メカ生体ゾイド ゼネバス帝国軍 重装甲格闘攻撃型 アイアンコング<IRON KONG>

■アイアンコング(ゴリラ型) データベース■

 発売年月:1985年9月  発売当時価格 3800円  動力 モーター

 型式番号 EPZ-002

 スペック 全長11.5m 全高(頭長高)14.8m 全高(ミサイル含)17.7m 重量187.0t 最高速度150km/h 乗員2名

 主な武装
  長射程対地ミサイル(×2) 6連装大型ミサイルランチャー ミサイルポッド 補助エネルギータンク 大型レーザー・サーチライト

 特徴
  その人間に近い体型からわかる様に、接近戦での格闘戦に抜群の力を発揮する。
  特に重火器類の有効でない、ジャングルや市街地において、その力をいかんなく発揮した。


前後より

ゼネバス帝国軍が誇る傑作万能機、アイアンコングです。
永らくゴジュラスに煮え湯を飲まされていた帝国軍が、ついに互角に戦えるゾイドとして繰り出しました。
レッドホーンに続く帝国大型ゾイド第二弾で、帝国側としては初めて「巨大ゾイド」と呼ばれる大きさを達成した機でもあります。
ドッシリと力強いフォルムが何とも魅力的です。

モチーフはゴリラで、大型ではゾイドマンモスに続いて二番目の「恐竜ではない」ゾイドです。
ただしマンモスは一応は古生物。完全な現生動物を採用した大型ゾイドはアイアンコングが初です。
しかもそれが当時ゾイドの顔として扱われていたゴジュラスのライバルになったのだから、かなりのインパクトがある事件だったと思います。


側面より

長い腕が特徴的です。
フォルムはまさにゴリラ。見事な仕上がりです。
強いて言えば脚が短いでしょうか。ゴリラの脚は腕よりは短いもののそれなりの長さがあります。


ただし、脚が短い事で相対的に腕のパワフルさがより強調されています。
緩急の上手なつけ方、良い誇張と言えるでしょう。

アイアンコングの魅力はギュッと詰まった感じだと思います。
密度をパンパンに詰めて、それを分厚い装甲で包み込んだ。
そんな作りゆえ、巨大ゾイドではありますが、同時にコンパクトな印象でもあります。

共和国ゾイドはビガザウロもゴジュラスもゴルドスも、「できるだけ大きく造っている」印象です。
一方の帝国ゾイドは「同一性能ならば出来るだけコンパクトに」仕上げている印象です。
その差がとても良いと思います。
脚の短いアイアンコングですが、そんな帝国らしいコンパクトな仕上げと考えても良いと思います。

脚の短さですが、それゆえ低姿勢でドッシリしたイメージをより強調しています。
長ければ胴体がもっと浮いた位置になり、安定した感じはやや薄れたでしょう。

ちなみに、アイアンコングの脚部は意外な弱点とされています。

自ら短い脚に触れて弱点と言う。ここから、脚部は誤まった認識で短くなったのではなく、「あえて」短くしたことが分かります。


フェイス

頭部デザインは非常に特徴的かつ最高です。
目のあるゾイドの中では初となる「左右つながった」形式をしています。
ラインは平坦。それゆえアイアンコングは無表情となっています。
また大型としては珍しく、口の開閉もありません。これも無表情さを強調しているでしょう。

どちらかというと帝国機は怒り顔が多い印象です。
しかもアイアンコングは当時としては「帝国最大最強ゾイド」として登場したので、普通に考えればつり上がった目をした恐ろしい表情になりそうなものです。
しかし、この無表情こそ魅力だと思います。
全身からは力、パワフルさがビシビシ伝わってきます。その上で顔は無表情。
だからアイアンコングは「帝国部隊を見守る総大将」「何も言わないけどそれゆえに頼もしい」という印象があります。
要するに大物感です。

レッドホーンは典型的な怒り顔で、まさに戦う意思にみなぎっています。

ただし、それゆえ部隊をまとめる総大将というより真っ先に敵に向かう先鋒というイメージもあります。
むろんレッドホーンは突撃機なのでこのデザインで最適です。

しかしアイアンコングは長距離ミサイルを持ち、後方から部隊を支援する事もあるゾイド。
またコックピットは複座です。その事も味方を指揮する隊長機のイメージを連想させます。
そのゾイドがドッシリ構えた大物という表情になっているのは最高です。

