メカ生体ゾイド ゼネバス帝国軍 特殊部隊高機動偵察型 ロードスキッパー<ROAD SKIPPER>

■ロードスキッパー(ダチョウ型) データベース■

 発売年月 1987年7月  発売当時価格 1500円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 E24-02

 スペック 全長:3.7m 全高:3.6m 全幅:1.8m 重量:2.1t 最高速度:220km/h 乗員:1人

 主な武装
  火炎放射機 ビーム機関砲(×2) 小型ビーム砲

 特徴
  帝国次期ゾイドの前進部隊として攻撃・護衛・偵察に優れた軽戦闘機械獣が特殊部隊として編成されていた。
  偵察や作戦の援護、目的地域の制圧を任務とする、優れた高速運動性を誇るダチョウ型軽戦闘機械獣。
  機体の特徴である強靱な脚の生み出すスピードは時速220キロにも達する。
  高速走行時の安定性も良く高性能の照準装置と相俟って走行時でも目標への正確な射撃が可能である。


前後より

帝国24ゾイド部隊の偵察機、ロードスキッパーです。
イダテンの異名を持つ高速・軽快な機体ですが、モチーフ選びがいいなと思います。
高速機と言えば、サーベルタイガー、シールドライガーに代表されるようにネコ科が真っ先に思い浮かびます。
しかし、そんな中にあえてダチョウという全く新しいモチーフを採用したのは鮮やかです。

体のバランスは、ダチョウと比べれば首が太く忠実とは言いがたい仕上がりです。
むしろディアトリマやフォルスラコスのような恐鳥、あるいはファンタジーのウマドリに近いバランスに見えます。
しかし、圧倒的に「軽快さ」を思わせるデザインです。
それは見事に逆関節を再現した脚であり、後部のマフラーであったりします。
その軽快な姿は、やはりダチョウと呼ぶに相応しいと思います。


ロードスキッパー兵士

キットには、24ゾイド特有の兵士フィギュアが付属します。
兵士は、デスピオン兵士と構造は同じです。しかし、デザインは異なっています。
頭部はドクロを思わせる恐ろしい感じに仕上がっています。


こちらはデスピオン兵士。

ボディは、デスピオン兵士の青に対し小豆色になっています。
デスピオン兵士もそうですが、白いラインが横に入っているので、中学生の体育ジャージ的な印象をちょっと持ってしまいます。
特に、ロードスキッパー兵士は色の関係でいっそうそのイメージを持ってしまいます。

色はともかく、造形は帝国24ゾイド兵士としては最もクセのない仕上がりで、それゆえか後に色変えがショットウォーカー兵士として採用されています。
また、ファミコンゲームのゾイド2-ゼネバスの逆襲-にも帝国兵のデザインとして採用されています。

可動は、構造が同じなので当然ですがデスピオン兵士と同等です。
ロードスキッパーには、コックピット後部に兵士用の銃が装備されています。

これを持たせる事もできます。

小さめの銃ですが、片手でも両手でも持てるようになっており、なかなか遊べます。

兵士フィギュアは、もちろんゾイド本体に乗せる事ができます。


デスピオンと違い、兵士はむき出しです。人との対比が、超小型ゾイドという実感を強く与えます。
スケール感を強く感じさせるという意味では、搭乗すると見えなくなってしまうデスピオンより優れていると言えます。

ところで、コックピットは胴体中央です。首が邪魔で前が見にくい気がします。
これに対しデザイナーのコメントがあり、
「首が邪魔だから、パイロットが体を傾けたりする必要がある。そういう人の動きを想像するのが面白い」
というような事を言われていました。
なるほど、確かにその通りだと思います。1/24でフィギュアのサイズが大きい事も、コメントを説得力の高くしています。

コックピット周りはもう一つ特徴があり、左側にのみサーチライトが付いています。
このサーチライトは、フィギュアの手に持たせる事もでき、遊びの幅を広げています。


側面より

側面から見ると、その完成度の高いデザインがよく分かります。
高速機としての説得力を持たせているのは、何と言っても脚部です。

美しい逆関節を描いたラインは見事です。そして、脚がとても長い。
ゾイドは動く・歩くという特性上、重心が高くなる事は出来るだけ避けたい…、低くしたいのが当然です。
しかし、ロードスキッパーは見ての通り素晴らしく長くスマートな脚を持ちます。
開発は大変だっただろうなぁと思いますが、改めて見事です。

