オーガノイドシステムとゾイド

本コラムはこちら(ナノマシンとゾイド)の補足と続編。先に読まれたし。

 

実はナノマシンの説をひらめいたきっかけはZナイトシリーズだったりする。


装甲巨神Zナイト。
メカ生体ゾイドの後を受け、1991年4月~1994年3月まで展開した。
ストーリーは「行方不明になっていたグローバリーIIIが地球に帰還した」所から始まる。
このように、世界観はゾイドとの繋がりを強く意識している。

Zナイトには関心が低い方も多いかもしれない。
だがゾイド後継玩具、しかも世界観的なつながりも色濃く示しているシリーズだ。
だからZナイトの描写を参考にゾイドを考えると多くの発見があって面白い。
もちろん、完全に別物という考えもそれはそれでありだと思うが。

さて、Zナイトシリーズはゾイドシリーズの続きとすれば不思議な所が幾つかある。
ストーリー冒頭において、以下のような説明がされている。
「地球に帰還するグローバリーIII。そこには6つのメタルハート(ゾイドコアの事)が積まれていた」
「このコアを使用して誕生したのが6体の装甲巨神である」

装甲巨神は強い。それは地球にはないメタルハートという特殊な物体、-ゾイドコア-を使ったからなのだ。
6体の巨神とは、Zナイト、マリンカイザー、ゼロス、ガイム、イーグルヘッド、フレイムソル。

また「六つの生命が目覚め、七つめの生命が訪れる時、青い惑星の運命が決まる」との謎めいた文章も紹介されている。
六つの生命とは6体の巨神の事。
Zナイトストーリーは最終局面にてキングゴジュラスが登場した。すなわちキングゴジュラスが七つめの生命だと思われる。
謎めいた文章についてもう一つ言うと、6体の巨神とキングゴジュラスが同格に扱われていると感じた。

 

Zナイトの不思議な事とは以下の通り。
一つ目は、Zナイトは要するに「ゾイドコアを使用した人型兵器」なのだが、これはゾイドの設定と照らし合わせた場合「動くのか?」という事だ。
戦闘ゾイドは野生体を捕獲し改造する事で生産される。
その際、全体的な姿は野生体の姿に似せる必要がある。野生体とかけ離れた姿にしてしまうとコアが混乱し上手く機能しない。


装甲巨神は人型だ。
ワイツタイガー(虎)はワイツウルフ(狼)のボディに入っただけで力が大きくダウンした。
犬科と猫科でさえこの様。姿を似せるというのはかなり繊細な事らしい。
と考えると、「人型」にしようものなら動く事さえできなくなりそうに思える。

いやしかし、唯一だけ自身の姿とは関係なしにメカと同調できるものが居た。
それはオーガノイド。
もしかすると、6つのゾイドコアとは「オーガノイド」の事ではないだろうかと思いついた。
オーガノイドであるがゆえに人型になっても動くというわけだ。

またZナイトは劇中で「グレートZナイト」に進化した。
これは外装を人工的に張り替えられたわけではなく、Zナイト自身が自己進化した姿とされている。

真オーガノイド・デススティンガーの自己進化とかぶって思われる。

 

不思議なところの二つ目は、Zナイトの劇中にはゾイドは割と普通に出てきている事だ。
確実な所として、ガン・ギャラドとデス・キャットが出てくる。
これを見ると「グローバリーIIIには6つのゾイドコアが積まれていた。それで6体の巨神が作られた」という設定がおかしくなる。
もっと多くのゾイドが積まれていたんじゃないか。
私は「グローバリーIIIには大勢のゾイドと6体のオーガノイドが積まれていた」のだと思った。

Zナイトは、見れば見るほど実にオーガノイド的だと思う。
そんな所からZナイトとオーガノイドの関連性を思いついて先のコラムを書いた。

 

さて更に続ける。

既に述べたように、Zナイトシリーズは最終局面にてキングゴジュラスが登場する。
先に「6体の巨神とキングゴジュラスが同格と感じた」と書いた。
もしかすると、キングゴジュラスもオーガノイドシステムを搭載しているのかなと思った。
そうすれば、同機のあのバケモノみたいな強さも説明できるというものだ。