ちなみに無表情と言えば後発のデスザウラーもそうですが、これは無表情を超えて「冷たさ」を感じるレベルでした。

デスザウラーはあまりの強さから味方さえ恐れさせるゾイド。だからこの表情になったと思います。

アイアンコングはここまではいっていません。無表情ではあるが怖くはない。味方として頼もしく思える。頼れる親方。そんな力強いデザインです。
帝国ゾイドの頭部は、レッドホーン、サーベルタイガー、ディメトロドンは表情を持ち恐ろしいデザイン。
部隊のまとめ役とも言えるアイアンコングは無表情でそれゆえ頼もしいデザイン。
そして”最強”デスザウラーは異質な冷たさを持ったデザイン。
この使い分けがたまりません。


鼻のインテークはストレートな造形ですがとても好きです。この部分はパワフルさとゴリラらしさをこれでもかと表現しています。
ゴリラらしい額のラインと、そこに埋め込まれた大型レーザー・サーチライトの処理も見事です。
デザインもそうですが、キットのパーツ分けも巧みです。
特に頬の赤い部分のパーツ分けが巧みです。

多くのプラモデルは(特にこの時代においては)左右貼り合わせのいわゆる「モナカ」構造をしていました。それが最も単純で設計しやすいからです。
ゾイドの多くもこうなっています。

しかしアイアンコングは頬の赤い部分を実現する為に「前後で挟み込む」という非常に特徴的な構造をしています。

この部分からは高いこだわりを感じます。

頭部は上部がハッチになっており、開けるとおなじみのパイロットが乗っています。

先に書いた通り複座です。
設定として、一人は操縦・もう一人は火器管制となっています。このリアル感がたまりません。
非常に細かいところですが、実はコックピットは左右の計器類の造形に差があります。

これは座席パーツのアップです。座席前方のディティールに注目してください。造形が違う事が分かると思います。
言われなければ誰も気付かないであろう部分にまで徹底してこだわっている所です。

電飾もあります。

目と上部の大型レーザー・サーチライトが点灯の後に点滅します。
ゴジュラスに続く電飾搭載ゾイド第二弾です。電飾がある事も「ゴジュラスに並んだゾイド」を実感させていると言えるでしょう。

全体的に本当に見事で非の打ち所の無い完成度です。
ただ唯一、強いて超重箱の隅をつついた難を指摘するならコックピットハッチのゲート位置でしょうか。


額に注目。この部分はゲート跡が非常に目立ちやすくなっています。

ゾイドはそもそもの仕様として、ゲート位置に「美観」は求めていません。
美観ではなく「乱暴にパーツを切り取って作ってもギミックに支障が出ない」事を第一にしてあります。
なのでこの処理は当然で、難というのは気が引けます。ただ、そうはいっても特に目立つ位置です。
他にも「このゲート位置がなぁ…」というゾイドはありますが、個人的には全ゾイドを総合した中で最も難を感じるゲート位置がここです。

後の「MK-II」や「機獣新世紀版」は、成型色をメタリックにしているので綺麗に処理をしてもゲート位置が目立つようになっています。
改めて、これを難というのは指摘というより難癖です。重箱の隅をつつきすぎています。
ただし、あまりにも「デザイン」「キットの造り」「電飾の豪華さ」と傑作すぎる完成度ゆえ、少し気になります。


対ゴジュラス用、砲撃戦用ゾイド

「対ゴジュラス用決戦ゾイド」として開発されたゾイドです。
対ゴジュラス用ゾイドの第一号はレッドホーンでしたが、これは目的達成できず。戦力比は実に「3機がかりでようやく互角」という残念なものでした。
レッドホーンは「先手で砲撃」「ダメージを与えた後に突撃(格闘戦)でトドメ」という戦術を使っていました。しかしこれはゴジュラスの驚異的なタフさによって成功せず。
砲撃でダメージを受けつつも、底力を発揮するゴジュラスは突撃するレッドホーンを格闘戦で返り討ちにしたのです。

