メカ生体ゾイド ガイロス暗黒軍 重装甲突撃型 ダーク・ホーン<DARK HORN>

■ダーク・ホーン(恐竜型) データベース■

 発売年月 1989年6月  発売当時価格 2500円  動力 モーター

 型式番号 DPZ-10

 スペック 全長:20.1m 全高:13.5m 全幅:13.5m 重量:115t 最高速度:130km/h 乗員:3人

 主な武装
  ハイブリットバルカン砲(×6) 収束ビーム砲 大口径三連加速衝撃砲 中口径加速ビーム連装砲 高圧濃硫酸噴射砲 高速キャノン砲(×2) 連装突撃ビーム砲(×2)
  全天候自己誘導ミサイルランチャー   全天候3Dレーダー 大型赤外線・レーザーサーチライト

 特徴
  暗黒軍の技術によって、装甲、火器、全てがパワーアップされた戦闘機械獣。
  背部に装備された主力兵器のハイブリットバルカン砲は、エネルギーをためて、一気に放出する断続発射方式で、その破壊力は凄まじい。
  運動性能も抜群で、突進攻撃を得意とする。突撃部隊、強行偵察部隊の中心メカとして活躍する。


前後より

暗黒軍ゾイド第三弾として登場した重装甲突撃ゾイド、ダーク・ホーンです。
デッド・ボーダーやヘル・ディガンナーの完全新規ゾイドと違い、帝国軍ゾイドのパワーアップ機…、いわゆるMK-IIタイプのゾイドです。
キットは、レッドホーンの色変え+追加パーツで構成されています(レッドホーンのレビューはこちら)。

MK-IIタイプのゾイドは、どうしてもノーマルタイプよりインパクトで劣る事が多いのは否めません。それは、形状の大半が同じである以上仕方がない事でしょう。
完全新規と同じだけのインパクトを持てというのは、極めて酷な要求です。
しかしそんな中、MK-IIタイプのゾイドながら完全新型ゾイドと肩を並べるインパクトを持って登場した希有な例がダーク・ホーンです。

カラーリングは黒・銀・緑の純暗黒カラーです。先に出た暗黒ゾイドたちと並べると、その印象は強烈です。

後の暗黒軍は、このカラーをあまり使用しなくなり残念でした。ですが、少なくともダーク・ホーン発売当時の暗黒軍といえばこのカラーでした。

ダーク・ホーンがMK-IIタイプながら完全新型ゾイドに肩を並べるインパクトを放っているのは、三つの理由があると思います。
一つは、「暗黒軍ゾイドとして出た」という事です。
従来、強化タイプは同じ軍から出るのが当たり前でした。ゴジュラスMK-IIもグレートサーベルも、ノーマルタイプと強化タイプは同じ国に所属します。

二つ目は、「極初期のゾイドが最新テクノロジーで復活した」という事です。
レッドホーンは、ゼネバス帝国軍でずっとノーマルタイプのまま戦い続けていた機体です。
もはやMK-IIタイプは出ないんだろうなと誰もが思っていた時に、まさかのリリース。この不意を突かれた感じも印象を大きくしました。

三つめは、その強化具合です。
たとえばアイアンコングMK-IIやグレートサーベルも強かった。しかし、それはノーマルタイプから想像しうる範囲での強化でした。
「シールドライガーに劣っていたサーベルタイガーだが、グレートサーベルになった事で上回るようになった」というような。
そういった例と比べると、ダーク・ホーンの強化具合は群を抜いています。

レッドホーンといえば、とにかく弱い。弱小のイメージの強いゾイドでした。
大型ゾイドでバランスの良い名機…であるにも関わらず、バトルストーリーでは常にやられ役。
ゴジュラスに片っ端から倒され、仕舞いにはアタックゾイドにすら翻弄される「負け」のイメージの染みついたゾイド、それがレッドホーンでした。

それが一転、ダーク・ホーンは超強力な重戦車として生まれ変わっています。
あの共和国最強マッドサンダーすら大苦戦させる鮮やかな活躍をみせ、ユーザーの度肝を抜きました。
あらゆるMK-IIタイプの頂点に立つゾイド、それがダーク・ホーンだと思います。


側面より

初期暗黒軍ゾイドの特徴といえば、緑をチラ見せする事です。
完全新規のデッド・ボーダーやヘル・ディガンナーは、あらかじめチラ見せを意識したデザイン・パーツ構成になっています。
しかし、レッドホーンはずっと昔に登場したゾイドなので、当然そんな配慮はありません。
それでも、バッテリーボックスを緑にするという奇策で上手く「暗黒軍的デザイン」になじませているのは見事です。

