メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 高機動重撃型 シールドライガーMK-II<SHIELD LIGER MK-II>

■シールドライガーMK-II(ライオン型) データベース■

 発売年月 1988年7月  発売当時価格 2500円  動力 モーター

 型式番号 RPZ-07

 スペック 全長21.6m 全高11.5m 全幅6.0m 重量110.0t 最高速度250km/h 乗員1名

 主な武装
  キャノンビーム砲(×2) レーザーサーベル(×2) 二連装加速ビーム砲 三連衝撃砲 連装ビーム砲 ミサイルポッド(×2) エネルギーシールド発生装置
  エネルギータンク(×2) 冷却用ラジエーター(×6) 各種センサー

 特徴
  共和国軍の最高速ゾイドであるシールドライガーに武装強化を図り攻撃力アップを実現させ、帝国軍最強部隊に対抗すべく改良された。
  威力のある軽量キャノンビーム砲を装備し攻撃力は格段である。機動性をも発揮し白兵戦も得意とする。


前後より

砲撃力強化型シールドライガー、シールドライガーMK-IIです。
シールドライガーの色変え+大型砲で構成されています。(ノーマルタイプのレビューはこちら)
純白の装甲と、黄金の大型ビーム砲が特徴的です。
後期のシールドライガーは全てこのタイプで生産され、第二次中央大陸戦争後期~大陸間戦争終結時までを戦い抜きました。


ノーマルタイプと共に

ノーマルタイプと並べると、印象がやはり大きく異なります。
カラーリングは水色から白へと変わり、ホワイトタイガーの印象になりました。
一方で、ボディが青いので「青いライオン」というイメージもある程度は残しています。

ですが、最大の特徴はキャノンビーム砲でしょう。
背中に、かなり大型の砲を背負っています。
ノーマルタイプは高速機らしくシンプルな装備…軽装でしたが、これにより十分な火力を持つ砲戦対応型ゾイドに生まれ変わりました。

キャノンビーム砲の造形は魅力的です。
単なる「筒」ではなく、複雑に作りこんである感じがメカ好きの心を刺激します。
下部にエネルギータンクがあるのも見逃せません。
ゾイドには多くの砲がありますが、その中でもトップクラスの造り込みとカッコ良さを持った一品だと思います。
ゴチャメカだけどシャープ。そんな不思議なデザインでもあると思います。

ただ唯一、エネルギータンク部の裏面の肉抜きが目立っているのは難点です。

大型ゾイド用装備としてはかなり豪快な肉抜きです。「フタ」的なパーツがあれば良かったのですが。

この砲には、外観以外にも大きな特徴があります。
それはビーム砲であるという事です。
従来、共和国軍は大型砲は実弾に固執していました。帝国軍が早期から大型ビーム砲を開発・運用していたのと対照的です。
これは「古くとも信頼性を重んじる共和国軍」と「最新鋭・先鋭的な装備を好んで採用する帝国軍」という差でしょう。
ではなぜシールドライガーMK-IIはビーム砲を採用したのか。それは重量の問題だと思います。
実弾砲は、やはりどうしても重さがかさむ。特に、その中でも大重量になってしまう大口径砲は高速機との相性が最悪…。
しかし、戦場はシールドライガーの方力強化を求めていた…。そこで、共和国軍は自軍初となる大型ビーム砲の開発を決意したのだと思います。

シールドライガーMK-II完成前において一部で運用されていた「MK-IIタイプ」の存在も重要です。

ゴジュラス用キャノン砲を背負っています。砲撃力は絶大でしょうが、量産はされておらず極一部で運用されたのみです。
これでは様々な弊害があり全部隊に配備する事は到底不可能だったのでしょう。

ビーム砲は、砲弾の重量を考慮しなくても良いので重量を減らしたい高速機との相性は高いと言えます。
強化型シールドライガーにビーム砲の搭載が決まった経緯はこれでしょう。

キャノンビーム砲は共和国軍初の大型ビーム砲ですが、結果としては大成功だったようで十分な威力を見せつけています。
後にマッドサンダーが同型のビーム砲を採用している事も、成功を裏付けていると言えましょう。

