ゾイドリバースセンチュリー ドスゴドス

■ドスゴドス(アロサウルス型) データベース■

 発売年月 2008年11月  発売当時価格 2800円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 HRZ-005

 スペック 全長:16.6m 全高:7.1m 全幅:4.0m 重量:280t 最高速度:220km/h 乗員:1人

 主な武装
  対ゾイド30mmハイパービーム砲 小口径収束荷電粒子ビーム砲(×2) 小口径レーザー機銃(×2) バイトファング クラッシャークロー(×2)
  テイルウィップダガー ジェットスラスター(×2) 広域レーザーサーチャー

 特徴
  中央大陸戦争初期の主力「ゴドス」の後継機として「アロザウラー」と同時期に開発されていた機体。
  リル・メリル開発技師長のもと磁気嵐対応化がなされグランドカタストロフ以降、初の新型共和国軍ゾイドとなった。
  ゴドス由来の格闘能力はさらに向上し、必殺技「ターボアクセレイションキック」はゴドスの2倍の破壊力を誇る。


前後より

ゾイドリバースセンチュリーシリーズの共和国軍主力量産機、ドスゴドスです。
同シリーズの新型ゾイドとしてはダークネシオスに続く第二号ですが、完全新型ゾイドとしては第一号です。

「ドス」とはスペイン語で「2」を表します。
その名が表す通り、また外観からも明らかなように、傑作機ゴドスを大幅にリニューアルしたゾイドという側面が極めて強いゾイドです。

…先に「完全新型ゾイドとしては第一号」と書きましたが、そういった意味では「完全新作」と言うべきかは判断の分かれるゾイドかもしれません。
ただし、デザインこそゴドスを強く意識しているものの、キットとしては流用部品はなく全てのパーツが新規金型で製作されています。
また、構造もゴドスとは大きく異なっています。

ゴドスと比べ、姿勢は前傾姿勢に変化しています。ドスゴドス最大の特徴と言って良いでしょう。
あのゴドスが、前傾姿勢でスピーディーなイメージになっているのは衝撃です。

ただし、別の姿勢にする事もできます。

脚部付け根付近には、二本の軸があります。

これの留め位置を変える事で、やや上を向いた姿勢にもできるのです。

直立に近いが、やや前傾気味の姿勢といった感じでしょうか。

更に、この軸をいずれも使用しないようにすれば…、

完全な直立姿勢にもできます。

ゴドスのような、前傾など少しもしない胸を張るレベルでの完全直立姿勢です。
時代相応の新しさ…、前傾姿勢を再現しつつ、同時に細かな配慮で旧来の姿勢も包み込んでいる感じは最高です。

ギミックについては後述しますが、軸を使用した二形態については歩行ギミックを行ってくれます。
軸を使用しない完全直立形態では、アクションフィギュアのようなポーズ付けを楽しめます。


側面より

側面から見ると、各姿勢の差がよく分かります。
前傾から完全な直立まで、見事な変更を果たしています。
いずれの形態でもデザインの破綻がないのが素晴らしいです。


フェイス、コックピット

頭部は、ゴドス指揮官タイプコックピットに近いものになっています。

正直に言うと、旧来のゴドスのコックピットは太陽の牙ダグラムのコピー感が拭えなかった。
それが、ゴドスの味をしっかりと残しながらもオリジナルと胸を張れるだけの進化を遂げたと思います。
下部には下あごが付き、更に後頭部は少し長く伸びました。
スタイリッシュに変貌を遂げたと思います。

ディティールは、随分とあっさりした印象です。少し寂しい気もします。
ですが、新型機としてはこの程度で相応な気もします。

キャノピーは、ゴドスと同じく後方に向かって開きます。

中にはおなじみのパイロットが座っています。
ゴドス指揮官タイプと違い、背中等にコックピットはありません。
ドスゴドスのパイロットは頭部の1名のみで、全ての操作をここから行います。


