ゾイドワイルド デスメタル帝国 ディロフォス<DILOFOS>

■ディロフォス(ディロフォサウルス種) データベース■

 発売年月:2019年5月 発売当時価格:1200円 動力:小型ゼンマイ 型番:ZW23

 スペック 全長:5.9m 全高:3.1m 重量:9.2t 最高速度:116km/h IQ:61

 評 価  スピード:4 アタック:4 IQ:5 スタミナ:7 ディフェンス:2 ワイルドブラスト:6

 主な装備 エアクラウン ディスラペル ディスシールド オーバルボム ダンパー

 特徴1(※箱)
  通信能力を持つ小型ゾイド。攻撃タイプの機体と組んで行動することが多い。
  本能解放時、背中のディスシールドと頭部の襟ディスラペルを展開して放つ「ジャミジャミング」で敵を撹乱し、味方の攻撃の援護を行う。

 特徴2(※復元の書)
  通信能力を持つ小型ゾイド。
  本能解放時、頭部の襟ディスラペルと背中のディスシールドを展開して放つ「ジャミジャミング」で敵をかく乱し味方の攻撃の援護を行う。
  特にディメパルサーの必殺技「マッドオクテット」とは相性が良く、放たれる高周波パルスを複数機のディロフォスが増幅し、一斉に放つことで
  辺り一帯の敵をかく乱し動きを止める事ができる。


Sサイズ、ディロフォサウルス種ゾイド

ディロフォサウルスをモチーフにした小型ゾイドです。電子戦機ですが、特にディメパルサーの支援用に特化しており、同機との連携を得意とします。
キットとしては「ラプトール」の装甲を変えたリデコです。

パッケージは疾走感を強調した軽快なものです。
場所は洞窟内でしょうか。薄暗い中を集団で疾走しておりなかなか迫力があります。

ただ……、集団で疾走する。この構図はラプトールの箱に酷似しています。


兄弟機のような両機ですが、パッケージの構図まで似ているのは果たして狙っているのかそうでないのか……。
個人的には否定的です。ラプトールのリデコでパッケージも似ている。これでは独自性が薄いです。

「電子戦機」という点を強調した構成にして欲しかったと思います。
ディメパルサーと連携するゾイドなので、これと一緒に写すとかすれば良かったでしょう。こうすればラプトールにはない独自性が示せたと思います。

単体としては悪くないのですが、ラプトールの箱を見た後に見ると少しウーンとなってしまいます。


骨格形態

骨格形態はラプトールと全く同じです。


こちらはラプトールと並べた状態。キャップの色だけが唯一の差です。

ラプトールと同じなので、ワイルドシリーズでは珍しく「骨格なのに目を入れる」ようになっています。
せめて目の色が違っていれば嬉しかったのですが……。


ただし、ラプトールのレビューで述べた通り、骨格の美しさは確かです。
均衡が取れており、どのアングルから見ても隙がありません。


独自性はともかく、魅力的なことに変わりはありません。


復元完了

装甲を付ければ完全復元完了です。やはり装甲が付くと大きく印象が変わります。


ラプトールのリデコなので、復元状態を並べてみました。
色は大きく異なります。
鮮烈な赤で攻撃的なイメージを強調したラプトール。落ち着いた渋い緑でゲリラ戦を思わせるラプトリア。
その対比が面白いです。

頭部の造りも大きく異なります。

装甲はかなり複雑な曲面を持っており、簡易なラプトールと大きく異なります。
またトサカやエリマキの造形も大きな差でしょう。

トサカはエアクラウンの名称が付いています。通信アンテナとして機能します。
薄く、それでいて複雑なディティールがあります。これは電子戦機としての設定に抜群の説得力を持たせています。

エリマキは手動により可動します。

サイズが小さいので、動かしてもそれほど表情が変わるわけではありません……が、それでも動くのは楽しいです。
こちらにも複雑なディティールが入っています。

頭部については独自性があり、非常に魅力的と言えます。
ただし、全体的な造形はラプトールと酷似しています。


リデコというと「シールドライガーとブレードライガー」などが思い出されます。

同じフレームを使いつつも見事に独自性を出していました。
ブレードライガーは全体的にゴツくなっており、全体の印象は大きく異なります。
比べると、ラプトールとディロフォスは残念ながら差が少なすぎだと思います。


もちろん独自要素がないとは言いません。色や頭部は独自です。
でも、やっぱりこれだけでは弱いと思ってしまいます。もう一歩欲しかったです。
例えば装甲の付き位置を変えるなどです。
ラプトールは腹部や尻尾に装甲がない。ディロフォスでは付けて差を出そう。そんな差があれば……。


