ゾイドオリジナル ミラージュフォックス<MIRAGE FOX>

■ミラージュフォックス(キツネ型) データベース■

 発売年月 2013年06月  発売当時価格 2100円  動力 中型ゼンマイ

 型式番号 記載無し

 ※スペックは各バリエーションの項目に記載


ゾイドオリジナル第一弾キット

2013年に始動した、ゾイド30周年記念シリーズ、ゾイドオリジナルのキットです。
キットは、機獣新世紀ゾイドの名機シャドーフォックスの色変え+追加パーツで構成されています。

箱は従来の写真とは違い、イラストになっています。非常に魅力的なイラストな半面、白黒印刷なのは悔やまれます。
特に、このキットは限定商品であり、価格も旧来の同クラスのキットよりかなり高めなのだから、なおのことそう思えます。

追加パーツは、ランナー1枚に納められています。
 
頭部、脚部装甲、新装備であるウイングブレードがこのランナーに納められています。
細かい点ですが、ミラージュフォックスは、対象年齢が15歳以上となっています(過去のシリーズは対象年齢6歳以上)。
それゆえ、牙がシャドーフォックスのものと比べ、かなりキンキンに尖っています。

また、ブレードも軟質パーツではなく、他パーツと同じく硬質プラを使用しています。
造形を楽しむ分にはとても嬉しいのですが、対象年齢から完全に子供が外れてしまったゾイドシリーズというのは複雑でもあります。

シャドーフォックスのパーツ+このランナーで、3つの形態に組むことが出来ます。
①追加ランナーを使用せずに組んだ、シャドーフォックスの色変えとなる「シャドーフォックス寒冷地仕様(通称スノーフォックス)」、
②追加ランナーの装備をフルに使い切った「ミラージュフォックスTypeA」、
③追加ランナーの装備を一部使った「ミラージュフォックスTypeB」の3つです

このレビューでは、スノーフォックス、ミラージュフォックスTypeA、ミラージュフォックスTypeBの順で紹介します。


シャドーフォックス寒冷地仕様 スノーフォックス

■シャドーフォックス寒冷地仕様(スノーフォックス) データベース■

 スペック 17.3m 全高8.0m 重量52.0t 最高速度290.0km/h 乗員1名

 主な武装
  エレクトロンバイトファング ストライクレーザークロー×4 AZ30mm鉄甲レーザーバルカン AZ70mm内蔵型電磁ネット砲 
  スモークディスチャージャー×6 アンカー×4 3Dレーダー&マルチイヤーセンサー ショルダーウエポンラック マルチウエポンラック

 特徴
  暗黒対戦において投入されたシャドーフォックスの改造タイプ。
  正式な機体名称ではないが、兵士たちの間では「スノーフォックス」の愛称で呼ばれている。
  ベースとなったシャドーフォックス自体が関連地での環境適応能力が高い機体であるが、さらに極寒冷地における運用に向いた改造が施されている。


シャドーフォックス寒冷地仕様 スノーフォックス 前後より

追加ランナーを使用せずに組むと、シャドーフォックスの色変えが出来上がります。
ただの色変えと言えばその通りで、形状自体は全く変っていません。しかし黒い機体が純白に生まれ変わっているので、全く違った印象の機体に仕上がっています。

比べると非常に面白いです。個人的には白いカラーの方が好きです。
なお形状・キットの仕様が変っていないので、シャドーフォックスの弱点はそのまま引き継がれています。
金型が甘い点、塗装済みパーツの塗膜がゲート部分ではがれる点は、同じ金型を使用しているから仕方がないとは言え、やはり残念です。

両機とも部分塗装で金色を使用していますが、金は金でもかなり違う色合いなのは注目すべき点です。
シャドーフォックスはかなり黄色味の強い金色をしており、スノーフォックス(ミラージュフォックス)のものは、かなり淡い色になっています。