ゴドスと共に

ゴドスが色濃く意識されたドスゴドスですが、並べるとそれがよく分かります。
また、似た所だけでなく異なる所もよく分かります。
比べると、ディティール量が格段に違います。頭部デザインと同じく、全体的にはゴドスよりディティールはアッサリしています。
新型機なのでこれでいいような気もするし、もう少しあった方がスケール感を感じられるような気もするし、微妙な量です。

個人的には、ディティールの量は新型機としてこの程度でも良いのかなと思います。
ただ、弱点が二つあると思います。
一つ目は、金型の制度があまり良くなく、全体的にエッジがだるい感じで造られている事です。
ディティールが少なくとも、シャキッとしたエッジになっていれば見栄えが高くなっていたと思います。
しかし、残念ながらドスゴドスはエッジのだるさが全体の印象を落としていると思います。

二つ目は、武器デザインの悪さです。
武器配置やデザインは、やはりゴドスを模して作られています。しかし、デザインが今ひとつ垢抜けていないと思います。
背中には、レーダーと大型砲を積んでいます。この配置は、ゴドス指揮官タイプを知る者からすればニヤリとする配置でしょう。
しかし、肝心のデザインに難を感じます。

レーダーは厚ぼったく、あまりそれらしさを感じません。

また、砲も筒を幾つか連結させただけといった感じで、ゾイド特有のカッコいい武器のラインにはあと一歩到達していないと思います。
この砲に関しては、裏面のあからさかま肉抜きも残念です。配置の関係上、どうしてもこの肉抜きは見えてしまいます。

対して、腕や尾の砲はデザインとしては悪くないと思います。しかし、これらも金型精度…エッジのだるさが足を引っ張ってしまっている気がします。

…肉抜きの話題が出たのでついでに。

背中の砲の他に、腕の肉抜きもかなり露骨に目立ちます。この二か所の肉抜きは何とかして欲しかったなぁと思います。
肉抜きはドスゴドスの大きな弱点です。
ただ、脚の内側にはゴドスと比べ大きな改善も見られます。
良い部分もあり、悪い部分もあり…。少しアンバランスな気はします。


カラーリング

ゴドスを強く意識したドスゴドスですが、カラーリングに関しては全く別ものになっています。
ですが、カラーは正直あまり好きじゃないなぁという感想です。

青系で統一したカラーですが、どうも全体的にぼんやりとした感じというか、メリハリに欠ける気がします。
原色の青を使っていますが、かといってヒーロー的な配慮でもない。
もちろんミリタリーなカラーでもない。

カラーリングはもう一考が欲しかった所です。
個人的には、ゴジュラスシリーズのような配慮が似合ったんじゃないかなと思っています。


構造

ドスゴドスは、特徴的な構造にも注目すべきと思います。
キットの構造が、極めて特徴的になっている点は特筆です。
ドスゴドスは、ゾイドらしくキャップを使うデザインになっています。しかし、その使われ方に特徴があります。

従来のゾイドは「パーツを接合する為」にキャップを使うのが通例でした。
しかし、ドスゴドスのキャップは、全て「デザイン上の飾りとして」使われています。
ドスゴドスは、全てのキャップを外してもキットがバラける事は一切ありません。
これは、他のゾイドではありえない事です。
(従来のゾイドでも「飾りキャップ」はあったが、全てではなかった。例えば脚を胴体に繋ぐキャップは必ず「接合」の意味を持ったキャップだった)

キャップを「キットの構造上の必要」とみなさず、「デザイン上としてのみ必要」として捉えている点において大いに注目すべきと思います。
この点において、キットとしては従来のゾイドと大きく異なります。


設定

設定として、「かつてアロザウラーと同時期に開発され競合したが敗れた機体」とされています。
しかし、グランドカタストロフを受けアロザウラーが激減した為、急遽として一度は不採用になった本機が改修の上で制式採用された…。
これは、なかなか面白い設定だと思います。
このような設定があればこそ、
「グランドカタストロフの状況下で新型ゾイドを短期間で開発できた事」「この時期の新型ゾイドなのにゴドスの面影を色濃く残している事」
この二つへの説得力が多いにあります。

