メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 母船型 ビガザウロ<BIGASAURU>

■ビガザウロ(ディプロドクス型/母船型) データベース■

 発売年月 1983年5月  発売当時価格 2800円  動力 モーター

 型式番号 RBOZ-001

 スペック 全長33.0m 全高16.2m 全幅7.9m 重量132.5t 最高速度80km/h 乗員3名

 主な武装
  パノーバー30mm対空ビーム砲(×4) マクサー30mmビーム砲(×4) 重量物牽引機

 特徴
  もとは、ゾイド星の陸上機械獣。巨体とそのパワーを利用して、重武装の戦闘輸送車に改造。ゾイド軍団での作戦行動の時は、母船として指揮能力を発揮する。


前後より

史上初の大型ゾイド、ビガザウロです。
共和国軍を率いる指令母艦として登場しました。

特徴は何と言っても大きさです。当事としては「規格外」と呼ぶに相応しいものでした。
今でこそウルトラザウルスなどに比べれば「大きいが抜きんでたものではない」となるでしょう。
しかし、出現当時はガリウスやエレファンタスしかいない中でビガザウロが出現したのです。

この大きさの差です。
当時のインパクトは、後のウルトラザウルスにも決して劣るものではなかったでしょう。

大型ゾイドなので、従来の小型ゾイドとはキャップが異なります。

従来のキャップの2倍以上のサイズです。この大型キャップはビガザウロで初めて採用されました。
そしてこれ以降、共和国大型ゾイドの多くに採用される事になります。

 

首の長さから明らかなように、モチーフはカミナリ竜です。これがとても良いと思います。
カミナリ竜は恐竜の中でも特に巨大なグループです。史上初の大型ゾイドのモチーフとして、これ以上ない選択と言えるでしょう。

より詳しく言うと、カミナリ竜の中でもディプロドクスをモチーフにしています。
ディプロドクスは全長は長いが体つきは華奢で軽い。そんな特徴をしています。
つまり史上初の大型ゾイドのモチーフとして相応しく、それでいて今後の更なる発展も期待できる。そんな絶妙な選択だと思います。


前後より(首上げ)

ビガザウロは長い首が大きく可動します。首を起こした姿と倒した姿では印象が異なります。
首を下げた姿は優雅に長く伸びた印象、一方、首を上げた状態は周囲を見下ろす威圧感のある印象を持ちます。

どちらの姿勢にも甲乙付けがたい魅力があります。
個人的には「大型ゾイド」という所を体感したいので、上げた状態が好きです。


側面より

首を上げた状態、下げた状態。どちらも頭部から尾部にかけて綺麗なラインを描いています。
ビガザウロはとても美しいゾイドだと思います。

ビガザウロは不思議なゾイドです。
「四角い動力ボックスからいびつに部品が生えているような」とも言える造形です。
後と比べれば大掛かりな構造で古臭く、洗練されているとは言いがたい印象を持ちます。
特に、脚部の不恰好さは凄いです。前後脚がつながっているし、J字の駆動用パーツも露骨に見えています。
あまり綺麗ではなく、各パーツがぎこちなく付いている感じがします。

これがなぜ全体を見るとまとまりがあり美しく見えるのか。とても不思議です。

動力ボックスは四角いゴチャメカだし、脚はぎこちない構造。ですが、それだけにメカニックとしての魅力に凄まじくあふれています。
後の機のように装甲がないので、むき出しのメカの魅力がダイレクトに伝わります。
脚はぎこちない構造ですが、それゆえ蒸気機関車の車輪部分のような良さがあります。各パーツが連動して動きを作っている感じが強くします。

洗練された現代の電車や新幹線とは違いますが、これはこれでとても魅力的です。

そして、長い首や尾は文句なく優雅です。
また装甲がない事から、全体的に華奢で繊細なイメージもあります。

ぎこちなさ。メカニックとしての魅力。優雅な首や尾。華奢ゆえの繊細さ。
そんな様々な要素が奇跡的に合致して、全体として「美しい」と思わせているのかな……と思います。