アイアンコングはレッドホーンの戦術を見直し「格闘戦での勝利はあきらめる」その代わりに「砲撃だけで倒す」事をコンセプトにしています。
全身には巨大ミサイルがあります。
中でも背中の長射程対地ミサイルは圧巻のサイズで、メカ生体ゾイドではこれを超える大きさのミサイルは特殊改造機を除けば最後まで登場しませんでした。

大きさ相応にとんでもない威力を持ち、ニ発しかないものの当たればゴジュラスを破壊できる超強力装備です。
射程は200kmもの長距離。これは後発のウルトラザウルスのキャノン砲の2倍もの数値です。

右肩にも大型ミサイルを持ちます。

これは6連装大型ミサイルランチャー。装填した6発のミサイルを全弾連射できるので「6連発ミサイル」の愛称もあります。
こちらも大威力で、ゴジュラスに大ダメージを与えます。
射程は50kmと長射程対地ミサイルの1/4ですが、対ゴジュラス用としてはそれでも充分な数値と言えるでしょう。

設定上、接近戦ではランチャーを手に持ちハンドガンのように使う事も可能です。
ただし残念ながらこれはキットでは再現されておらず、肩に装着する事しか出来ません。


砲弾も付いています。
弾は、実はサラマンダーの背中のミサイルと全く同じ大きさ・形です。
サラマンダーのミサイルを解析・コピーしたのか。それとも帝国軍が独自開発したのだがたまたま同サイズになったか。それは不明です。
ただサラマンダーは「大型ミサイル装備!」というのがウリの一つでした。
開発経緯は不明ながら、サラマンダーと同サイズのミサイルが主砲でなく「副砲」であり「6連発で撃てる」というのがアイアンコングの凄い所です。

余談ですが、「同じミサイルを装備」というとバリゲーターとハンマーロックもそうです。

背中のミサイルが全く同じ形状。これの開発経緯も謎です。
帝国が共和国と同じミサイルを二つも使っている……。この辺から想像を膨らませても面白そうです。

ミサイルは更にあります。左肩には10連装小型ミサイルポッドが付いています。


これは通常は隠されていて、フタを開けると中から現れます。
小型ゆえゴジュラスを倒すには威力不足ですが、10発を同時に発射する事が出来ます。
ゴジュラスに随伴する小型ゾイド……、ゴドスやガイサックを一掃する目的でしょう。あるいはゴジュラスでも牽制にはなるでしょうか。

これらのミサイルを撃つことで、ゴジュラスを遠距離から砲撃で倒す目標を見事に達成しました。


オールラウンダー

ミサイルを満載した超砲撃ゾイドですが、アイアンコングの能力はそれだけに留まりません。
「格闘戦ではゴジュラスに勝てないから砲撃メインにした」これは正しいですが、その実はかなりの格闘力も持ちます。
ゴジュラスに劣るというだけで、レッドホーンを大きく超える高水準があるのです。

ゾイドマンモスでは相手にならない。かなり後発のシールドライガーでも分が悪い。さらにかなり後発のディバイソンでようやく互角という所。
アイアンコングを正確に言うなら「砲撃戦用ゾイド」ではなく「砲撃も格闘も両立したゾイド」とした方が正しいでしょう。
これはまた、ゴジュラスのとんでもない格闘力が分かるものでもあります。

砲撃と格闘を両立している為、アイアンコングは単独で多くの任務をこなす事ができます。
機動力も最高速度が150km/hとフォルムからは想像できない程に高く、更にゴジュラスでは行動困難な山岳や森林でもある程度自由に行動する事が出来ます。

他にも優れたところがあります。
フェイス項目で触れた通り、パイロットは二名で機体操作と火器管制を分担しています。
それゆえアイアンコングは規模の割には操縦難度が低く、平均的な技量でも十分に能力を引き出せるようになっています。
おそらく正確に言うと、分担しているゆえに「短い訓練期間で十分な技量を身に付ける事ができる」のでしょう。
これは操縦に一騎当千の腕が必要なゴジュラスとはまさに正反対な仕様です。
猛者が乗った時、ゴジュラスは「単機として最強」になります。
一方アイアンコングは常に”一人前”のパイロットを大量に用意できる。兵器としては極めて優れた「最良」と言えるでしょう。

