メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 機甲部隊水陸泥用型 ネプチューン<NEPTUNE>

■ネプチューン(ワニ型) データベース■

 発売年月 1988年4月  発売当時価格 1500円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 R24-6

 スペック 全長6.8m 全高1.4m 全幅2.2m 重量2.7t 陸上最高速度50km/h 水上最高速度35ノット 乗員1名

 主な武装(ネプチューン本体)
  ミサイル魚雷(×2) バズーカ砲

 主な武装(共和国軍機甲部隊ネプチューン戦士)
  電磁水中銃 ボンベ ※機甲部隊の中では、特殊工作員として活躍、ボンベにより水中でも行動できる。

 特徴
  共和国軍の対デスザウラー作戦は、中央山脈を舞台に接近戦に入っていった。
  共和国軍は重撃メカのメガトプロスを主力とし、高速型バトルローバー、水陸型ネプチュ-ンで新機甲部隊を編成し戦いに備えていた。
  ネプチューンは水陸型のワニ型で水上から陸上へと自在に活躍できる機甲部隊の異色メカである。


前後より

共和国24部隊の水陸両用ゾイド、ネプチューンです。

両軍の24ゾイドの中では唯一の水属性を持つ機体です。そんな個性を持ちますが、反面、それゆえに遊びにくい機体でもあると思います。
というのも、他の機体のように、脳内バトルをしようにも適した相手が不在になっています。
メガトプロスはデスピオンやゴーレムを相手に。バトルローバーはロードスキッパーを相手にすれば絵になる。しかしネプチューンは対になる相手が不在です。

ドントレスは属性が明らかに違うし、かといってデスピオンやロードスキッパーが戦いを想像しやすい相手とも言いがたい。
ウオディックやブラキオスでは敵が大きすぎてアンバランスなのは否めません(大金星を狙うにはいい相手とも言えますが)。

強いて言えばアタックゾイドのヘルダイバーがライバルと言えますが、それもイマイチ盛り上がりに欠けるのは否めないでしょう。
スケールを通常と違う1/24にしてまで、細部までしっかり作り込んだのが24ゾイドシリーズです。
出来れば、24ゾイドの中にライバル的な存在が欲しかった。あるいは作戦を共にする一緒に行動できる味方が欲しかった。
1/24というビッグスケールキットを手に取りながら、でっかく想像したい。そういった意味で、ネプチューンが弱点を持つのは否定しがたいです。

造形としては、共和国24ゾイドらしい優雅な青いクリアパーツが目に付きます。しかし、これがモチーフのワニらしいかと言われると、かなり疑問でもあります。
ワニはゴツゴツした表皮が特徴的です。それは共和国24ゾイドの優雅なクリアパーツとは対極にあります。
最初にネプチューンを見た時、ワニとは思えずオオサンショウウオがモチーフなんじゃないかと誤解してしまいました。

ネプチューンは、対になるゾイドの不在といい、クリア装甲が最も似合わないであろうモチーフを選択といい、アンバランスな感じは否めないゾイドだと思います。

クリアパーツを外すと、造り込まれたメカニックが出てきて魅力的です。ちなみにクリアパーツは1パーツで出来ており、何とも大胆な事です。

クリアパーツを外すと、重機的な造りのメカニックがよく見えます。
個人的には、むしろ、こっちの方がカッコいいんじゃないかと思えてきます。
共和国24ゾイドには相当の思い入れがあり、クリアブルーの装甲は最高に好きです。ですがそんな私から見ても、ワニ型ゾイドにクリア装甲は似合わないと改めて思います。


ネプチューン兵士

キットには、1/24スケールの可動フィギュアが1体付属します。兵士の造形は、ライフジャケットを着たダイバーという感じです。
鮮やかな黄色い服装は兵士というよりマリンスポーツのような雰囲気も受けますが、 潜水ゾイドの兵士というのが一目で分かるのは良いと思います。
背中にボンベを背負っているのも大きな特徴です。