ちなみに同じフレームと構造を引き継いだマンモスは美しいというより「無骨」に見えます。

マンモスは装甲が付いてパワフルなイメージが強い。また鼻の生え方や尾部のラインなどがかなり歪です。
もちろん、これはこれで魅力です。無骨な良さを感じます。
ですが、それゆえに美しさは感じません。マンモスはパワフルで無骨な魅力を感じます。
同じフレームと構造なのに大きく印象が異なることに驚きを覚えます。


フェイス、コックピット

頭部は丸みを帯びたなめらかなラインです。
モチーフは頭蓋骨でしょう。色が白いのもそれを強調しています。

巨大なキャノピーも目を引きます。中央にへこみがあるのも特徴です。
これのモチーフは米軍のグラマンA-6「イントルーダー」です。

へこみがあることも手伝って、キャノピーは大きな目のようにも見えます。
なので、頭部はちょっと愛らしい印象でもあります。

キャノピーはオレンジ色で、従来の小型ゾイドがブラウンを採用していた事から変化しています。

初期においては、共和国ゾイドは「小型のキャノピー:ブラウン」「大型のキャノピー:オレンジ」の決まりがありました。
しかし後年これは逆転し「小型:オレンジ(ゴドスやプテラスなど)」「大型:ブラウン(ゴジュラスやウルトラザウルスなど)」が標準になります。

 

頭部側面にはビーム砲が付いています。
ビガザウロは史上初の大型ゾイドです。つまり当初において敵は小型ゾイドしか居ませんでした。しかも、その頃はいわゆる”アーリータイプ”です。
我々がよく知るマーダやモルガは地球人来訪で技術革新が起こった後の仕様です。そんなものはまだ存在しない時代です。
この砲は、初期においては対ゾイド戦でも十分な威力でした。
フレキシブルに動く首。高い位置から狙い撃てるビーム砲は、初期戦役においては強力無比を誇ったでしょう。

ビガザウロの頭部は、頭骨を模した不気味さ、キャノピーの愛らしさ、ビーム砲の力強さ。そんな様々な要素が複合した特有の魅力があります。
口はなく、大型ゾイドとしては非常に珍しいデザインです。この方向性は、後のゾイドには引き継がれていません。


キャノピーは前方に大きく開閉します。中にはパイロットが1名座っています。
スペースはかなり広めで、小型ゾイドとは雲泥の差です。
このキャノピーデザインとコックピットのサイズなら、パイロットは2名で複座にしても良かった気がします。
真ん中にへこみが付いたキャノピーなので、中央1名のパイロット配置だと視界にも問題がある気がします。
ただ、単座ゆえに内部スペースは広くゆったりしています。これはこれで快適そうで、魅力的でもあります。

 

ちなみに、キャノピーのモデルになったイントルーダーは複座です。
実は、ビガザウロは企画段階では複座を予定していたそうです。しかし最終的には予算削減の為に完成形のようになったと。

中央にへこみのあるビガザウロのキャノピーはまさにイントルーダーです。兵器関係に詳しい者が見れば「お!」と思うでしょう。
イントルーダーというのがまたニクいチョイスです。
F-14やMig-21のようにメジャーどころじゃない。渋めのチョイスにニヤリとします。

イントルーダーをモチーフにする渋いチョイスをしつつ、最後の最後で予算削減のために単座にしたのはちょっとなぁ……と思わなくもないです。
先にも書きましたが、せっかくキャノピー式にしているのに視界に難がありそうだし。
いやしかし、そのちょっとした意味不明さもまた初期ゾイドらしさであり魅力の一つかな、とも思います。

 


コックピット内には作り込まれた座席や計器のディティールがあります。これは全ゾイド中でも屈指の仕上がりです。
左右非対称な所も見逃せません。やはり部隊を指揮する母艦なので、操縦系統が複雑なのでしょう。
これを見ながら操縦シーンを想像したい所です。