また、これ以降に登場する共和国ゾイドは、ガンブラスターをはじめ急速にビーム砲を採用していく事になります。
シールドライガーMK-IIは、共和国軍の大型砲開発を語る上で極めて重要な転換点になったのです。

また、シールドライガーの型式番号にも注目したいと思います。
ノーマルは「RPZ-03」ですが、MK-IIは「RPZ-07」になっているのです。
これはなかなか珍しい事で、ゴジュラス、アイアンコング、サーベルタイガーは強化タイプになっても「ノーマル時と同じ」型番を引き継いでいました。
そんな中で、型番が変化しているシールドライガーMK-II。
思うに、その理由は機体の性格かなと思います。ノーマルタイプは「格闘戦をもって敵を破壊する軽戦闘メカ」だったのに対しMK-IIは「砲撃戦で敵を破壊する重戦闘メカ」へと、運用のあり方が大きく変わったからだと思います。

アイアンコングやサーベルガイガーは、強化タイプになってもノーマル機と同じような運用が基本でしょう。純粋な強化型と言えます。
ゴジュラスは砲撃力をプラスされましたが、おそらく「先制攻撃で砲撃して」「そしてその後爆炎の中に突撃して生き残った敵を各個に撃破する」というスタイルだと思います。
要するに格闘戦もやはり重視している…。
対してシールドライガーMK-IIは、極端に言えば砲撃のみで戦う事が基本なのだと思います。
速度は240km/hで、10km/hの低下に留めています。しかし、運動性は大きく落ちていると思います。
「運動性を大きく増したグレートサーベル」を相手にしては勝つ事は難しいでしょう。すなわち、接近する前に砲撃のみで雌雄を決する事が基本戦術…。

「強化タイプで型番が異なる」のは、後のサラマンダーF2も該当します。
サラマンダーF2は、爆撃機から戦闘機へと大きな変化を果たしています。

キャノンビーム砲の他には、サーチライトなどの装備が幾つか加えられています。
また、キャノンビーム砲とサーチライトの装備の関係で、ミサイルポッドは腹部から腰部へ移設されました。
ただし、これらはキャノンビーム砲に比べれば細かな変化です。
やはり、シールドライガーMK-II最大の特徴はキャノンビーム砲と言えるでしょう。


フェイス コックピット

シールドライガーMK-IIと同時期に、ベアファイターとコマンドウルフもリニューアルされました。
この三機は、完全に同じカラーで構成されています。
それだけに、並べた時の華やかさは格別です。

従来の共和国軍は、帝国軍に比べてカラーの統一感がなく「なんとなく共和国らしいカラーはあるけど…」という感じでした。
そんな中にあって、完璧に統一されたこの三機は惚れ惚れする程の見応えがあります。
この三機は、「MK-II部隊」を編成し行動を共にする事も多くありました。
その際は、おそらくシールドライガーMK-IIが強力なキャノンビーム砲で支援し、数の多いコマンドウルフやベアファイターが接近しての戦闘を行う… というような模様だったと推測します。

「白、青、金」という何ともド派手なカラーで、ミリタリーらしさは薄いと言わざるを得ません。ですが、個人的はこれはこれで好きだったりもします。
「純白」「原色の青」というと重量感に乏しく玩具感の漂うカラー……にも思えますが、両色とも共和国的なカラーではあります。

また、金色も共和国らしいかなとイメージできるカラーだと思います。
シールドライガーMK-II以前の共和国ゾイドには金色が採用された事はありませんが、「共和国ゾイド=金メッキパイロット」「帝国ゾイド=銀メッキパイロット」という図式が一貫して続いていた事や、帝国機が銀色を大々的に使用し「銀=帝国」というイメージを色濃く構築していた結果だと思います。

銀色は鉄の色だから良い気がしますが、金色は兵器としてどうなのよ… とは思わずには居られません。
ただ一方で、金というのはこれ以上ない華やかな色です。なので「MK-II部隊」という華やかな部隊に採用するカラーとしては良いのかな…とも思います。

砲は黒系の色にした方が兵器感が飛躍的に増すでしょう。

しかし、あえて華やかさを優先した「金」という選択も、これはこれでアリかなと思います。
純白や原色の青が、玩具感を感じさせつつも「これでも構わない」と思わせるのも、MK-II部隊という華やかな部隊のカラーだからでしょう。