白い装甲や淡い金銀、青味がかったガンメタル、そしてアクセントにクリアパープルで構成された色は非常に上品で気品にあふれています。
しかも上品な観賞用モデルに留まっておらず、「寒冷地仕様」「スノーフォックスという愛称」という点を加味すれば、ミリタリックな面から捉える事も出来るカラーであるとも思います。
機体の配色は、非常にハイセンスな仕上がりをしていると思います。

あえて惜しい点を挙げるなら、塗装済み部分に挙げられると思います。
尻尾および首元に、キャップと同じ形のモールドがあります。願わくば、この部分は黒で塗装済みにして欲しかったと思います。

これはシャドーフォックスと同じ弱点ですが、シャドーフォックスは「紺色の装甲に黒キャップ」だったから塗装されてなくとも目立たなかったものですが、この機体の場合は「白装甲に黒キャップ」なので、塗装されていないのは非常に目立ちます。

また、脚部装甲でも気になる点があります。
脚部装甲は、ミラージュフォックスでは専用のものが新造されています。
どちらにもメッシュ状のモールドがありますが、ミラージュフォックスのものは、この部分が銀色で塗装されています。

こうして見比べると、スノーフォックスのパーツも、メッシュ部分は銀色に塗っておくべきだったのでは?と思えてきます。
(また、併せて尻尾のメッシュ部分も塗っておくべきと感じます)
非常に細かい点かもしれませんが、塗装部分の扱いがちぐはぐな気がします。
限定品であり、このクラスとしては高額の価格設定であり、更に対象年齢も15歳以上に設定しているキットなので、細かいとはいえ徹底が無いのは惜しい所です。

なお、先にスノーフォックスはシャドーフォックスの色変えであり形状自体は変っていないと書きましたが、実は一箇所だけ変化している部分があります。
尾部の中にはAZ70mm内蔵型電磁ネット砲が搭載されていますが、この砲の形状だけが、微妙に変っています。

上がシャドーフォックスのもので、下が本機のものです。何故か先端がすっぱり切り落とされています。
この形状変化は謎ですが、個人的には改変前のシャドーフォックスのものの方が好きです。

総合的な感想は、塗装済みパーツの一部と電磁ネット砲は微妙に残念なものの、色がとにかく魅力的であり、その価値は限りなく大きいと思います。


ミラージュフォックスTypeA

■ミラージュフォックスTypeA データベース■

 スペック 17.3m 全高9.7m 重量48.5t 最高速度295.0km/h 乗員1名

 主な武装
  エレクトロンバイトファング ストライクレーザークロー×4 ウィングブレード AZ70mm内蔵型電磁ネット砲 
  スモークディスチャージャー×6 アンカー×4 3Dレーダー&マルチイヤーセンサー 超指向性音声発信システム
  戦闘用複合センサー ショルダーウエポンラック マルチウエポンラック 光学迷彩 消音システム

 特徴
  上記の図に記載されている装備などは、交戦した帝国軍機に残っていた戦闘レコーダーから専門家が類推したもの。
  所属不明機であるが、関係者の話では発見当初からすでに武装されており、それまでのゾイドには無い新しい技術が導入されていたと考えられる事から、
  軍もしくはそれと同等の開発力と資金力を持った組織が作った機体であると考えられる。
  超高周波振動の刃「ウイングブレード」を使用するAタイプと、小口径で貫通力の高い「徹甲レーザーバルカン」を使用するBタイプが存在する。
  後に暗黒大戦で投入されたシャドーフォックスは、この機体の取得データー等を参考にして作られたものであるという説と、
  搭乗していた2名のパイロットが後に共和国軍の特殊任務についたという噂から、ミラージュフォックスをベースに開発・量産化したものであるという説がある。


ミラージュフォックスTypeA 前後より

こちらは、追加ランナーのパーツをフルに使用した、ミラージュフォックスTypeAです。
頭部パーツとを脚部装甲を専用のものに換装し、背中の装備をウイングブレードに変更してあります。

背中は大きく変った印象があります。
それでも、全体的にはシャドーフォックス(スノーフォックス)とそこまで変わる事の無い形をします。
「グランチュラ→ガイサック」「レッドホーン→クリムゾンホーン」のような別機への変更ではなく、あくまでマイナーチェンジ機の範疇に属すると思います。

