中央大陸以前の前史を解説&妄想する②

今回は、こちらの続き。中央大陸戦争以前の「前史」を解説&妄想する② という事で進めていたい。
中央大陸戦争以前の「前史」を解説&妄想する① は、こちら。先に①を読まないと何がなにやら分からないので、ぜひ読まれたし。

さて今回は、続編という事で進める。
その前に、前回の内容をもう一度見直したい。
前史を今一度まとめると、

 

ZAC1700年頃 :部族の時代
ZAC1850年頃 :部族が合併し国家になった時代
ZAC1900年頃 :国家間でが対立が激しくなり戦国時代になった時代
年代不明 :大陸がヘリック連合軍とガイロス同盟軍の二大勢力に分かれる
ZAC1955年 :ヘリック、暗黒大陸へ渡り大陸の民と接触する
ZAC1956年 :暗黒軍襲来と撃退。中央大陸が統一されヘリック王国誕生
ZAC1957年 :ヘリックII世誕生
ZAC1958年 :ゼネバス誕生
ZAC1975年 :ヘリック王が78歳で死去。ヘリックII世、大統領に就任。王国は共和国に名を変える。
ZAC1978年 :ゼネバスが共和国を追放され、大陸西側を制圧しゼネバス帝国を建国する

 

今回は、ここから不足する情報を補っていきたい。
ただ、情報を補っていきたいと言っても、公式資料がない部分を補うものだ。なので、妄想が大きな割合を占めるのでその点は注意されたい。
あくまで私という個の導いた考察である という視点で見て頂けれ幸いに思う(といってもこれはコラム全般に言える事だが)。

 

年代不明の時期…、ヘリック派とガイロス派の二大勢力になったのはいつ頃だろう。
ヘリック王が78歳で死去したのがZAC1975年。
ここから逆算すると、暗黒大陸へ渡ったのは58歳という事になる。
そして戦国時代が始まった頃は…、まだ生まれたばかり。

ざっくりと、ZAC1900年頃の戦国時代突入~二大勢力に分かれるまでを妄想する。
まず東側。

 

ZAC1900年頃 ヘリック0~5歳頃
最初の頃は隣国と戦うような状態だった。隣国と戦い、勝てば領土を増やし敗れれば領土を奪われるといった具合である。
東側の国の一つが、ヘリックの生まれた国である。

ZAC1920年頃 ヘリック20歳頃
ヘリックは国で有能な戦略家として成長する。成人すると直ちに軍を動かし戦いに参加するようになる。
その優れた戦略でヘリックの国は幾多の勝利を得てゆく。

ZAC1930年頃 ヘリック30歳頃
ヘリックの国は順調に勝ちを重ね、東側の趨勢はヘリックの国の勝利へ傾いて行く。
いつしかヘリックの名は東側に轟くようになっていた。次第に彼は名声を得ていった。

 

東側の戦国時代の模様であるが、もちろん双方の軍が激突する「戦争」である。
だが、終戦後の動きは穏やかであった。
戦勝国が敗戦国を支配するのは確かだが、占領後は政治の中央が戦勝国へ移る事を除けば大きな被害は無かった。
特に搾取されるものではなかった。そして政治であるが善政であった。少なくとも極端な悪政や独裁ではなかった。
これはもともと豊かな東側ならではの情勢であろう。
終戦後のこうした措置もあり、戦勝に次ぐ戦勝を重ねるヘリックは敗戦国からも時に英雄視されるものだったのだ。

ヘリックはもともと支配する為に戦争をしていたわけではない。
彼はこの地を平和な一つの国として統一する事を純粋な目的としていたのだ。

だがこの頃、ヘリックや東側の各国は西側の存在を知る。
今まで中央山脈に阻まれ未知であった土地だ。
なんでも西側は東側とは随分違う所らしい。そこに住む民も我々とは随分考え方の違う「蛮族」らしい。
いずれ西側の民が東側に攻め込んでくるかもしれない…。
「今すぐ我らは結束し、西側への対策を行う必要がある」
ヘリックは訴えた。その言葉に東側はまとまりを見せる。
既に趨勢はヘリックの国に傾いていた。彼の国が占領後に行う政治もおおむね納得できるものである。
何よりヘリックは戦術に長けた英雄だ。東側に対抗するには彼をリーダーとして一つにまとまらねば。

ZAC1935年頃 ヘリック35歳頃
ヘリックをリーダーとした、大陸東側を統一した連合軍が結成され、西側と激突する。
ヘリックはこの経験から、「共通の敵によるまとまり」に強い印象を持った。