このボンベは、他の24兵士に付ける事も可能です。

水中用の服で造形されているので、共和国24兵士としては最も特徴的な姿をしています。

フィギュアは、もちろんコックピットに搭乗可能です。ネプチューンのコックピットは背中にあり、搭乗させると機体のスケール感がよく分かります。

コックピットの操縦桿付近には、兵士が持てる電磁水中銃が付いています。

モリと銃が合わさったような独特なものですが、水中で使う事に対しては説得力のある形だと思います。

この銃はグリップ位置が絶妙で、兵士に持たせると抜群にフィットします。持たせて気持ちのいい武器というのは好ポイントです。
また、銃を持つポーズも良いですが、水中兵なので泳ぐようなポーズも似合います。


側面より

クリアパーツの美しさがやはり特徴的です。が、やはりワニとしてはどうなのかと強く思います。
今見ても、オオサンショウウオ的な体表に見えます。シルエットとしてはワニですが。

ただ、裏面から見るとなかなかワニらしい所もあります。

下あご部分のディティールは、いかにもワニらしい感じがします。
また、ワニらしさに加えメカニカルなディティールも多く、上々の造り込み具合を誇ります。
通常、裏面にここまでこだわったゾイドはあまりありません。ネプチューンの大きな見どころです。
裏面なので通常ほとんど目立たないのは残念ですが。

裏面には、武装としてミサイル魚雷が付いています。

ネプチューンの必殺武器です。
ただこの魚雷ですが、サイズとしては極小すぎるような気もします。パイロットに持たせると、その極少さが良く分かります。

ヘルダイバーの超小型魚雷よりかなり小さめです。

こちらは、パイロットと比べるとそこそこの大きさがあるのが分かります。ネプチューンのホーミング魚雷を再度見ると、その極小ぶりがよく分かります。 
このサイズでは炸薬量も高が知れているでしょう。その威力に付いてはかなり疑問があります。

また、付き位置は基本状態では腹の下ですが、なにしろ足の短い機体です。陸上を歩いている際に地面にこすって自爆しないかちょっと心配です。
魚雷なので、水上/水中任務の時にだけ装備するのかもしれませんが。

魚雷は、下あご部分に取り付ける事も出来ます。

「ミサイル魚雷」という名前なので、もしかすると地上ではミサイル的に・水中では魚雷のように使用できる便利武器なのかなぁとも思います。
陸上でミサイル的に使用する…その姿を想像するのであれば、こちらに取り付けた方が良いと思います。

…というか、水上/水中で魚雷として使用するのであっても、この位置に付けた方が発射しやすそうな気もします。
腹の下というのは予備弾的な印象を受けます。
こんな小さな魚雷だし、またネプチューンは全体的にそれほど武器の多いゾイドとは言えません。
なので、ミサイル魚雷は2発でなく4発入れておき、下あごにも腹部にもフル装填するような構成になっていれば良かったと思います。


フェイス コックピット

頭部はシンプルな造りです。バトルローバーのような目もありません。
何度も言いますが、ワニには見えにくいと思います。

ワニといえば口ですが、ネプチューンには口はありません。この閉じた状態でずっと固定で、開く事はありません。
その事もワニらしくない事を思わせてしまっています。
共和国24ゾイドは、生物らしさよりもメカニックとしての造りを優先させた感じのものが多いのは確かです。
しかし、それでもワニ最大の特徴であるところの口を再現しなかったのはどうなのかなあと思います。

ゾイドの多くは頭部にコックピットを持ちますが、ネプチューンはそのサイズゆえに頭部にコックピットを持ちません。
先にも書きましたが、背中にコックピットを持ちます。

この姿勢については以前から「辛すぎるだろ」と思っていました。何しろ操縦中、ずっと腹筋が鍛えられるシステム…。
ただこのシステムを深く考えた時、一定の見解も得る事が出来ました。
それについてはコラム・懲罰席を考える-ネプチューン-にまとめてあります。

