メカ生体ゾイド ゼネバス帝国軍 超高度空撃型 レドラー<REDDRA>

■レドラー(ドラゴン型) データベース■

 発売年月 1988年1月  発売当時価格 1000円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 EHI-7

 スペック 全長17.0m 全高6.0m 全幅15.0m 重量34.0t 最高速度M3.0 乗員1名

 主な武装
  引込式切断翼 格闘戦用脚(×4) 可変収束レーザーサーチライト 放熱システム 太陽エネルギー吸収翼

 特徴
  帝国軍の最新鋭、超音速戦闘機械獣。垂直離着陸が可能ですぐれた運動性を誇っている。
  機体は翼も含めて非常に頑丈で、空中戦ではすれちがいざまに切断翼を用いて敵の機体をまっ二つにするすさまじい戦法を得意とする。
  機首は着陸時の前方視界を確保するために折り曲げることができる。


前後より

帝国軍が誇る最新鋭超音速戦闘機です。
従来のゾイドと比べ、圧倒的にシャープな造形が魅力的です。空戦に特化した強力な戦闘機という感じがひしひし伝わってきます。

従来のゾイドは、とにかくメカの造り込みが激しく、そのゴチャメカ具合で素晴らしいリアルを生み出していました。
しかしレドラーはそれを廃してまで、シャープさを追求しています。
まさに空戦ゾイドとして「速さ」を極限まで押し出したデザインと言えるでしょう。

もちろん、従来のような圧倒的造り込みは廃されたといっても、アッサリ目ではあるが的確な造り込みで行われています。
その為、リアルメカ・ゾイドとして胸を張れるラインは維持しています。
後の、暗黒大陸編以降では、シャープさを追求したゾイドが多く出現しました。
しかし残念ながらメカ的な作り込みが的確でなく、「シャープではあるがメカ的にリアルでない」ゾイドも幾つか誕生したように思います。
そういったゾイドと比べると、レドラーのシャープさとリアルさの絶妙なバランスの取り方、メカ生体としての素晴らしい完成度が分かります。

前・帝国主力戦闘機であるシュトルヒと比べると、いかにも速く強力になった事が一目で分かります。
その一方、リアルメカである部分も、造り込みは減りつつも的確に行われているのが分かると思います。


次期帝国主力戦闘機として、理想的な進化だと思います。

また、名称の秀逸さも特筆です。
赤いドラゴン型、すなわちRed Dragonを略してREDDRA「レドラー」になっています。
このネーミングも非常にハイセンスで、スピード感にあふれています。


側面より

側面から見ても非常にシャープです。
流れるようなラインが非常に美しく、惚れ惚れします。

流麗である部分以外で特筆点を言うと、メカの造り込みにおいて要注目な所があります。
首や腰に付いている排気口(?)のようなパーツですが、これはデスザウラーやブラキオスの造りに似ています。

いずれも登場時期の近しいゾイド。それらに共通する、自軍らしいラインを構築しているのが素晴らしいです。
こういった的確さがあるからこそ、メカの造り込みはアッサリ目であるものの、リアルメカとして通用するラインを上手く見極められていると言えるのです。

胸部のエアインテークなどの装備も、小気味良い仕上がりをしています。
ただ一点難点があるなら、武装に関してです。
レドラーは強力な爪を持ち、空中格闘戦を得意とします。また尾部に強力な切断翼を持っており、すれ違いざまに敵を切り裂くという凄まじい戦法を行います。
それはレドラー特有の素晴らしい魅力ですが、問題は火器を一切搭載していない事です。

特有の戦法は、それはそれで良いのですが、やはりスタンダードなものも持っておいて欲しかったとは思います。
スタンダードなものがある上で特有のものがあればベストだと思います。

翼には、ちょうど火器を備えられそうなハードポイントもあります。ここに火器を装備させておけば、レドラーのデザインは完璧だったと思います。

この画像では、シュトルヒのビーム砲を装備させています。デザイン的にもサイズ的にも似合っていると思います。
ゾイドでは「共通武器」というのは珍しくありません。レドラーでもシュトルヒから火器だけは流用する…という事があっても良かったと思います。
シュトルヒのビーム砲以外だと、帝国共通武器セットの小型ビーム砲も似合うと思います。
ともかく、翼に火器を装備しなかったのは、レドラーで感じる唯一の不満です。