超砲撃力を持ちつつも、格闘戦も可能。
機動力も高く行動できる範囲も広い。
大型ゾイドにしてはパイロットの育成も容易。

まさに「万能」でありゴジュラスと対照的です。
アイアンコングの万能性は極めて魅力的であり、またゴジュラスと並べると互いの魅力がより引き立ちます。


巨大ゾイド

帝国初の巨大ゾイドであり、小型ゾイドはもちろんレッドホーンと比べても一回り以上は大きいです。
バトルストーリーでは、共和国に発見された時の台詞が「山が動いた」でした。
これはゾイド史に残る名言でしょう。アイアンコングのフォルムと巨大さをよく現しています。

両機を見ていると、装甲の付き方にやや差があると思います。
帝国ゾイドは広い範囲を装甲で覆う設計です。レッドホーンはもちろんそうだし、アイアンコングもボディ部分はそうなっています。
ただし腕と脚は割と剥き出しの部分が多く、帝国機としてはやや異質に見えます。剥き出しのメカを必要部分のみ装甲でガードするという設計は共和国寄りです。
もっとも装甲は絶妙な丸みを帯びており、帝国らしさは充分にあります。

帝国開発陣としても、おそらく従来機と同じように全て装甲で覆いたかったでしょう。しかしそうなると可動が悪くなる。
そこで防御力と可動のバランスを取った結果がこれなのでしょう。
アイアンコングの腕はレッドホーンと違って非常に長い。それゆえそのような設計になったと思います。

レッドホーンとアイアンコングは「対ゴジュラス用」という所で一致します。
砲撃・格闘・防御・機動力のバランスを極めて高くとりながらも敗北したレッドホーン。
砲撃に特化して達成したアイアンコング。
しかし先に述べたように、実はアイアンコングも砲撃に特化しつつもその他の能力も高いオールラウンダーです。
シルエットはまるで異なりますが、アイアンコングはレッドホーンの正当な後継機であり拡大発展版と言う事もできるでしょう。

ただ一点、レッドホーンが勝るところもあります。
アイアンコングの砲撃はミサイルに頼りすぎており、撃ちつくすと後がありません。対してレッドホーンは全身にビーム砲を満載しており存分に撃ちまくれます。
小型ゾイド部隊を連続して相当する場合、これにはレッドホーンが適しています。
万能ゾイドの唯一の難と言えるでしょう。

アイアンコングは、他の全ての帝国大型ゾイドが持つ「帝国共通武器セット」を持っていないことも特徴です。

ビーム砲やレーダーで構成されたコンパクトな強力装備。
これを積んでいればアイアンコングは更なる万能機になったと思います。
ただし、この難がアイアンコングをいっそう味わい深くしているとも思います。


カラーリング

カラーリングは「黒・赤」の純帝国カラーです。ただしこのカラーを採用したゾイドはアイアンコングが初です。
以前帝国軍は小型ゾイドは「銀・赤」 大型ゾイドは「赤・黒」で統一されていました。
つまり登場した時点では、このカラーは伝統ある帝国カラーどころか「初の試み」だったのです。

このカラーは大好評だった為、後にブラックライモスやデスザウラー等にも採用される事になります。
採用された機に共通するのは、いずれも「強力機」という事です。
アイアンコング以来、このカラーは「帝国最強カラー」として軍を象徴するカラーになりました。

なおカラー選定には長い道のりがあったようで、試行錯誤されたカラーが当時のカタログや雑誌で確認できます。

オリーブグリーンの装甲と青い内部。
正直、これにならなくて良かったと強く思います。

アイアンコングのカラーは初の試みでした。しかし帝国を象徴する「赤」を残しています。
というか、レッドホーンのカラーを反転させただけのものです。なので、初のカラーでありながらも最初から成功するに決まっている安心できるカラーだったと言えます。

ただ、「装甲部分を黒くする」というのは既に共和国軍が採用しているカラーでもありました。マンモスやゴルドスです。
なので、「レッドホーンのカラーを反転させただけ」ではあるものの、採用を決定するのは中々勇気が必要だったと思います。
「内部が赤いとはいえ……装甲を黒くしたら共和国機に見えないだろうか?」
そんな不安があった筈です。ですがそれを跳ね除けよくぞ採用してくれたと思います。

黒い装甲は銀よりも赤よりも硬く強そうなイメージがあります。
まさに帝国最強カラーとして最適だと思います。


ギミック

傑作アイアンコングは、やはりギミックも傑作です。
電動ゾイドなので、電池を入れてスイッチを入れると元気に動きます。
ちなみに動力ボックスは「レッドホーン系カスタム」です。色が赤いのも特徴です。