設定的には、ノーマルタイプに比べて重量が若干減り、速度が5km/h向上しています。
微妙な変化ですが、まぁ妥当な数値だと思います。


ミラージュフォックスTypeA 側面より

ウイングブレードが、高速機のラインを極力崩さないように付いているのが分かります。
良い配慮だと思います。
また、高速機のイメージに関しては、脚部装甲の形状変化も見逃せません。

シャドーフォックス(ミラージュフォックス)のものと比べると、空力的に成型されたカウルが付いています。
細かい点ですが、なかなかの効果を発揮していると思います。

この形状は、空力的に成型されているという点において、高速機のイメージと合致しており非常に魅力的です。
しかし問題があるとすれば、設定との連動かと思います。
設定上、「ミラージュフォックスをベースにシャドーフォックスが作られた」ですが、このカウルは、外付けのオプション装備に見えてしまっていると思います。
つまりノーマルを強化する目的で作られた装備の様に見えるので、設定との逆転現象になっていると思います。
「試作機では付けられていたが大した効果がなかったので量産機では外された」とでも解釈すべきかもしれませんが。

非常に細かい点ですが、新造されたミラージュフォックスの装甲は、丸穴のモールドが付いています。
先に出ていたHMMシャドーフォックスでも、同じ部分に丸穴モールドが付いていました。
良い部分はどんどん取り入れる姿勢だとすれば、非常に良い事だと思います。
(ただしミラージュフォックスは丸三つ穴で、HMMシャドーフォックスは丸五つ穴です)


ミラージュフォックス フェイス

頭部は新造されています。この部分は、TypeA、TypeBで共通です。

シャドーフォックス(スノーフォッス)と比べ、チークガード部分が大きく変化しています。
また、一見して分かり辛いですが、ハッチ部分も新造されています。
ハッチを開けると、もちろんパイロットが搭乗しています。なおパイロットの色は薄いピンク色です。

牙が鋭くなったのは先に書いた通りです。
上あごの牙が鋭くなっているので、下あごの牙の丸さがやや目立つ気もします。いっそ、下あごも新造すれば良かったのにとも思います。

比べると、下の通りです。

チークガードは分かりやすい変化ですが、ハッチ部分も比べるといくらか変化しています。
やや厚みが増しており、若干丸みを持ったようなラインになっています。
個人的にはミラージュフォックスのものの方が好みです。
ちなみにハッチに互換性はなく、取り替えて付ける事事態は可能ですが、上手く閉まりません。

チークガード部分は、設定上「戦闘用複合センサー」とされていますが、モールドからはイマイチそれが伝わりにくい気もします。
下あご付け根の部分も変化しています。この部は、メカニカルなラインを描くシャドーフォックスの方が好みです。

ただ全体的に見ると、あくまでマイナーチェンジでありそこまで印象は変っていないと思います。
個人的には、いっそ顔を新規パーツで作るなら、もっともっと大胆な変更をしても良かったのではと思います。
例えば、一般的な共和国機と同じキャノピータイプにする等…。

マイナーチェンジも、それはそれで嬉しいんですが、せっかくの限定品だし、思い切ったものは欲しかったです。


ミラージュフォックスTypeA ウイングブレード

本機最大の特徴は、なんと言っても新造の武器、ウイングブレードです。
パーツ的にはわずか3つで構成されており、チープな感じは否めません。
また、金色は塗装済みパーツになっているので、あいかわらずゲート位置の塗膜が剥がれるようになっているのも難点です。
ただ、白成型の上に金塗装なので、極端に気になるものでもないのは救いです。

パーツがわずか3つなのは残念ですが、ウイングブレートは大きく開閉させる事が出来ます。

高速走行時に、安定翼としても使用できるようなイメージがあります。

難点は、このブレードではとてもじゃないが敵を切り裂けそうには見えない点と思います。
ブレードを最大に開いても、機体の横にちょっと飛び出すだけで、とても使えそうには見えません。
相手に当たって自爆してしまいそうです。

