メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 強行重撃戦闘型 ハウンドソルジャー<HOUNDSOLDIER>

■ハウンドソルジャー(シェパード型) データベース■

 発売年月 1989年8月  発売当時価格 1300円  動力 モーター

 型式番号 RPZ-12

 スペック 全長:23.0m 全高:7.4mm 全幅:5.4m 重量:66t 最高速度:330km/h 乗員:1人

 主な武装
  クロスソーダー(×2) ハインドバスター 三連ブレストボンバー アクティブレーダー 追撃ミサイルポッド(×4) パワーコネクター

 特徴
  抜群の戦闘能力を誇る共和国軍の精鋭部隊メカ。高性能の火器を各部に装えている。
  背部に、中距離用のハインドバスターを装備。接近戦では、クロスソーダーで敵の装甲を貫く。
  また新型の動力機構の開発によって、スピードは飛躍的に向上した。
  アクティブレーダーは、超高速戦において、敵を素早く補足する。
  戦闘総合力は、通常28ZEPである。


前後より

次世代高速戦闘ゾイド、ハウンドソルジャーです。
時速はライジャーをも超える330km/hを達成し、たちまち高速部隊のエースになりました。

暗黒大陸編で登場した超高速ゾイドという事で、メカ的な造り込みが従来機より薄いのは否めません。
しかし全体的なデザインセンスがかなり良く、綺麗にまとまっています。個人的にはとても好きなゾイドです。

白い装甲がスピード感のある演出をしており、高速機としても良いデザインです。
白い装甲は、ウイングのような形状を各部に持ちます。これも、なかなか小気味良いです。
脚部は一体成型ですが、装甲を付ける事で上手く豪華感を出しているのも上手いと思います。

また、尾部のデザインが好きです。シェパードの太い尾が上手くメカに仕立ててあり、見事です。
パイプなどの感じもメカメカしくて見ていて飽きません。
全体的に、改めてセンスの良さを感じます。

イヌ科のゾイドといえばコマンドウルフが思い浮かびますが、それとは大きく異なるデザインです。
しかし、共和国らしいデザインではあります。
共和国らしさを保ちつつ、同じイヌ科で新機軸のデザインを撃ち出せた事は驚きです。


側面より

全体的に非常にセンスの良いデザインだと思いますが、細部もなかなか良い仕上がりです。
武装配置はバランスが良く、スピード感を殺さないように付いているのが特徴的です。

胸部には大型の砲を持ちます。

形状は、後のキングゴジュラスのスーパーガトリングを思わせます。比べるとニヤリとできます。
砲だけでなく、下部にインテークがある所もたまりません。
強いて言えば、砲が「完全固定で回らない」事は難点です。理想的には連動で回転、最悪でも手動で回転させられれば良かったのですが。

背中には、金色に輝くハインドバスターを持ちます。武器が金色なのは、ガンブラスター以降の共和国ゾイドでは定番です。
前に向けては撃てませんが(自分を撃ち抜く)、側面に向ける事ができます。

砲のデザインは、カクカクした珍しい感じです。砲口が、丸ではなく台形になっているのも大きな特徴です。
その為、かなり未来的な武器に見えます。やや違和感を覚えますが、悪くないデザインだと思います。

ところで、先に「前には撃てない」と書きましたが、これは賛否あると思います。
コマンドウルフは、この点を「台座を付ける」事でクリアしています。

しかし、この台座がある事でスピード感が犠牲になっているのも否定しがたいと思います。

「台座がないからスピード感は減じていない・だが前に撃てない」ハウンドソルジャーと、「前にも撃てる・だがスピード感はない」コマンドウルフのどちらが良いかは、意見が分かれる所でしょう。

火器はもう一つあります。各脚の付け根に、三連ミサイルが付いているのです。

総合的に、なかなか火力の多い機体であると言えます。

また、火器に加え格闘武器もあります。
牙は勿論ですが、頭部側面にクロスソーダと呼ばれる大型の槍を備えるのです。
クロスソーダは、前に倒す事ができます。

一直線に前に突き出し、超高速でぶち当たる事で凄まじい威力を出します。このクロスソーダが、ハウンドソルジャー最大の武器とされています。

暗黒大陸編のゾイドは、「モチーフ由来の武器よりも、完全外付けの武器の方が強い」事が多くなっています。
最たる例はガンブラスターでしょう。もはやアンキロサウスル的な所は何もない…。
ハウンドソルジャーのクロスソーダも、そういった例になると思います。

