宇宙とゾイド

以前に「索敵」というコラムを書いた(コチラ)。
こちらのコラムの中で「ゾイド星には宇宙技術はない」との仮定を行った。
今回のコラムは、この点について深く考えてみたい。

私は、ゾイド星には宇宙技術はないと推測している。
件のコラムにも書いている通り、大陸間弾道ミサイルのような兵器がないからだ。
せいぜいアイアンコングの射程200km程度のミサイルしか作れない。
ならば、それよりはるかに巨大な規模を必要とする宇宙ロケットはとうてい開発できていまいという考えだ。

しかし、一方で宇宙に行った描写は幾つかあったりする。
まずはそれらを紹介してみたい。

 

~第一次中央大陸戦争~

この間は、「スペースコング」が登場している。

ゼネバス帝国領土から打ち上げ、わずか20分で共和国領土にたどり着く恐るべきコング。
発射用ロケットは回収して再利用してるようだ。
スペースコングは「共和国側の軍事衛星」を破壊している描写もあった。
すなわち、共和国側も衛星を打ち上げる能力を持っていたようだ。

第一次中央大陸戦争は以上。

 

~第二次中央大陸戦争~

この間は、宇宙に行ったゾイドは確認できない。
ただ、

このように、かなりの高高度にまで上がれるゾイドは居たようだ。
「超高空輸送ゾイド」と書かれている。どれくらいの高度を飛んでいるのだろうか。

余談ながら、このサラマンダーの下部のコンテナの中には、

シールドライガーMK-IIが入っていた。(不思議なゾイドではないと思うが…)

シールドMK-IIが入る程の大型コンテナである。そこから考えると、このサラマンダーは通常よりも大型の特製サラマンダーかもしれない。
「大型サラマンダー」「シールドライガーMK-IIを搭載していた」
ここから考えるに、このサラマンダーはもしやチェスター教授を乗せた空中研究所の機体なのかもしれない。

まぁ、それは余談なので本題に戻る。
第二次中央大陸戦争では宇宙へ行った描写は無い。ただし、このようにかなり高い位置にまで行ったゾイドはあるようだ。

 

~大陸間戦争~
この時期はけっこう多い。

まずは、ブラックチャレンジャー。

設定としては、宇宙に行けると書かれているわけではない。また、行った直接的な描写も無い。
ただし、「宇宙基地」に所属していた。また、形状から考えてもおそらく行けそうである。

次に、

こちらは「てれびくん」でのストーリー。かなり衝撃的だと思う。
モロに宇宙に行って戦っている。要塞まである。
登場しているのは「宇宙用キングライガー」「宇宙用ガル・タイガー」とのこと。ノーマルにしか見えないのだが…。

宇宙での戦い
暗黒大陸軍と共和国軍の戦いは、宇宙でも始まりかけていた。暗黒軍は、密かに宇宙要塞を作り、共和国軍を空から攻撃しようとしていたのだ。
そこで、特殊な宇宙装備を付けた共和国軍のキングライガーが、奇襲攻撃をかけた。
暗黒軍のガル・タイガーも反撃。凄い戦いが始まったのだ。

との事。
凄い。もろに宇宙で戦っている。

あと、ギル・ベイダーは設定として「大気圏外の飛行も可能といわれている」とされている。
これは「いわれている」という表現なので確定ではないが…。

 

さて、ざっと確認している中では宇宙に行った描写は以上だ。
初期から末期まで、割とコンスタントに行っているように思える。

しかしその上でなお、私は宇宙技術は保有していないと思っている。
上の描写を見た後だと「明らかに行っているじゃないか」と思われると思う。
この事を「グローバリーIII」をキーワードにしつつ以下にまとめる。

 

さて、宇宙へ行ったゾイドをはじめとするメカ。

●スペースコング
●共和国軍の軍事衛星
●ブラックチャレンジャー(※おそらく行けるだろうという推測)
●暗黒軍の宇宙要塞

少なくとも、これだけのものが宇宙に行っている。
また、暗黒軍宇宙要塞を破壊する為に共和国軍も宇宙に上がっているので、
●共和国軍の宇宙要塞攻略部隊
も含めるべきだろう。

さて、私はゾイド星には基本的に宇宙技術はないと思っている。
上記のような描写があるにもかかわらず、だ。

「スペースコング等の描写が間違っている」とは思わない。
これらは確実に宇宙に行ったと思う。

ではなぜ、宇宙技術はないと思うのか。
キーワードはグローバリーIIIだ。

一つ確実に言えるのは、グリーバリーIII飛来以前においては宇宙技術はなかっただろうという事だ。
後の時代から見れば「のどか」とも称された初期の頃は、宇宙技術があったとはとても思えない。


そんなゾイド星に、グローバリーIIIが飛来し技術革新を起こした。
これは、例えるなら、長篠の戦いで信長勢が「火縄銃って最新装備が最強に強い!」と言ってるところに突如として対戦車砲やアサルトライフルが降ってきた… ようなものと考えれば分かりやすいだろうだろう。