ライダー搭乗

ライダーの搭乗方法もラプトールと全く同じです。
これはまぁ当然と思いますが、それでも、たとえば「電子戦機なので電磁波からライダーを守る防御板を付ける」等があれば大きな差になったと思います。

先に挙げたブレードライガーは、シールドライガーよりも頭部が大きく変化しています。
そしてそれに加えて、「肩の装甲が大型化」「足首にアーマーを追加」「尻尾の延長」等があるから全体の印象が大きく変わっています。
単にレーザーブレードを装備したからブレードライガーではないのです。
「全身がブレードを装備するに相応しいゴツい造りになって」「その上でブレードを積んでいる」から傑作機ブレードライガーになったのです。

ラプトールは歩兵ゾイドで真っ先に敵に突撃するスタイル。対して電子戦機のディロフォスは後方支援です。
それを踏まえて的確な差を付けていれば、両機の運用の違いはより明確になったでしょう。
そのようになっていないのは残念です。

もちろん全体的に酷似しているゆえに、細かな差がより際立つ利点もあります。
それでも……、やはり「新型ゾイド」というよりは「バリエーション」に思えてしまうのは否めないと思います。


ディメパルサーと共に

電子戦を得意するゾイドで、ディメパルサーとの連携・支援を得意としています。
並べると、同じ緑の装甲を持つ機体ということでシックリ感があります。
非常に「絵になる」ペアだと思います。
名前が「ディ」で始まるところで共通している。これもまたペア感を強調しています。

単体でのディロフォスは通信機能に優れる事と敵の通信能力を阻害するジャミング能力がある程度ですが、ディメパルサーと連携すると真価を発揮します。
ディメパルサーが背びれで発生させた高周波パルスを増幅し、さらに砲弾のように撃ち出す事が可能。
これにより、ゾイドワイルド(第一期)の世界においては本ペアは最強クラスに君臨することになりました。

アニメでは単機のディロフォスに複数のディメパルサーが随伴。その強さを存分に発揮する運用が描かれました。
単体ではどうしてもラプトールのバリエーション感が否めないディロフォスですが、ディメパルサーと並べることで一気に独自の魅力が花開きます。
「ディロフォスとディメパルサーは一緒に!」これは声を大にして薦めたいことです。


ディロフォースと共に

ディロフォサウルスをモチーフにしたゾイドとしては、機獣新世紀ゾイドで登場した「ディロフォース」に続く第二弾です。
名称が非常にややこしいんですが、意図的でしょうか。


ちなみにディロフォースの操縦ポーズはディロドスと同じです。これはちょっと面白いです。

ディロフォースは動力を省き小型化に腐心したゾイドです。
なので、キットの大きさは「ディロフォス>ディロフォース」です。
しかしスケールの違いから、実物は「ディロフォス<ディロフォース」のサイズになります。

黄色とクリアレッドで派手なディロフォース。落ち着いた緑で渋めなディロフォス。
シンプルなラインのディロフォース。ディティールの多いディロフォス。
その違いが面白いです。

両機ともディロフォサウルスがモチーフですが、実物ではなくジュラシックパークの姿を模しているところも共通します。
これについてはディロフォースのレビューページで書きました。

それにしても、ディロフォサウルスがジュラシックパークに登場したのは1993年。
そこから25年以上経っても強い影響があるのだから、いかにこの映画が怪物だったかが改めて分かります。
余談になりますが、ジュラシックパークがなければ恐竜の「前傾姿勢」が一般に浸透するのも10年は遅れていたかもしれません。
そうなれば機獣新世紀ゾイドの新型ゾイドの構成もずいぶん変わっていたかも……。


戦闘

電子戦用ゾイドなので直接戦闘には向かないと思われます。
通信とジャミング能力に優れるので、主にそのような運用でしょう。
最高速速度では、ラプトール114km/hに対して116km/hとわずかながらも有速です。
この脚力を生かして、偵察や連絡でも運用できそうです。

