機獣新世紀ゾイド ヘリック共和国軍 ゴルヘックス<GORHECKS>

■ゴルヘックス(ステゴサウルス型) データベース■

 発売年月 2003年2月  発売当時価格 1000円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 RZ-066

 スペック 全長14.8m 全高7.2m 重量58.8t 最高速度120km/h 乗員1名

 主な武装
  クリスタルレーダーフィン(×12) AZ250mm2連装ビーム砲 AZ2連装ミサイルランチャー 地対地2連装ミサイルポッド(×2) 全天候3Dアンテナ(×4)

 特徴
  旧中央大陸戦争時、最新式の電子システムを搭載した電子戦用戦闘機械獣。
  当時、最先端のクリスタルレーダーは、あらゆる周波数帯域の電波を素早くサーチすることができた。
  大異変後はその技術が失われ、現存する少数の機体のみがその能力を保持している。
  対電子戦能力も高く、強力な電波妨害はもとより、索敵能力にも優れている。まさに動く電子要塞である。


前後より

電子戦ゾイド、ゴルヘックスです。
メカ生体ゾイド版から、カラー変更と一部設定の変更を経て、2003年に再販されました。(メカ生体版のレビューはこちら)

発売は2003年と、機獣新世紀ゾイドの中では末期です。
発売日は、帝国側のディメトロドン再販と一ヶ月差で、極めて近しいタイミングでの再販となりました。
機獣新世紀ゾイドは、その展開初期…、1999年の段階で、ゴルドス、ゲーターを再販・就役させていました。
ここへきて、ようやく両軍とも電子戦機がアップデートされました。

設定として、新造された機体ではなく、旧対戦時からの生き残りであるのが大きな特徴です。
にもかかわらず、幾つかの武装はメカ生体時から変更されています。
その中でも最大の差は、尾部の装備で、メカ生体版はミサイルポッドだったのに対し、全天候3Dアンテナになっています。
「旧大戦時の機体であるが再整備を受け一部装備は換装されている」とでも解釈すべきでしょうか。

再販時のストーリー展開は、ダークスパイナーが猛威を振るっており、とにかくこれに対抗する事が急務でした。
なので、その為に攻撃力を落としてでも、少しでも電子的な部分に特化させようとした思惑が伺えます。
この辺は想像すると面白いと思います。

武器名称が変更されているのも特徴です。ですがこれは懐疑的です。
「武器名称が変更」というのは機獣新世紀ゾイドでは通例ですが、一部とんでもないものがあるように感じます。
中でも、首元に付いている主砲が「ニ連装ビーム砲」から「AZ250mm2連装ビーム砲」になっているのに違和感を覚えます。
確かにやや大き目の砲ですが、250mmというのはいくらなんでもやりすぎで、あのゴルドスのキャノン砲でさえ105mmである事を思い出すべきだと思います。
キャノン砲とビーム砲だから一概に比べられないかもしれませんが。
ビーム砲同士で比べるなら、キットのサイズでいうと、シールドライガーの背中のビーム砲と同程度の大きさです。
そのシールドライガーのビーム砲の設定は「AMD2連装20mmビーム砲」
キット的に同サイズなのにゴルヘックスの口径は12.5倍に設定されており、いくらなんでもやりすぎな感じがします。

この辺りからは、機獣新世紀ゾイド末期のインフレというか、悪い意味での加速ぶりを感じてしまいます。

また、設定に関してもう少し。
箱裏の設定では上記の通り「旧大戦の生き残り」となっていますが、公式ファンブック4の設定だと異なるものが記載されています。
「クリスタルレーダーの技術は大異変により一時的に失われたが、研究により復活に成功。更に、出力向上が図られたうえで量産と再配備がされた」となっています。
これは明らかに矛盾であり、整合性をとって欲しかったと思います。
あるいは、過去において(ゴルドスが就役していた頃)は箱裏設定の状態であり、その後の年代になってファンブック4の状態になったと捉えるべきでしょうか。
いずれにしろ、ややこしい事は否めないと思います。


カラーリング

カラーリングの変更は何とも大胆です。
ディメトロドンは、メカ生体版の面影を色濃く残すカラーで復刻されたのに対し、ゴルヘックスはかなり大掛かりなカラー変更をして登場しました。
正直に言ってメカ生体版の方が好きです。というか、これほど新世紀カラーに馴染めなかったゾイドは珍しいです。