純暗黒カラーとは先に書きましたが、独自の色使いもあります。
キャップは緑で、暗黒軍ゾイドとしては唯一です。また、銀色もデッド・ボーダーのものとは色合いが異なります。
しかし、違和感は全くなく、差を認めつつも「純暗黒カラー」という評価は微塵も揺るがないと思います。


レッドホーンと共に

先行機と並べると、その印象がまるで違うのが分かります。

レッドホーンは、その重武装から「動く要塞」の異名を持ちました。実際、背中には巨大な砲を複数持ち、その名に恥じぬものがあります。
しかし、それをさらに大きく上回ったのがダーク・ホーンの背中です。
ダーク・ホーンの背中には、レッドホーンの巨砲をミニサイズに錯覚させてしまう程の超巨大砲が付いています。

超巨大砲…、ハイブリットバルカンは、その巨大さもさる事ながら造形も魅力です。
巨大なガトリング砲という選択が絶大なインパクトでステキです。また、基部や砲身の細かい造り込みも大きな魅力です。
細かく造られているので、大型砲にも関わらず一切の間延びがないのも素晴らしい点です。

ハイブリットバルカン周辺には、その他の武器もゴテゴテと密集しています。

ハイブリットバルカン砲の横には、これまた大型の集束ビーム砲があります。
また、レッドホーンの元々の砲もここに集結しています。まさに豪華絢爛です。
全部から伸びるパイプの感じも小気味良く、ゴテゴテした後部を上手く引き締めています。

これだけゴテゴテした巨大な装備でありながら、付き方に違和感がないのも凄いです。
取って付けたような感じは一切なく、実にシックリきており本体との一体感は抜群です。

画像を見ればわかるように、この装備は全周囲に旋回させる事ができます。また、仰角/俯角を付ける事も出来ます。
ハイブリットバルカンの横に付いている二連加速ビーム砲や集束ビーム砲は、それぞれ個別に仰角/俯角を付ける事も出来ます。
例えば、「ハイブリットバルカンは前に」「二連加速ビーム砲は上に」「集束ビーム砲は後に」するような事も楽々です。
かなり多彩な表情を付ける事ができます。デザインも最高ならギミックも最高。その傑作ぶりを改めて感じます。

強いて難点を言うなら、肉抜きが一部で目立つ事です。

三連装砲は、豪快な肉抜きが見えます。
レッドホーンだと、肉抜きは下側だったので気になりませんでした。その事情を考えると、肉抜きが目立つのは仕方のない事でもあります。


ノーマル状態

もちろん、ノーマルと同じ仕様にする事も出来ます。この場合は造形に一切の差はなく、完全にレッドホーンのカラーバリエーションです。
ところで、見ての通り黒いレッドホーンですが、名前が「ブラック・ホーン」ではなく「ダーク・ホーン」になったのは偉いなと思います。
「ダーク」という、いかにも凄味のある感じがよく似合っています。

バトルストーリーを見ていると、稀にこの武装の(ハイブリットバルカンを装備していない)機体が登場し活躍しています。

左側の機体の装備に注目です。察するに、もしかするとハイブリットバルカンはかなりコスト・製造手間のかかる装備なのかなぁと思ったりもします。


武装配置変更

背中周りは多数の武器で構成されているので、基本状態だけでなく、好きなように組み直す事も出来ます。
ハードポイントが多いゾイドなので、色々な武器位置変更が楽しめます。
キット箱裏には、このように集束ビーム砲を側面に移した組み替え例が掲載されています。
そんなに大した改造ではありませんが、気軽に仕様変更できるのは大きな利点です。

MK-IIタイプのゾイドで、基本状態以外にも組み換えが簡単に楽しめるゾイドは他に例がありません。
やはり、その完成度の高さを改めて感じます。


ギミック

ダーク・ホーンはギミックも優れています。
母体がレッドホーンなので、ダーク・ホーンのギミックの大半はレッドホーンと同じです。
ですが、差もあります。ハイブリットバルカンが連動回転するギミックを備えているのです。

レッドホーンは、二連加速ビーム砲が回転するギミックを持っていました。
ダーク・ホーンは、その位置にスプリングパイプを付けハイブリットバルカンまで伸ばしています。
このパイプが、ハイブリットバルカンを回しているのです。
巨大なハイブリットバルカンが力強く回転する様は大迫力です。

