メカ生体ゾイド ゼネバス帝国軍 ゼネバス首都方面軍第3防空隊 シュトルヒ<STORCH>

■シュトルヒ(始祖鳥型) データベース■

 発売年月 1986年12月  発売当時価格 780円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 EMZ-29

 スペック 全長13.2m 全高6.1m 全幅12.8m 重量19.2t 最高速度M2.1 乗員1人

 主な武装
  ビーム砲(×2)  SAMバードミサイル センサー

 特徴
  絶対制空権を奪取すべく密かに開発された本格的、軽格戦闘メカ。


前後より

帝国初の本格空戦ゾイド、シュトルヒです。

その開発は絶対制空権の奪取を目的としています。
カラーリングは真っ赤な皇帝親衛隊カラーで、このカラーを採用した小型ゾイドとしては、ツインホーンに続き二機目です。
その体つきはどこまでも細く、華奢という言葉が似合います。その細く小さな体に真っ赤な闘志を燃やしたシュトルヒは、それだけで格別の魅力があります。

帝国初の本格空戦ゾイドというのは、少し語弊のある言い方かもしれません。というのも、航空ゾイドとしては先にシンカーが存在します。
しかしシンカーは空戦に特化した設計とはとても呼べず、本格的な空戦ゾイドとしては、やはりシュトルヒを以ってすべきだと思います。

思えば帝国は、常に共和国に空の戦いで劣勢を強いられていました。
初期においては、グライドラー、ペガサロスを有する共和国に対抗手段を持たず、ようやくシンカーを投入して対抗すれば、すぐにプテラスやサラマンダーを投入される。
制空権の確保は勝利の為の重要条件。いかに帝国が辛い戦いを強いられていたかは容易に想像できます。
シュトルヒはそんな状況の中、開発されました。

帝国初の本格空戦ゾイドのモチーフとして、始祖鳥を採用した事が素晴らしいと思います。
始祖鳥はいわずもがな、最古の鳥。最初の本格空戦ゾイドのモチーフに最初の鳥類を選んだセンスは本当に素晴らしいと思います。


側面より

流れるようなラインが非常に美しく、航空機として理想的なスタイルをしています。
そしてやはり、その徹底的に細い体つきが特筆です。ヒラリという言葉の似合う機体だと思います。

ネーミングも特徴的です。
シュトルヒというのはドイツ語でコウノトリを意味します。
ただそこから取られたのではなく、ドイツ軍のFi156多目的航空機 通称シュトルヒから取られていると思います。

鈍足ながら、偵察・弾着観測・連絡飛行・負傷兵輸送などの多目的任務を器用にこなす万能機で、もちろん機体の性格としてはゾイド・シュトルヒとは大きく異なります。
しかし非常に細身で華奢な外観などはどことなくシュトルヒを思わせる気がします。
マルダーと共に、ドイツ軍からのネーミングを採用した機体。大好きなネーミングです。


フェイス

頭部デザインは特徴的です。
このクラスの帝国ゾイドにしては珍しく、共通コックピットを使用せず独自設計のコックピットを採用しています。
やはり皇帝親衛隊ゆえのものでしょう。

しかし独自設計ながら、帝国共通コックピットと共通性を感じさせるようにデザインされており、そのセンスは非常に高いと思います。

シュトルヒの頭部は、共通コックピットを多少複雑化させた感じに見えます。
「独自でありながら共通性を感じさせる」このような処理は本当に素晴らしい事です。

頭部はコックピットになっており、開くと中に兵士が乗っています。開き方は共通コックピットと同じような、後方に開くタイプです。

上部に装備されたセンサー装備も、高性能機を感じさせる上手い処理だと思います。
とにかく、非常に良い頭部になっています。

しかし一点だけ惜しい点を言うと、側面から見ればよく分かりますが、隙間が空いてしまっています。
ここがもし共通コックピットと同じようなクリアパーツで覆われていれば完璧だったと思います。この点のみ惜しいと思います。