強さは「キック力はゴドスの二倍」という控えめなのか凄いのか良く分からない感じになっていますが、過度に強すぎずいい具合に落ち着けたと思います。
なお、このキック力の倍加を強調する為に、ドスゴドスの脚部にはスラスターのディティールが追加されています。

基本的に「ゴドスを模しつつ情報量を減らす」事が多いドスゴドスにあって、積極的に情報量を増やされた貴重な箇所です。

ただ、砲はかなり強力です。特に、腕の砲は「小口径収束荷電粒子ビーム砲」とされています。
あの荷電粒子砲が…。ちょっとやりすぎじゃないかなぁ…、ただのビーム砲でいいんじゃないかなぁと思ってしまったりします。
また、機体そのものの設定として「磁気嵐対応型である」「磁気嵐をエネルギーに変換する」というものがあります。
これは、ストーリーと照らし合わせると矛盾が生じる気がします。
というのも、年代的に後にあたる機獣新世紀ゾイドでは、あいかわらずトライアングルダラスをはじめ磁気が大きな障害になっている描写があるからです。
それよりも随分前に当たる時期のリバースセンチュリーで「磁気問題を克服した」としてしまったドスゴドスは、大きな矛盾を落としてしまった気がします。

ただし、これについては「キングゴジュラスのオーバーテクノロジーが絡んでいる」というリバースセンチュリーの舞台背景を加味しつつ解釈の道を探るべきでしょうか。
機獣新世紀ゾイドは、
「トライアングルダラスをはじめ強い時期の出る場所は克服できていない」が「荷電粒子砲の超小型化&小型ゾイドへの大量配備には成功している」
ようになっています。
こういった事から、考察を深めてみるのも一興だと思います。


ギミック・連動ギミック

姿勢を3つに変えられるドスゴドスですが、脚部付け根の軸を使用した二形態については、ゼンマイによる歩行ギミックを楽しめます。
ゼンマイは、レブラプター以降のような「つまみが無く美観を損ねない」タイプになっています。ゼンマイを巻く際は、背中の砲の後部を使用して巻きます。

連動ギミックは一切無く「歩くのみ」となっています。
かなり潔いギミックですが、まぁ、二足歩行を実現した代償かなとは思います。
同じ二足歩行機で言うと、羽を動かしながら歩くシュトルヒ、腕を振り背中の装備を動かしながら歩くレブラプターなどと比べると、かなり見劣りするのは確かです。
ですが、「異なる姿勢」のどちらでも歩ける事は考慮すべきでしょう。
ただでさえ不安定な二足歩行で、しかも姿勢を変える事までやってのけた事は素晴らしい実績だと思います。

「二足歩行」「姿勢切り替え」を実現したゾイドとしては、他にもゴジュラスギガがあります。
しかし、ゴジュラスギガは、歩行時には大きな”下駄”を履く必要がありました。
ドスゴドスは、下駄パーツは必要とせず自身の脚のみで歩きます。

ただ、擁護できない弱点もあります。それはゼンマイのパワーが明らかに足りていない事です。
ドスゴドスのゼンマイは、ゴドスと同じ小型ゼンマイです。
ドスゴドスの大きさは、ゴドスとアロザウラーの中間くらいの大きさ…、要は標準的な小型ゼンマイ搭載機より一回り大きい位です。
この大きさを歩かせるには出力不足だったようで、限界までゼンマイを巻いたとしてもすぐに歩行が止まってしまいます。
悪い事に、ちょうどこの時期のゼンマイは仕上げが悪く、出力が定格に満たないものが多くありました。
この事が、ゼンマイのパワー不足問題に拍車をかけてしまっています。この点は大きく悔やまれます。

