メカ生体ゾイド ゼネバス帝国軍 戦闘機械獣 ハンマーロック<HAMMMER ROCK>

■ハンマーロック(ゴリラ型) データベース■

 発売年月 1986年7月  発売当時価格 780円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 EMZ-26

 スペック 全長5.6m 全高6.7m 全幅5.9m 重量26.8t 最高速度180km/h 乗員1人

 主な武装
  誘導対空ミサイル(×4) 連装ビーム砲 バルカン砲パック 機銃(×2)

 特徴
  小型、軽量、本格的格戦闘用のタイプ。
  あのアイアンコングの実戦結果、有効性を教訓に開発されたもので、大型獣の補佐を任務としていたが単独でも十分に作戦可能な機体といえる。


前後より

ゼネバス帝国重パワー小型ゾイド、ハンマーロックです。イグアンに続く強力な新型歩兵ゾイドで、帝国軍の力を大きく底上げしました。
アイアンコングを小型化した機体です。
細かいですが、機体説明の「あのアイアンコングの」という表現が好きです。アイアンコングはやっぱり凄かったんだなぁというか、そんな風に思えます。

デザインとしては、ゴリラ型として綺麗にまとまっていると思います。
アイアンコングの小型化ですが、単にダウンサイズしただけではなく、各所に小型ならではのアレンジがあるのが素晴らしいです。
アイアンコングのディティールを程よく残しつつ、適度に簡略化されている。そのバランスが絶妙です。その上で、ハンマーロック独自のデザインも随所にみられます。
この差こそ、アイアンコングの廉価版として機能しつつ、なおかつそれだけじゃ少し不満もある…やっぱり大型のアイアンコングが欲しくなる。
そんな絶妙なバランスだと思います。

ゴリラ型らしく、巨大な腕が特徴であり、魅力的です。
小型ゾイドはキットに大胆な肉抜きがある事が多いですが、ハンマーロックの腕は、裏面にもキッリチと埋まっています。
逆に脚は大胆な肉抜きがあり、腕を重視した造りになっている事が分かります。

腕のデザインは、ひじ関節がいかにも動きそうなデザインなのが好きです。
キットでは固定なのが惜しいですが、実物の可動を想像して楽しめます。


側面より

側面から見ると、綺麗なシルエットが分かります。
ゴリラ型の綺麗なラインを保ちつつ、各所にバランスよく武装が付いています。

最大の武器は巨大な腕で、格闘戦を最も得意とする機体です。ですが、火器もこのクラスとしては標準的な量を搭載します。
肩には連装ビーム砲とバルカン砲パックを持っています。左右非対称なのはアイアンコングと共通し、ニヤリと出来ます。
背中には、アイアンコングと同じ位置にミサイルを持ちます。
ビーム砲、実弾砲、ミサイルと、搭載火器はそれぞれ性能の異なったものです。それゆえ、ハンマーロックは優れた汎用性を示すものと思われます。

設定所「大型ゾイドの補佐」が主任務です。この汎用性の高さを活かし、あらゆる曲面で素晴らしいサポートが出来たものと思われます。
また、ゴリラ型特有の器用な腕は、工兵としても優秀な機能を示したと思います。
砲弾の運搬や陣地の構築など。そういった方面でも活用されたと思います。
そして、もちろん単独でも高い戦力を誇る。
まさに万能小型ゾイドです。

ところで、背中のミサイルの形状は要注目です。
共和国側のバリゲーターと同じ形状をしています。

帝国側がコピーし同形状のものを作ったのか。スパイが暗躍したのか。中立企業が暗躍したのか。
その事情は謎ですが、その「何故?」を考えてみるのも面白いかもしれません。

このミサイルのデザインは好きです。
ただ、いかんせん共和国ゾイド用にデザインされたものなので、ディティール的にゴツゴツというか、帝国的シャープさに欠ける気はします。
大きさはシックリ来るし、似合っているとは思います。
しかし贅沢を言えば、専用のものであれば良かったなぁと思わなくもないです。


フェイス

顔付きは何ともゴリラです。
おなじみの、帝国共通コックピットを使用しています。そのデザインは傑作です。
個人的に、ハンマーロックのコックピットは、全ての共通コックピットを使用したゾイドの中で最高の出来だと思っています。

あの共通コックピットが、ヘルメットをかぶせる事で見事なゴリラ顔になっています。
ヘルメットで化けるといえば、ヘルキャットも同じ処理を行っていました。

しかし、ヘルキャットはジャガー。上手く化けつつも、やはり牙が無いのがどうしても気になるところではありました。
その点、ゴリラ型のハンマーロックはそういった違和感を感じる事もありません。

