ディバイソン突撃せよ

初の対デスザウラー用ゾイド。
そのパワフルな重戦闘ぶりで共和国軍の再来を思わせたゾイドといえば、名機・ディバイソンだ。

個人的に、最も渋さに溢れたゾイドだと思っている。
ヒーローゾイドではないと思う。牛というモチーフはライオンや恐竜に比べアピール度が弱いと思う。
実際、ライガーやザウラーに比べ人気が高いとは言い難い。しかし、ディバイソンは質実剛健でストイックな魅力にあふれている。

能力も、対デスザウラー用の強力なゾイドだが、「不意打ちでダメージを与えられる」という所に留まる。
あと一歩及ばない強さのバランス。しかし、及ばないながら可能性にかけ突撃を繰り返した戦歴。その結果、見事にマッドサンダー出現までの間を支え切った功績。
全ての要素を総合して、改めて、通好みの渋いゾイドだと思う。

そんなディバイソン。
様々な資料を見るにつけ、おそらく第二次中央大陸戦争で最多量産された大型ゾイドだと思う。

なんとう数。ヌーの群れを思わせるような膨大な機数だ。第二次中央大陸戦争における、主力共和国ゾイドと言うに相応しい。
ゴジュラスもシールドライガーも、これ程までの数は登場していない。
今回は、そんなディバイソンについて考えてみたい。

 

ディバイソンは画期的な万能大型ゾイドだと思う。だからこそ最多量産機になれたと思う。

さて、「万能」という言葉には違和感があるかもしれない。 ディバイソンといえば、やはり「突撃」という印象が強い。
頭部の角はもちろん、背中の砲すら「突撃砲」なのだから、その戦法へのこだわりが感じられる。

資料を見ると、本当に突撃が多い。
アイアンコングに突撃。デスザウラーに突撃。あのギル・ベイダーにすら突撃をしている。

ギル・ベイダーへの突撃は無謀すぎる…。その結果は画像の通りの完敗なのだが……。

ところで資料を見ていると、ディバイソンは大陸間戦争ではあまり姿を見せなくなっている事に気付いた。特に、暗黒大陸ではわずかしか見ない。
第二次中央大陸戦争では最多量産機と思える程に頻繁に登場しているのは先に書いた通り。
しかし、それが一転。この時期においては一気に存在感を失しているのだ。

上のギル・ベイダーとの戦いも、「中央大陸に飛来したギルを迎え撃った」ものだ。暗黒大陸での戦いじゃない。
この時期のディバイソンは、「暗黒大陸へ送られ主力部隊の中核を成す」には程遠い。むしろ「中央大陸守る内地の予備役」に近い位置であったと思える。

姿を見せなくなった理由を考えた時に、それはこの「突撃」という戦法にあると思った。
デッド・ボーダーと戦っている描写があるのだが、

これを見てふと思った。
そういえば、暗黒軍のゾイドはディバイソン対策が完璧じゃないか…。

・デッド・ボーダーは運動性が高いので、突撃するディバイソンに確実に重力砲を撃ち込める。
・ダーク・ホーンは旋回可能なハイブリットバルカン砲で迎撃できる。
・ジーク・ドーベルやガル・タイガーは、そもそも高機動なので突撃をかわせる。

暗黒大陸編で存在感を失したのも納得かもしれない。突撃する前にやられるのは必至だ…。

完璧なディバイソン対策を持つ暗黒ゾイドと比べ、帝国ゾイドは非常に危うい。
もっとも、帝国ゾイドの大半はディバイソンより就役が前なので当然なのだが。

アイアンコングがディバイソンの突撃を止めるなら、6連発ミサイルで撃つ事が必要だろう。
ただ、肩のミサイルを手に持ち替えるより先に、ディバイソンの突撃が到達しそうだ。
背中の二連大型ミサイルでは長距離専用なので迎撃できないだろうし、左肩の小型10連装ミサイルでは威力が低く撃ったところで止められないだろう。

デスザウラーは尾や爪で迎撃できる。が、砲ではなく格闘装備で迎撃するのはパイロットの高い技量が必要。そういった意味では危険だ。
(ただ、これに関してはデスザウラーを任せられる程のパイロットなら造作もないかもしれないが)

サーベルタイガーはディバイソンの突撃を食らったことがあるので、これもまた勝てるようだ。速度差は70km/hもあるのだが。
思うに、スタミナはディバイソンの方が確実に上であろう。また、サーベルの武装ではディバイソンに致命傷を与える決定力に欠ける。
当初こそ高機動で翻弄するサーベルだったが、重装甲で耐えまくるディバイソンに対し次第にスタミナ切れに。
そして疲弊して速度や運動性を落とした所でディバイソンの反撃を許し敗北する…という事かもしれない。

余談ながら、サーベルタイガー改であるところのグレートサーベルは、ディバイソンに勝利した姿が確認される。
グレートサーベルは大幅に武装強化されているから、ディバイソンにも有効なダメージを与えスタミナ切れを起こす前に勝利してしまえるのだろう。
(グレートサーベルは対シールドライガー用であるが、対ディバイソン用としての意味も強いように思う)

