メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 重装甲強行偵察機械獣 ゴルドス<GORDOS>

■ゴルドス(恐竜型) データベース■

 発売年月 1984年7月  発売当時価格 3000円  動力 モーター

 型式番号 RBOZ-003

 スペック 全長30.3m 全高15.1m 全幅9.3m 重量199.0t 最高速度80km/h 乗員2名

 主な武装
  105mm高速キャノン砲(×2) パノーバー20mm対空ビーム砲(×2) 銃座式マクサー30mmビーム砲 20mmビームランチャー マクサー50mm砲(×2)
  MAD磁気探知機 全天候3Dレーダー他、多数のレーダーを装備

 特徴
  強行偵察を主とするメカで、以前は輸送を主としていたが、地球人の手により改造された。
  強行偵察用としての多種のレーダーを装備する。そのために重装備となり、敵の単なる標的となることもあったが、その能力は大きかった。
  又、改造型として強襲揚陸型もある。


前後より

共和国巨大電子戦ゾイド、ゴルドスです。
エレファンタス、ゴルゴドスに続く電子戦用の機体で、電子ゾイドの決定版とも言えるゾイドでしょう。

巨大かつ鈍足である事はよく疑問として挙げられますが、基本的にゴルドスは前線で運用される偵察機というより、後方の安全圏から策敵および火力支援を行う機体です。
なので、大きくて鈍足である事は、運用上特に問題ではありません。
ゴルドスは、最前線で運用する事を諦めた代わりに、極限まで電子装備を満載しその能力を飛躍的に高めた機体です。

全身にびっしりと造り込まれたモールドが、圧倒的なスケール感とリアル感を出しています。
ディティールの細かさは全ゾイド中でもトップクラスで、あのゴジュラスさえ凌ぐ凄まじい量が、全身にくまなくビッシリと入っています。
色も地味で、キャノピーを除けば全くの色味がありません。マンモスのように緑があるわけでもなく、ゴジュラスのように青があるわけでもありません。
ディティールが非常に細かく、カラーリングも凄まじくシック。ゴルドスは実に渋い機体です。

しかし、その地味な一方でこうも思います。
過剰なほどのゴチャメカで構成されていますが、全体としては不思議と一体感・美しさがあります。
ゴジュラスにも共通した事が言えますが、これだけゴチャゴチャしたメカを過剰に使いつつ、しかし仕上がりとしては一つのまとまりのある姿に仕上げているデザインセンスはまさに見事です。
カラーリングも、黒い装甲にグレーのメカ部分という構成で、非常に地味です。
ですが、灰色のパーツは全身に特徴的に散らしてあります。その為、地味な色なのは確かですが、ある意味、派手に感じる部分もあります。

過剰なほどにゴチャメカであるが、全体のまとめ上げは見事で美しさもある。
カラーリングも非常に地味な一方、灰色パーツのチラシ方のおかげで派手な部分もある。
相反する要素を同時に持つデザインで、それゆえに複雑で奥深い魅力があります。


側面より

側面から見ると、改めてそのディティールの多さが確認できます。

各部のディティールは細かく全て魅力的ですが、やはり、この機体といえば真っ先に背中の全天候3Dレーダーに注目したい所です。

この見事なディティールは、「全天候3Dレーダー」という設定に素晴らしいリアル感を与えています。
凹もあり凸もあり。細かなディティールも見事ですが、それに加えて「抜き」がある造形になっていのがニクいです。
この魅力的な背びれが、大小合わせて16枚も搭載されています。最も小さい背びれでも、きちんと抜きが行われているのもさすがです。

また、背びれも見事ですが、左右の背びれの間のディティールも好きです。

こういった見えにくい場所までぬかりなく造り込まれているのはさすがです。

個人的に、メカの内部構造を考えるのが好きですが、ゴルドスの内部は特に考えるのが楽しいです。
これだけ細かく造り込まれているからこそ、このディティール一つ一つから内部的な機構を考え、メカを咀嚼してゆく作業がとても面白いです。

