メカ生体ゾイド ゼネバス帝国軍 電子戦用中型機械獣 ディメトロドン<DIMETRODON>

■ディメトロドン(恐竜型) データベース■

 発売年月 1987年2月  発売当時価格 1980円  動力 モーター

 型式番号 EPZ-004

 スペック 全長22.3m 全高12.6m 全幅8.42m 重量156t 最高速度150km/h 乗員1人

 主な武装
  接近戦用ビーム砲(×2) 高速キャノン砲(×2) 高圧濃硫酸噴射砲 全天候自己誘導ミサイルランチャー 全天候3Dレーダー 超高感度レーダー MAD磁気探知機
  大型赤外線レーザーサーチライト 爆発物探知センサー 各種探知システム

 特徴
  体内に膨大な電子装置を納めた帝国の中型ゾイド。巨大な背ビレの部分は全方位レーダーのアンテナとなっており一瞬にして敵をキャッチすることができる。
  ディメトロの搭載する電子システムは敵の電波を受信後、自動的に分析し、電波妨害を行うことができる。
  強行偵察や電子戦を得意とする。


前後より

帝国の新鋭電子戦ゾイド ディメトロドンです。
D-DAY上陸作戦における勝利の立役者として、非常に有名なゾイドだと思います。
レーダーを満載した電子戦ゾイドですが、両軍の電子戦ゾイドといえば、「共和国はステゴサウルス、帝国はディメトロドン」の伝統が受け継がれているのが嬉しいです。

デザイン面では、モチーフであるディメトロドンが極めて忠実に再現されており、数あるゾイドの中でもモチーフ再現度はトップクラスだと思います。
名称はモチーフそのままですが、再現度の高さから言えば妥当な名称だと思います。
背びれや顔つき、地を這うようなスタイルなど、非常にモチーフに忠実になっています。
また、大掛かりな装備を付けずシンプルに仕上げているから、いっそうモチーフ忠実度が上がっています。

同じディメトロドン型という事で、ゲーターと比べてみても面白いです。

ゲーターは最初期に登場した小型ゾイドでありながら、極めて高いモチーフ再現度を誇った傑作機です。
両機を見ていると、帝国のディメトロドン型にかける情熱が思われます。

反面、背ビレをレーダーに改造している事を除いては、武装配置などの共通点は極めて薄く留まっています。
この点は設計された年代の差かなと思います。
ゲーターはZAC2031年就役、対しディメトロドンはZAC2041就役です。その差は実に10年にもなります。
ディメトロドンは、長期間に渡るゲーターの運用実績や、経年によって生じた戦術思想の変化などを踏まえた上で開発されているから、その配置などが異なって誕生したのではないかと思います。

また、ゲーターが就役した当時は、帝国ゾイドの種類は非常に少ないものでした。
その為、偵察用にも関わらず汎用性を求められ、比較的強力な火器や格闘兵装(尾部レーザーカッター)を備えざるを得なかったのがゲーターで、就役時に既に豊富な種類のゾイドがおり、それゆえ偵察用として純粋に特化した能力で製作できたのがディメトロドンではないか…、等と考えてみても面白いと思います。


側面より

側面から見ると特によく分かりますが、その極限まで作り込まれたレーダーのデザインに驚きます。
ここまで作り込んだメカを持つゾイドはなかなか居ないと思います。その度合いは、作り込みが非常に激しいとされる初期共和国ゾイドと比べてさえ勝っています。
例えばゾイドマンモスの耳もレーダーですが、比べてみると作り込みではディメトロドンに軍配が上がります。

ゾイドマンモスのレーダーも複雑なゴチャメカですが、比べると、若干 単調ではあります。
しかしこれはゾイドマンモスの不備ではなく、このレベルでも充分すぎる造り込であり、素晴らしいリアル感をだしています。
ただ、ディメトロドンが更にその上を行く異常な程の造りこみを行っており、特出しすぎているものです。
何とも凄い造り込みです。
この過剰な造り込みは圧倒的なリアル感を出しており、「ディメトロドンがかつてない能力を持った新鋭電子戦ゾイドである」という印象を、強烈に与えています。

ところで、ディメトロドンといえば、見逃されがちですが、興味深い部分があります。
それは重量で、レッドホーン94t、サーベルタイガー78t、アイアンコング187tに対し、ディメトロドンは156tとなっています。
大きさで言えばレッドホーンより少し小さいくらいで、火器も帝国共通武器セットしか積んでいないのに、コングに匹敵するほどの重量を誇ります。

おそらくディメトロドンはその特性上、それほど装甲が分厚いという事は無いと思います。
その重量は、電子装備の重量と捉えるのが良いと思います。
この凄まじい重量の電子装備。ここからディメトロドンの電子能力の凄さを想像してみても、面白いと思います。