・・・・・・・・・

次に西側を妄想する。
ガイロスの年齢は不明…だがヘリックと同じくらいと仮定しよう。

 

ZAC1900年頃
西側も戦国時代だった。隣国と戦い、勝てば領土を増やし敗れれば領土を奪われるといった具合である。
西側の国の一つが、ガイロスの生まれた国である。

ZAC1920年頃
ガイロスは生まれながらに優れた戦士としての血を濃く持つ者であった。成長するに従い優れた戦術家となっていった。

ZAC1930年頃
ガイロスの国は順調に勝ちを重ね、西側の一大勢力となってゆく。ガイロスの名は西側に轟いた。

 

西側の戦国時代の模様であるが、東側とは随分異なるものであった。
戦勝国は、敗戦国を文字通り支配した。それは搾取であった。戦勝国の国民は豊かになり、敗戦国はいっそうの貧困に追い込まれるのである。
これは愚かな事であるが、西側の事情を考えれば自然な流れであった。
終戦後のこうした措置もあり、西側諸国はガイロスの名を恐れた。

この頃、ガイロスや西側の各国は東側の存在を知る。
今まで中央山脈に阻まれ未知であった土地だ。
なんでも東側は西側とは随分違う所らしい。また、非常に環境の良い所のようだ。
西側の民は考えた。
「環境の良い東側に攻め込めば良いのではないか」
そうすれば、今までのように貧しい西側で優劣を決める必要も無い。移住してやれば良いだけだ。

東側に攻め込むにはどうすれば良いのか。
東側にも武力はあるようだ。勝算はあるものだろうか。
ここでガイロスに注目が集まる。
「ガイロスを中心にすれば東側に勝てる」

ZAC1935年頃
ガイロスをリーダーとした西側を統一した同盟軍が結成され、東側と激突する。

・・・・・・・・・

ここからはヘリック連合軍とガイロス同盟軍の戦いを妄想。
恐らく史上最大の規模であっただろう。もちろん、後の帝国VS共和国の戦いに比べれば小規模なものだろうが…。

さて両陣営ともかつてない経験をする。
なにしろ今までは、隣国との戦いはすぐそこで行われるものだった。
作戦時に困難があっても、せいぜい川を越える程度。しかし今度は険しい山脈を超えなければならないのだ。
それは準備だけで凄まじい国力を要した。

 

ZAC1950年頃
ヘリック連合軍とガイロス同盟軍の戦いの開戦から15年。
情勢は良くなかった。
いや、予想していたほどの被害は無かった。それはやはり山脈である。
大部隊が統制を保ったまま行軍する事は不可能だったのである。山脈で十分に戦えるメカの開発には、まだしばらくの時間を要した。
せいぜい、少数の部隊が交戦するものであった。山脈を挟んで、両陣営の支配域は何ら変わらなかった。

だが戦いが終わる気配は無かった。
山脈で今も戦闘は続いている。その規模は趨勢に何ら影響を与えるものではなく、ただ意味も無く戦い死ぬものであった。
このような中でも、厭戦ムードは生まれなかった。
それどころか、規模を増した部隊を編成し今度こそ敵側に一気に攻め込もうと次々に作戦が立案された。
東側は西側をどうにかしないと自分達が危うい。西側は東側に移住する事こそ目的。
どちらも背水の陣。今更引けない状態なのだ。

 

ZAC1955年
もはやこのままでは両陣営とも決定力が無い。だがやめるわけにもいかずジリジリと被害だけは増えてゆく。
ヘリックは考える。このままではダメだ。
かつて経験した事が頭をよぎる。
「共通の敵によるまとまり」
彼はこれを実行に移した。暗黒大陸への渡航である。

History of ZOIDSでは「誰にも告げずたった一人で暗黒大陸へ渡航した」とあるが、これは誇張した表現だと思う。
いくらなんでも大将がいきなり居なくなるなんて無責任すぎる。
少なくとも重鎮には相談など行い不在の間の調整を行った上で渡航したと思われる。
まぁ、ともかく暗黒大陸へ渡航し、その地の軍に接触し、みごと釣り上げた。

 

