ランナーレスの仕様について2

前回のコラム(ランナーレスの仕様について1)で、ランナーレスの仕様は入門用キットして最適だ。今のキッズに最高の仕様だと書きました。
今回は、大人ユーザーの目線からランナーレス仕様および全体的な仕様を語りたいと思います。

前回はキッズに最適だと。親御さんの指示も得そうだと。入門用だと書きました。
いやしかしここで言いましょう。

ランナーレス仕様は大人ユーザーにとっても最強の仕様でした。

いやホントに、夢中です。

プラモデルは組む作業が楽しい!
ですが内訳を言うと
・ランナーからパーツを外してゲート処理をする作業はちょっと面倒
・パーツを組む作業は超楽しい
というニ種類に分かれると思います。

ランナーレスの仕様は面倒な部分が丸まる消えています。
楽しさMAXの組む作業の部分だけがあります。
これがもうヤバい。組むことに快楽しかない実に恐ろしい仕様でした。

プラモデルには面倒だからこそいい要素も確かにあります。
面倒な切り離しの作業をする。丁寧にゲート跡を修正したりする。そんな中で思い入れが上がる。そうしてようやく出来た完成品は思い入れが格別になっているでしょう。
ゾイドで言えばHMMシリーズはまさにそれです。大変な分、組み上げた時の満足度は何とも言えません。

でもそれはそれとして、ゾイドワイルドのランナーレス仕様も実にヤバいものでした。
面倒なのもいい。でも優しさにあふれたランナーレス仕様も触ってみると素晴らしく良いものでした。

 

やはり大人になると何かと時間がありません。その事情とランナーレス仕様は凄まじくマッチします。
何しろすぐに組めます。
パーツが大きいので一つパーツをはめるたびに完成に向かっている感じが強くします。
パーツ分けの細かいプラモデルは「先が見えない……」状況になりがちです。
それはそれで余裕のある時なら良いんですが、気軽に作りたい時だってある。
そんな時、ゾイドワイルドの仕様はまさしく最強でした。

あるいは、気軽に短時間で作れるからこそ浮いた時間を「改造」に回す事もできます。
時間がないと改造したくてもなかなか出来ません。
パーツ数の多いプラモならなおさら。
やりたい計画だけが頭の中に浮かんで、でも結局できない。そんな状況になりがちです。

コツコツやれよ情熱はないのかと言われたら、そりゃあやりたいし情熱はあります。
いやしかしそれはそれとしてなかなか、ねぇ。という矛盾したものもあるのが実情。

でもランナーレスでパーツ数も少ないゾイドワイルドなら気軽にできます。
装甲部分にだけ墨入れをするとか塗装するとかなら、かなり手軽です。
なにしろこちらのガブリゲーターなど、装甲パーツ(青部分)はわずか4パーツです。

現在のところ、ゾイドワイルド各機は共通してフレームの色がガンメタルです。
例えばガブリゲーターは「フレーム:ガンメタル、装甲:青」、スコーピアは「フレーム:ガンメタル、装甲:赤」です。
そんな色なので、装甲の色を変えるだけで大きく印象が変わるようになっています。これも気軽さを強調していると言えるでしょう。


※これはCGで補正して色を変えたものです。

ゾイドワイルドの各機は「装甲の色を変える」だけで雰囲気がガラッと変わるのは大きな特徴です。またどんな色でも似合うようになっています。
これは意図的にそうされていると思います。

ガンメタルは色味としては主張がかなり少ない色です。
プレーンな色。自身が主張するというよりは、装甲の色を引き立たせる脇役の色です。
だから装甲の色を変えるだけで機体全体の印象が変わって見える。さらにプレーンな色だからどんな色とも馴染みます。

手っ取り早く色のイメージを変えたい場合、やはり装甲部分の色を変えるのが最適です。
しかし従来機のカラーの場合は、装甲だけでなくフレームの色まで変えないとバランスが悪くなったりします。

例えばデスザウラーの装甲を青や緑にする。そうするとフレームの赤と色味がケンカしてしまう。
装甲を青にするならフレーム部分も青になじむ何かの色で塗らなきゃいけない。

鮮やかな色味はそういう事が起こりやすい。しかし黒やガンメタルなどの彩度の低い色なら大抵どんな色とでも馴染みます。
もちろん従来ゾイドでも装甲とフレームの両方を塗ればいいんですが、手間としてはかかります。

 

ゾイドは昔から「改造」や「塗装」を推奨していました。
今シリーズでも、やはり推奨していくと予想します。
そしてその難度をできるだけ下げたい。「キッズが気軽に挑戦できる。そして成功しやすい」ようにしたい。
そんな想いを持っている。それが装甲の色を変えるだけで雰囲気がガラッと変わるという今期の仕様ではないかと思います。

キッズユーザーも色変えにチャレンジして欲しいと思います。
そしてまずは装甲の色変えで成功体験を積んでほしい。
そうすれば、いつしか「今度はフレームの色も変えてみよう。今までは装甲だけだったけど、全体の色を変えるとどうなるんだろう?」というステップに挑戦するようになるでしょう。そうなって欲しいです。

なおもちろん従来機の色も良いです。特に「帝国軍・共和国軍」など明確な陣営・軍紀がある世界観だったので、そういう色が映えた。
ゾイドバトルストーリーの世界観ならば、ゾイドワイルドの色より従来の色の方が明らかに似合うでしょう。
フレームが赤だったり青だったり緑だったり。そんなのが各軍の”らしさ”を強く演出していました。
また単機としていえば色を沢山使って構成した方が見栄えは良いものを作りやすいです。

従来の色もゾイドワイルドの色もどちらも良いものです。
優劣はつけられない。求めるものの差でしょう。
今期ゾイドワイルドは、とにかく手軽さ・挑戦しやすさを優先しているという事だと思います。

そしてその仕様は我々大人ユーザーにとっても大変心地良いものでありました。

 

更にこれは従来ゾイドと同じですが、ハードポイントも使いやすい位置に付いており武器増設などの改造もしやすくなっています。

これもまた嬉しいところです。

ランナーレス仕様やその他の仕様はキッズ用入門アイテムとして最適ですが、同時に大人ゾイダーにとっても最強の仕様であると組んでみて確信しました。

 

なおゾイドワイルドの仕様が「簡単、気軽」だからといって物足りないわけではありません。
組む作業はとても楽しいし、完成後の充実感も極めて高くあります。
その理由はギミックにあります。

ゾイドは動くプラモです。スイッチを入れると複雑な動きをするのは周知の通り。
連動ギミックの裏には職人的な構造があります。

ランナーレスの仕様は、パーツを切ってゲートを処理する作業がありません。
「パーツを探して組む」だけです。
だから、組んでいる中で「動きの仕組みを理解しながら組む」感じがとても強調されています。
組み立ては簡単ですが、この「仕組みを理解しながら組む」という事がとても面白い。それゆえ組む楽しさや完成した後の充実感はとても高くなっています。
これもまた凄いと思いました。

もちろんランナーがあってもこれは体感できます。
いやしかし、ランナーレスという仕様ゆえにより強調されて感じられるという事です。

ギミックの仕組みは何とも奥深いです。
それを知ると、そのゾイドがいっそう魅力的に感じられます。
そうした楽しみがしやすい仕様と言えます。

 

まとめると、キッズにとって最適だと言っていたランナーレスの仕様やその他の仕様。
それは確かにキッズにとって最適なものだった。でも実は大人にとっても最強の仕様でした。

まったく、恐ろしいものを作る企業です。
もはや虜です。
これからリリースされる新型も楽しみで仕方がありません。

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