メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 極地戦型戦闘獣 ベアファイター<BEAR FIGHTER>

■ベアファイター(クマ型) データベース■

 発売年月 1987年11月  発売当時価格 1000円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 RHI-6

 スペック 全長12.0m 全高6.8m 全幅6.3m 重量45.6t 4足時最高速度190km/h 2足時最高速度90km/h 乗員1名

 主な武装
  電磁キャノン砲(×2) 六連装ミサイルランチャー 超硬度セラミック爪 複合装甲 超強化キャノピー 各種センサー

 特徴
  共和国軍のクマ型陸戦用ゾイド。重装甲で身を包み、背に強力な主砲を装備している。
  高速機動性、安定性にすぐれた4本足の砲撃姿勢から、2本足で直立した格闘姿勢への移行が可能である。
  格闘戦時には強力な爪や胸部のミサイルを用いた攻撃で敵を破壊する。


前後より


共和国軍の重パワー級メカ、ベアファイターです。
帝国軍が誇る重戦車ブラックライモスのライバルという事で、このクラスとしては非常に強力なゾイドです。

クマ型というとメカ生体ゾイドシリーズではベアファイターが唯一ですが、非常に均衡の取れたスタイルをしており、完成度は非常に高いと思います。
また全体のバランスもさる事ながら、装甲の見せ方が非常に上手いと思います。
設定上、重装甲とされている機体ですが、その設定通り装甲が非常に分厚く見えるようになっており、その装甲厚の印象は特筆モノです。

背中の電磁キャノン砲の配置も、小気味良いと思います。
大きすぎず小さすぎず絶妙なサイズで、付き方も本体との一体感があって素晴らしい仕上がりです。
本体との一体感という点では、コマンドウルフと比べるとその絶妙さがよく分かります。

砲そのもののデザインも、なかなか面白いと思います。 砲塔部はやや大雑把なディティールになっていると思いますが、砲身は細かく造りこまれており、非常にリアルです。
砲塔も大雑把な部分はありますが、ハードポイントが二つあり拡張性に優れている所は素晴らしいと思います。

反面、裏面に大きな肉抜きがあり、見る角度によってはやや目だって見えてしまいます。その点のみ惜しいと思います。


側面より

側面から見ると、改めて均衡の取れたデザインな事が分かります。
マッシヴな体形に加えて強固な装甲。クマ型として理想的な仕上がりをしていると思います。

側面から見ると、メカ部分の造り込みもよく分かります。
ベアファイターのメカ部分は、極太パイプや極太サスペンション、巨大な排気口など、とにかく大きな装備で構成されています。
細かなメカを複雑に組み合わせて構成しているゴルヘックスなどと比べると、かなり対照的だと思います。

こう書くと、ともすれば大雑把で大味なものを想像してしまいそうです。
しかし実際は、各メカが的確で絶妙な組み合わせや配置で全体を構成している為、仕上がりは非常にリアルなものになっています。
むしろ大きなメカを組み合わせているからこそ、重パワー級ゾイドに相応しい力強さが伝わってきます。
一歩間違えば大味な凡作になりそうな所を、組み合わせによってここまで素晴らしく昇華させたデザインは素晴らしいと思います。

また、前脚と後脚をギミック的につなぐ動力伝達パーツのデザインが、デザインにマッチしているのも上手いと思います。

もう一つ、ベアファイターでは注目な所もあると思います。
それは脚部の装甲の付き方で、足の付け根をガードするように付いています。
これは後のメガトプロスやマッドサンダーの配置と似ており、共和国ゾイドの開発史が繋がるようになっており素晴らしいと思います。


直立形態 前後より

ベアファイターは基本は4足姿勢ですが、立ち上がる事も出来ます。
主砲両脇のキャップを持ち、前方にスライドさせる事で形態がチェンジし、2足形態になります。
モチーフのクマも、基本は4足姿勢ですが時として2足で立ち上がります。ゾイドでもその特徴を再現しているのはさすがです。

2足形態ですが、見た目よりかなり安定して立つ事が出来ます。
大型の前脚がありトップヘビー。また恐竜型のように尾部でバランスを取るわけにもいかない…。
それでいてこの安定感は本当に凄いと思います。