連動ギミックに関しては、このようになっています。
手動ギミックに関しては、数が極めて多いので別項にまとめます。


ギミック・アクション

連動ギミックには難もあるドスゴドスですが、その分、手動ギミックはかつてない程の充実を誇ります。
手動ギミックを楽しむ際は、脚部付け根の軸を使用しない状態にすれば、より楽しめます。

脚部の軸を使用せずフリーの状態にすれば、脚を自由な角度に動かせるようになります。
更に、かかとも引き出せば角度を付ける事が出来ます。

これを使用すれば…、

このように、モチーフに忠実な内股や、見栄えの良い八の字立ちにする事もできます。

この状態ではゼンマイ歩行はできませんが、それを補って余りある魅力です。
ゼンマイ歩行が出来るゾイドでありながら、モード切替でこのようなアクションキット並の動きを両立しているのは脅威です。

手動ギミックは、他にも幾つもあります。
まず、脚の関節は手動で動きます。

動きの幅は少ないですが、なかなかの表情が付きます。

腕は、ひじが大きく曲がります。

また、付け根はボールジョイントになており、自由に動きます。

指の可動も優秀で、上側の二本は独立して可動します。その為、物を掴んだりする事も自在です。

更に、手首を回転させる事もできます。
これにより、ゴジュラス的な指の角度 / デスザウラー的な指の角度の両方を再現する事ができます。

この充実の稼動を実現するために、必然的に腕周りのパーツ数はかなり多くなっています。
パーツは、中にはHMMゾイド並の細かさのものもあります。しかし、構造は簡素化されており組み立ては楽になっているのも特徴です。

首も大きく曲がります。
二箇所に可動があり、首自体の動きと頭部付け根の動きにより、ここまでダイナミックな変化ができます。

頭部付け根の稼動も素晴らしく、あらゆる方向を向けます。

口が開閉する事と相まって、様々な表情付けが出来ます。

尻尾も、よく動きます。
付け根付近で上下し、様々な表情を付ける事が出来ます。

また、若干ですが横に振る事も出来ます。

この他、各砲とレーダーの角度を付ける事、キャノピーの開閉が出来ます。
全体的に、手動ギミックは至れり尽くせりといった感じです。
おそらく、全ゾイド中で最もよく動き表情を付けやすいのがドスゴドスでしょう。

歩行ギミックだけ見ると、確かに難を感じる部分もあります。
しかし、これだけの手動ギミックを実現しながら歩行ギミックも残しているのだから、ドスゴドスのギミックは絶賛して良い出来だと思います。


戦歴

戦歴は、主役機に相応しく登場シーンが多いです。
ライバルとも言えるヴァルガと戦ったり、尻尾にバリゲーターを連結させ戦ったり、クリムゾンホーンを相手に部隊ごと壊滅の憂き目にあったり。
全体的に、華もあり、一方で量産機らしい歩兵感もあり、好印象を受けます。

また、戦歴ではありませんが、リバースセンチュリーシリーズでは看板機的な扱いもされており、広告や雑誌の特集などでも顔を務める事が多くありました。

なので、この方面でも印象深い機体になっています。


主力量産機 ドスゴドス

金型…、エッジのだるさは本当に残念です。これさえ徹底されていればもっともっと良い機体に化けていたと思うだけに、大きく悔やまれます。
また、色についても改めて残念です。
ですが、それを加味しつつも新シリーズの象徴と言って良い革新的名ゾイドだと思います。
歩行ギミックを残しつつ、それでいてアクションフィギュア並の良好な可動を実現したのは改めて見事です。

動力キットと可動キットの両立を果たした事、キャップの使用方法が大きく異なる事。
今後のゾイドに大きな可能性を示したと思います。
ドスゴドスがより多く研究・議論され、次なるゾイドがより良くなる為に生かされることを願って止みません。


バリエーションモデル

 ドスゴドス オールドカラーver.

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