クロスソーダは悪い武器ではないと思います。巨大な武器ですが、割と違和感なく装備されていると思います。
しかし、「この時期のゾイドはそういうものだから」と言えばそれまでですが、やはりモチーフ由来の武器を活かして欲しいなぁとは思ってしまいます。
牙でなく槍で戦う姿は、ゾイドとしてどうなのかなぁと思ってしまいます。
救いは、「高速ゾイドのスピード感」と合致した武器である事でしょうか。「モチーフの速さを活かした武器である」という点は救いです。

ただ、その上で更に難を言うなら、クロスソーダは突き刺す装備です。突き刺すという動作は、その特性上、機体のパワーや質量が大きくものをいいます。
小柄なハウンドソルジャーでは、クロスソーダをヒットさせる事はできても、「押し込む・貫く」事は難しい印象を受けます。

マッドサンダーが角を突き刺せるのは、超パワーと超重量のおかげでしょう。あれがもし小型なら、押し込む事は叶わないと思います。
ハウンドソルジャーという小柄な機体に「押し込む・貫く」装備を持たせたのは、やはりアンバランスであると思ってしまいます。


フェイス

頭部デザインは、いかにもシェパードな感じです。なかなかイケメンでもあります。
犬らしく、メカらしく。そのバランスも良く、傑作頭部デザインとしても良いと思います。
このデザインの方向性は、後にオルディオスに引き継がれています。

頭部デザインで地味に好きなのが、上部のハッチです。

戦車的なモールドですが、不思議と違和感はありません。
こういった小気味の良いメカを上手く使っているのは見事です。

頭部はコックピットになっています。ハッチは前方に開きます。

中にはパイロットが入っています。ハウンドソルジャーのコックピットは頭部のみで、全ての操作をここから行います。


新鋭高速ゾイド

次世代高速機という事で、やはりシールドライガーやコマンドウルフと比べたくなります。
カラーリングは、似ていますが微妙に違います。
金がメッキになっているのは、ガンブラスターと同じです。
また、青は渋みと鈍い光沢のある色味になりました。個人的に、ハウンドソルジャーの青は大好きです。
この青を採用したのはハウンドソルジャーだけですが、他にも採用したら良かったのにと思う色合いです。

デザインは、こうして比べると造り込みの弱さを感じます。ディティールは少なく、いかにもメカメカしたシールドライガーと比べると、のっぺりとした印象でもあります。
コマンドウルフと比べても、緻密なディティールでかなり劣ります。
しかし、ハウンドソルジャーは全体的なデザインセンスが良く、ギリギリの所でバランスが取れているとも思います。


新機軸キット

ハウンドソルジャーには、ぜひ触れておくべき点があります。それはキットの仕様についてです。
キットは、大陸間戦争…、暗黒大陸編で登場した新機軸になっています。
特徴的な事は三点あります。

一つは、「大きさはHiユニット級と同等だが、モーターで動く」事です。
定価は1300円。従来のHiユニット級ゾイドは1000円だったので、300円のプラスでモーターゾイドが手に入るというのは嬉しい選択肢だったと思います。
なにしろ、以前は最安値のモーターゾイドが1980円(サーベルタイガー、ディメトロドン等)だったので、モーターゾイドの入手難度が一気に下がったと言えます。

二つ目は、「パワーボックスを自分で組む」事です。
従来、ゾイドのパワーボックスは組み済みで提供されていました。しかし、このクラスのゾイドは[モーター][ギア][金具]が入っており、自分で組むようになっているのです。

「自分で組む」という仕様から、構造は極めて単純化されています。
ゾイドでパワーボックスを組ませるのは初の試みです。しかし、構造が単純な事もあり、難易度は低めです。なかなか面白い試みだったと思います。
モーターを組み込み動力部を自分で組むというのは、同時代に流行っていたミニ四駆の影響も感じます。

三つめは、拡張性が高い事です。
先に書いた通り、Hiユニット級と同サイズです。パーツ数も似たようなものです。なので、例えば脚は一体成型で、関節ごとに動くようなギミックはありません。
せいぜい、「口の開閉+歩行」という最低限のレベルです。
しかし、拡張ユニットを持つのが大きな特徴・強みです。

この新機軸キットには、必ず回転軸を一つ備えており、ここに外部装備を取り付ける事ができるのです。

外部装備は、もちろん追加ギミックを持ちます。回転軸があるからです。
例えば、この外部装備(ハイパービームガン)は、後部エネルギーチャージャーが力強く回転します。
このように、単体としてはギミックが貧弱ですが、拡張する事ができるのです。

