メカ生体ゾイド・ヘリック共和国部隊カラー(大陸間戦争時代)

規律の取れたカラーは見ていて気持ちが良い。

前回のコラムで、メカ生体ゾイド・中央大陸戦争時代のヘリック共和国部隊カラーを考えた。
今回はそれに続き、大陸間戦争時のヘリック共和国のカラーを考えてみたい。

まずは一覧。

登場順に並べてみた。一覧にするとカラーの変わりっぷりが良く分かる。白いゾイドが増えた。白は純白が多い。
金を使ったゾイドも多い。
反対に、黒いゾイドは居なくなった。

カラーとは関係ないが、この時期の新型ゾイドはこれだけか…とも思ってしまった。
たった13種類。中央大陸戦争時代は50種類近い。
まぁ、展開した期間が「中央大陸戦争時代:83~88年度の5年」「大陸間戦争:89~90年度の2年間」ではあるのだが…。

…リリース数はさて置き、ここからはカラーを考える。
なかなかフリーダムなカラーをしているので難しそうではあるが、できるだけ分類していきたい。

今回も、同じような色をしたゾイドを集めていきたいと思う。

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まず、「ボディ:青または金 武器:赤」のゾイドを集めてみよう。
ここには、TFゾイドが該当する。

[ショットイーグル、ゴルゴランチャー、サンダーカノン]
の3種。

これはTFゾイド専用カラーとみて良いだろう。

ただ、色合いに関しては謎も多い。青の色味は全機で違う。特にサンダーカノンはくすんだ水色をしていて明らかに違う。
赤の色合いはゴルゴランチャーとサンダーカノンは同じだ。真っ赤をしている。だがショットイーグルはオレンジっぽい感じになっている。

まぁ、でもこれは他にTFゾイドが居ないので比べようがない。
基本の法則が 「ボディ:青または金 武器:赤」であり、青や赤の色合いはある程度の自由な幅が設けられているという感じだろうか。

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次に、「装甲:白 内部機構:青または黒 武器:金」のゾイドを集めてみよう。
ここが最も多い。

[ガンブラスター、ハウンドソルジャー、オルディオス、ゴッドカイザー、キングゴジュラス]
5種。

オルディオスは赤も使用しているので少し違うが…、大まかにはこのカラーに近いのでここに分類した。赤が混じっている事については後で考えたい。
キングゴジュラスは厳密には装甲は白じゃなくて薄い灰色だ。だがこの程度は誤差とみてここに分類する。
青の色味は各機で多少に違う。装甲もキングゴジュラスは灰色をしている。TFゾイドと同じように、この時代の色にはある程度の自由な幅が設けられているのだろう。

このカラーを見ていると、中央大陸戦争時代のあのカラーを思い出さずには居れない。

「MK-IIカラー」これに酷似している。

だが上で一覧にした5種類のゾイドはMK-IIではなくノーマルタイプだ。
にもかかわらず、なぜMK-IIカラーをしているのだろう。

思うに、この時代の共和国軍は「新生共和国軍」を名乗っていた。ここに理由がありそうだ。
共和国軍は、当然だが「新しくなった軍」「より強くなった軍」を国民にアピールしただろう。
その時に、今までは特別だったMK-IIカラーをノーマルタイプにも採用したのだろう。これにより新生共和国軍を強調して伝えたのだと思う。

こうして多くのゾイドがこのカラーをまとうことになった。
こう考えると、このカラーは大陸間戦争時代の共和国軍標準カラーとみる事ができる。

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次に、「装甲:白 内部機構:赤または黒または銀 武器:金」のゾイドを集めてみよう。

[キングライガー、バトルクーガー]
の2種が該当する。

標準カラーに近いが青ではなく赤を使っている。両機の赤の色合いはやや違う。

もしも赤い部分が青だったなら、完璧に標準カラーだった。

というか、赤というのはゼネバス帝国を象徴する色だった。
中央大陸戦争時代の共和国ゾイドは、目やアクセントを除けば決して赤を使用しなかった。それは赤が敵国の色だったからだろう。
それがこの時代は何故使うようになったのか。

赤を使用しているゾイドといえば、オルディオスやキングバロンやTFゾイドもだ。

なぜ赤をこんなにも使ったのか。

それは「大陸間戦争の目的」に理由があると思った。
ヘリック共和国にとって、大陸間戦争の目的は二つあった。
一つは「暗黒軍による侵略からの防衛」だ。共和国軍は暗黒軍を凶悪なる侵略者と認定し、その脅威を排除するには敵首都を攻略し完全勝利する他はないと考えた。