キングゴジュラスがいかにしてオーガノイドシステムを搭載したのか。
これも妄想してみたい。

旧大戦の末期と言えばギル・ベイダーの猛攻だ。
共和国軍はオルディオスで奇跡の反撃を行い戦線を好転させた。
だが一方で状況を危ういと考えていただろうし、出現が噂される第二の大型ドラゴン型ゾイドへの懸念も大きかっただろう。
なので、やっぱり新たな最強ゾイドが欲しい。
だが中央大陸の野生体生息域は既に調査しつくしている。新たな強力野生体を確保する事は難しい…。
どうしたものか…。

そんな状況で、共和国軍は西方大陸にも調査を派遣する。

西方大陸戦争にも、ウルトラザウルスやマッドサンダーを超えるような野生体には出会えなかった。
やはり新たな最大最強ゾイドは開発できないのか。
いやしかし、西方大陸は古代遺跡が点在する場所であった。
首尾よく古代遺跡を発見する共和国軍。
はたしてそこにはオーバーテクノロジーであるオーガノイドシステムが存在していたのであった…。

アニメでもバトストでも、西方大陸には朽ちて半ば石化したゴジュラスが背景に出てくる。

アニメではシールドライガーもあった。これはバンの乗機として復活を遂げた。
西方大陸の「調査」をしたとすれば、最新鋭の機体は暗黒大陸の前線に送られているから派遣されない。
おそらく派遣しても戦線に影響の少ない「予備役」のような機体を出したと思われる。
西方大陸には脅威となる敵が居たとも考えにくい。
そこでシールドライガー(高速機なので調査を迅速に行える)や、ゴジュラス(万一の事態に備えた護衛)が選ばれたのだろう。

両機ともに「MK-II」は現役機として前線に送られていた。
が、ノーマル機であれば既に一戦を退いていた身。調査機に抜擢されたと考えられる(MK-IIへの改造もできないような老齢機だったのだろう)。
そして西方大陸でグランドカタストロフを迎え、機能停止してしまったのかもしれない…。

 

さて西方大陸。この大陸や点在する遺跡もグランドカタストロフで大きなダメージを負ったと思われる。
だが今はグランドカタストロフが起こる前。遺跡は後に比べて比較的良い状態にあっただろう。
とすれば、オーガノイドシステムに関する研究は西方大陸戦争時よりも容易に行えた筈だ。
古代遺跡を発見した共和国軍は、順調にオーガノイドの技術を会得しただろう。

オーガノイドシステムは、デススティンガーのように戦闘データを学習して「進化」する事ができる。
ここでは、「ゴジュラスにオーガノイドシステムを組み込んだ」「オーガノイド・ゴジュラスに、今までに記録された全ての戦闘データを学習させた」と推測する。
するとどうだ。自己進化を始め、巨大なキングゴジュラスになったではないか。

試作型の青い「プロトタイプ」に続いて、完成版である白い機体も完成した。
史上最強、共和国軍が待望した新型最大最強ゾイドの完成である。

 

だが共和国軍はそれ以上の量産はしなかった。
オーガノイドシステムが敵に知れる事を恐れた共和国軍は、本システムを最大級の極秘に指定したのだ。
キングゴジュラスは「戦勝に必要な最低限の数」だけが生産さるだけに留まった。

オーガノイドシステムの真相は、大統領と一部の関係者しか知らぬものになった。
キングゴジュラスは「ついに完成した新型ゾイド」とだけ公表され、使用されたオーバーテクノロジー「オーガノイドシステム」は徹底的に秘匿された。

共和国軍はオーガノイドシステムの技術を限定的なものとし、広めようとしなかった。
広めれば共和国軍は桁違いの強化を果たすだろう。だが広めればいずれ敵に技術は漏れ結果として戦線が拡大する。
ならば使用は最低限に留め、技術は徹底して隠す方が良い。