この、「自分で動力を組み」「拡張ユニットを備え」「安価でモーターゾイドを手に入れられる」キットは、ハウンドソルジャーに端を発し、以後、暗黒大陸編でのスタンダードとして多数の同仕様ゾイドが発売されました。
個人的には、とても良い仕様をしたキットだと思います。動力を組むのも面白いし、モーターゾイドが安く買えるのも嬉しいです。
拡張ユニットを上手く利用すれば、自作のギミックを持つ武器も作れそうです。

しかし、この素晴らしい仕様を活かしたキットが生まれなかったのは、大変な悲劇でした。
同様の仕様のキットは、ハウンドソルジャーと同時にジーク・ドーベルが発売されています。
翌月には、ガル・タイガーとキングライガーも同仕様で発売されました。
イヌ科2、猫科2。
新しいキット仕様を開発したのに、なぜ四つも連続で似たような体形・仕様のゾイドをリリースしたのかは意図を測りかねます。

いきなり四つも似たような機体が出たおかげで、評価を大いに下げてしまった感じは否めません。
キットの仕様は優れているにも関わらず、同じようなゾイドばかり出したものだから、「新機軸のキットはどれも似たようなもので個性がない」という評価を下されたのです。
もし、恐竜型なり全く別の哺乳類だったり、そういったひと目見て大きく違うゾイドがこの仕様で発売されていれば…。

不可能ではなかったと思います。
かつてゾイドは、ビガザウロを立たせてゴジュラスを作りました。そのようなアイデアは同様に活かせたはずです。
可能性を活かせなかった事は、たいへん残念な事です。
可能性を活かせなかったから、この素晴らしい仕様のキットは、シリーズとして開花しないまま低評価のまま埋もれていったのです。


ギミック

ギミックは凡作です。
先にも書きましたが、連動ギミックは、口を開閉しながら歩くという電動としては最低限のものです。
脚は一体成型で間接は動きません。その点も寂しいです。仕様上、仕方のない事ではありますが。
ただし、拡張ユニットを持っている点は優れています。

手動ギミックは、クロスソーダの展開、背部ハインドバスターの旋回、胸部装甲の展開、コックピットの開閉です。

胸部装甲は、メンテナンスでしょうか。軽く開きます。

こうして見ると、ちょっとエプロンのようにも見えてきますが…。

なお、クロスソーダーのギミックについては補足します。
クロスソーダーは、前に伸ばす事ができます。しかし、完全に後ろに倒す事はできません。
脚部付け根についているミサイルが干渉する為です。
クロスソーダを使用しない時は、後方に「やや倒す」程度で固定するのが基本です。

格調ユニットがあるのは良いですが、それ以外は寂しい仕上がりです。
総合的には、何とか凡作という印象です。


戦歴

戦歴は、次世代高速機に相応し華々しいのものを持ちます。
新ゾイドバトルストーリーでも中々の活躍をみせていますが、学年誌でも大活躍しています。

ライジャーを下し、そしてライバルのジーク・ドーベルと幾度となく決戦を繰り広げています。
次世代高速ゾイドに相応しい華やかさです。
一方、コマンドウルフやシールドライガーを率いるような描写は確認されません。
ハウンドソルジャー単独で運用される事ばかりでした。

必殺クロスソーダを使用し、デスザウラーをも撃破した事があります。

先に書いたように、ハウンドソルジャーの質量では「押し込む・貫く」事は難しいと感じます。
デスザウラーを穿って良いものなのか…。やりすぎでは…。
と思ってしまったりもしますが、とにかく強力なゾイドとして描かれた事はよく分かると思います。

末期になってもやられシーンはほとんどなく、最後まで優遇され続けたゾイドと言えます。
ちなみに、ライバルのジーク・ドーベルは、末期にはやられ役に転落しています。


次世代高速機 ハウンドソルジャー

メカメカしさに欠ける部分もありますが、改めてデザインセンスが高く良いデザインをしていると思います。
キットの仕様もとても良いと思います。
キットの仕様に問題があったというより、後に続いたゾイドに問題があった事が大きいと思います。
ハウンドソルジャーのようにデザインセンスの良い、そして別のモチーフのゾイドが続々と誕生していれば…。
凄く勿体ないなぁと思ってしまいます。

しかし、ハウンドソルジャー自体は改めて好きなゾイドです。
個人的には、コマンドウルフよりもハウンドソルジャー派だったりする位です。


バリエーションモデル

 ゾイドジェネシス ハウンドソルジャー


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