ガワの形が多少変わって追加装備(後述)が付いていますが、基本的にはレッドホーン系です。
腹部を見てもそれは明らかです。

連動ギミックは「顔を左右に振りながら」「目を光らせながら」「腕の関節を動かしながら」「ミサイルを回しながら」「うなり声をあげながら」前進するです。
全身ギミックの固まりです。

目の発光はゴジュラスに続いて二番目ですが、システムは異なります。
ゴジュラスでは発光が独立した別スイッチになっていましたが、アイアンコングではメインスイッチに統合されています。
これはなかなか革新的な事でした。

腕関節の動きは見事です。

長い腕がこれだけ表情を変える。
これは本当に見事です。

ミサイルの回転も嬉しいギミックです。やはりメインの武器が動くと、これこそがアイアンコングの特徴だと強く思えます。
まぁ、コンクリートミキサー車でもあるまいし、なんでミサイルを回すんだという冷静な突っ込みもないわけではありませんが……。
ただ理屈よりも、回転する事で巨大ミサイルの力強さは分かりやすく強調されています。なのでこれで良いと思います。
(また、このような一見して「?」な事をアレコレ考え自分なりの見解を導いていくのが良い楽しみ方だと思います)

うなり声は特徴的なギミックです。
サウンドユニットを積んでいるわけではなく、一定周期でギアがこすれるようになっています。
なのでそのタイミングで「ギーー!」という大きな音が鳴りうなり声に聞こえるというわけです。
このギミックは極めて珍しく、他ではキングゴジュラスにしか採用されていません。

正直ギアがこすれる音なのでゴリラらしい声かと言われるとかなり「?」です。
ただそれなりに迫力はあるし、他とは違う別格感はあります。なければ寂しいです。
なお音はキングゴジュラスに比べればささやかなレベルで、部屋でも問題なく動かせるレベルです。

動力ボックスはレッドホーン系カスタムと書きました。
これはうなり声ギミックをはじめ、追加ギミック実現の為に追加の機構を入れているからです。
これだけの追加ギミックを入れるなら、もはや1から設計しそうなものです。
しかし既にあるレッドホーンの動力ボックスを活用しつつカスタムして実現した。これは高い工夫で、コストダウンの面からも凄いと思います。

 

手動ギミックも優れています。
「コックピットの開閉」「左肩10連ミサイルポッドのハッチ展開」「6連発ミサイルの発射」です。
この中で6連発ミサイルの発射は特筆です。
6連発ミサイルはバネによる撃ち出しギミックがあり、スイッチを押すと実際に弾を発射できます。
ミサイル発射はサラマンダーと同じギミックですが、「6連発」の名の通り6連射できます。
しかもランチャーを取り外せばちょうど子供の手になじみやすいサイズになっています。
なので遊びがいは最高と言えるでしょう。

あとは、ギミックと言えるかは微妙ですが腕と脚の装甲は全て外す事ができます。

装甲を全て外すとさすがに貧弱ですが、後年のライガーゼロの素体のようなイメージでもあります。
それにしても腕は見事な造り込みです。装甲を外すとそれがより分かります。

ギミックは、連動も手動もオマケ的な所も全て、帝国最強を背負って登場したゾイドに相応しく極めて優れていると思います。


戦歴

この傑作機に相応しく、戦歴も光るものがあります。
しかしその戦歴は見る人によって評価が分かれるでしょう。
勇ましくあり、同時に悲壮でもあります。

ゴジュラス無敵時代、帝国がその脅威にさらされる中で完成したアイアンコングは、登場と共に猛威を振るいます。
その巨大さで共和国兵士を「山が動いた」と驚かせ、その直後から行動開始します。

長距離砲撃ができる事から火力支援が不要、つまり単独での敵地侵入も可能。こうして基地を破壊したりゴルドスを一撃で破壊したりと華々しいデビューを飾ります。
更に天空の王者サラマンダーをも撃墜する快挙まで挙げています。