ゴルドスの全身は、改めてディティールがビッシリです。そしてそのどれもが素晴らしい造り込みであり、見ていると限りない想像が膨らんでゆきます。


フェイス、コックピット

頭部のデザインも魅力的です。
大きさは、ステゴサウルスらしい小顔です。
立派な口を持ちますが、これはゴジュラスのような攻撃用装備ではなく、内部にエネルギー補給用ジョイントがあり、その為の開閉機構となっています。

頭部も、他の場所と同じくディティールが細かいです。またパイプを大きく見せている事も特徴です。
特徴的なキャノピーは、この頭部をどこか愛嬌のある風貌に感じさせます。なおキャノピーはビガザウロからの流用ですが、ビガザウロとは前後逆に付いています。
ディティールが細かく大きく露出したパイプもある。一方、どこか愛嬌もある風に感じる。ゴルドスの顔は、優しいお爺ちゃんな感じの印象があります。

優しく愛嬌がある顔というのは戦闘兵器として変な感想かもしれません。
しかしゴルドスは直接戦闘は行わず後方で支援をする機体。なので、こんな顔も非常に似合っていると思います。

頭部はコックピットになっており、キャノピーを開けるとパイロットが入っています。

先に書いたように、キャノピーはビガザウロからの流用ですが、同機とは前後逆に付いています。
なので、ビガザウロとは違い、後方に開けるようになっています。
コックピットの造り込みもなかなかのもので、リアル感は抜群です。

総じて良い出来の頭部ですが、ひとつ弱点もあります。それはデザイン上の事ではなく、キットの仕様に関してです。
ゾイドのパーツには、部品番号が刻印されているのが常です。これが、ゴルドスに悪い影響を与えた個所があります。

パイプにまで部品番号が刻印されているので、一部が切れたようになってしまっています。
細かいですが、頭部だけに目立ちます。

パーツに部品番号があるのは重要です。特にメカ生体ゾイドでは、部品番号がそのまま組み立て番号になっていたので、その重要度が非常に高いのは確かです。
しかしそれでも、明らかな見栄え低下を許容してまで、他の部品とはまず見間違わないであろうパイプにまで番号を刻印したのは、ちょっと過剰だったかなと思います。

余談ですが、後のウルトラザウルスでは要注目な所があります。

同じように側面にパイプを持ちます。ですがゴルドスの反省があったからか、パイプには部品番号が刻印されておらず、美観を保っています。
なお、もう一つ余談ですが、実はゴルドスとウルトラザウルスのパイプは、サイズがほぼ同じで互換性があります。

このように、ウルトラザウルスのパイプをゴルドスにつける事も可能です。
こうすればパイプの美観を保つ事ができます。色も灰色という事で違和感が少ないです。
ただまぁ、ゴルドスの美観の為にウルトラザウルスを用意しなければならない方法なので、あまり現実的ではありませんが…。

というか、いっそパイプを撤去してみても、それはそれでいい気もします。

デザイン的な違和感はあまり無いと思います。内部機関の洗練によりパイプを内部化した後期ver.…、なんていう妄想をしても面白いです。

さて、頭部はコックピットでありメインパイロットはそこに乗りますが、ゴルドスはもう一つコックピットがあります。
それは尾部です。

尾部先端の、ビガザウロから続く伝統の、いわゆる懲罰席です(懲罰席についての見解はコラム参照)。
少し後ろには、ステゴサウルスの特徴である4本のスパイクが出ています。ですが、これは格闘用装備ではなく、MAD磁気探知機とされています。
MAD磁気探知機は地中の敵まで探し出せる装備です。主に、奇襲するモルガ部隊を察知するのに有効だったと思われます。

ゴルドスは、背びれは全天候3Dレーダーで、スパイクはMAD磁気探知機になっており、まさに全身が電子装備の塊と言えます。


ビガザウロ級4号機

ゴルドスは非常に魅力的なデザインをしていますが、実は全て専用のパーツで構成されているわけではありません。
ビガザウロから、ボディフレームはじめ多くのパーツを流用して作られています。
マンモス、ゴジュラスに続く、ビガザウロのボディフレームを使用したゾイド4号にして、同ボディフレームを使用した最終機になりました。

