺意を持てるのか、と思うくらいの叫びを上げながらフブキは教官を殴り続ける。
無論止めに入った、でもフブキはあの小柄な体にこんな力が有るのか、と思うくらいの力を出していたから俺一人では止められなかった。
大の大人が三人がかりでようやくフブキを引き剥がすことが出来た。
教官はか細い声で呟いた。
殺してくれれば良かったのに、と。
それから教官は酒に溺れる様になり、講義も今までと違い楽しいものでは無くなった。
教官が自殺するのにそう時間はかからなかった。

 

キサラギが死んで半年後、俺は佐官学校を中退して最前線に志願した。
なんでかって?
簡単さ、ゾイドに復讐する為さ。
それは残酷な殺し方をしているよ。
少しずついたぶってジワジワ痛めつけて最後は剥き出しにしたゾイドコアをゆっくりと押しつぶしてやってるさ。
それが最高に楽しいんだ。

キサラギはゾイドに殺された。
エンドも教官も元をただせばゾイドの所為だ。
だから俺はゾイドを許さない。
俺の大切な人を奪ったゾイドは全てこの手で殺してやるさ。

最後は愛機のワイツウルフさえ殺すだろう。
フブキはエンドの後釜として立派に共和国の誇るエースになった。
もしキサラギが死んでなかったら、エンドの元でもっと腕の良いパイロットになってたかもな。
でも、もしもは無い。
俺はエンド等の元へは逝けないだろう。
でも、後悔は無い。
それが俺の罪だからさ。
永遠に苦しもう。
さようなら、エンド、キサラギ、教官。
そして運命よ、俺はお前も許さない。
いつかこの手で必ず復讐してやる。
精々怯えて待ってるが良いさ。
どんな殺し方にしようかな。
ゆっくり考えるとしよう。

ー完ー

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