「まずは圧倒的な高機動で敵を翻弄しつつビーム砲で次々撃ち落とす…、更にビーム砲のエネルギーが切れても切断翼や爪といった近接装備があるのでまだまだ戦える」
このような二段構えだった方が、戦い方的にも面白味・凄味があり良かったと思います。


フェイス

レドラーの頭部デザインは特徴的です。
ドラゴン型なので二本大きな角を意識したシルエットになっていますが、極めて流麗に造られているおかげでウサギとかお弁当のリンゴとか言われたりもします。
たしかに、大きな瞳もあいまってレドラーの顔はなかなか愛嬌もあります。
基本的にツリ目で険しい目をしたものが多い帝国機にあって、珍しくユーモラスな造形です。個人的には大好きです。

ただもちろん、可愛いに終始しているわけではなく、非常にシャープでスピード感があるので、カッコいい部分も絶妙に備えていると思います。

頭部はコックピットにもなっています。上部の装甲が大きく展開します。中にはパイロットが1名座っています。

装甲は非常に大きく開きます。この大げさなまでに開く感じが好きです。

また、首の角度を大きく付ける事が出来るのも特徴です。

これによって、様々な表情を付ける事が可能です。


最新鋭戦闘機

流麗さと的確なメカの造り込みによって見事なデザインで完成したレドラーは、まさに設定通り「最新鋭、超音速戦闘機械獣」の印象を持つ傑作機に仕上がっています。

またもう一つ、レドラーを未来的にしているのは翼だと思います。レドラーは、特徴的なクリアーの翼、設定的には太陽エネルギー吸収翼を持ちます。
太陽光をエネルギーにするというシステムは、同時期に登場したブラキオスとも共通します。

この時期に開発された帝国独自のシステムだと思います。そういった「裏」を感じさせる設定の作り方も、上手さを感じます。

クリアーの翼という選択は秀逸だと思います。
これまでゾイドらしい翼というと、いわゆる穴の開いた翼であり、シュトルヒもそうなっていました。
しかし穴開きはどうしても流麗さに欠け最新鋭機然としたデザインには似合わない。しかし通常の翼を採用する平凡さに妥協したくもない。
そこでクリアーの翼という選択になったのだと思います。

こうしてゾイドらしく、なおかつ最新鋭機らしく完成したレドラーの翼は大好きです。
進化もさせる一方でゾイドらしさも求めてゆく姿勢に強く惹かれます。
デザインも秀逸で、翼自体のラインが素晴らしいのはもちろん、キャップの使い方も秀逸だと思います。


ドラゴン型

レドラーはドラゴン型ゾイドであり、はじめて幻獣型である事を明確に名乗ったゾイドとして革命的な存在です。

幻獣型ゾイド…、はたして実在しない生物をモチーフとして採用するのはどうなのか?という議論はよく行われています。
実際、暗黒大陸編の後期において乱発された幻獣型ゾイドの中には、残念ながら完成度の低いものもあるのは事実です。
やはり「ゾイドといったら実在する(あるいは実在した)モチーフを使うのが基本」という意見が根強い事はよく分かります。

しかしレドラーの完成度を見ていると、そう決めるのは惜しい気もします。
幻獣型であっても、安直にそのカッコ良さの表面を追うだけでなく、じっくり的確に造り込む事で傑作機が誕生する事は、レドラーを見れば確かだと思えます。
その評価はどうあれ、既に幻獣型ゾイドが数多くリリースされ定着した感じもあるゾイド界なので、今後幻獣型は欠かせない存在として君臨する事と思います。
その時は、どうか最初の幻獣型ゾイド、レドラーの素晴らしい完成度を見直して、そこから開発をスタートして欲しいと願います。
レドラーは全ての幻獣型ゾイドに、貴重で重要な教訓を示していると思います。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。
連動ギミックとしては、翼を大きく羽ばたかせながら前進します。
連動箇所はやや少ないですが、翼の開閉が大胆に行われる為、満足度は非常に高いです。

力強い羽ばたきは、レドラーの空戦能力に説得力を持たせています。
また、折りたたんだ状態で止めても、格納庫に並んだ時のようで様になっていると思います。
個人的に、待機中とかメンテ中とか、そういった戦闘以外のポーズが取れる機体も大好きです。