もう一つは「ゼネバス皇帝の奪還」だ。ゼネバス帝国の指導者にしてヘリック大統領の弟「ゼネバス皇帝」は暗黒軍によって捕らえられていた。
それゆえ残存するゼネバス帝国軍は暗黒軍に従わざるを得ない状況に追い込まれた。
共和国軍はゼネバスの奪還を目指していた。
一つはヘリックの弟だから助けたいというのがあっただろう。特にヘリック大統領個人としては絶対に助けたい想いがあっただろう。
またゼネバスを奪還すれば現在は暗黒軍に従っている旧帝国兵が反乱を起こすことも期待していたと思う。

共和国軍はゼネバス救出部隊を編制してその奪還を目指していた。
部隊の詳細は語られていない。だが想像するに、収容所に奇襲をかけて素早く奪還・そして離脱するとなれば飛行ゾイドや高速ゾイドが適任だろう。
高速・強力を誇る飛行ゾイド、オルディオスとバトルクーガーはぜひ使いたい。
キングライガー、キングバロンも使いたい。小回りの利く高速ゾイドだから役に立つはずだ。

なおハウンドソルジャーよりもキングライガー/バロンが良い。
なぜか。単純に速度だけで比べるとハウンドソルジャーが速い。離脱時には圧倒的に優位だろう。
だがキングライガー/バロンにあってハウンドソルジャーが持たない能力もある。それは高度な情報処理力だ。
作戦は失敗が許されない。味方機との連携が重要になろう。そう考えると処理力に優れるキングライガー、更にその改良型であるキングバロンを使うのは自然と思う。

TFゾイドは変形して武器になれる。キングライガー、オルディオス、キングバロン、バトルクーガーを支援する事ができる。
救出部隊に配備されて各機を支援する任務が与えられていたのだろう。

「赤」を使用したゾイドはゼネバス救出部隊所属なのだろう。
もう少し言うと、この中でオルディオスは完成時期が最も早い。なので標準カラーと救出部隊カラーの中間のようになっているのだと思う。

キングバロンはキングライガーから白と赤が反転した感じになっている。「色が反転する」というのはゼネバス帝国軍の強化ゾイドと同じだ。

「強化ゾイドの色パターンをゼネバス帝国流の感じにする」のは意図的にされていると思う。
大陸間戦争時のヘリック共和国は中央大陸全土を領土とした。これは言い換えれば旧ゼネバス帝国領土を編入したという事だ。
つい先日まで敵国市民だった者は自国民になった。また暗黒軍から逃れ中央大陸まで逃げのびた旧帝国兵も居ただろう。彼らはおそらく共和国軍に編入されたと思う。
共和国軍は彼らが反乱する事を恐れた筈だ。

「暗黒軍という新しい敵が現れた。奴らはゼネバス帝国を裏切る行為をした」
しかし、そうはいってもつい先日まで銃を向け殺すか殺されるかの戦いをしていた共和国軍を100%信用するかと言われれば、そう簡単に切り替えるのは難しいだろう。

そこでゼネバスを救出する部隊を編制した時、あえて色を赤にしたのだと思う。
帝国にとって特別な意味を持つ色、赤。これを「ゼネバス救出」というこれ以上ない作戦の部隊に使用すれば支持が得られよう。
更に、キングライガー改良タイプであるところのキングバロン。これを「色が反転する」という帝国伝統のパターンにすれば更に支持は固くなろう。
そんなわけで、赤が使用され色パターンも似せたのだと思う。

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ここまででほとんどが分類できた。残るは[カノンフォート][サラマンダーF2]の2種だ。
これらは他に類似がない。その機体だけのカラーをしている。なので個別に考えよう。

まずはカノンフォート。

「装甲:青 内部機構・武器:黒または灰」という配色をしている。
かなり地味で金色も使っていない。大陸間戦争時代の新鋭機で唯一だけ金を使用していないのがカノンフォートだ。

何故だろう。私は、カノンフォートは大陸間戦争時代の”新生”共和国軍のゾイドではないと思った。
いや就役した時期はそこで間違いないのだが…、どちらかというと旧来(大陸間戦争時代)の共和国軍のテイストに近い印象を受ける。
新生共和国軍と言えるのはガンブラスター以降のゾイドだと思う。