ただラプトールと同じ爪や牙を持つので、最低限の格闘戦もこなせると思います。
全体的に、かなり使い勝手の良さそうな仕上がりです。

そして、ディメパルサーと連携するとその能力は倍化します。これについてはワイルドブラストの項目で書きます。


ワイルドブラスト

ワイルドブラストは、やはりラプトールと同じ仕組みです。
ラプトールではドスクローだった部分がディスシールドと呼ばれる電子装備になっています。


極めて細かなディティールが入っており、メカニックの魅力にあふれます。
これはディメパルサーとの連携で真価を発揮します。

ディメパルサーのワイルドブラストは電磁パルス発生。これは周囲のメカを破壊する恐るべき装備ですが、唯一の弱点は「自分の周囲にしか効果が発生しない」でした。
しかしディロフォスと連携すれば、電磁パルスを撃ち出す事が可能になるのです。
ゾイドワイルド(第一世代)では、飛び道具を持つゾイドが少数でした。そのことも相まって、ペアを組めば無敵とも言える強さを発揮します。

使用時はエリマキ……、ディスラペルも展開します。
思うに、ディスラペルはパルスを発射する方向や拡散率を制御するものと思います。

後発機ですが、オメガレックスは荷電粒子砲の発射を制御する「収束シールド」を持ちます。

これの簡易版のような機能と推測します。

連携で圧倒的な強さを発揮する。この要素があるのでとても魅力的なワイルドブラストです。
一方で、仕組みとしてはラプトールから変化がありません。なので新鮮味に欠けます。

 

その他にも大きな特徴があります。それはワイルドブラストのあり方そのものについてです。
ディロフォスのワイルドブラストは、他の機に比べて異端だと思います。
例えばワイルドライガーのキングオブクロー、ガブリゲーターの顎関節地獄噛、カブターのメリケンストライクなどは、設定を一切知らなくても「見ればどういう機能か理解できる」ようになっています。

ゾイドワイルドの各機は基本として設定を知らなくても楽しめる仕様になっています。これはまさに「玩具主体」です。

ですがディロフォスは設定を知らなければワイルドブラストを見ても「?」になってしまうと思います。
見ただけでこれの機能を正しく把握するのはちょっと困難。
その意味で、ディロフォスのワイルドブラストは設定に大きく依存する仕様になったと思います。

良い部分も悪い部分もあります。
見ただけで分かるものはストレートに楽しめる。でも意外性はありません。
設定を見て「そうなのか!」と思えるものは、知りさえすればよりディープに楽しみやすい。
これはこちらのコラムでの書きました。

どちらにも魅力があります。実際、ディメパルサーとの連携は実に魅力的だったし、各種考察も設定がある方がはかどります。
ただ、「第一世代」のゾイドワイルドの機体としては、分かりやすい方が良かったかなと、個人的には思います。

そんなわけで、燃える部分と少し引っかかる部分が共存している、ちょっと複雑な気持ちを抱いてしまうワイルドブラストです。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。
ゼンマイは美観に配慮したタイプで、”巻き”は腹部に付いています。


設定ではオーバルボムで、ラプトールと同じです。
ただラプトールは、瀕死状態にまで追い込まれるとこれで敵ゾイドもろとも自爆することもあると設定されていました。
ディロフォスも同じかは不明です。

 

ギミックは基本的にはラプトールと同じです。
連動ギミックは、尻尾を振りながら前進で全く同じです。

手動ギミックはワイルドブラストの展開です。これはワイルドブラスト項目で書いた通りです。
ラプトールと比べると、ディスラペルが動くので遊びがいは上がっています。
ただし一方で、ワイルドブラスト時の動きのダイナミックさでは一歩劣ります。
総合的に互角といった所でしょうか。


活躍

アニメ「ゾイドワイルド」では、かなり後期になってから登場しました。
ディメパルサーが猛威を奮う中で登場し、支援機として同機の猛威を更に激化させています。


砲弾のように打ち出される電磁パルスは強烈なインパクトでした。
ただ出番は少なく、ディメパルサーの退場と共にほとんど登場しなくなり……、そのままフェードアウトしてしまいました。

次作「ゾイドワイルドZERO」では登場さえしていません。ディメパルサーは何度か登場しましたが、非常に残念ながらディロフォスを随伴させる事はありませんでした。
一瞬だけ凄まじく光ったものの、全体的にはちょっと寂しい感じが否めません。


支援用電子戦ゾイド ディロフォス

決して悪いゾイドじゃない。それどころか単体で診れば素晴らしいデザインだし、運用も魅力です。名機と呼んで差し支えないでしょう。
しかし、どうしても「ラプトールの後に出た」という所から幾つかの疑問が浮かんでしまいます。
悲運のゾイドだと思います。

ただ、貴重な「電子戦機の支援機」というマニアックなポジションです。
今後、その魅力が深彫りされて独自の魅力と活躍がどんどん伝わる事に期待しています。


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