ところで「暗黒大陸のメカが暑さに弱い」事をヘリックはどうやって知ったのだろうか。これは謎だ。
「暗黒大陸は寒い=多分、暑さに弱いだろう」という程度の予想は出来るだろう。
しかし、よほどの確信がなければ中央大陸を襲わせるなんて大胆な作戦は実行できないと思うのだが…。
一か八かで済む問題じゃない。実は暑さでも普通に行動できましたー では洒落にならん。
それをいかにして見抜いたかは記されたものがない。ただまぁ、それを見抜く優れた目を持っていた事こそヘリックの能力だったと考えるべきか。

ともかく、こうして暗黒軍は襲来し撃退された。ヘリックの思惑通りに事は進んだ。
暗黒軍の状況は、何ていうか同情するに余りある…。ピエロじゃないか。
ヘリックは暗黒大陸の民の事をどう思っていたんだろう…。

さすがにヘリックもこれでめでたしめでたしとは思ってなかったと思う。
「暗黒軍が再び中央大陸に侵攻する」その可能性は高いと思っていただろう。
しかも次は熱対策をした上で。
…中央大陸の「夏至」が今回の勝利のキーワードだった。
これは「毎年7/25に決まって気温が10度も上昇する」という中央大陸の特殊な気候だ。
今回は、この時期にあわせて暗黒軍をおびき寄せたからこそ勝てた。
暗黒軍が冬に攻めてきたら? 中央大陸の気候でも大丈夫なゾイドを開発したら?

そこで彼はガイロスを使ったと思う。
さすがにガイロスには自分が行った事を語ったと思う。
というのも、ガイロスは戦う事が好きな武人だ。
「ガイロスは暗黒大陸にいずれ赴くだろう」
それは大いに予想できただろう。

暗黒大陸に行けば、ヘリックの行いは100%バレるだろう。
そうなればもう悲劇。そんなガイロスに、事の次第を秘密にするなんてありえないと思う。

ヘリック王はガイロスに懺悔した。
いくら中央大陸を一つにする為とはいえ許されぬ事をしたと。
そして暗黒軍が再びやってくるかもしれないという未来への不安材料を残したこと。
その上で彼はガイロスに願う。暗黒大陸に行き、その地を統治して欲しいと。
統治した後は、この中央大陸と平和な交流を行いたいと(激しく身勝手なものではある)。

ガイロスは複雑な思いでそれを聞く。
怒りが沸き起こる。が、ヘリック連合軍とガイロス同盟軍の戦いが終わった事は、確かにあのような措置が必要だったと理解できる所もある。
最終的に、ガイロスはヘリックの願いを受け入れる。暗黒大陸の統治を目指し渡航する。

・卑劣なだまし討ちを行った中央大陸人が、
・中央大陸西側より更に苛酷な環境で、
・その環境ゆえに争いの耐えない暗黒大陸で、
争いを収め統治する。
果てしなく困難が予想される事だが、それゆえにガイロスは燃え上がった。

ガイロスが暗黒大陸に渡った年代は不明だが、復興が落ち着いた頃ではないだろうか。
復興を10年程度と考え、ZAC1966年頃に渡航したと考えよう。

さて、ガイロスの事はまた後で考える。
中央大陸、ヘリックの息子についても考える。

 

ヘリックの跡継ぎとして、二人の子が誕生した。
ヘリックII世とゼネバス。
そしてZAC1975年、ヘリック王が死去。
この時ヘリック二世は18歳、ゼネバスは16歳。

前回、「まだまだ成熟した政治家になるには遠い年齢だ」と書いたがまさにその通りだ。
一応は「血筋」という事でポジションとしては国の重要ポジションに就いたが、その実、実権としては周囲の側近にあったと見るべきかもしれない。

ヘリック王の場合は、上記妄想した年代が正しかったとすれば、
・20代から軍人としての経験を豊富にし、
・30代で東側の中心的存在となり西側と戦い、
・58歳で暗黒大陸へ渡航し、
・59歳で中央大陸を一つにまとめ上げた
この経験と年齢なら、王として政治を行うに相応しいものがあろう。

一方、ヘリック二世は18歳、ゼネバスは16歳。
やっぱり若すぎる。
では実権を握る側近は何をしていたのだろう。

側近の中にはこんな風な者が居たかもしれない。それは西側出身でゼネバスに通じる者。
彼は、いずれ東西で大きな格差が生まれ、内戦になる事を予想していた。
この国は、また割れるだろう。
実際、復興を終え平和が訪れてからというもの、西側の不満は日増しだ。