 

コックピットは後部にエンジンがあるのも特徴です。

特に設定はされていませんが、切り離して単独で飛行できるのでしょう。
偵察、連絡、緊急時の脱出、etc. 運用は多方面に想像できます。
後に小型ゾイド用コックピットも同様の装備を持つようになります。その進化の歴史はこちらのコラムのように推測しています。

 

コックピットは他にもあります。

背部にはズラリ並んだ砲を撃つ砲手席があります。
露天なのは難ですが……、これだけの砲を持つこの場所は当事としては非常に頼もしかったのではないでしょうか。


尾部には銃座もあります。ここはちょっと……辛そうです。
同様の銃座は初期ゾイドに多く見られますが、その中でもビガザウロは抜群に長い尾を持ちます。なので揺れが一番激しそうです。
ただ、初期っぽさが魅力でもあります。
また、この”懲罰席”とも言われる銃座についてはこちらのコラムのように推測しています


初代最強ゾイド

「極初期において」という注釈は付きますが、登場当事のビガザウロは間違いなくゾイド史上最大最強でした。
当事は強力な戦闘ゾイドと盛んに宣伝されていました。


これは1983年夏版のトミー総合カタログの中の解説です。
その能力に対して今では考えられない程の高評価が付いています。当時の扱いがよく分かるでしょう。

砲のサイズは後のゾイドと比べると小ぶりですが、それでも同時代の小型ゾイドのものとは一線を画するサイズです。

横に置いているのはエレファンタスのビーム砲で、初期小型ゾイド用の武器としては標準的なサイズです。
こうして比べると、当時のビガザウロがどれほどの強力機だったかが分かるでしょう。


ビガザウロの武装一式は、後に「共和国大型ゾイド用共通武器セット」としてゾイドマンモス、ゴジュラス、ゴルドスに引き継がれる事になります。

当事としては砲撃力の高かったビガザウロですが、その反面格闘用装備は皆無です。
ただし、この巨体なので踏み潰したり蹴飛ばしたりするだけで高い威力を発揮しそうです。


母船型

ビガザウロは箱表記におけるモチーフが「母船型」になっています。

これはネタっぽく言われる事が多いし、実際にネタ扱いされるのは仕方がないでしょう。
母船型って……。

ただし、書籍「戦闘機械獣のすべて」ではディプロドクス型と記載されています。実際にはこちらなのでしょう。
ではなぜ母船型の表記になったかですが、これはビガザウロが「ゾイド軍団を率いる総司令官」として登場したからに他なりません。
その要素を何よりも強調したかったからでしょう。

総司令官。それは大きさを見ても明らかです。
周囲に小型ゾイドをはべらせながら前進する姿がとても様になっています。


ゾイド軍団を率いるエース機

ゾイドが前身として「メカボニカ」だった事は有名でしょう。
同シリーズはラインナップが小型三種だけだったこともあり、あまり注目されないまま地味に終わりました。
しかし可能性を信じたトミーはリニューアルしてもう一度トライする事に。その際は反省を踏まえ、大型ゆえ売り場で目を引く新型が求められました。
ゾイド動力キットなので売り場で動状態展示をするのが良い。しかしゼンマイだとすぐに止まってしまうので、スイッチを入れればずっと動き続ける電動キットが欲しい。
こうして誕生したのがビガザウロです。

ビガザウロは目論見通り…、いやそれ以上の成果を出し、大型店では日に100個以降も売れるヒット商品になりました(デザインの現場1984年10月号より)。
ビガザウロによってメカ生体ゾイドは好調なスタートを切ったのです。ゾイド軍団を率いるエースの意義を見事に果たしたと言えるでしょう。

ゾイドとしては初となるテレビCMが打たれた事も外せません。この映像はYOUTUBEで公式配信されています。
正確に言うとビガザウロ単体ではなく、ビガザウロを中心としつつ初期の全機を紹介する内容ですが。