重心の高い足を支えるために、足裏の張り出しは大きめになっています。

しかし、これもまたメカとして違和感のないように計算されたデザインになっており、見事な仕上がりです。
通常は、このような張り出しは無い方がいいと思えるものです。
しかしロードスキッパーは積極的に張り出しをデザインに取り入れ、これがあってこそと思えるデザインに仕上げているのだから凄いです。

脚は長くスマートですが、メカとしても見所が多くあります。
スマートさを殺さない範囲で、パイプやシリンダーをはじめリアルな質感を持つメカが多数配置されており、素晴らしい見応えを出しています。

また、脚だけでなく他にも要注目な所があります。
後部には太いマフラーがあり、これもまた高速のイメージを強調しています。

総じて、メカニックは最高の仕上がりです。配置も造りもまさに見事な仕上がりです。
対し、装甲はアッサリとしたシンプルな仕上がりです。
ディティールはなく、その部分を覆っているのみといったイメージです。
しかし、ラインは滑らかで美しい曲面をしており、造り込まれたメカニックとの対比が心地良いです。


フェイス

頭部も良い出来です。
メカメカしさを強調した、無機質で不気味な感じが強くあります。しかし、24ゾイドらしいデザインだと思います。

口からは火炎放射器の砲身が伸びています。
メカ生体ゾイドでは、ここまで分かりやすく口から砲が伸びているものは珍しいです。
目の処理や、頭頂部のスコープ、側面のチークガードも、無機質さを強調しています。

しかし、その一方でラインはなまめかしく、生きているような錯覚さえ覚えさせます。
クチバシのラインは特に見事で、生々しささえ感じさせます。
この対比がたまりません。

「側面より」の項目でも書きましたが、ロードスキッパーは退避が素晴らしいです。
「異質な要素を対比させ」そしてそれらを「融合・調和」させる事に優れたデザインだと思います。
それは帝国24ゾイド全てに共通するデザインですが、特にロードスキッパーは最高峰だと思います。


機体性能

繰り返すまでも無く超小型高速偵察機ですが、思うに、開発はショットダイルが意識されていると思います。

アタックゾイドは、24ゾイドに先駆けて登場した超小型ゾイドです。
ショットダイルは高速性に優れるアタックゾイドで、最高速度210km/hもの高性能を誇ります。
一方で攻撃力には乏しく、その性格は高速偵察機と思われます。後部にサーチライトと思われる装備を持っている事も、偵察機として在った事を強く思わせます。
その特性から、多くの戦果を挙げた事は想像に難くありません。

ロードスキッパーは、ちょうどショットダイルを上回る速度(220km/h)と、そして同機を駆逐できるであろう程度の火力を持っています。
おそらく、高速偵察機として帝国部隊を大いにバックアップした事、そしてショットダイルを駆逐し共和国軍の索敵を困難足らしめた事は確実でしょう。
そして更に後年ですが、共和国軍が対ロードスキッパー用としてバトルローバーを開発・投入しているのは実に面白い事です。


カラーリング

デザインについては完璧と思うロードスキッパーですが、唯一だけ難だと思うのはキャップの色です。
ロードスキッパーのキャップ配置は素晴らしく、まさにキャップあってこそのゾイドと思えるものです。
配置もですが、使用量も絶妙です。
しかし、色がちょっとドきついなぁと思ってしまいます。毒虫的な色というか…。

帝国24ゾイドの多くは、独自のキャップカラーを持ちます。
デスピオンは青、ドントレスは緑です。しかしそれらは、目立ちつつもギリギリで違和感のない範囲に留まっていたと思います。
それらと比べると、ロードスキッパーのキャップは明るすぎな気がします。
キャップが目を引くという意味では良い選択かもしれませんが、もう少しだけ抑えてくれれば良かったのになぁと思います。

ただ、キャップ色にはやや疑問を覚えてしまうものの、ロードスキッパー全体としては良い色だと思います。
白黒の帝国24ゾイドカラーはいいなぁと惚れ惚れします。


ギミック

ゼンマイを巻くと、元気に動いてくれます。ギミックは好感触です。
連動ギミックは少なく、歩くのみです。こう言ってしまうと最低限なものしか持たないように思えますが、素晴らしい特徴もあります。