フェイス

頭部デザインは、モチーフのラインをストレートに使用している感じです。
全体的に丸みを持った曲線で構成されており、「曲面デザインで魅せる帝国ゾイド」の中でも、これほどまでに丸みを持ってデザインされた頭部は、他に無いと思います。
あえてあるとすれば、24ゾイド位のものだと思います。

ただ曲面主体でデザインされていますが、それに終始したわけではありません。もちろん、ゾイドらしいリアルなディティールも適度に加えられています。
その結果、全体として曲面の使い方が大胆という特徴はあるものの、「モチーフに忠実だがメカメカしい」という、ゾイドらしい頭部になっていると思います。
細かい点ですが、のど下のデューラップまで再現されている所にも、こだわりを感じます。
欲を言えば、牙のラインがやや生々しすぎる風にも思えます。この部分に関してのみ、もう少しメカっぽいラインにしても良かったのではないかと思っています。

頭部はコックピットになっており、ハッチは前方に開きます。中には1名のパイロットが入っています。
目はクリアグリーンで、この色を採用した大型ゾイドはディメトロドンが初です。


新鋭機

モチーフに極めて忠実な造形、造りこまれたレーダー、曲面を大胆に使用した頭部。
非常に特徴的なディメトロドンですが、デザイン的にもう一つ特筆点があると思います。それはキャップに関するものです。

もちろん、ゾイドなのでキャップは使用しています。しかしその付き位置に注目すると、どこも目立たないように処理されています。
キャップは装甲で隠れるようになるか、あるいは下側に取り付けて、見えにくくなっています。

キャップはメカをリアルでゾイドらしいものにしますが、多用しすぎると、それはそれで旧式なイメージをも持ってしまいます。
それゆえに、帝国の逆襲…、新鋭機を引き連れてきたD-DAY上陸作戦の主役機のデザインは、出来るだけ新型機っぽく見えるよう、キャップを隠したのではないかと思います。

やはりゾイドたるものキャップは使って欲しいなとは思います。
しかしディメトロドンは、キャップがほとんど見えていないにも関わらず、間違いなくゾイドに見えます。

今までゾイドデザインにおいて最大級の重要要素だったキャップを隠してしまうとは。その上でゾイドらしい仕上がりにしてしまうとは。
ディメトロドンのデザインからは、非常に挑戦的で大胆不敵なもの、そしてデザイナーの確かな自信と力量を感じます。

個人的に、ゾイドのキャップには「使って欲しいが、使いすぎる必要は無い」と捕らえています。
そのゾイドにどれだけ使用するのが相応しいか。またどのような見せ方が似合うかなどを考慮すべきだと思います。
無理に使わないといけないという強迫観念で使いまくるのは逆効果だと思います。ディメトロドンを見ていると、それを強く感じます。

キャップの事もあり、ディメトロドンは新鋭機のイメージが強いですが、割とパイプの露出が多いのも特徴です。
尾部においては、特に顕著です。

帝国機がここまでパイプを露出させることは少なく、明らかにサーベルタイガーやレッドホーンと比べると異質です。
むしろこのパイプを露出させるという処理は、後年のデッド・ボーダーやヘル・ディガンナーに近いようにも見えます。
ディメトロドンが暗黒軍開発なのか帝国軍開発なのか共同開発なのかは謎ですが、こういった点から想像を膨らませてみるのも面白いと思います。
個人的には、帝国共通武器セットを使用している点等も考慮し、暗黒軍の技術指導を受けた上で帝国軍が設計した機体ではないかと思っています。

作り込まれたレーダーや、メカ部分に露出したパイプが多いなどの処理は、新鋭機に見えるディメトロドンでも、決して技術的に余裕で作られているわけではなく、それどころか実現できるギリギリの所で設計されている事を思わせます。

装甲のデザインはアッサリしており、ディティールもかなり大味な感じがしますが、排気口などのアクセントが効果的に効いているのと、形状自体が帝国らしい曲面で素晴らしい形をしている為、総合的には水準のデザインになっていると思います。
ただやはり、もう少しディティールが複雑でも良かったかなとは思えます。

様々な特徴のあるデザインだと思いますが、全体で見ると非常に良いまとまりをしており、非常に完成度の高い仕上がりをしていると思います。


カラーリング

カラーリングは特徴的です。
基本的にはレッドホーンやサーベルタイガーなど従来機と同じ配色ですが、赤の色味が大きく違います。
いわゆるゼネバスレッドと呼ばれるくすんだ赤紫ではなく、朱色に近い鮮やかな赤になっています。

「共和国軍によって中央大陸から追放された帝国軍が、いよいよリ帰還し、復讐の上陸作戦を決行する」 作戦名、D-DAY上陸作戦。
ディメトロドンは、このD-DAY上陸作戦の中心となった機体でした。
ゼネバスレッドを捨てた配色は確かに疑問も感じますが、ストーリーの背景を考えると非常に似合っている色味にも思え、このカラーリングがベストだと思います。