レッドホーンの二連加速ビーム砲が回転するギミックも嬉しかったです。しかし、「なんで回ってるの?」というシュールさもあったと思います。

その点、ダーク・ホーンのハイブリットバルカンは、いかにも回わしてくれと言わんばかりのガトリング砲です。
これが回転するのは大いに説得力があるものでした。

ハイブリットバルカン周りの手動ギミックが優れているのは、先に書いた通りです。

ダーク・ホーンは、連動・手動共にレッドホーンを上回るギミックを達成したと思います。
ますますもって、希有の傑作強化ゾイドです。


戦歴

ダーク・ホーンの戦歴は輝くものがあります。
先にも書きましたが、とにかくレッドホーンは「負け」のゾイドでした。
まさに連戦連敗。
中期に登場したブラックライモスの箱裏設定には「現在では旧式となったレッドホーンに代わる突撃戦用の中型ゾイド」とまで書かれる始末でした。
弱い旧式機というのが拭いきれないイメージでした。

しかし、ダーク・ホーンでは、一転して超強力なゾイドと化し大暴れしています。
 
共和国軍が自信満々で放った最新鋭機カノンフォートを一蹴し、最強マッドサンダーすら大苦戦させ凄まじい印象を残しました。
後に登場した超重砲ガンブラスターはダーク・ホーンのライバルとして扱われています。その事も、ダーク・ホーンの強力さを良く物語っています。

もしかして、レッドホーンの負け戦は全てダーク・ホーンの為の布石だったんじゃないだろうか…。
そんな風にすら思えてくる、凄まじいインパクトのある活躍でした。

当時の個人的な感想ですが、レッドホーンはカッコいいし好きでした。
熱烈な共和国派。とにかく共和国ひいきな私したが、やはりその優れたデザインには惹きこまれたし、また角竜が好きだった事もありいいなと思っていたのです。
しかし、弱すぎるよなぁ…とも思い、いまひとつノリきれていなかった部分もありました。
それがダーク・ホーンになった途端、この強力無双振り。憧れが一気に高まった記憶があります。

ただ逆に、強過ぎた事から「共和国派として」悩ましいゾイドになったという一面もありましたが。
この点に関して言うと、レッドホーンは共和国派にとって実に優しいゾイドでした。
当時、熱狂的な共和国派だった少年のリアルタイムな印象です。

そんなダーク・ホーンも、末期には能力不足になりやられ役も多数演じています。
特にキングゴジュラス登場後は、撃ってもダメ・突撃してもダメという、かつてのゴジュラスVSレッドホーンを思わせる展開が見られました。

最も、これは相手が悪すぎるものでしょう。

その他、バトルクーガーに対地攻撃で撃破された事などもあります。
しかし、それでも強力機という印象は覆りません。
また、キングゴジュラスとの戦闘を経験している事から分かるように、末期においても主力運用されています。
やはり、希有の傑作強化タイプなのでしょう。

唯一だけ惜しかったと事を挙げれば、ゴジュラスを下していない事です。
ダーク・ホーンが交戦したのはカノンフォートマッドサンダーやガンブラスターが主。もっぱら戦車系ゾイドにぶつけられていました。
願わくば、ゴジュラスに突撃し鮮やかなリベンジを見せてくれれば100点満点だったと思います。
重箱の隅をつつくような不満ですが、そこだけは惜しかったなぁと思います。


改・動く要塞 ダーク・ホーン

あらゆる面で理想的な、傑作強化タイプだと思います。
強化武器のデザインも良いし、その手動/連動ギミックも素晴らしい仕上がりです。
設定として超強化されていますが、「暗黒軍が現れた!」という流れの中で登場した事で、違和感は感じさせていません。

もしこれが第二次中央大陸戦争時に登場していたら、「そんなに強くなるわけないやん…」な感想になっていたと思います。
しかし強力な暗黒軍ゾイド、デッド・ボーダーが猛攻を振るう中で登場したので、「あの暗黒軍ならやりかねん……」な感想になったのです。
新勢力「暗黒軍」登場に併せたタイミングは、本当に絶妙だったと思います。

暗黒軍は「帝国ゾイドを連れ去り、強化改造し運用している」との設定で活動しました。
バトルストーリーでは、様々な帝国ゾイドが暗黒化し共和国軍を苦しめました。
黒と緑の純暗黒カラーで登場した帝国ゾイドは、どれも本当に強そうで強い印象を残しました。強そうというか、実際に強かったのですが。

しかし、キットとして発売されたのはダーク・ホーンのみです。ダーク・ホーンを責めるものではありませんが、これは惜しかったなぁと思います。
暗黒化でリニューアル販売されたのはダーク・ホーンのみ。後に「黒・緑」の純暗黒カラーは廃れてしまう。
暗黒軍は、帝国軍の強化とディオハリコンの安定供給に最大限の死力を尽くすべきだったと思います。
ダーク・ホーンを見ていると、そういった思いを抱かずには居れない。やはり、傑作機です。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド レッドホーン

 機獣新世紀ゾイド レッドホーン

 ゾイド妄想戦記 グリーンホーン

 ゾイドフューザーズ ダークホーン

 恐竜博 レッドホーン


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