クリスタルレーダーは紫からオレンジ色になりました。これが強烈に似合っていないと思います。
ゴルヘックスのデザインは、かなりSF的なイメージが入っています。どこか未来的なデザインで、それゆえに紫という色が最高に似合っていました。
設定的にも、「クリスタルレーダー」という、紫である必然性を感じるものでした。
異質であるがデザインにも設定にも上手く溶け込んでおり秀逸。ゴルヘックスの大きな個性だったと思います。
それを「他の共和国機もそうだから」と、安易にオレンジ色にしたのは大きな疑問です。
他の機と並べた時の統一感を狙ったのかもしれませんが、では果たしてメカ生体時のゴルヘックスが共和国ゾイドとして違和感のある統一感のないカラーだったかというと、そうでもないと思います。

ボディは濃い灰色に、デルタフレームは薄い灰色になりました。ここは悪くないと思いますが、メカ生体版の方がより良いと思います。
メカ生体版はボディが黒、デルタフレームが白という非常にコントラストの強い色でした。これには意味があったと思います。
というのもゴチャメカで構成されたボディをデルタフレームで覆う事で、「ゴチャメカだけどスッキリしている」感じを出す事に成功していたからです。
その為には色の強い対比が必要だったと思います。
それがコントラストが弱くなり、少しぼんやりとしてしまいました。デルタフレームが持つ意味を半減させてしまったように思います。

脚部などが緑になったのも失敗だったと感じます。クリアパーツのオレンジと脚部の緑が合わさり、何ともカラフルです。
あまりにも戦闘兵器からかけ離れたイメージを持たせます。緑色を使えばミリタリーなイメージになるわけではないと思います。
脚部はボディの外側に付いています。そこに彩度の高い色を配置してしまったから、機体全体も締まりが無くぼんやりとだらしない印象を持ってしまいます。
その点からも、疑問を感じます。

そもそも、「もともと同じ色だったものを2色に分ける」というのは、あまりしない方が良いと思います。
それが上手く働いた例も無いわけではないですが、全体的には失敗した例の方が多いように感じます。そしてその最たる例がゴルヘックスだと思います。
細かいですが、キャップが赤なのもどうかと思います。緑に赤というのは非常に毒々しいです。

総じてまとめると、ゴルヘックスは、「リアルな戦闘兵器でありながらSF的」「ゴチャメカでありながらスッキリ」という相反する要素を絶妙なバランスでミックスさせたデザインだと思います。そのデザインには、元のカラーが合っていたと思います。
それに匹敵する、別の良いカラーが無いわけではないと思います。しかし少なくとも機獣新世紀版のカラーではないと思います。

肯定的に見るなら、モチーフに近い色だとは思います。恐竜図鑑のステゴサウルスは緑やオレンジで描かれる事が多いです。
しかし、モチーフを再現する事のみに囚われてはいけないと思います。ガル・タイガーの失敗を思い出してしまいます。

なお、以上は「量産機の標準カラーとして捉えるなら」という意見であり、パーソナル機等であればその限りではありません。


活躍

バトルストーリーでの活躍は、ダークスパイナーの無敵時代を終焉させた事で、ある意味最強ゾイド並みの活躍を見せつけています。
それはそれで華々しい事ですが、演出的には過剰だったかなとも思います。
直接的な大活躍を描かれる事も良いのですが、電子機は地味な任務を黙々とこなす姿が好きです。
その中で、時に大きな情報を得て味方に貢献するとか、電子装備を生かした任務はそんなのが似合うと思います。

ダークスパイナーへの対策は「必須」であり、それゆえゴルヘックスが前線に出る事も「必須」という点に過剰さを感じるものです。
敵側のディメトロドンは、復刻時に良い設定が付いていたと思いますが、対照的です。
ただこの設定への疑問は、そもそもの源はダークスパイナーの設定の過剰さに由来しているとも思います。


電子戦切り札 ゴルヘックス

復刻された事は大きな喜びですが、そのカラーリングは改めてがっかり感が否めませんでした。
活躍も嬉しい反面過剰にも思え、複雑な心境です。

機獣新世紀ゾイドとしては末期に登場し、その時期の事を改めて考えてしまう機体だと思います。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド ゴルヘックス

ゾイフォフューザーズ ゴルヘックス


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