多分、設計は大陸間戦争末期に完成していた。量産も直前であった。
だが戦況は圧倒的に共和国優位に進んでおり、就役は特に急がれなかった。
そんなわけで大陸間戦争期には就役しなかったカノンフォートだが、予想外な事に戦争は終わらなかった。新たなる暗黒軍との戦い「大陸間戦争」が始まったのだ。
ここへきてカノンフォートはようやく就役、量産を迎えた。
こんな背景を想像した。

そんなわけでカノンフォートは実質的に言うと中央大陸戦争時代のゾイド、色もその時代のものに倣っていると思う。
ただ…、それでも色の法則が謎でもある。

従来のHiユニット級の基本である灰色の装甲をしていない。
どちらかというと……、

こちらの対抗カラーに近い。この色を若干濃くした感じだ。

「対抗機」という所から考えると、対ブラックライモス用だろうか。
中型ながらに強力な戦車・ブラックライモス。この対処に共和国軍は大いに苦労した。
ベアファイターなら互角に戦えたが、同機は「NEW」になった頃からシールドライガー、コマンドウルフと共に「MK-II部隊」として運用される事が増えた。
なので対ブラックライモス戦では数が不足していたかもしれない。
そこでベアファイターに代わる対ブラックライモス用ゾイドが開発される事になり、カノンフォートが生まれた……。

対抗機カラーをまとったゾイドは「特定の敵に対抗した」という他に「同クラス・同タイプ」「コピー改良機」という要素もあるとしていた。
カノンフォートはどうだろう。
「同クラス・同タイプ」という点では完全に合致する。
「コピー改良機」という点では……、

実はこの二機はとても似ている。脚部装甲は特にそっくりでコピーしたような具合だ。
といってもボディの造りはディバイソンに近い感じもする。
全体的にみれば「一部に模倣した部分もある」ではあっても「コピー改良機」とまではいかないだろう。
いやしかし、それでもかなり模倣したのも事実。
だから対抗機カラーに近いが少し違う感じになったのかもしれない。
このカラーは「対抗機カラー・改」とでもしておこうか…。

 

最後にサラマンダーF2。

「装甲:銀 強化装甲部:紺 翼:金」というかなり独特の配色をしている。
サラマンダーF2のみ他の機と全く違う色をしているので難しい。
ちなみに中央大陸戦争時代のゾイドでもこんなカラーはなかった。

中央大陸戦争時代には、何度も「陸軍と空/海軍機で色を分ける」という解釈をした。
やはりこれだろうか。
この色が新生共和国軍の空軍標準カラーである。

オルディオスやバトルクーガーがこうなっていないのは……、両種は陸戦もこなせる陸空両用機だ。
サラマンダーF2のような純粋な飛行ゾイドではない。だから空軍標準カラーではないのだろう。
加えて「ゼネバス救出部隊」を構成しており同部隊とカラーを合わせる事が優先された。それゆえF2とは別のカラーになったのだろう。

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さて、これにて全機が分類できた。
この期間は種類が少ないのであんがい早く分類できてしまった。

もう少し詳しく見れないだろうか。

キャップの色はほとんどが黒を使用している。例外はカノンフォートの青、キングゴジュラスの灰だ。
ただしカノンフォートは色が中央大陸戦争時代の考えに倣っているので省く。
新生共和国ゾイドで言えばキングゴジュラスだけが例外になっている。
中央大陸戦争時代はキャップの色もある程度は幅があった。なのにこの時代は基本が黒。例外として一機のみ灰があるというだけ。
本体色がカラフルになったのに対してキャップだけは地味になったというのはちょっと面白い。

中央大陸戦争時代の大型ゾイドに対して「キャップは黒が基本だが500tを超える超重量級ゾイドにのみ灰になる」と考えていた。
キングゴジュラスは500tを超えるのでこの法則に合致する。
キャップは中央大陸戦争時代の大型ゾイドと同じものが引き継がれているのだろう。またそれがクラスを問わず全ての共和国ゾイドに適応されたのだろう。

 

次にキャノピーの色も考えたい………のだが、キャノピー式を採用したのがサラマンダーF2のみなのでなかなか難しそうだ。
青というかなり特徴的な色をしている。
青いキャノピーというと思い出すグループがある。これは、もしかして24ゾイドのクリアー装甲と同じ材質ではないだろうか。

クリアー装甲は視界が得られるほどの透明度でありながら極めて高い防御力も併せ持つ装備であった。
特にメガトプロスは防御力の高さがアピールされている。
この材質が使用されたのではないか。
当然、従来のキャノピーよりも強度が上がっているだろう。