 

さて。
やはり戦歴を見ると改めてディバイソンは「突撃」の機体だ。では最初に書いた「万能」とは何ぞやという所を以下に続けたい。

ここで言った「万能」とは「多彩な戦法がとれる」ではなく、「重パワーと機動力を両立した」という意味が強い。

ディバイソン就役頃の共和国大型ゾイドを見ると、ビガザウロ、マンモス、ゴジュラス、サラマンダー、ウルトラザウルス、シールドライガー だ。
この中で「陸戦用」「直接戦闘用」「一線級の能力」をすべて満たすものは、ゴジュラス、シールドライガーの二種類。

この二機は、比べると対照的だと思う。
ゴジュラスは重パワーを誇り、敵を一気に破壊するだけの決定力を持つ。半面、運用には難があり山岳等では使用できない。
シールドライガーは運用面が抜群で、あらゆる地形で運用できる。半面、ゴジュラスほどのパワーはなく決定力はない。
ゆえにアイアンコング等に対しては苦戦してしまう(先に書いた「サーベルタイガーVSディバイソン」のような関係であろう)。

対しディバイソン。
パワーは抜群。明記はされていないが、様々な描写から推測するにアイアンコングと同程度はありそうだ。
それでいて足回りも優秀。さすがにシールドには劣るものの、山岳地帯でも難なく運用されている。

「ここに重パワーの決定力と良好な機動力・運用面を併せ持つ万能機が誕生したのであった」

という解釈をしたというわけだ。

こう思うと、ディバイソンはやっぱり優秀なゾイドだなと改めて思った。
ただ、「万能」といっても、それは「共和国機として」だ。
帝国は、ずっと前からアイアンコングという万能機を持っていた。上のグラフにアイアンコングを当てはめると、おそらくディバイソンに近いものになると思う。
今回の考察は、改めて帝国軍の技術、そしてアイアンコングの優秀さを感じさせるものでもあった。

 

さて、ここまでで導いた通り、ディバイソンは「多くの場所で運用でき、なおかつ決定力を持つ万能機」である。
そしてまた、戦法は「突撃を最も得意とする」というものだ。
ただ、「戦法が突撃に限られるのか」という点も考察し補足したいなと思う。

色々と考えると、やはり戦法は突撃が9割を占めると思う。

17門突撃砲は、砲身が短い。射程は短いだろう。
中~近距離用火器なので、ウルトラザウルスやゴジュラスMK-IIのような遠距離からの支援砲撃には使用できまい。
やはり「角で突撃し追い討ちで17門突撃砲を見舞う」ものなのだろう。

ただ、9割は突撃という戦法であるものの、10割ではないとも思う。
背中に高性能レーダーがあり、腰部には対空機関砲がある。見た目からして速射性に優れていそうだ。地味ながら、対空能力はなかなか高い。
レドラーが猛威を振るう時期に運用されたゾイドだけに、防空機としても活躍したんじゃないかなと思う。

更に、後部に向けた砲や対小型ゾイド戦に威力を発揮しそうな小型ミサイルもある。
なので、ある程度は突撃以外にも活躍できた事が想像できる。
そもそも、もし「突撃」のみで全てをまかなう設計なら、あそこまで量産されまい。
ディバイソンは、突撃に特化したゾイドでありながら、同時にある程度の汎用性も持っていた。だからこそ、あそこまで量産され活躍したのだろう。

 

暗黒大陸編でディバイソンが活躍していないのは先に紹介した通り。
暗黒大陸編は、小型ゾイドが姿を消し、飛行ゾイドもギル・ベイダーをはじめ巨人機が跋扈した時代だ。
もはやディバイソンの小型砲・小型ミサイル・小口径の対空火器では、大型化した敵ゾイドに対し効果薄になったのかもしれない。
かといって突撃も通じない。
だから、活躍できず中央大陸を守る予備役のような位置になった…。

もしこの時期にディバイソンが活躍しようとすれば、17門突撃砲を撤去し、かわりに高威力の巨大砲を付ける事だと思う。
ちょうど、ビッグ・バッド・ジョンのような感じの。

ビッグ・バッド・ジョンはこちら。
このようにすれば、突撃はできなくとも強力な砲戦ゾイドとして活躍できたかもしれない。

しかし、既にウルトラザウルスやゴジュラスMK-II、そして何よりカノンフォートやガンブラスターといった新鋭砲撃ゾイドが存在している中で、あえて行う必要性は薄かったのだろう。
やはりディバイソンは「第二次中央大陸戦争で」活躍するために生まれたゾイドなのかもしれない。

 

最初に「渋いゾイド」と書いたけども、大陸間戦争での扱いを含めるとさらに渋い感じがする。
華やかさではなく、あくまでストイックに魅せてくれるゾイド。それがディバイソン。
改めて、その特有の魅力の惹かれる。

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