このコラムを書いてみて、今までネプチューンの弱点だと思っていたコックピットはもちろん、その他にも「ライバル不在な点」「小さすぎる魚雷」についても納得が出来、それどころかネプチューンが非常に魅力的な機体に見えてきました。
一見してシュールな部分が目立つ機体ですが、よく見ると独特の魅力が見えてくる玄人向けの機体かもしれません。

コックピットは良く出来ています。

操縦桿周りも良く出来ているし、シート部分もよく造り込んであります。

コラムでコックピットに対する見解はあらかた書きましたが、少し補足もしておきます。


ネプチューンは機体後部にバズーカ砲を持ちます。
これは、コックピットからくるりと後ろを向けば、そこから直接操作できます。
こんな位置になっている事も、ネプチューンのコックピットに対する説得力を持たせます。

このバズーカ砲は良く出来ています。造形もよく造りこんでありますが、可動も優秀です。

基部が工夫されている為、仰角・俯角をとる事も、旋回させる事も自由自在です。

このように素晴らしく可動する為、場合によっては「コックピットから後ろを向いて撃つ」ではなく、「コックピットから完全に降りて撃つ」場面もあったと思います。

このようなシーンは非常に様になります。
砲自体も優秀だがフィギュアと絡ませるとより優秀。素晴らしい装備です。


バリゲーターと共に

同じワニ型のバリゲーターと並べると、二回りほど大きな姿をしています。
バリゲーターは小型ゼンマイを使用したゾイドで、ネプチューンはHiゼンマイを搭載したゾイドです。

最も、キットサイズは上画像の通りですが、それはスケールの違いゆえのものです。
同じ縮尺に直すと、下のような比率になります。

ネプチューンの極小さがよく分かると思います。

それにしても、こうして比べると、ワニのゴツゴツ感を見事に再現したバリゲーターの素晴らしさが際立ちます。
ネプチューンの素晴らしさは色々と見えてきましたが、デザインに関してはやはりワニ型としてどうかという点が改めて浮きぼられます。
ゴツゴツ感の無さも無念ですが、口が開かないのも改めて無念です。
上下でカラーを分けているのはバリゲータと共通しており、いかにもワニらしい処理だと思います。しかし素敵なカラーも開かないのであれば興ざめです。
再三に渡って書きますが、やはりネプチューンのワニ感の無さは残念です。

クリアパーツが一体成型なので、ユーザー側で改造して可動を仕込むのが困難という点もあります。
口の可動を仕込もうとすればクリアパーツを切断する事は必須。しかし共和国24メカ最大の特徴であるクリアパーツに手を入れていいものか…。
入れるにしても、相当の高い技量が要求されるのは確実です。

やはり、デザインは改善の余地が大いにあると思います。


共和国24ゾイド最終号機

共和国24ゾイドとしては3番目の機体で、同時に最終号機です。

後に出たサンドスピーダまで含め共和国24ゾイドとすべきかもしれませんが、ここでは特徴的な青いクリアパーツをまとった機体というカテゴリーで分類します。

こうして見ると、本当にクリアブルーの装甲が美しい一群です。
メカ部分の造り込みが素晴らしく、リアル感のある戦闘兵器である。しかしその一方、美しい姿は芸術品のようですらあります。
ネプチューンのツルツル感も、ワニらしさこそ無いものの24ゾイド全体で並べると何とも言えない統一感があり魅力的に見えてきます。

ワニ型としてみれば難のあるデザインですが、24ゾイドとしてみれば魅力的なデザインでもあります。
デザインで失敗したというより、モチーフ選びで失敗しているような気がします。
こうして並べてみると24ゾイドらしく魅力的。しかし単機で見ると厳しい面が多く見える。そのアンバランスさが非常に惜しい機体であると思います。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。ギミックは凡作です。

連動ギミックは、尻尾を振りながら歩きます。連動個所は極めて少なく、最低限と言った感じです。
しかも尾の振り幅は狭く、いまいち見応えに欠けます。
同じワニ型のバリゲーターは、首を振り尻尾を大きく振りながら見事にワニらしく歩きましたが、比べると雲泥の差です。
正直、ネプチューンはワニらしい歩行には程遠く、モチーフらしさを再現しつつ歩いたというよりは最低限の連動ギミックを仕込みながら歩いただけのように感じます。