もっとも、徹底した秘匿が仇となりグランドカタストロフでの技術ロストを生むのだが………。

ところで、オーガノイドシステム搭載機は「操縦者に精神的な負担をかける。凶暴化する」ような特徴もある。ジェノザウラーにおいて顕著であった。
これは、リバースセンチュリーにおいてキングゴジュラスのパイロットを務めたヘリックの描写と一致する。
この時にヘリックは破壊神の如き性格に変貌していた。

 

キングゴジュラスの開発はこのように考えてみた。
西方大陸の遺跡調査とオーガノイドシステムの習得。それをゴジュラスに適応して生まれた。
続けて、その後も考えよう。

こうして完成したキングゴジュラスは無敵の大活躍をみせた。そして共和国軍は勝利目前になった。
だがここで彗星が飛来し、グランドカタストロフが発生した。

この事が、オーガノイドシステムを思いも寄らぬ方向へ進める事になる…。

 

リバースセンチュリーにおけるグランドカタストロフ発生後の描写を見てみよう。
キングゴジュラスはグランドカタストロフを受け戦闘不能状態になった。
脱出したヘリック大統領は、真っ先に機体の破壊を命じている。
これは、残骸を解析され敵側に技術が漏洩する事を懸念したものと思われる。

グランドカタストロフにより、もはや戦争どころではなくなった。一時中断はやむない。だが、この機体だけは破壊しなければならない。
敵が回収してオーガノイドシステムを得たらどうなる? その危険を考慮しての破壊措置だったのだ。

共和国軍は、ここでキングゴジュラスを破壊する事にはあまり躊躇がなかったかもしれない。
なぜならこの時点での共和国軍はオーガノイドシステムの技術を持っているからだ。この機体を破壊しようとも後にまた同じ機を作れば良いと考えたと思う。
結局、技術がロストしてしまいそれは叶わなかったのだが…(※技術ロストの経緯は後に補足する)。

 

命令に従いキングゴジュラスは爆破された。
秘密は守られたかに思えた。
だが秘密というのは100%守られる事は稀である。
「なにやらキングゴジュラスには凄まじいオーバーテクノロジーが使われているらしい」
そんな噂は兵士の間に知れ渡ってゆく。
そんな話から発展したのがリバースセンチュリーにおける残骸争奪戦だったのかもしれない。

同シリーズは、キングゴジュラスの性能を支えたのは「グローバリーIIIの技術」であったとしている。
だがこれはおかしい。
グローバリーIIIの技術は既に両軍とも徹底的に解析しているのだ。新たに解析した分野があったとしても、それは劇的なものではないと思われる。
「キングゴジュラスの開発を支えたのはグローバリーIIIの技術」というのは、共和国軍が流した偽の情報っだったのかもしれない。

リバースセンチュリーでは、キングゴジュラスの残骸を一部解析して誕生したヴァルガが登場している。
ここで帝国軍は「…これはグローバリーIIIの技術ではない…。古代のオーバーテクノロジーを使用したものだ」と気付いたかもしれない。

 

さて新世紀にも目を移そう。
西方大陸戦争では、両軍は緒戦でオリンポス山の頂上を目指した。
それは表向きの目標は「高所を制圧すれば戦況を優位に進められる」であったが、真意は遺跡の制圧と解析であった。
旧大戦末期に登場した超技術…、オーガノイドシステムを得る事である。

帝国軍はオーガノイドシステムを完全に得る為に。ヴァルガのような「一部解析」ではなく、完全な技術を得る事が目標だ。
共和国軍も失われたオーガノイドシステム技術を取り戻すために、必死で制圧を目指した…。

 

~「技術ロストの経緯は後に補足する」としていた部分について~
今回のコラムでは、「キングゴジュラスはオーガノイドシステムを搭載していた。この時点(旧大戦末期)で共和国軍は同技術を高レベルで会得していた」と考えている。
だがグランドカタストロフ後は消失したとも推測している。
以下はそうなるに至った経緯の推測。