試しに、デジタルで色を補正したものも制作してみました。

ゼネバスレッドもこれはこれでアリな気もしますが、改めて鮮やかな赤が似合っていると、個人的には強く感じました。


ギミック

電動ゾイドなので、電池を入れてスイッチを押すと元気に動きます。ギアボックスは、サーベルタイガーと同タイプのものです。

連動ギミックとしては、尾を振り、口を開閉させながら、背びれを揺らしながら前進するというものです。
足が短い為、地を這うように前進します。その姿がモチーフに近く、リアルで良い感じになっています。
また、尾部の振りも大きく、見応えがあります。

そして、このゾイド最大のギミックといえば、背びれの動きです。
背びれは一枚一枚独立して、大きくうねります。かなり不気味で印象的なギミックになっています。
デザインにおいて、背中のレーダーに異様なまでの力が入っているのは先に書いた通りです。
加え、ギミック面でも非常に印象的な仕上がりをしており、期待を裏切らない素晴らしい出来にニヤリとします。
それにしても帆をこのように動かしてしまうとは、さすがゾイドだなと改めて思います。

反面、手動ギミックは少な目です。
各部に付いている帝国共通武器を動かせるのと、コックピットの開閉程度で、あまり大胆なものはありません。
ただ、もともとディメトロドンは装備の少ない機体なので、この程度で仕方ないと思います。

手動ギミックこそ少な目ですが、連動ギミックで特徴的なものを持っている事もあり、総合的には高評価を与えるべきゾイドになっていると思います。


戦歴

ディメトロドンの戦歴は、華やかさと哀愁が混在しています。

ディメトロドンの初陣は、先にも書きましたがD-DAY上陸作戦です。上陸作戦の先陣を切ったのがディメトロドンでした。

上陸母艦で空輸され、ハッチが開くと同時に発進。祖国奪還へ向け出撃する。
上陸作戦はプロモーション映像も作られ、その勇姿はユーザーに大きな衝撃を与えました。

バトルストーリーや学年誌でも上陸作戦は描かれており、この時ディメトロドンは、共和国軍ゴルドスを豪快に沈めており、次世代電子ゾイドの力を見せ付けました。
しかし上陸作戦成功以降は活躍が描かれることが減り、次第に電子ゾイド=直接戦闘には不向きという面が強調されるようになりました。

シールドライガー、ゴジュラス、マッドサンダー、小型ゾイド…、何度も何度も破壊されており、後年の戦歴は物悲しいものになっています。
自分より小さな機体…、ベアファイターに自慢のレーダーをむしりとられている姿は、特に涙を誘います。

バトルストーリーの帝国側やられ役の定番は、初期においてはレッドホーンでした。
しかしディメトロドン登場以降は、その役目が同機に引き継がれたような感じがします。
帝国がマッドサンダーによって二度目の滅亡を迎えるまでの長期間、ディメトロドンは何度も蹴散らされてゆく事になります。

ただ、かなり長期に渡ってやられ役を演じているという事は、言い換えればそれだけ多くが生産された機体という証でもあります。
たまたま戦闘ゾイドと遭遇してしまったら負けてしまう。しかしバトルストーリーの描写の裏側で、地道に活躍し続けていた事を想像しておきたいと思います。


超高感度レーダー搭載メカ ディメトロドン

ゴルゴドス、ゴルドス、ゲーター…、電子戦ゾイドを見るたびに思いますが、派手な直接戦闘とは対極にある、このような地味な存在を数多くリリースしたことが、メカ生体ゾイドの凄い所だと思います。
バトルストーリーにおいて、メインで描かれるのはヒーローゾイド同士の派手なぶつかり合い。しかし本当の主役は、極めて地味で目立たない作業である…。
そのようなゾイドを数多くリリースし、しかも輝ける舞台を用意してみせたのは、本当に凄いと思います。

しかも、電子戦機をひとつ出して終わりではなく、従来機が旧式化したら新型の電子戦機をきちんとリリースしているのが凄いと思います。

ディメトロドンの登場で、それまで最強の電子戦機だった共和国軍ゴルドスは、一気に旧式化してしまいます。
そしてそれは、共和国軍に新型の電子戦機ゴルヘックスを誕生させることになります。
裏方ではありますが、電子戦ゾイドの発展に目を向けると非常に面白いし、ゾイドの魅力がそこからどんどん湧き出てきます。

ディメトロドンはデザイン面もギミック面も傑作だと思いますが、その設定でもゾイド世界を限りなく広くした偉大な機体だと思います。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド ディメトロドン

暗黒仕様 ディメトロドン


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