手動ギミックは、バスーカ砲の仰角と旋回がいじれる所のみです。バズーカ砲の可動は優秀ですが、それをでも他の場所が一切動かないのでは高評価は与えにくいです。
せめて口が開けば。やはり口が開閉しないのは、ギミックの観点から言っても惜しいなと改めて思います。

総合的に見て、満足度はかなり低いというのは否定しがたくあります。


戦歴

ネプチューンの戦歴は、描写されたものとしては地味に留まっています。

最大の戦果は、チェスター教授救出作戦を成功に導いた一件でしょう。
ネプチューンは部隊の斥候として働き、下水道に進入し敵の目を避けつつ前進するという通常機では絶対に出来ない活躍を見せました。
この作戦では、チェスター教授を乗せ共和国領へ脱出したメガトプロスやアロザウラーといった機体に目がいきがちです。
しかしネプチューンの活躍があったからこそという点は覚えておきたい所です。

ただこの他だと、あまり描写が見られません。
学年誌やてれびくん、広告などでは、バトルストーリーに未収録のエピソードも幾つかあります。

端の方にたまに映っています。
しかし、共和国24部隊主力として描写されたメガトプロスや軽快な動きで魅せるバトルローバーと違い、いまひとつ存在感が無かった感は否めません。
やはり陸上では使い勝手が悪かった(実機的にもジオラマの見せ方的にも)というのは否めないものでしょう。

また、惜しいと思うのはてれびくんにおける描写です。
てれびくんは、学年誌と違いアタックゾイドや24ゾイドを特にピックアップした雑誌です。しかしそのてれびくんですら、ネプチューンの扱いは低いままでした。
海中での戦いもありましたが、ヘルダイバーやクラブラスター、ハイパーシザースなどが取り上げられる中、ネプチューンの出番は無いまま…。
これは何とも惜しいです。

しかしながら先にコラムで考えたように、「特殊任務で地道に活動していたゾイドである」と考えれば、これはこれでいいのかなぁと思う部分もあります。
色々と想像で補いたいところです。


共和国24部隊水陸両用 ネプチューン

機体の運用法は一見謎ですが、深く考えれば見えてきます。
コックピットは一見シュールですが、深く考えれば見えてきます。
この辺から考えると、戦歴こそ謎が多いものの魅力的な想像ができる機体だと思います。

実は、ネプチューンにはもう一つ、まだ解明できていない大きな謎があります。
戦歴で、学年誌でも扱いは低いと書きましたが、一度だけ対ゴーレム戦で使用され派手に動いた事があります。

電撃攻撃。格上のゴーレム相手に暴れまわっているのは凄い事です。しかしこれ、口を思いっきり開けて噛み付いている……………。
これが謎です。
こういうタイプのネプチューンも居るという事なのか、あるいはキットでは再現されていないだけで実機ではこうだという事なのか…。
また、描写自体も興味深いです。

この時の文章はこのようになっています。

「ウルトラザウルスからエネルギーを受け、電撃をかけた」とあります。確かに、アンビリカルケーブルのようなものが地面に転がっていますが。
しかし、ネプチューンは自身のエネルギーで動いているのでは…?
また、この後ゴーレムは何とかネプチューンの電撃攻撃を振りほどき脱出に成功しますが、ウルトラからエネルギー供給を受けていたのに仕留め損ねるとはこれいかに。
「…鹵獲しようとしており、しかしネプチューン2機のエネルギーでは不安もある。そこでウルトラからゴーレムを殺さない程度のエネルギーが供給されていた」とか…?

歯にしろエネルギー供給にしろ、まだまだ謎がある機体です。
謎が多すぎる機体ですが、解釈していくほどに魅力的に見えてくる機体かもしれません。
まだまだ追っていきたい所です。

そういった意味で、やはり非常にマニアックで独特、通好みの機体だと思います。


バリエーションモデル

トイズドリームプロジェクト 復刻版ネプチューン


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