キングゴジュラスを躊躇なく破壊した共和国軍。
それは「ここで破壊しようとも後でまた作ればいいだけ」と考えていたから。
だがグランドカタストロフの発生直後においては「大丈夫」と思っていたのだが、同災害は予想を遥かに超える超規模であった。
高度に秘匿していた為、少数の者しか知らぬ技術であった。
運悪く、その人員が所属する研究所が被害を受けてしまった。そうしてオーガノイドシステムはロストしたのだった……と考える。

 

キングゴジュラスに関する考えは以上で終わり。

今回は、ひらめきのきっかけとしてZナイトシリーズがあった。
最後に、ゾイドとZナイトのストーリーがどう繋がっているかも詳細に考えておきたい。

Zナイトでは「グローバリーIIIが地球に帰還した。船には6つのコアが積まれていた。これが装甲巨神になった」という冒頭がある。
「6つのコアとは6つのオーガノイド」

グランドカタストロフ発生直後。オーガノイドシステムの技術を持つ人員と研究所はまだ健在だった。
今まで戦争をしていて、いつしか敵に勝つ事が目的になっていた。だが、ここでふと地球出身の者が気付く。
「オーガノイドシステムを使えばグローバリーIIIが修復できるんじゃないか」

そこでグローバリーIIIを修復するために、6つのオーガノイド…これはジークのように機械に取り付きスキャン・把握し修復するような機能を持つ…が開発された。
徐々に修復されるグローバリーIII。ついに地球への帰還が可能な状態にまで至る。
だが航行中に再び何かが起こるかもしれないので、修復に使用したオーガノイドはそのまま搭載して地球に戻る事になった。

グローバリーIIIには、6つのオーガノイドだけでなく通常のゾイドやゾイド星人も乗り込んだ。
地球への帰還は地球人クルーを帰す事だけでなく、地球の助力を得てゾイド星を復興する事や、将来的には惑星間貿易を行うような事も目標だったのかもしれない。

帰還時するグローバリーIII。

その後のゾイド星では、グランドカタストロフがまだまだ驚異的な猛威をふるい続けている。その中で人員および研究所が被害を受けロストした……。
この状況でも、グローバリーIIIが無事に地球に辿り着き、そして地球から再びやってくれば技術を復活できただろう。
だがそれはなかった。
地球でオーガノイドは6体の装甲巨神の建造に利用され、地球の戦乱に加担してしまったのだ…。
かつて地球はゾイド星の戦火拡大に加担した。そして今、ゾイド星も地球に対して同じ事をしたのだ…。

飛び去った後、グローバリーIIIは一向に戻らない。
ゾイド星人は、航海が失敗したのだと思う…。

ゾイド星のオーガノイドシステムはロストした。やがて存在さえ忘れられていった。
しかし、軍の上層部だけは存在を覚えていた。
復興中、西方大陸に兵力を出して遺跡を調査したいのは山々だった。
だが復興に必死で余力は全くないし、迂闊に行動すれば敵国を刺激する事にもなる。
できるだけ早く西方大陸に派兵する。それを大きな目標に両軍は進んでいったのである…。

そして機獣新世紀ゾイドのストーリーが始まる……。

 

という事で、ゾイドの自己修復機能やオーガノイドシステムやキングゴジュラスやZナイトなどなど、様々な要素をごった混ぜにした妄想をしてみた。

キングゴジュラスについては、以前に「キングゴジュラス野生体捕獲作戦」というSSを書いた事がある。
こちらではオーガノイドではなく、野生体として完全無欠の強さを誇るイメージで書いた。
キングゴジュラスを異常なまでに強いと捉えた上で強さの秘密を2パターンで考えたわけだが、両説とも私の中で甲乙付け難くどちらを選ぶかとても迷う。
複合して考えてもいいのかなあとも思う。

描写から読み取れる見解は一つでなくてもいいと思う。
色んなパターンを考えて、その中で最も自分にシックリ来るものを探すのが楽しいと思う。
今回のコラムは長編になったが、なかなか面白い見解を出せたと思う。
この先、更にゾイドを体感して色々な説を考えていきたいと思う。

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