手動ギミックとしては、頭部の所でも書いたようにコックピットが開閉し、首に大きく角度を付けることが出来ます。
特に首の角度は、それによって表情が大きく変わるため、重要なギミックです。

もう一つ、尾部の切断翼も展開します。設定上、プテラスを苦も無く切り裂ける程の切断力を有する、レドラー最大の武器です。

その武器が良好に可動するというのは、やはり抜かりないというか、ニヤリとします。
引き出しやすいように手のツマミが付いていますが、これが武器デザインと違和感無く融合しているのも好ポイントです。

総じて、ギミックは満足度の高い機体に仕上がっていると思います。


戦歴

レドラーの戦歴は非常に勇ましいものがあります。
学年誌でもゾイドバトルストーリーでも、初陣はプテラス隊との交戦で、これを一方的に撃破して強さを見せ付けています。

文字通り「一方的」であり、最初は互角だったが徐々に圧倒したとかではなく、あっという間に敵に攻撃される事も無いまま勝利してしまったという、まさに格の違いを見せ付けた勝利でした。
また「重い装備を積んだままプテラスと戦い勝利する」ような事もあり、いかにレドラーが強かったかが伺えます。

長年、帝国は「空で弱い」印象がありました。
初期には有効な航空ゾイドが無く、やっとシンカーを投入すればサラマンダーやプテラスが出現する。切り札シュトルヒを繰り出すも、互角がやっと。
共和国空軍、特にプテラスの存在が大きな壁でした。
そうやって煮え湯を飲まされてきた帝国空軍にとって、圧倒的な強さでデビューしプテラスを駆逐、空での無敵時代を築いたレドラーは、忘れられぬ存在だと思います。

少し余談ですが、初陣の頃のレドラーは必ずビーム砲を翼に装備していました。掲載した画像からも分かると思います。
最初の頃は標準装備にするつもりだったのかもしれません。キットで省かれたのは、改めて惜しい事だと思います。
ただバトスト的に解釈するなら…、「最初は火器を搭載していたが、プテラス相手には圧倒的機動力差があった為、切断翼だけで充分勝利を得られた。それゆえ火器は不要という事で撤去された」というような解釈もアリだと思います。

無敵時代の終焉はレイノスの登場で、最高速度で上回るゾイドに従来の戦法は通用せず、ついに敗北を喫します。
また暗黒大陸編ではサラマンダーF2が登場した事により、さすがに全く抗しえなくなってしまい、数多くのレドラーが空に散ってゆきました。

高速性と機動力と切断翼が武器だったレドラーだけに、より速く軽快な機体が出た時は一気に脆くなってしまいました。

そして共和国防空能力の向上により、地上からの砲撃で落とされる事も増えています。
かつての栄光から考えれば苦しい時代が到来しましたが、それでもこの時代においても一線で運用されている事自体が凄く、能力の高さを物語っていると思います。
個人的には、同じドラゴン型であるギル・ベイダーに随伴して飛行しているシーンが好きです。

また、少数ながら暗黒軍仕様に改造されたタイプも確認でき、こちらはレイノス複数機を相手に勝利を収めるなど一矢報いた事も確認できます。

上記の様に様々な戦歴ありますが、とにかく運用期間が長かったからこそです。
長く運用されているのは優秀である証。
レドラーは、兵器としても傑作機だった事が言えます。


超音速 レドラー

とにかく傑作機で、D-DAY以降の新生帝国軍を象徴するような、新しい帝国軍を強烈に体現したゾイドだと思います。
その研ぎ澄まされたデザインは、今後も決して色あせることなく魅力を放ち続ける事と思います。

また、シャープさを徹底して追及したデザインや、幻獣型であるにもかかわらず誰もが認める傑作機に仕上がった事などは、改めて今後のゾイドにおいて非常に重要なメッセージになると思います。
レドラーは様々な事に挑戦し、みごと昇華したゾイドです。今後もこのようなゾイドがどんどん生まれて欲しいと願ってやみません。
その意思こそが、次世代の傑作機を誕生させると思います。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド レドラー

 機獣新世紀ゾイド ゼネバス帝国仕様 レッドレドラー

 機獣新世紀 ブラックレドラー

ゾイドジェネシス レドラー スペシャルカラー


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