ただし、その上で、どうしても感じてしまう欠点もあります。それは金色の色合いです。
どうも高級感に乏しいというか、金色と言うより黄色か黄土色に近い感じで成型されており、大いに不満が残ります。
箱写真の金色の色合いは良い金色だったのですが…。

パッケージ写真の金色は、おそらくスプレー塗装がされたものでしょう。だから綺麗な色合いです。しかし、それを成型色で出す事はできなかった……。
金色を採用した事は構わないと思います。ですが、その具合というか、成型色だけはどうしても気になってしまいます。

なお、このカラーは大陸間戦争以降の共和国軍の標準カラーになります。
ただし、その際は金色は「メッキ」で構成されるようになります。

…メッキは、綺麗で華やかさがある半面、さすがにやりすぎじゃないかなぁ…とも思ってしまいます。なかなか難しい所です。

個人的に理想的な金色の具合は、機獣新世紀ゾイドのブレードライガーの爪・牙の色合いです。これは塗装で再現されています。
成型色での金色なら、同じく機獣新世紀ゾイドのライガーゼロの爪が良い色合いをしていたと思います。

理想の金色を得る事はメカ生体ゾイド時代には遂に叶わず、長い年数をかけてようやく達成される事に…。


グレートサーベルと共に

リリースは1988年7月。一ヶ月前の6月には、グレートサーベルが発売されています。
サーベルタイガーが登場→シールドライガーが登場し勝利→グレートサーベルが登場しリベンジ。
そしてシールドライガーMK-IIが登場となっています。

グレートサーベルと比べると、シールドライガーMK-IIは何とも雑というか、不器用だなぁと思います。
装備を増やしながらもシャープさも損ねていないグレートサーベルに対し、大型キャノンビーム砲を背負って「重たそう」なイメージが拭えません。
設定上でも、攻・走を強化し理想的な仕上がりになったグレートサーベルに対し、アンバランスさが目立ちます。
攻撃力は増したものの、速度は下がり運動性もおそらく下がった事は確実と思います。
「高速機」という根本的な部分から考えると疑問を持たざるを得ない仕様です。

しかし、それがいかにも共和国らしくて愛すべき所だとも感じます。
ゴジュラスMK-IIとも共通しますが、大型砲をボンと載せる強引な設計は嫌いではない…大好きです。
グレートサーベルとシールドライガーMK-IIを見ていると、両軍の設計思想の差がよく表れているなぁと思います。

なお補完しておくと、両機にこれだけの差(かたや理想的な強化、かたやアンバランスな強化)が生まれたのは、設計年の影響が強いと思います。
グレートサーベルとシールドライガーMK-IIの登場時期には、それほどの差はありません。
しかし、サーベルタイガーとシールドライガーには大きな差があります。
開発機の古いサーベルタイガーは蓄積された諸々の要素があり改良が行えた。
一方、まだ完成から日が浅いシールドライガーには蓄積が少なく本格改良は難しかったという事でしょう。

ちなみに、戦力比較は「互角」のようです。
サーベルタイガーとシールドライガーだと「シールドライガー優位」だったのだから、グレートサーベルは改めて凄いなぁと思います。
細かく考察すると、遠距離では長距離砲撃力で勝るシールドライガーMK-II優位、接近すれば運動性や近接火力に勝るグレートサーベル優位でしょうか。
ノーマルタイプとは趣の違う戦いになりそうですが、この両機の戦いもまた魅力的です。


ノーマル状態

増設武器を省き、ノーマル状態にする事もできます。
ただし、バトスト内ではこの状態で運用された事は確認できません。
常にキャノンビーム砲を付けた状態で運用されています。パージされた例も確認できず、可能かどうかは不明です。

ホワイトライオンなカラーで、これはこれで好きです。ですが、このカラーの場合は、やっぱりキャノン砲がある方がシックリくるかなぁ…とも思ってしまいいます。
煌びやかなカラーだから、大型砲の装備が似合うというか、そんな気がします。


ギミック

ギミックは、基本的にノーマル機と変わりません。
ただ、キャノンビーム砲を左右に展開できるギミックは大胆で良いなと思います。
これは、元々はミサイルポッドがあった場所についているから実現できたギミックです。

