デスザウラー運用と帝国の事情

前回のコラム(デスザウラー部隊の編制)の続き。


前回のコラムでは、デスザウラーが単機ではなく護衛を随伴させた「部隊」としての行動を強いられたと考えた。
ディメトロドン、ブラキオス、ブラックライモスを随伴させた状態。

何故この編制かというと、まず索敵力の低さが問題。ウルトラザウルスなどの長距離砲撃機を察知する能力が十分でない。
なのでディメトロドンを付ける。
更に敵が長距離からキャノン砲を撃ってきた場合に備え、ミサイル迎撃ができる護衛機も付けた。

ところで、デスザウラー自身に強力な索敵力を付けるプランはなかったのだろうか。
背中にディメトロドン級の電子装備(ヒレ)が付けられれば良いのだが……。

だが、オーロラインテークファンの付き位置から難しかったのだと思う。
また無理やり付けたとして、高性能電子装備はデリケートだ。
オーロラインテークファンに密接した位置に付けようものなら、荷電粒子砲のチャージ~発射時の膨大なエネルギーによって壊れてしまいそうだ。

 

…戦艦大和は対空機銃をシールドで覆ってる。
※画像はwikipediaより

他の戦艦はシールドがなく剥き出し状態で銃がある。
なぜ大和だけがシールド付きなのか。これは敵の攻撃を防ぐため……ではなく、自爆しないための装備だ。
大和は主砲が強すぎる。発射時にありえないくらいの爆風が発生する。
機銃を剥き出しにしていたら、主砲発射時の爆撃で壊れたり射撃員を吹き飛ばしたりしてしまう。なのでそのうになっている。

強すぎる装備は時として諸刃だ。
強い事はもちろん良い。だが他の装備に運用上の問題を起こす事もある。
かといってデスザウラーから荷電粒子砲を外すなんてありえない。
そんなわけで自身が索敵力を上げるのは難しい。よって電子戦機を随伴させるという手段になったと思う。

 

索敵ではもう一つ。レドラーを上空に付けたらどうか。これに索敵をさせる。

これは……、どうだろう。
レドラーのルックダウン能力はどの程度あるのだろうか。設定はない。
もしルックダウン能力が高いのなら、「デスザウラー+上空にレドラー」という構成でもいけそうな気はする。

ただ、個人的にはそこまで高くないイメージでもある。レドラーは大陸間戦争時には対空砲火で多数が撃墜された。
ルックダウン能力が高いなら、対空砲がある地帯を避けるか先に潰すだろう。
ここから考えて、ルックダウン能力はそれほど高くはない。すなわちレドラーを索敵にあてるとしても「不安は残る」ものだったのではないだろうか。

それと、飛行機を常に上空に付けておくのはかなり大変な事でもある。
飛行機は飛ぶだけでかなりのエネルギーを使う。特にデスザウラーにあわせて超低速で飛ばすというのは非常に燃費が悪い。
索敵が目的であるなら、陸上機を随伴させる方が遥かに経済性が良い。そんな事情もあってディメトロドンが好まれたかもしれない。

 

さてデスザウラー。
虎の子、切り札。
そしたものは強力無比だが裏を返せば「それが攻略されればおしまい」でもある。

戦争で運用するというのは100%安全というのはありえない。できる限りの対策をして「生存確率を上げる」事はできる。だがそれは絶対ではない。
なので、「どこまで危険を受け入れる事ができるか」というのは重要だ。

これをどこまで許容するかというのはお国柄が出る。
太平洋戦争時の日本軍はもったいない精神が強かった。大和の運用はそれをよく示している。
世界最強の砲撃能力を有する大和。これは新鋭艦だったのでとにかく温存された。しかしそうこうしている内に戦況は日本不利になり、活躍する機会を失してしまった。
かたや金剛級戦艦は当時の日本戦艦の中では最も古かった。
なので「最悪沈んでもショックが少ない」ということで積極的に出撃させられかなりの活躍をした。
戦況が切羽詰って大和を動かす決意をした時は、もはや効果的な成果が望めるような状況ではなくなっていた……。

米軍は対照的だった。序盤の圧倒的劣勢の時期において、限られた少ない艦を「沈められたら後がない」にも関らず積極的に全力投入。
結果としてどうにか戦線を維持して本格的な反撃までの時間を稼いだ。

 

帝国軍は攻める時は良い。だがいちど反撃されると途端に萎縮してしまう。
「不安から作戦の質が低下し、戦力を有効に活かせぬままズルズルと敗北を重ねていく」
そんな感じがする。

共和国軍は攻める時は徹底して強いし、反撃された時も粘り強い。しかも大胆な戦力運用ができる決断力の強さが凄いと思う。
帝国は戦力で勝とうとしているが、共和国は戦略で勝とうとしているというか、そんな感じがする。

ただし、むろん国力の低い帝国が損失を最大限に恐れる事は当たり前出し仕方がない事でもある。一概に批判されるものではない。
むしろ、「やられたら補充すれば良い。旧式機なんて自動操縦化して囮に使ったらいい(フロレシオ海海戦)」な考えをしている共和国の方が異常と言える。
こんな超大国とあそこまで戦った帝国は本当に凄い。

 

でも、帝国軍が思い切ってデスザウラーの損失を覚悟で「デスザウラー単機での攻撃」ないし「デスザウラーのみで部隊を構成する」ような事をもっと行っていれば、うまくいけば戦場マップはもっと変わっていたかもしれなかった。
共和国首都攻略後の帝国は、デスザウラーがあるにもかかわらずいまいちパッとした戦果を挙げていない。
むしろジワジワと支配域を狭めていくばかりだった。
戦線を好転させた時もあった……が、それはグレートサーベルやゴーレムが登場した時だった。
デスザウラーではない。
帝国軍は、旧日本軍の大和のように損失を恐れて投入の決断ができず、活躍させるべき場を大きく逃してしまったのかもしれない。
むろんそれは大博打だし、国力的事情により仕方がない事は先に書いた通りなのだが……。

でも、もしも国力の低さを知りながら、それでも大博打が打てる大胆な司令官が帝国に居れば。
ゼネバス皇帝は優秀だと思う。ただゼネバスの作戦は攻める方においては120点だが攻められる方においては落第だと思う。
しかしそれは仕方がない事だ。あれもこれもと完璧を求めても仕方がない。
惜しむべきはゼネバスと同じくらいの才を持ち、「ゼネバスとは違った視点でものを考えられる者」が不在だった事だろう。
もしも攻められた時における作戦考案力が抜群の者が居れば。ゼネバスとそいつのタッグで共和国と戦えていれば。

そうすればデスザウラーの集中投入で戦場マップは変わっていたかもしれない。
反撃を始めた共和国軍。だが帝国軍はデスザウラーの大胆運用でそれを撃ち破る。
上手く手を打てていれば、帝国軍が勝っていた可能性は十分にあっただろう。

ただ……、正直ゼネバスは独裁的な所は強い。自らの意見に賛成するものを優先して側近にしてる感じはする。
ヘリックはそうではなくて、周りの者に大きく頼ってる感じがする。
それが攻める時も守る時も常に強い共和国なんだろうなぁとも思った。

最後の方はちょっと話が逸れてきたが、そんな風に想像した。

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