アニメの感想 第9話

こちらのコラムに続いて、第9話の感想です。

第9話「神秘!ゾイドを癒す少年」

今話はタイトルだけで事前にゾイドと触れ合って「念」みたいなのを送って治癒する少年が登場するのか? とか思ってたら全然違いました。
「神秘」という面では5話に出てきた動物を治癒する洞窟の方がレベル高いかも……。

冒頭で新たな町に着くアラシとオニギリ。
しかしそこはゾイドを恐れ露骨に嫌う場所であった……。


露骨に嫌がられています。
「ゾイドを嫌うなんて当たり前だろ! 子供だっているんだぞ。出ていけ!!」と。
作中では久々にこういう雰囲気の場所が出てきました。
やはりこの世界の多くはこういう場所なんだろうなぁ……と改めて思います。

ところで細かい(?)ツッコミですが、町民はゾイドを嫌がる割にゾイドに思いっきり接近しています。
棒やなんかで叩いたりも。
この辺から、ゾイドを「嫌っている」が「恐れてはいない」のかもしれない……と思います。
恐れていないならなぜ嫌がるのか……というのはちょっと謎です。
この辺は後の話で回答が出ると良いのですが。

さてゾイドを嫌う町での話です。
気になるのは、この町はデスメタル帝国からどうやって防衛をしているのかという事でもあります。
8話では、ゾイドを保有し自警団を形成。それでもってデスメタル帝国の侵攻に対抗していた町が出ました。

8話より。赤いのがデスメタル帝国で奥の黄色いのが自警団。

ドレイクが攻めていた別の「都市」も大規模な自警団を形成し自衛に務めていました。
デスメタル帝国の脅威が広がる中、そのような自衛は必須でしょう。
とすればこの町は一体何なのか。

1、既にデスメタルの支配下である。その為保有の必要がない。
2、デスメタル帝国の脅威を知らず自衛の概念がない。
のどちらかでしょうか?

1の場合は、アラシが立ち寄ったタイミングはちょうどデスメタル駐屯部隊が不在であったという感じ。
この場合は既にデスメタル帝国に支配されている=彼らの使うゾイドを脅威として嫌っていたとしても自然です。

2の場合は、デスメタル帝国は最近になって勃興した若い勢力である。だからその急速な成長や脅威度を知らない場所があっても不思議ではないという考えです。
ただ辺境のド田舎であるところのアラシの村でさえデスメタル帝国を知っていたのでこの線は薄そうな気もしますが……。

 

さて何だかんだあって町に入ったアラシ達は森に暮らす少年シメジと出会う……。


シメジは「ゾイドはみんな友達だ」の精神を持つ少年。町の中ではなく付近の森に住んでいます。ただ町の住人は名前やその主張をよく知っていた。
思うに、元々町に住んでいた。しかしゾイドへの主張ゆえに馴染めず今では森にたった一人住むようになったのでしょう……。
その主張は変わっておらず「言う事は言う」ようではある。ただ一方で相手を納得させる・分かり合う事はもはや諦めている風でもありました。

「ゾイドは好きだ。でも町の人に分かってもらうことはもう諦めよう」
「町で物資を得る必要もあるから関係は断ち切れない。まぁ険悪にならない程度に最低限付き合っていけばいいだろう……」
そんな感じに見えました。
シメジはアラシの在り得たかもしれないもう一つの未来なのかもしれないなぁ……、と思います。

 

中盤からは舞台はシメジの住む森に。
ここでは貴重な情報がありました。


沼にはまったワイルドライガーやガノンタスを救うクワーガたち。
二機でワイルドライガーとガノンタスを持ち上げる驚異の力持ち具合を発揮しています。
さすがは力持ちの昆虫ゾイドです。この辺のスペックは各機の力関係を知るうえで重要だと思います。


「金属質の樹液が出る木」なんていうのも出てきました。カブターやクワーガがこれを食しています。
舞台は地球ですが、半ばゾイド星(惑星Zi)のように金属成分が多くなっているんだろうか?
ゾイドワイルドの世界では、ゾイドが「数万年前に地球に飛来した一つの ゾイドコアによって生まれ・・・」とされています。
コアが飛来した際に、一緒に地球の環境を金属質に変えてしまう何かも起こったのでしょうか……?
謎が膨らみます。

 

今回はまたオニギリとガノンタスの過去も語られました。


出会いと相棒になるまでの秘話。
ガノンタスは優しい。凄く優しい…。そして可愛い。かわいいなぁ……。
7話の初登場時点ではオニギリに印象が悪いと書きました。しかしこうした過去を知る事でだんだん印象が変わっていきます。

オニギリの過去の告白。そしてそれを責めずに向き合うアラシやシメジの姿は印象的です。
一度何かやったら一生必要以上に言われ続ける今のネット社会をちょっと示唆しているような気もします。

あと細かい事ですがゾイドが毒によって冒される事。その治癒として薬草を使っている所も注目ポイントです。
ゾイドのメカニズムはどうなっているのだろう……。

 

後半はいつものようにデスメタル帝国ラプトール部隊が登場。戦闘に。
今回はラプトールが強めに描かれており、今までのザコ感を覆す感じになっていたのが印象的でした。
こういうラプトールも良いと思います。
最終的にはガノンタスの亀甲砲でまとめてやられちゃいますが……。

今回は戦闘後のラストがとても良かったです。
というのもやられたラプトールが森に置き去りにされる→シメジやオニギリがそれを直してこれからは森に住めと言う。そんなやりとりがあったのが凄く良かったです。

そう、「ゾイドはみんな友達だ」と言うなら、それは敵ゾイドにも言える筈です。
そこをキチンと描いていて凄いなぁと思いました。
悪く言う訳ではないんですが、第一作では「ゾイドは友達だ」と言いつつデスザウラーに対しては「生まれてはいけなかった存在」とまで言い邪悪な存在としていていました。
そのあたりに若干のモヤモヤを感じていたので、今回は敵側であっても徹底してテーマを貫く意志を強く感じました。
ホントにいい作品になっているなと思います。

あとはペンネが登場していたのも注目でしょうか。
これだけ頻繁に遭遇するのでワイルド大陸はけっこう狭い?
あと、戦闘中は明らかに怪しい行動をしていました。
監視していた感じ。

以前に「デスメタル帝国と関係があるのでは」と書きましたが、その線が濃厚になっている気がします。

そんなわけで丁寧な描写に感動したりペンネの謎が深まったりと魅力的な9話でした。
10話以降にも期待です。

Back
index

inserted by FC2 system