アングルに凝っていて、動きをよく伝える秀逸なCMだと思います。雰囲気には時代を感じますが、今見ても魅力的です。

このCMがお茶の間のキッズに与えたインパクトは大きかったでしょう。
そしてこれを見て売り場に行けば動状態で展示された実機があった。
とても上手いやり方だと思います。

極初期においてビガザウロは、「戦場での有効性」「シリーズの売上げの牽引」その両方で紛れもなきエースでした。


骨型

ビガザウロはディプロドクス型ですが、より詳しく言うと「ディプロドクスの骨」をモチーフにしています。
骨をモチーフにしているのはメカ生体シリーズでは極初期だけの特徴です。
小型ではガリウス~フロレシオスまで、そこそこの数が居ます。しかし、大型ではビガザウロが唯一です。

後のゾイドと比べるといかにも装飾過小です。
足なんて細すぎてポキッと折れそうです。尾も簡単に千切れそう……。
頭部も、後の大型ゾイドと比べると弱そうな感じがします。
しかしそんなヒョロいビガザウロですが、「骨型」という所に注目すると新しい見え方がしてきます。
これはこれでとても魅力的です。

もちろん、後の肉の付いた重装甲ゾイドと比べると「ヒョロい」という感想を持つのは当然とも思います。
それを認めたうえで特有の魅力を感じるという事です。


カラーリング

カラーはグレーと青、頭部と武器が白。キャノピーはオレンジでキャップは黒。
この色は小型ゾイドでいうとアクアドンやグライドラーとほぼ同じです。
モチーフが近いハイドッカーと同じでないことは注目かと思います。

このカラーですが、私は新幹線(発売当時の最新鋭は0系)がモチーフだと思っています。

キッズの憧れ、新幹線。そのカラーにあやかったというのはあり得る話だと思います。

先に書いたように、ビガザウロは各部の造りがゴチャゴチャしていて蒸気機関車のような魅力があります。
それが(当時の)最新鋭であるところの新幹線と同じカラーをまとっているのはとても面白いです。

全体的に良い色だと思いますが、武器類が白いのはちょっとどうかなぁ思います。
せっかく小型ゾイドの武器よりはるかに大きいのに、色のせいで軽いイメージが付いています。黒の方が良かったのでは……と思います。


弱点

デザイン上の弱点として、脚の長さがあります。
前後脚の長さが全く同じで、この点はディプロドクスをモチーフにしているにしては明らかに変です。マイナスと言わざるをえません。

脚の長さはビガザウロの大きな特徴の一つです。
さすがにこれはマズいと思われたからか、後のゾイドマンモスでは”下駄”を履いて最低限の差を付けるようになりました。

ちなみに何故前後足が同じ長さなのかですが、おそらく前例のない大型アイテムだったからでしょう。
前後脚の長さが違うというのは、動力ボックスが水平でなく前後どちらかに傾くという事です。これは安定性の低下を意味します。

初の大型アイテムでそれをするのは怖かった。
それゆえモチーフ再現としては難がでる事を承知で、前後とも同じ長さにした=動力ボックスの水平を保ったという事情だと推測します。
さて完成してみればビガザウロは思った以上に安定して歩いた。これなら前後足の大きさに差を付けても大丈夫そうだ。
そんなわけでゾイドマンモス以降は差が付いたのだと思います。

ところで、余談を少し書きます。
ビガザウロの前後脚は繋がっています、が、実は、左右を繋いでいるパーツは撤去しても全く問題なく動作します。

左は付いた状態、右は撤去した状態です。

ビガザウロは「前後脚が繋がったようにデザインされているが」「機能的には繋がっていない」のが正解です。
ではなぜ繋がったようにデザインされたのかですが、これは以下のように推測しています。

ビガザウロは開発時に「当初は6本足で作っていた」というエピソードがあります。
これは当時の社長から「そんな生物は居ない」と却下され、現在のような4本足になったとのこと。