 

最後に金の使われ方も見てみたい。
この時代のゾイドはカノンフォートを除いて金を使っている。新生共和国軍ゾイドの定番だ。
なぜ金を使ったのだろう。それは改造ゾイド「ゴールドサンダー」から見えてくる。

改造マッドサンダー「ゴールドサンダー」は、全身がゴールド合金でできている。
「ゴールド合金で敵のビーム砲を反射させ無効化する」らしい。高い防御力を発揮するのだ。
おそらく通常の材質で作り、その上から表面を金でメッキしているのだろう。

理想的に言えば全部分をこれにしたい。そうすれば防御力は最高だ。それがゴールドサンダーだ。
だがそれは費用がかかりすぎる。そこで重要区画のみにゴールド合金を使ったと思われる。

さて使われ方だがTFゾイドを除く全てのゾイドは「武器類」に金を使っている。
共和国ゾイドは攻撃力を重視している。敵を攻撃する能力、ここだけは失ってはいけないと考えたようだ。けっけこうな攻撃偏向と言える。

ちなみに、暗黒軍も動揺の機能を持った装甲を開発した。「アイスメタル装甲」だ
これはガン・ギャラド、アイス・ブレーザー、デス・キャットが装備した。
使われ方を見ると面白い。

脚の付け根や首筋など、生物としての機能を守る事を重視している感じがする。

使われ方をみると、共和国軍と暗黒軍の開発・運用の思想が見えてくるかもしれない。
この時期の共和国軍は「正義」という印象が強い。だが中身を見るとあんがい暗黒軍の方が優れている部分も多い気がする。
共和国軍は「敵に遭遇して撃たれまくった。脚をやられて動けなくなったが武器は生きていたので攻撃を続行した。というかそうせざるを得なかった」となってしまう。
暗黒軍は「敵に遭遇して撃たれまくった。被弾し各部をやられたが脚部は生きていたので離脱する事はできた」となるだろう。
まぁ、いくらでも追加で生産できるし人員も多い共和国。対してギリギリの暗黒軍。そんな国力の問題でもある気はするが……。

 

さて、追加の考察はこれ位で良いだろうか。
ここまででまとめたものを一覧にする。

TFゾイドカラー=ボディ:青または金 武器:赤
ショットイーグル、ゴルゴランチャー、サンダーカノン

新生共和国軍標準カラー=装甲:白 内部機構:青または黒 武器:金
ガンブラスター、ハウンドソルジャー、オルディオス、ゴッドカイザー、キングゴジュラス

ゼネバス救出部隊カラー=装甲:白 内部機構:赤または黒または銀 武器:金
キングライガー、バトルクーガー (オルディオスは一部このカラーも交じっている)

強化ゾイドカラー=ノーマルタイプから色が反転する
キングバロン

新生共和国軍 空軍標準カラー=装甲:銀 強化装甲部:紺 翼:金
サラマンダーF2

対抗機カラー改=装甲:青 武器:黒または灰 ※このカラーは旧来の共和国軍の法則に倣っている
カノンフォート

補足
※キャップの色は黒が基本だが、500tを超える超巨大ゾイドには灰が使われる。
※色の法則は一覧にした通りだが、色味には多少の幅がある。例えばガンブラスターとハウンドソルジャーとゴッドカイザーでは青と色味が違う。

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今回は、そんなわけで大陸間戦争時代の共和国軍のカラーを考えてみた。
フリーダムな時期だと思っていたが、あんがい綺麗に分類できた気がする。

コラムでは「ゼネバス帝国軍」「ヘリック共和国軍(中央大陸戦争時代)」「ヘリック共和国軍(大陸間戦争時代)」のカラーを考えた。
統一感のあるカラーは綺麗で見栄えが良い。
それはゼネバス帝国軍のような「完璧に近い超統一されたカラー」だし、ヘリック共和国軍のような「まとまりは感じられるがある程度の幅もあるカラー」でもある。

「統一されている」という前提があり、それを超忠実に守るゼネバス帝国軍。そして守りながらもある程度自由なヘリック共和国軍。
軍としての気風の違いも見えてきて実に面白い。
改めてカラーリングは魅力的だと思った。

さて、ゼネバス帝国軍、ヘリック共和国軍というと暗黒軍(ガイロス帝国軍)も考えたい。
これはかなりフリーダムなカラーをしているのでかなり困難な気もするが…、いつか挑戦できればと思う。

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