始祖鳥型ゾイド

モチーフは始祖鳥です。
造形的には、まさに始祖鳥が再現されており、モチーフ再現度のかなり高い部類と思います。

初期航空ゾイドの特徴と言えば穴のあいた翼ですが、シュトルヒもその例に漏れていません。
しかし穴のあけ方が共和国ゾイドのものとは違う処理になっており、細かい所まで両軍のデザイン的な差が出されており秀逸です。
また翼のデザインで特筆なのは、後縁の処理です。 始祖鳥の羽を模すと共にフラップを思わせる処理になっている所で、その完成度は特筆だと思います。

まさにメカと生体の融合したデザインだと思います。
武装も綺麗にまとまっており、特に、胸部のビーム砲の配置は秀逸だと思います。

また、背中のバードミサイルも、シュトルヒを語る上で必須でしょう。

名の通り鳥を模したミサイルで、シュトルヒ最大の武器です。
バードミサイルは一発しか背負っておらず、強力な反面、外したらそれまでの装備です。
ビーム砲でプテラスと戦いつつ敵編隊の中心に突撃。編隊中心に居るサラマンダーに必殺の一撃を叩き込むといった感じでしょうか。
何とも燃える戦い方だと思います。

シュトルヒのスタイルは、なかなか空戦に適した姿だと思います。
実は、戦闘機の機銃の命中率というのは、胴体が長いほど向上します。というのも、長いほど射撃時のブレが少なく済み、射撃安定性が向上する為です。
安定した射撃が期待出来る為、かなり高い命中率が期待できそうに見えます。
そんな所も良いと思います。

強いて惜しい所を探すとすれば、翼に付いた爪でしょうか。
デザイン自体は何ら問題なく素晴らしいものですが、設定が無いので何の装備なのか分からずもどかしいです。
握って使うクローなのか、何らかの弾を発射する砲なのか。ここは回答が欲しいと思います。


シンカーと共に

帝国初の超音速ゾイドですが、シンカーと比べると、改めて非常に細い機体である事が改めて分かります。
装甲も非常に薄そうに見え、いかに帝国が必死で速い機体を作るために必死になったかが分かるような気がします。

比べると、本当にシュトルヒは軽快なイメージで、戦闘機らしいフォルムをしていると思います。
その分、ギリギリの設計で余裕がない造りである風にも感じもします。

個人的に、シュトルヒには零戦のようなイメージを持ちます。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。
連動ギミックは、翼を羽ばたきながら2足で歩行します。
2足歩行はマーダが既に行っていたものですが、シュトルヒは「巨大な翼を動かしながらも、2足歩行のバランスを保っている」点が特筆だと思います。
また、「足は左右交互に動く」が「翼は左右対称に動く」事も、改めてゾイドの凄さを感じます。

翼は大きく動きます。
どちらかというと翼を「下げる」でなく「上げる」方に長けています。翼を大きく持ち上げ、そして下げる時は水平角度くらいまでで止まります。
なので、誇らしく羽ばたいているように見えるのは良い事だと思います。

連動ギミックは上記の通り見ごたえがありますが、加えて手動ギミックも優秀です。

手動ギミックは多くあり「翼の角度」「尾の角度」「エアブレーキの操作」「ビーム砲の仰角」「コックピットの開閉」があります。
このクラスとしては非常に豪華な仕上がりです。
砲の仰角とコックピットの開閉はおなじみのギミックですが、その他はどれも特筆すべき素晴らしいギミックです。

翼の角度は、連動ギミックで動くのに加え、真ん中から翼自体の形状を編渇させる事ができます。

ガル翼から逆ガル翼まで、かなり大きく形状を変化させられます。
航空機の命たる翼が大きく特徴的に動くというのは、まさにあるべきものであり嬉しいギミックです。
ライバル・プテラスの翼も、形状を大きく変化させる事が可能な仕様になっていましたが、シュトルヒも負けていません。
差を出しつつ負けないギミックを付加するというのは、本当に素晴らしい事だと思います。
また、驚くべき事に,翼の角度をどのようにしても連動ギミックには支障がありません。