彼は事前に独自のネットワークを構築し、来るべき「国家分裂の日」に事がスムーズにいくよう、西側をあらかじめ説得しておいた。
「ゼネバスが追放された際は西側へ来るだろう」
その情報をあらかじめ西側に伝えておく。その際にゼネバスを皇帝として迎え入れる下地を作っておく。

ゼネバス側の側近はヘリックII世とゼネバスが将来的に対立するように仕向けてゆき、そしてその思惑通り、ゼネバスは共和国を追放された。
側近は予定通り大陸の西側を目指す。西側はゼネバスに味方しゼネバス帝国が誕生する。

 

ここで「側近が国家分裂を仕向けた」説を唱えたものだが、この理由を下記。
この説を導くにあたって考えた内容を年表にすると、

ZAC1956
ヘリック王により大陸は統一される。人々は平和を歓迎する。

ZAC1966頃~
復興がひと段落した頃から、東西格差に対する不満が出るようになる(主に西側から)。
ガイロスが居れば民衆を説得し不満を抑える事が出来たかもしれないが、彼は暗黒大陸へ渡航してしまった後だ。
西側の不満は日増しになる。
ヘリック王はあくまで「中央大陸は一つの国」である事に固執していた。
だが、この頃から東西でこれほどの格差がある以上、しょせん統一など夢物語・綺麗事であるとの考えを持つ者が現れ、次第に勢力を増していく。
この思いは、主に西側出身者に広まっていった。

格差を無くすには、中央山脈を軽々と越える事の出来る輸送メカが必要だ。それにより物資の輸送を迅速かつ密に行えば良いだろう。
今は、山脈に阻まれ東西での行き来が困難。細々としたものしか得られない。それが格差が解消されない大きな要因なのだ。
だが、そういった輸送メカの開発は、現時点では技術的に困難なものであった。
なにしろ、ヘリック王国ではようやく新世代のゾイドとして「ガリウス」「グライドラー」「エレファンタス」を開発したような状況だ。
大規模な輸送メカの開発は夢物語であった。

西側出身者を中心に、「現実的な」案が浮上する。
やはりこの大陸は現時点では一つになれるものではない。
東西で二つの国が必要だ。
我々の故郷・西側の民がいつまでも虐げられる状況は我慢できない。
いつしか、水面下で「国家分裂派」の勢力は増大して行く。

 

ZAC1975年
ヘリック王の存命中においては、表立った国家分裂派の動きは見られなかった。
だが死去したこの時から、国家分裂派は動き出す。
西側への働きかけとゼネバスへのアプローチだ。

西側は、不満があるとはいえヘリック王が偉大である事は理解していた。だからこそ不満な中でもかろうじで爆発するものではなかった。
しかし今、偉大なヘリック王は死に、若すぎるヘリックII世(ヘリック大統領)の時代へ移った。
とてもじゃないがヘリック大統領が西側が救えるとも思えぬ。
この事情は強烈に影響し、西側への働きかけは急速に浸透していった。

いつまで経っても無くならない格差。もはやヘリック大統領に期待するのはやめよう。
それよりもゼネバスだ。
「腐敗した中央政権から誇り高く脱出するゼネバスを我々は英雄として迎えよう」
地盤は着実に作られてゆく。

ZAC1978年
ついにゼネバスが共和国を追放される。

 

なお既存資料では、ここで幾つかの疑問がある。「ゼネバスは国家を追放された」とあるが、ここが疑問だ。
「国家を追放されたゼネバスは西側へ向かった」
え。西側はヘリック共和国の領土ではないのか…。
なにが国家追放だ。

普通、もはやヘリック共和国の巨大な危険分子となったゼネバスなのだから、冷酷だが銃殺あるいは最低でも流刑にすべきであると思える。
西側へ行くのを黙認したなんて。
ゼネバスが西側へ赴いた後、その地を纏め上げる事を予想できなかったのだろうか?
それが大きな驚異となる事を予想できなかったのだろうか?

思うに、そうしたくても出来なかったのだ。
共和国議会はヘリック大統領に味方した。その結果ゼネバスが追放された。
だがゼネバスに味方する西側出身の者も多く、そういった者はゼネバス側に付いた。
西側への渡航を黙認する他ない状況であったのだ。

ヘリック王国の誕生から22年、様々な思惑が複雑に渦巻く中、ゼネバス帝国とヘリック共和国は誕生した。

  

今回は、前史における裏側を深めに想像してみた。
このテーマはまだ続く。
次回からは、暗黒大陸の事も絡めつつ考えて行きたいと思う。

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