この場合、火縄銃とアサルトライフルではあまりにも技術的な格差がありすぎる。確かに、解体などして調べられ、火縄銃より性能の良い銃は作られるだろう。
けども、全く同性能のものを作る事は長い年月がかかるだろう。

コピーというのは、思うよりもかなり難しい事なのだ…。現物が目の前にあっても大きな苦労を要する。
同年代の技術でさえ、かなり困難だったりする。
例えば、第二次大戦でドイツ軍は「マウザー砲」という超高性能20mm機関砲を作った。
米軍はこれのコピーを試みたが、結果として劣化したものしか作れなかった。大戦中、ついに満足できるコピーは完成しなかった。
逆に、ドイツ軍が米軍のB-17爆撃機をコピーしようとした事もあった。だが、これも失敗してついに完成する事はなかった。

「高性能なサンプルがあれば、それを参考として技術は向上する」
これた確かだ。
だが、「即座に同レベルに到達するのは困難である」という事も言える。
もちろん、長い年月をかければいつかは同じレベルにまで到達するだろう。また、サンプルがあった方がそのレベルに至るまでの期間を短縮できる事は当然ではあるが。

 

ゾイド星ではグローバリーIII飛来後に技術革新が起こり、例えばアイアンコングの200kmの長射程を誇るミサイルが誕生した。
だが、確認できる中ではこれが最大射程を誇る砲だ。
グローバリーIIIで技術革新は起こったが、その時点で得られたレベルは「アイアンコングの200km射程のミサイルが限界だった」のだと思う。

では宇宙に行った描写は何なんだ という事だが、これはグローバリーIIIのオリジナルエンジンを使用したメカであると思う。
ゾイドワールドの宇宙への到達は「グローバリーIIIのオリジナルエンジンを使えば可能」だが「失うと二度と行けない切り札である」と思う。
当然、運用は慎重に慎重を重ねる事になる。

グローバリーIIIは、「戦闘機械獣の全て」に図面が載っている。それを見ると、後部にメインエンジンが4基あるようだ。

帝国と共和国は不時着したグローバリーIIIの残骸を「ほぼ均等に」得たので、このエンジンも2基ずつ得たものと考える。

共和国軍は、当初はこれを軍事衛星の打ち上げに使用し幾つかの衛星を打ち上げた。
帝国軍は、それを破壊する為にスペースコングを開発しその打ち上げに使った。

さて、オリジナルエンジンを使って宇宙へ衛星やスペースコングを打ち上げていたこの時代……だが…、問題なのは打ち上げコストだったと推測する。
宇宙用エンジンの打ち上げとは、それはもうもの凄まじい量の燃料などが必要になる。打ち上げに要する規模は甚大だ。
共和国軍が衛星を打ち上げて、スペースコングが落として、共和国軍がまた打ち上げて、スーペースコングがまた落として… なんていう事を繰り返していると、経費が天文学的になる筈だ。

そうした中で、その費用をゾイド増産に充てた方がいいんじゃないか となったと思う。
こうして第一次中央大陸戦争では、次第に宇宙へ行く事はなくなった…。
(打ち上げた衛星は全てスペースコングに破壊された。衛星を破壊しつくした時点でスペースコングも運用を終えた)
その後は、研究等に運用されていたと思う。

その後、第一次中央大陸戦争で帝国軍は敗北した。
その際、帝国軍が保有していたオリジナルエンジンは暗黒大陸の安全圏に運ばれたと思う。
しばらく、暗黒軍と帝国軍の共同で管理されていただろう。だが、ニカイドス島の戦いの後は暗黒軍が自軍のものとして扱っただろう。
そして暗黒軍は、オリジナルエンジンを積極的に使用した。宇宙要塞やブラックチャレンジャーを開発したのだ。

ブラックチャレンジャーは、内部で戦闘ができるほどに大きい。内部の多くは格納庫になっているようだ。

上はキングライガーが内部で立体的な戦闘を行っている様子。その巨大さが分かろう。

おそらく、ブラックチャレンジャーは戦闘用ではない。宇宙に物資を運ぶ輸送機なのだろう。
ブラックチャレンジャーが運んだ物資により、宇宙要塞は完成した。
この存在を知った共和国軍は、急遽としてオリジナルエンジンを使用した宇宙船を作り、要塞破壊部隊を編成した…。
「てれびくん」の宇宙要塞の戦闘は、そのようなものであったと推測する。

ゾイドワールドにおける宇宙への到達については、そんな風に想像している。
「わずかな数しかない圧倒的性能を誇るオリジナルエンジン」というのは、それはそれはとても燃える要素な気もする。

…キングゴジュラスにはこのオリジナルエンジンが使用されている とか考えてみても面白いかもしれない…。

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