尾部も大きく動きます。

角度がかなり大きく付く為、空戦時の様々な機動を想像しやすいです。

エアブレーキも面白い装備です。

バードミサイル後方にあり、引き起こす事ができます。いかにも航空機な装備で素晴らしいものです。
また、エアブレーキを開いた中にもメカニックが詰まっているのが小気味良いと思います。

手動ギミックで素晴らしいのは、翼も尾部もエアブレーキも、全て飛行性能に関わるようなものになっている事だと思います。

総じて、ギミックは非常に優秀で素晴らしい機体だと思います。


戦歴

戦歴は、正直、いまひとつぱっとしていない印象です。
そもそも、絶対制空権の奪取を目的に開発されているにもかかわらず、残念ながらその任務を果たす事は出来ませんでした。

最も、就役はウルトラザウルス登場の少し後。従って、戦況不利が決定的になった時点で登場したのが不運という事はありました。
戦況不利な上に生産数もなかなか揃わない。帝国初の超音速機だけにパイロット育成も大変。
そんな中で、プテラスに圧倒された事は想像に難くありません。

バトルストーリーでの登場回数も、極めて少ないです。
唯一、有名なのは、共和国軍によるゼネバス帝国首都攻略戦時に、四方を敵に囲まれる中ゼネバス皇帝を乗せて見事脱出したエピソードでしょうか。
この戦歴は「親衛隊機」という設定ともぴったり合致する名エピソードです。
ただ、できればプテラスとの激しい空中戦も一度くらいは見せてほしかったと思います。
たとえ、絶対制空権の奪取を目的に開発されながら、ついにその目的を果たす事がかなわなかった悲運の機体だとしても。

この他では目立った戦歴は、あまりありません。レドラー登場以降はほとんど登場せず、早々に退いていった感じがします。
長らく運用され続け、後継機レイノス就役後にも大々的な運用が続いたプテラスと対照的です。

学年誌のバトストを探すと、多少活躍が見つけられました。

ゴジュラスを強襲したり、プテラス基地を攻撃したりしています。
VSゴジュラスのものは、サーベルタイガー、ツインホーン、シュトルヒでゴジュラスに挑むというもので、この時代の王者に果敢に挑んでいるのは勇ましいものです。
プテラス基地を襲うものは、基地ハンガーで待機中のプテラスを襲撃したというもので、10機の破壊に成功したとあります。
両者から察するに、割と、対地性能の高い機体だった事が伺えます。

しかし残念ながら空戦能力を示すようなエピソードは見つかりませんでした。
プテラスとの交戦も、上記の待機中のものを一方的に破壊したというのみで、空戦を繰り広げた記録は発見できませんでした。
実際は、少なくとも何度かは交戦しているとは思いますが…。

そしてレドラーが主役した後は、先に書いたようにほとんど登場しなくなりました。
勇ましい設定で登場した割に、その戦歴は非常に物悲しいものでした。


軽戦闘機 シュトルヒ

帝国初の超音速戦闘機。しかし待ち受ける運命は非常に苛酷で、シュトルヒに厳しい現ものでした。
しかしシュトルヒの存在は無駄ではなかったと思います。

後継機レドラーは、共和国空軍をまさに圧倒。空での無敵時代を長く築く事になります。
そこには、シュトルヒという貴重な技術的蓄積と、パイロット的にも超音速機の経験という貴重な糧があったからでしょう。

そのような事を考えると、確かにこの段階としてはそれほど活躍出来なかったのは事実である。しかし、帝国空軍の礎であり、始祖に相応しい存在であると思います。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド シュトルヒ


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