通常、4足のゾイドは裏面(腹側)から見る事は無いので、裏面の造り込みはあっさりしている場合がほとんどです。
しかしベアファイターは立つ事が出来るという事で、腹側の造りこみもよく出来ています。


腹部には、6連装ミサイルが付いています。普段は見えない隠し武器的な装備で、なかなか面白いと思います。
ベアファイターは、2足形態は格闘戦が得意な形態とされています。
この6連装ミサイルは、格闘戦時に使用するもので、なかなか考えられた配置だと思います。
強力な前脚で相手をガッシリと掴み、至近距離から6連装ミサイルを撃ち込む…。そんな戦いを想像します。

また、前から見るとゼンマイを外部に露出させている事も分かります。
色的にもアクセントになっているし、非常に珍しく面白い配置だと思います。


直立形態 側面より

2足形態を側面から見ても、バランスは良好です。

ゾイドの「歩く」という部分を残した上で、
①4足/2足の変形ギミックを実現し、
②どちらの形態でも転倒する事がなく、姿勢的に非常に安定しており、
③どちらの形態でもデザインは素晴らしい均衡を保っており、一切の破綻がない。
改めてベアファイターは凄いゾイドだと思います。


フェイス

ベアファイターの顔は特徴的です。
単純で少ない面構成ながら、的確にクマの顔が再現されており見事です。
ふくよかな頬から鼻先に向けて急激に細くなるクマのラインが、絶妙に再現されています。
リベットやエアインテークを思わせるディティールも小気味良いと思います。

ただ、弱点もあると思います。
頭部キャノピーは、かなり大きな角度で開きます。開けると、中にはパイロットが入っています。
この部分には、少し不満があります。個人的に、ベアファイターの頭部における唯一の弱点は、コックピット内部の処理だと思います。

キャノピーの中は、パイロットが乗っている「だけ」になっています。ここはもう少し凝れなかったのかなと思います。
多くのゾイドは、座席の周辺にいかにも操縦出来そうなリアルな造り込みがありました。それは一回り小さいマイクロゼンマイ使用ゾイドであってもです。

その造り込みは、実際にコックピットに座る想像をする際に、一役買っていたと思います。

ベアファイターのコックピットは、それらしいディティールが一切ない。それでいて広いキャノピーを採用しているのでそれが丸見え。
残念ながらコックピット内部の造りこみという点では最低レベルです。
他が傑作レベルの完成度なので、コックピットは数少ない目立つ弱点だと思います。


カラーリング

カラーリングは特徴的です。
茶色を基調としたカラーは非常に珍しいものです。おそらくモチーフに近い色を取り入れた結果だと思います。
ただ、似合っているとは思いますが、他のゾイドと並べた時、やや浮いている気もします。
ゴジュラスMK-II(限)に近いカラーですが、限定型は特別機だから、浮いたカラーでもそれが逆に魅力になっていました。
しかし量産機たるベアファイターは、他の共和国機に溶け込むようなカラーにした方が良かったのでは と思います。

茶色と緑のカラーは似合っているし、単体で見れば、これ以上無いほど陸軍的なミリタリーカラーで素晴らしいと思います。
しかしメカ生体ゾイドのカラーは、単機というより並べた時に全体で魅せる傾向が強いものでした。
個人的には、コマンドウルフやアロザウラーのようにライトグレーの装甲にした方が、より共和国らしいカラーになり良かったのではないかと思います。

ライトグレーの装甲も、なかなか似合っていると思います。

またもう一点、カラーリングには弱点があると思います。
ゾイドは「装甲」とか「メカ部分」といった単位で色を分けている事がほとんどです。
ベアファイターもその法則に則り「装甲=茶色」「メカ部分=緑色」になっています。しかし脚部のみ、この法則が逆になっており、不手際を感じます。
また、首の上下には、排気口(あるいはインテーク?)と思われるパーツが上下にあります。
しかし上側と下側で色が違います。ここも、同じ機能のパーツなので、同じ色に統一しておいた方が良かったと思います。