ビガザウロは最初の機体なので基本形と言えます。
マンモスはパーツを流用して作られた最初の機体という事で、全体的に無理やり感が否めない荒い仕上がりでした。
ゴジュラスはデザインもこなれてきた感じがあり、かなり洗練された完成度を示しました。
そして4号機ゴルドス。デザインはゴジュラスより後発という事で、良い意味での慣れが感じられ素晴らしい仕上がりをしています。

もちろんゴジュラスやゴルドスこそ至高というわけではなく、マンモスはマンモスで、例えば洗練されていないゆえに「どこまでも武骨」という独特の魅力があるのは言うまでもありませんが。

ちなみにビガザウロ級の4機は、前線で戦う戦闘用=ゴジュラス。輸送用=マンモス。策敵・支援砲撃=ゴルドス。舞台の指揮管理=ビガザウロという風になっていました。
適度な住み分けがあり、それぞれの魅力があるのは素晴らしい事です。
ともかく、こうしてビガザウロ級の4機を並べると非常に壮観であり、興味深いです。


ゴルゴドスと共に

ビガザウロ級の4号機ですが、同時にゴルゴドスの拡大発展型という側面もあります。
ゴルドスの登場により、共和国の電子ゾイド=ステゴサウルス型というイメージが固まりました。
ちなみにレーダーの設定ですが、ゴルゴドスのものは3Dレーダーで、ゴルドスのものは全天候3Dレーダーです。大きくなっただけでなく、きちんと高性能化しています。
全天候型になったおかげで、素晴らしい運用幅の向上があった事でしょう。

ゴルドスはビガザウロのボディフレームを流用しており、ゴルゴドスはエレファンタスのボディフレームを流用して作られています。
どちらも既存のフレームを流用して作られている、というのは数奇なものを感じます。

ゴルドスは大型ゾイドならではの圧倒的なディティールがありますが、他にも両者を比べると面白い事があります。
ステゴサウルス最大の特徴である所の背びれは、ゴルゴドスは1列であり、ゴルドスは左右非対称の2列で構成されています。

ステゴサウルスは、古くは背びれが1列だった説と2列だった説がありました。
更に、2列の中には左右対称だった説と非対称だった説がありました。合計3説です。
この議論は、後に状態の良い全身化石が発掘された事で、2列左右非対称が広く支持を得るようになってゆきます。
ゴルゴドスは古い説である1列型のステゴサウルスを採用しており、ゴルドスは2列非対称型のステゴサウスルを採用しています。

武装面は、背びれが高性能レーダーである事を除き、あまり共通性はありません。
ゴルドスは大型の長距離砲を持ちますが、ゴルゴドスはせいぜい近距離用の小型砲を持つのみです。
同じモチーフを使用していながら、割と設計思想に差が見受けられる両機です。
おそらく、後方の安全圏から索敵や支援砲撃を行うゴルドスと、前線でも運用されより細かな策敵を行うゴルゴドスの差でしょう。
そのような所を考えてみても面白いと思います。


後方支援機

ゴルドスは優秀なレーダーを持ちますが、もう一つ非常に高性能な装備もあります。
先にも少し書きましたが、二門の大型高速キャノン砲です。
口径は105mmで、後に登場する数々の大口径砲と比べれば見劣りするのは否めません。しかし登場当時は、 この砲が全ゾイド中で最強レベルの砲でした。
射程距離も長く、それゆえ優秀なレーダーと優秀な砲を持つゴルドスは、火力支援として戦闘に参加することもままありました。

残念ながら、この砲が運用された具体的なシーンは確認できていません。ただ「火力支援として戦闘に参加する事もあった」と書かれているのみです。
なので、威力や脅威度がいまひとつ分からないのはもどかしいです。しかし、非常に優秀な力を発揮したのは確実だと思います。
後に登場したウルトラザウルスを見ればよく分かります。

ウルトラザウルスは、ゴルドス以上の巨砲を持ち、また優秀な策敵能力を持ち(レーダーで劣る分は艦載機を搭載する事でカバー)、更にビガザウロ以上の指揮管理能力を持っていました。
ゴルドスとビガザウロの能力が引き継がれている事が分かります。
それはもちろん、ゴルドスの有効性が確かだったからでしょう。