アイアンコングは大型ゾイドとしては生産性にも優れており、日に日に数を増やしていきます。
その数が150にまで増えたところでゼネバス皇帝は共和国首都の攻略を決意、全コングを導入した大進撃を開始します。
またそれを迎え撃つゴジュラス200機との戦闘も勃発。ここに、かつてない大決戦が起こりました。


伝説の決戦です。この戦いで、アイアンコングは目標通りに遠距離からの砲撃でゴジュラスを破壊します。
しかし200機のゴジュラス全てを排除する事は叶わず、撃ちもらした生き残りは距離を詰めて格闘戦を展開。
こうなるとコングは不利になり、最終的に決戦に敗北し撤退したのでした。

思うに、アイアンコングの戦歴はいつも「惜しいところまでは行くんだけど……」というパターンが多いです。
これは各種改造タイプも含めてです。
MK-IIの「大氷原の戦い」や、帝国首都決戦時のブロンズコングの戦い。
アイアンコングは一時的に暴れまわり戦いを「あと一歩で勝利」の所までは早期に行きます。ただその後の最後の一歩が押し込めない。
いつも共和国軍の奮闘で逆転敗北を喫する。
コングシリーズには、そんな勇壮でありながらもわずかな差で決定打になれない不遇なイメージがあります。

 

ただし、決定打になれずとも超強力機である事に変わりはありません。
ここ一番の決戦には逆転敗北が多いのですが、コンスタントに勝ちを得るシーンもあり強い印象は常に保っています。

D-DAY後も帝国軍の中核としてよく戦っています。
また負けるシーンにしてもあっけなくやられる事はありません。最終的に負ける事は多いものの、猛攻して恐怖を与えるところまでは行きます。
なのでやはり強い印象をよく保っています。
そしてデスザウラー就役と同時に同機に帝国最強の座を譲り、また同時に標準仕様が「MK-II量産型」に移行しノーマルタイプの生産は終了しました。

 

帝国最強ゾイドとして登場し、超強力機として猛威をふるいながらも遂に決定打にはなれなかった。
しかし「着実」に戦果を挙げ続けた。それは間違いなく傑作機と呼べるものである。

人によって評価が分かれるでしょう。
着実な戦果はレッドホーンのような機体にこそ似合う。最強を背負って登場したアイアンコングは決定打になって欲しかったという意見もあると思います。
ただ個人的には、最強を背負って登場したアイアンコングが「期待通りの強さと着実な戦果を店ながらも遂に決定打にはなれなかった」という部分に何とも言えない魅力を感じます。


傑作万能ゾイド アイアンコング

その完成度の高さには改めて驚かされます。
しかしよくぞゴジュラスのライバルにゴリラを選んだなぁと思います。
まぁ、ぶっちゃけて言えばキングコング対ゴジラではあると思いますが。
初期はモルガといいサラマンダーといいかなり意識しすぎです。
残っているのはキングギドラかアンギラスかキングコングか。
キングギドラはその独特の形状ゆえ出すと一切の言い訳ができない。アンギラスはライバルというより舎弟か仲間だし…。となるとキングコングに行き着いた気がします。

しかしゴリラをここまで精悍パワフルな魅力あふれる造形にしたことは本当に凄いと思います。
ゴリラはどちらかというとちょっと抜けたところがあるイメージで描写されがちで、多くのゴリラキャラがそうなっています。
82年にゲーム&ウォッチ版、83年にファミコン版が出て大流行していた「ドンキーコング」のイラストもちょっと間抜けなイメージが入っています。
メカニコングもどこかユーモラスな造形でした。

アイアンコングはユーモラスな分部は一切ありません。
カッコいいゴリラを目指し、そして達成しています。
ゴリラ型戦闘メカというのは、一歩間違えればとんでもないズッコケ具合になった可能性もあるでしょう。
それを思えば、ますますアイアンコングの完成度は凄いと思います。

時に「帝国軍最優秀ゾイド」とも称されるアイアンコングですが、見れば見るほど・考えれば考えるほどその魅力に気付いていきます。


バリエーションモデル

メカ生体ゾイド アイアンコングMK-II限定型

メカ生体ゾイド アイアンコングMK-II量産型

機獣新世紀ゾイド アイアンコング

機獣新世紀ゾイド アイアンコングPK

ゾイド妄想戦記 アイアンコングイエティ

トイズドリームプロジェクト 復刻版アイアンコングMK-II量産型


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