また、ヘルメットはモナカ構造になっていますが、合わせ目をディティールに見せる処理がされているのが優れています。
合わせ目をディティールに見せる構造は、ゾイドではあまり見かけません。
しかしハンマーロックを見ていると、もっと他でも採用しても良かったのではと思います。

コックピットは二重構造になっています。
ヘルメットを開け、そして共通コックピットのハッチを開ければ、中にパイロットが座っています。

二重装甲は、いかにも重防御な帝国機な感じがして大好きです。
また、ヘルメットと別に開けられるのが良いです。
ヘルキャットは個別に開ける事が出来ず、一緒に開ける事しか出来ませんでした。

ただ、弱点もあります。

ヘルメットは後部で留められており、その構造上、横を向ける事が出来ません。共通コックピット部分だけなら横を向く事も出来いますが…。

横を向ければ表情付けが大きく出来、魅力を大きくしたと思います。この点は残念です。
ちなみに、何度か比較対象にしているヘルキャットは、ヘルメットを付けた状態でも横を向く事が出来ます。
両者、一長一短です。


アイアンコングと共に

アイアンコングと並べると、その魅力は倍加します。やはり、同モチーフの機体を並べると映えます。
この当時、ゴジュラス・ゴドスの存在から、「共和国=肉食恐竜型」というイメージが強いものでした。
そして、ハンマーロックの登場によって、「帝国=ゴリラ型」というイメージが付いたと思います。

先に「単にダウンサイズしただけではなく、各所に小型ならではのアレンジがあるのが素晴らしい」と書きました。
並べると、それはより分かります。
胸部の感じなどは特に素晴らしいと思います。
また、コックピットの処理の秀逸さも、こうして並べると、より分かりやすく感じます。

両ゾイドとも強力機ですが、同クラスのゾイドが連携する事で、その威力は倍加したと思います。
武装を見ると、ビーム砲や実弾砲があり汎用性に優れているのはハンマーロックです。
そんな武装の差から、この両機の連携した戦いの模様を想像しても面白いと思います。


小型格闘王

小型ゾイドとしては最高レベルの重パワー機で、その格闘力は目を見張るものがあります。
その設定も、この強力な腕を見ていると、うなづく他ありません。
パンチはあのゴドスを吹き飛ばすもので、新鋭小型ゾイドの力をよく表しています。

既に、先に就役したイグアンやヘルキャットは、ゴドスを上回る能力を示していました。
しかしイグアンはどちらかというと豊富な火器や向上した運動性で上回ったもので、ヘルキャットはスピードで勝ったものでした。
対し、ハンマーロックは真正面からの打ち合いで圧勝したもので、まさにゴドスを完全に小型格闘王から引き摺り下ろしたと言えます。

「小型ゾイドでは、両軍を通じて最強であろう」とは、就役時にハンマーロックを評した言葉です。
まさにその言葉通りの能力を示しています。メカ生体ゾイドでは、最終的にハンマーロックを格闘戦で上回る同クラスゾイドは、最後まで出現しませんでした。

ところで、ゴジュラスとアイアンコングでは、格闘戦ではゴジュラスが上回ります。
ところが、ゴドスとハンマーロックでは、格闘戦で優位を示すのはハンマーロック。そこが面白い所でもあります。


新世代歩兵ゾイド

小型ゾイドでは、長らくゴドスが最強の座に就くものでした。
帝国軍は慢性的に苦しめられていましたが、イグアン・ヘルキャット・ハンマーロックの登場によって、ようやく対抗できるようになりました。
今まで勝てなかったのに、いきなり勝てるゾイドを3機も作ったのだから大したものです。

ヘルキャットはサーベルタイガーに随伴するゾイドだから、歩兵とは少し違うように思います。
ハンマーロックは歩兵ですが、大型ゾイドの補佐というのが主任務です。
そして、イグアンが主力歩兵ゾイド。

高速部隊にはヘルキャットが。
大型ゾイド部隊にはハンマーロックが。
小型ゾイド部隊の中核にはイグアンが居たのでしょう。

こうしてみると、この時期に登場した3種類のゾイドは、いずれも役割が分担できているように見えるのが面白いです。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。
ギミックは、平均的な出来です。連動ギミックとしては、前進するのみです。ちょっと寂しいです。
腕も脚も関節は無いので、付け根から動くのみです。