ギミック

電動ゾイドなので、電池を入れてスイッチを入れると元気に動きます。
ギミックは優秀です。

連動ギミックとしては、首を振りながら、口を開閉させながら、キャノン砲の仰角を付けながら前進します。
首を振る様は、いかにも敵を求めて偵察している感じがあり、ゴルドスには似合ったギミックです。
口の開閉はゾイドではおなじみのギミックですが、首を左右に振りながら開閉するので、見ごたえは上々です。

口の開閉で、かなり表情が変わって見えます。
ゴルドスは口を開けている表情の方が温厚そうで好きですが、閉じた時の険しい喰いしばった表情も、また一風違った魅力があります。

キャノン砲は、仰角を5~30度くらいの間で上下させ、強力な火器であるというアピールをしています。
大型火器を搭載したからには動かす。期待を裏切らない仕上がりです。
ですが、キャノン砲が装甲と同じ黒という事があり、そもそもあまり目だっていません。その為、動いているが今ひとつインパクトに欠けており、惜しいと思います。
また、左右の砲を交互に動かしますが、出来れば同時に上げる/下げるというように動かした方が、より見栄えが高かったと思います。
この点は、後のウルトラザウルスで全て解消されます。すなわちキャノン砲は目立つ色になり、動きはより大きくなり、左右同時に動くようになっています。
ゴルドスのキャノン砲は、後々の布石になったと言えるものでもあります。

手動ギミックとしては、各武器の角度を変更できることと、頭部キャノピーの開閉が出来ます。背びれは完全に固定されており動きません。
大型ゾイドにしては少なめですが、武器は全身にバランス良く付いているので、各部よく動くような印象はあります。

総じて、惜しい部分はあるものの、全体的に過不足無く素晴らしい仕上がりだと思います。


戦歴

戦歴はちょっと悲しい感じです。

ゴジュラスが主役級の扱いを受け、何度も派手な戦闘シーンや改造計画がクロースアップされる一方、ゴルドスはほとんど特集される事無いまま時は流れてゆきます。
バトルストーリー、学年誌共に同じ状況です。ゴルドスの方がゴジュラスより新しい機体にもかかわらず、です。
時たま登場する事があれば、たいていはレッドホーンやアイアンコングにやられるシーンであり、バリゲーター程ではないとはいえゴルドスはやられ役のイメージが強いです。

とはいえ、基本的にバトルストーリーは最前線の派手なバトルにスポットをあてる事がほとんどです。
優秀な後方支援機として、描かれていないところで大活躍し勝利に大きく貢献していたのは確かだと思います。

キャノン砲での後方支援といえば、学年誌ではこのような改造タイプを見つける事が出来ました。登場時期は、第二次新型ゾイド開発競争頃です。

口径はそんなに大きく無さそうですが、砲身が長いので飛距離は非常に長そうです。
後方支援の有効性が認められ、更に射程距離を伸ばすべく作られた試作…?
個人的に、この改造ゴルドスは後のウルトラザウルスのウルトラキャノン砲のプロトタイプとして捉えても良いのではないかと思ったりします。

クローズアップされる事は少なかった機体ですが、それだけに数少ない資料から様々な戦果を妄想し、補填したいところです。
ゴルドスの機体デザイン・設定からは、隠れた活躍を想像し補填するだけの価値が十二分に感じられます。


超巨大電子機 ゴルドス

バトルストーリーでの活躍が少なかったのは残念ですが、紛う事なき傑作機です。
ゴルドス単体として見ても素晴らしい仕上がりですが、先や後に出たゾイドと比べてみると、いっそう深いのが良いと思います。
ビガザウロ級各機のデザインの移り変わりも興味深いし、後のウルトラザウルスに大きな影響を与えているように感じるのも好きです。

単体としても魅力的であるが、同時に自軍の他のゾイドと比べたらいっそう魅力的になる。
まさにお手本のような造りをしていると思います。

深く見ればより魅力が分かる味わい深さ。策敵や後方支援に威力を発揮するという渋い魅力。
通好みな要素が多い機体ですが、このようなゾイドが居たからこそ、いっそうゾイドワールドは魅力的になりました。
今後もこのようなゾイドが誕生して欲しいと思えるゾイドです。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド ゴルドス

ゾイド妄想戦記 キャノニアーゴルドス


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