同じくブレードを装備したゾイドにはブレードライガーが居ますが、まだブレードライガーのものは考えられていると思います。

ブレードライガーは、脇の装甲を横に開き、そこから更にブレードを伸ばします。
言い換えれば最大限に横幅を広げ、「敵機との接触を避けつつ切り裂く」事への配慮があると言えます。
実際、この程度の横幅で大丈夫になるのかと言われれば微妙でもあります。
それでも、説得力を持たせるための配慮が一応でもあると無いでは、フィクションであっても受け入れられるか否かが大きく違ってくると思います。

根本的な問題はあると思いますが、マルチウエポンラック上に取り付けてあるので、様々な方向に動かす事が出来ます。
また、ブレードを完全に閉じることが出来る点を利用し、アームのように小型ゾイドを掴んだりも出来ます。

ブレードで挟む事に意味があるのかは不明ですが、遊びがいがあるという意味ではなかなか面白いと思います。

ウイングブレードは、尾部にも搭載可能な設計になっています。
これを利用すれば、背中に鉄甲バルカンを搭載し、尾部にウイングブレードを装備した武装全部乗せver.にも出来ます。

尾部に乗せても実用性という意味では疑問です。しかし、装備場所が多数あり遊びの幅が広いというのは良い点だと思います。


ミラージュフォックス TypeB


■ミラージュフォックスTypeB データベース■

 スペック 17.3m 全高9.7m 重量50.0t 最高速度290.0km/h 乗員1名

 主な武装
  
エレクトロンバイトファング ストライクレーザークロー×4 AZ30mm鉄甲レーザーバルカン AZ70mm内蔵型電磁ネット砲 
  スモークディスチャージャー×6 アンカー×4 3Dレーダー&マルチイヤーセンサー 超指向性音声発信システム
  戦闘用複合センサー ショルダーウエポンラック マルチウエポンラック 光学迷彩 消音システム

 特徴
  -ミラージュフォックスTypeAと同じ-


ミラージュフォックスTypeB 前後より

ミラージュフォックスTypeBは、ウイングブレードを装着せずに、従来の鉄甲レーザーバルカンを装備したタイプです。

特にTypeB特有の目新しい装備というのは無いのですが、個人的にはブレードより鉄甲バルカンの方が理に叶っているように思えるので、こちらの方が好きです。


ミラージュフォックスTypeB 側面より

メイン武装がシャドーフォックス(スノーフォックス)と同じである分、TypeAよりもマイナーチェンジ機の感じが更に強いです。
もちろん、マルチウエポンラックは良好に稼働するので、バルカンに様々な角度を付けて楽しむ事ができます。

先にウイングブレードよりも鉄甲バルカンの方が好きと書きましたが、鉄甲バルカンはパーツ数が13。対しウイングブレードは3です。
パーツ数の多さ=出来の良さではありませんが、さすがに3パーツだけで凝りに凝った鉄甲バルカンを超えるのは厳しかったように思います。
どうもTypeAのウイングブレードは、ブレード神話を捨てきれずに作られたようにも思えてしまいます。

 

ゾイド30周年企画として始まったゾイドオリジナルの第一弾キットとしてリリースされたミラージュフォックスですが、とにかく色に関しては素晴らしい仕上がりをしてると思います。
この点に限れば、間違いなくオススメできるものです。
反面、魅力の大半はそれかなぁという気もします。
新造された部分も嬉しいは嬉しいんですが、マイナーチェンジの域を出ない顔や脚部装甲。
従来の装備に対し作り込みの足りないブレードなど、中途半端なようにも思います。

悪くはないが傑作でもないというのが正直な感想ではあります。
それでも、個人的にはシャドーフォックスよりも好きなカラーなので、その点だけでも買う価値はあったかなと思うキットです。


バリエーションモデル
 機獣新世紀ゾイド シャドーフォックス

 ゾイド妄想戦記 ファイアーフォックス


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