キャノンビーム砲は、仰角を大きくとり対空砲として使用する事もできます。
射角が広いのはとても良いと思います。ただし、旋回させる事はできません。

なおキャノンビーム砲の仰角についてですが、一つ欠点があります。
成型色が金色でできている関係で、表面がかなりツルツルです。なので、とても滑りやすい。
仰角を「あげ状態」「水平状態」などで止めておく事が難しく、慢性的に「下がった・とても情けなくかっこ悪い」状態になってしまいがちなのです…。
なので、シールドライガーMK-IIのキャノンビーム砲に関しては、関節部(軸)にテープを巻いたりティッシュをかませたり…、そうした対処をするのが定番かつ必須だと思っています。

ギミックには面白いと感じる部分もあり、残念な所もあります。


戦歴

戦歴は、ノーマルタイプやグレートサーベルに比べるとかなり見劣りします。
ゾイドバトルストーリー4巻では、「いつの間にか登場していた」位のアッサリした扱いで、特に戦闘描写もないまま終わっています。
グレートサーベルと比べて雲泥の差です。
この時期の学年誌では、活躍しているシーンも幾つか確認できます。

しかし、グレートサーベルに比べると扱いが少なく留まっています。登場シーンも少な目です。
また、最新鋭機の時代なのにショットウォーカーの地雷にやられる不名誉な描写もありました。
華やかな見た目に反して、戦歴はなかなか苦しい感じです。

その後、共和国軍VS暗黒軍…、大陸間戦争の時代になると、たいへんな苦難の時代に突入します。
ありとあらゆる負け方を経験し、ゴジュラスMK-II量産型と並ぶ負けゾイドに…。

もはやノーマルの華やかだった時代からは考えられない転落です。
高速機としても、ハウンドソルジャーやキングライガーの登場で「旧式機」といった感じになっており、哀愁が漂う時代でした。

ただし、それでも「キングライガー部隊が全滅する中でも生き残って戦闘を続けていた」ような描写も一部ではあります。
キングライガーに比べれば旧式でも、やはりその体格ゆえに耐久力などで勝っていたのでしょう。
このような描写があるのは救いです。この時代はゴジュラスMK-IIに並ぶ負けゾイド……とはいえ、かろじて踏み留まった感じでしょうか。

華やかさに乏しく苦戦続きのシールドライガーMK-IIでしたが、何とか大陸間戦争終結時までを一線で戦い抜いています。
「暗黒首都攻略戦」でも主力機の一つとして数えられており、その事は十分に誇って良い実績でしょう。


キャノンビーム砲装備 シールドライガーMK-II

個人的な思い出ですが、子供の頃に持っていました。
実は欲しかったのは水色のノーマルタイプのシールドライガーで、でも既に絶版になっていて手に入らないから「仕方なく」こちらを買ったという思い出があります。

買ってみた感想は「あんがい白いのも悪くないしキャノンビーム砲も似合ってる」というものでした(買う前は重そう…という印象だった)。
なので、割とお気に入りのゾイドとなりよく遊んでいました。
一方で、やっぱり手に入らない水色シールドライガーへの憧れは、―半端にMK-IIを持っているからこそ余計に―膨れ上がるばかりという状況でもありました。
バトストでも、MK-IIはノーマルタイプほどの活躍はしていない。その事もあり、好きなんだけどモヤモヤ…というのがシールドライガーMK-IIへの思い出です。

ですが、共和国軍の砲開発史において重要な転換点になった事や、共和国MK-IIの「愛すべき不器用さ」に気付いてからはだんだんと好きが増しています。
戦歴は華やかさに欠けますが、「MK-II部隊」という超超華やかな設定であるにもかかわらず負けが多いというのも皮肉が効いている気もします。
ノーマルタイプの方が好き…ではあるのですが、シールドライガーのバリエーションの中では最も好きだったりもします。
今後も多少のモヤモヤ感を引きずりつつ、付き合っていくんだろうなぁと思うゾイドです。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド シールドライガー

 機獣新世紀ゾイド シールドライガー

 機獣新世紀ゾイド シールドライガーDCS-J

 復刻版シールドライガーMK-II

 デザートライガー

 シールドライガー コマンダー仕様

 シールドライガー バン仕様


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