6本足というのは、「安定性を高めつつ」「見た目にも面白さを出す」目的があったと思います。
結局4本足で完成したビガザウロですが、構造に6本足設計時の名残が残ったのでしょう。

「いくらなんでも6本足にするなんて……」と思われるでしょう。いやしかし、当時のトミーにはこんな玩具もありました。


これはゾイドと同時期に出ていた「BIG-16」という玩具です。「登坂能力の高いモンスタートラック」の玩具ですが、名前の通りビッグなタイヤが16個も付いています。
16個って……。普通の車の4倍です。やりすぎなんてもんじゃありません。
が、コチラはギミック面白さが評価されたようで、こんな凄い姿で発売されました。
当時は人気商品となり「BIG-16」「BIG-16バッファロー」「BIG-16jr.」というバリエーション展開までされました。画像はバッファローです。

「6本足」という現在から見れば「んなアホな」という仕様も、当時のトミーの玩具を見ると「さもありなん」です。
いやしかし、この時の社長がよくぞ「そんな生物は居ない」と却下してくれたものです。
ここで生物としてのこだわりを方針として見せたからこそ、今日のゾイドがあると言えるでしょう。


ギミック

電動ゾイドなので、電池を入れてスイッチを入れるとパワフルに動きます。
ギミックは最初の電動ゾイドながら見事に完成されています。

連動ギミックは、長い首をS字に見事に動かしながら前進します。
こう書くと連動箇所は少ないように聞こえます。いや、実際少ないです。
しかし、その分首の動きは本当に見事です。

大きく倒した姿から起こした姿まで。
首は非常に多くのパーツを使って多関節を作っています。この構造は本当に見事で、最初の電動ゾイドにしていきなり完成形になったとさえ思います。
首の動きの幅は極めて大きく、後のウルトラザウルスと比べても抜群に広い範囲で動きます。

しかも、動く際は常に「コックピットの水平を保ちながら」動きます。
これだけ大きく動くにも拘わらず、パイロットは安心して乗り続ける事ができます。
この構造は本当に職人技だなあと思います。

ビガザウロは他に連動箇所がないので、純粋に首の素晴らしい動きにのみ集中する事ができます。
連動箇所は少ないものの、これはこれで良いと思います。

 

歩行、脚部の動きは後のゾイドと比べるとぎこちない感じがします。
これはCMの映像を見てもよく分かるでしょう。
「脚を動かす→前に進む」ではなくて「脚を動かす→体が後方に沈む→前に進む」になっています。
しかし、この動きゆえに巨大感や一歩一歩を大事にしている感じは強くします。
「かつてない巨大なゾイドだから重量も半端ない。歩く度に重さで体が沈むんだ!」と。
これはこれで良い動きです。

 

尾部は動きません。デザイン上ではキャップが多数付いておりいかにも動きそうですが、ワンパーツで固定です。
後のゾイドが尾部も積極的に動かしている事を思うと不思議な気もします。
首の見事な動きに加えて尾部を振る動きがあったら、まさしくビガザウロは最強のギミックゾイドになれたでしょう。
しかし、ビガザウロの尾部は「あえて動かさなかった」というのが正解です。


尾部は先端が接地しており「第五の足」として機能するようになっています。また先端は金属のウェイトが仕込まれています。
尾部がビガザウロの安定性を高め転倒を防止しているのです。それゆえ、動きを仕込むわけにはいかなかったという事情があります。

 

手動ギミックはコックピットの開閉、コックピットの旋回、各砲の仰角変更や旋回です。
決して多くはありませんが、これはビガザウロがもともと装備の少ないゾイドなので仕方がないでしょう。

後のゾイドと比べるとやはり動く箇所の数では見劣りします。ですが、それでも十二分に魅力的な動きです。
シンプルであるがゆえに個々の良さが見えてくるものもあります。
最初の電動ゾイドにしてこの完成度。傑作ギミックだと思います。