ただ、手動ギミックはなかなか魅せるものがあります。
手動ギミックは、ビーム砲の旋回、バルカン砲の旋回、肩のミサイルの仰角、胸部ハッチの開閉、二重コックピットの開閉です、コックピットの旋回です。
なかなか多いです。

最も特徴的なのは、胸部ハッチの開閉でしょう。この部分が前に開いて、中が見えます。
コックピットが二重に開く事と併せて、メンテナンス的な感じを演出できます。
開けた中は、なかなかメカニカルなディティールが入っています。左右非対称で作られているのはとても凝っています。
戦闘的なギミックではなく、かなり変わり種なギミックですが、なかなか面白いです。

総合的には、連動ギミックは寂しいものの手動ギミックで特徴があり、平均点をあげても良いかなと思います。


戦歴

戦歴は、あんがい目立ったものは無いなという印象です。
このクラスとしては格闘戦最強を誇り、ゴドスに対して圧勝と言えるほどの性能を見せました。

しかし、既にイグアンがゴドスを倒した後という事もあり、そこまでの鮮烈さはありませんでした。

イグアンは、小型格闘王ゴドスを倒し鮮烈デビューを果たしました。ハンマーロックはそれより更に格闘力が強く、そう聞くとかなりのインパクトがありそうです。
しかし、倒した描写としてはゴドスを倒すもの。

ハンマーロックにとって不幸だったのは、共和国側がゴドスを上回る新格闘王を開発しなかった事かなぁと思います。
イグアンがゴドスを下す→共和国新型がイグアンを下す→さらにハンマーロックが倒す だったらもう少し引き立つものがあったと思います。
ゴドス以降の共和国小型ゾイドは、バリゲーター、プテラス、スネークス、カノントータスと、どれもゴドスの後継機ではないものばかりです。
対応する相手の不在により、やむなくゴドスを倒す描写に留まった…。

一方で、そんなに同じ性格のゾイドばかり作ってもしょうがない。多種多様なゾイドを出してこそ面白いと思います。
なので、共和国軍がゴドスの後継機をあえて出さなかったのは良い事だったとも思います。

第一次中央大陸戦争では、やや地味ながら活躍を続け、帝国敗北まで戦い抜いています。
D-DAYも長く運用が続けられており、各地でその姿が確認できます。
しかし、この頃になるとHiユニットを搭載した中型ゾイドが登場しており、さすがのハンマーロックも苦戦が続いていた事が伺えます。
残念ながら、Hiユニットを搭載した恐竜型やゴリラ型は開発されておらず、その事もありハンマーロックは旧式化しながらも運用が続けられています。

アロザウラーやベアファイターに苦戦しつつも、時に善戦しながら戦い抜き、最終的には第二次中央大陸戦争終結時まで運用されています。
上の画像はデスザウラーVSマッドサンダー時のもので、マッドサンダーの護衛機のベアファイターを、二機がかりで死に物狂いで引きはがしている勇壮なシーンです。
もとより旧式化は承知の上。しかしそれでも戦う姿に惹かれます。

戦歴は、性能の割には地味な部分もあります。しかし、充分に魅力的であり、惹き付けるものをもっていると思います。


万能小型歩兵 ハンマーロック

アイアンコングの小型量産版。アイアンコング的な部分と、独自の魅力を放つ部分。そのバランスは何度見ても絶妙です。
コックピットの処理も素晴らしく、傑作機として良いと思います。

個人的に、ハンマーロックでもう一つ印象深いのは、遠景モデルとしての使用です。

画像真ん中の、コングMK-II限定型は、ハンマーロックからの改造で作られています。(さらにその奥のものは、ビッグポーズに色を付けたものです)
アイアンコングの遠景としては、ハンマーロックの改造が使われている事が多く、それを探すのはマニアックなバトストの楽しみ方です。
その中でも、この限定型は素晴らしい化け具合を誇り、強く印象に残っています。

このモデルですが、既にビッグポーズがあったにも関わらず、わざわざハンマーロックを改造して遠景用コングに仕立てているのが謎です。

こっちを改造した方が手っ取り早い気はします。実際、後方にはビッグポーズのものも居るし…。
しかし、思うに、作者も楽しんでやっていたのかなぁと思ったりします。その辺が感じられるのが好きです。

少しハンマーロックから話がそれましたが、その辺の事もあり、ますます印象に残っているゾイドです。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド ハンマーロック

 月刊ゾイドグラフィックス ハンマーロック


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