ロードスキッパーの特徴は「高速性」であり、また「あっという間にトップスピードに達する加速力」です。
その特性を表すように、ゼンマイは特注品になっています。

外観こそおなじみのHiユニットですが、バネの巻きが調整されており、通常品よりかなり高速になっているのです。
その為、ロードスキッパーの歩行速度はかなりのものです。いや、歩行というより走行と言っていいでしょう。
設定と合致した動きは最高です。

また、他に連動ギミックがないとはいえ、脚が長く二足歩行である点は改めて凄いです。
既にマーダやシュトルヒが二足歩行を実現していたとはいえ、それらと比べると、ロードスキッパーは尻尾がないダチョウです。
尾で前後のバランスを保つ事は不可能。それでいて、首が長く重心は前に寄りがち。
転ばないように、しかも高速で仕上げるのはかなりの苦労があったと思います。

首は起こす事/倒す事ができます。

そのいずれの首位置でも、全く転ぶ事がなく安定して前進してくれます。
その事も特筆でしょう。
連動ギミックは数こそ少ないですが、その内容は極めて優れています。

手動ギミックはそこそこといった感じです。
可動箇所は、口の開閉、首の上下、ビーム機関砲の仰角/俯角変更です。

首の稼動は先に書いた通りです。口の開閉と合わせる事で、なかなかの表情付けができます。
横を向ければ更に良かったのになぁ…とは思いますが、贅沢な思いでしょうか。
横を向けないのは、歩行ギミックを成立させる為だったのかもしれません。

ビーム機関砲は、仰角/俯角共に広く付きます。

付き位置からして、対人でも恐るべき威力を発揮しそうです。また、対アタックゾイド戦でも有効に機能した事でしょう。

これらゾイド本体のギミックに加え、もちろんフィギュアと絡めて遊ぶ事もできます。
連動・手動ギミックを総じて言えば、特徴的な部分もありとても良いと思います。


戦歴

戦歴は、なかなか光るものを持ちます。
「デスザウラー部隊の支援」の印象の強い帝国24ゾイドですが、実際にその運用で大成功しています。
しかし、雑誌てれびくんを見ると、それだけに留まらない活躍を見せていた事が語られています。

てれびくんでは共和国アタックゾイド部隊と幾度となく激突し、激しい戦いを繰り返しています。

アタックゾイド部隊に対しては常に優位をみせ、その高性能振りを見せ付けています。
このシーンは特に「帝国24ゾイド部隊の初陣」とされており、数で勝る共和国アタックゾイド部隊を一方的に撃破しています。

ただ、先に「対ショットダイル用ではないか」と推測しましたが、残念ながら両機の対決は描かれずじまいでした。
(てれびくんのアタックゾイド・24ゾイド記事のほとんどは、様々な機種が多数入り乱れる乱戦で、単機に焦点を当てた描写はほとんどありません)

てれびくん以外でも、数は少ないながら学年誌でも活躍を見つける事が出来ました。
基地外周で敵の侵入を監視する早期警戒機仕様が登場した事があったりと、その性能から重宝されていた事が伺えます。

このタイプは、地味ながら実にリアルな設定の改造ゾイドで大好きです。

共和国24ゾイド登場後は、苦戦する場面も増えました。
また後にゴーレムが登場すると、偵察任務でも同機に任を譲る事が増え存在感を落としたのは否めません。
しかし、第二次中央大陸戦争集結時まで、一線を退く事なく運用されています。


韋駄天 ロードスキッパー

デザインは改めて最高で、いつ見ても何度見ても惚れ惚れします。
イダテンという異名も何とも似合っていて、ロードスキッパーの魅力を大いに高めていると思います。
戦歴も、決して主張しすぎず・しかしそれでいて魅せるものを持つ絶妙な感じです。
24ゾイドは評価の分かれるシリーズですが、デスピオンやロードスキッパーを見ていると、やっぱり好きだなあとしみじみ思います。


バリエーションモデル

 ゼブル ゼーヴァΘ

パンツァーティーア ロードスキッパー


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