戦歴

戦歴は「昔は良かった……」という言葉で表現できるでしょうか。
既に書いたように、極初期においては超強力機でした。が、実はそれは「そうであった」と記述されているのみです。

ゾイドストーリーが本格的に始まったのはゴジュラス以降です。
その頃には残念ながら「すでに旧式化している」となってしまっていました。
ビガザウロが具体的に超強力機として活躍したシーンはありません。ジオラマで作られたりイラストで描かれた事は皆無です。

ゴジュラスをはじめ各機が活躍する中、ビガザウロは出番さえ与えられないままでした。
極わずかに出番もありましたが、それはやられ役としてのシーンでした。


左はゾイドバトルストーリー1巻におけるビガザウロの戦力評価です。実に物悲しいものです。
そしてそのまま……、ひっそりと第一線を退いていきました。
文字で設定されている極初期の最強時代を、せめて想像しておきたいところです。

 

ただし、学年誌ではわずかながらも活躍シーンが確認できました。
小三でゾイドストーリーが掲載されるようになった極初期、それは「がんばれゾイド少年隊」でした。

学年誌も初期は様々な方向が模索されていたのです。

この方向はわずか数号で打ち切られます。代わって、本格的なSF色やミリタリー色の強いおなじみのテイストになっていきます。
さてその数号で打ち切られたゾイド少年隊ですが、その中に紅一点「ミキ」が登場します。
そしてなんと、ビガザウロに乗っています。


ゾイド史上初のヒロインはミキであり、史上初のゾイドヒロインが搭乗したゾイドがビガザウロなのです。
リョウと二人で乗っているようなので、ミキがどこに乗っているかは不明ですが……。まさか尾部懲罰席ではないと思いますが……。
ちなみに、数号で打ち切られたのでビガザウロは活躍できていません。このシーンで「紹介」されただけで終わりました。
もしもこの路線で続いていれば、リョウとミキの乗ったビガザウロも大活躍していたのでしょうか……?

また、比較的ミリタリー色が強くなってきた頃でも、唯一だけ活躍した例があります。
 
重武装改造タイプ「パーシング」が帝国部隊と撃ち合うシーンが確認できました。
このストーリーは「こういう戦いがあった」というもので、結末は描かれていません。
しかし、ビガザウロが立派に戦っている事に変わりはありません。
敵にはレッドホーンも複数混じっていた事を思うと凄いです。あのビガザウロがレッドホーンと互角に撃ち合ったのです。

ビガザウロは見た目以上に頑丈でパワーもあります。なので、このような重装備もできたのでしょう。
勝敗は不明ですが、あえて大金星と言いたいところです。

 

ただ、やはり全体で言うとデカい割に弱小である事は否めない。「昔は良かった……」と思ってしまう戦歴でしょう。
悲しくもあり…、しかし、こんな戦歴の大型ゾイドは唯一無二なので、これはこれで魅力的です。


大型ゾイドの始祖、ビガザウロ

後のゾイドと比べると、やはり見劣りする事は否めません。
細いし武器も小さいし弱いし。装甲もないし。
私がゾイドを知ったのはメガトプロス以降で、初めて手に入れたキットはマッドサンダーです。
その後にゾイドバトルストーリー4巻を読み、更にその後に1~3巻を読み、そこでビガザウロを知りました。
その時の感想は「カッコわる……」でした。

長らくその感想は変わらなかったのですが、ゾイド戦史の「全体」を見た時、ビガザウロの意義や隠された魅力に気づきました。
ビガザウロはゾイド戦役全体を見た時にとてつもなく需要なゾイドなのだと。カッコ悪いと思っていた部分も、これはこれで魅力なのだと。

また、実際のキットを手に入れてからは味わい深く美しいデザインや見事なギミックにどんどんはまっていきました。
これからもその魅力は普遍的に思える事でしょう。
メカ生体ゾイドシリーズの成功のきっかけを作った伝説の傑作機です。


バリエーションモデル

 なし


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