プロトタイプ

ベアファイターで有名なのは、プロトタイプモデルが存在する事です。

発売前のゾイドが紙面で紹介される際は、製品になる前の「試作品」で紹介される事が多くあります。
試作品ゆえ、製品版とはわずかな差がある事も多く、それを探すのもディープなファンの楽しみです。
しかしベアファイターの試作品は、あまりにも製品とはかけ離れています。

クマ型である事、おおまかな武装配置、カラーリングを除いては、ほぼ別機と言えるような具合です。
ここまで試作品と製品版が違う機体は珍しく、特筆モノだと思います。

試作版のベアファイターは、発売前はもちろん、発売後もよく紙面に登場していました。
画像のように、バトルストーリーにもよく登場しています。
それを探したり、その製品とはかけ離れた姿からいろいろな事を想像するのも楽しいものです。

(プロトタイプのベアファイターについて、より詳しくはこちらのコラム参照)


ギミック

Hiゼンマイを巻くと、力強く動きます。

連動ギミックとしては、歩くだけとなっています。
こう言うとギミック的には凡作と思われそうですが、先にも何度か書いたように、この機体は4足/2足の二つの形態になる事が出来ます。
そしてもちろん、どちらの形態でも歩行する事が出来ます。

両形態共に歩行可能なのは、かなり凄い事だと思います。
4足形態は当然としても、2足形態でもかなりバランスが良く、転倒する事も無く歩行します。
そのバランスは改めて関心します。

Hiゼンマイ搭載ゾイドは、連動ギミックの数で勝負するというより一風変ったギミックで勝負する機体も多くあります。
歩行スピードを切り替えるコマンドウルフや、実際に泳げるウオディックなどです。
ベアファイターは、そういった一芸モノに分類されるものと思いますが、形態チェンジ可能かつどちらの形態でも難なく歩くというのは、素晴らしいギミックだと思います。

手動ギミックは、キャノピーと口の開閉、背中の電磁砲の仰角変更となっています。
やや少なめですが、やはりベアファイターは4足/2足の切り替えに全てを投入した機体 という事なのだろうと思います。

総じて言うと、やはり4足/2足で歩行できるインパクトは大きく、高評価を与えて良いゾイドだと思います。


戦歴

ベアファイターの戦歴は、非常に勇ましいものです。
先にも少し触れましたが、帝国の強敵ブラックライモスのライバルとして登場し、同機に果敢に立ち向かってゆきました。
両者全く引かぬ互角の戦いを演じ、このクラス最強の強力なゾイドを印象付けています。

また、発売日がデスザウラーと近かった事もあり、何度かデスザウラーとの交戦も経験しています。
味方の撤退支援の為にデスザウラーを足止めしたり、マッドサンダーのサポート機としてデスザウラーの護衛機を受け持ったり、よく奮闘しています。
驚くべきことに両戦闘とも破壊されておらず、ベアファイターの能力の高さが伺えます(後者に関してはマッドサンダーが居たからかもしれませんが)。
この時期、デスザウラーと交戦しながら生き残った機体というのは、なかなか珍しいと思います。

他にも、雪原でアイアンコングに体当たりをかまして打ち倒したり、スネークスと共同で穴を掘って帝国基地を襲撃したり、なかなか華の多い機体だったと思います。

格下の機体との交戦は少なく、むしろ大型機など各上の機体との交戦回数が多くなっており、改めてベアファイターの実力を感じます。

ただ機動力はそこそこ高い程度で、どちらかというと重パワーで戦う機体。
高機動ゾイドとの相性は悪かったらしく、グレートサーベルが誕生した時は手痛い敗北も喫しています。
その後は、改良タイプにバトンを渡し一線を退いています。


重装甲重パワーメカ ベアファイター

主砲裏面の肉抜きやコックピットなど、一部に惜しい点はあると思いますが、総合的には間違いなく傑作機だと思います。

均衡の取れた重装甲の素晴らしいデザインや、力強くリアルなメカ部分。
モチーフの特徴を上手く取り入れつつ、デザイン的に一切破綻することなく見事に仕上がった形態チェンジの機構。
バランスが難しい2足形態でも難なく歩いてみせる安定性。
勇ましい戦歴。
あらゆる面で、まさに傑作と呼ぶに相応しい機体だと思います。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド ベアファイターNew

 機獣新世紀ゾイド ベアファイター


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