YAMATO ノンスケールフル可動ダイキャストモデル シールドライガー

■YAMATO ノンスケールフル可動ダイキャストモデル シールドライガー データベース■

 発売年月 2010年12月  価格 17800円  原型・企画協力 アーミック  技術協力 T-REX


YAMATO製アクションキット

模型メーカーのYAMATOから発売された特大アクションキットです。

YAMATOといえば、マクロスシリーズのメカを数多くリリースしており、その完成度には定評がありました。
劇中の機体プロポーションと複雑な変形を完全再現する技術力は、他のメーカーには無いものでした。
また、YAMATOはやたらとデカい造形が好きなようで、マクロスも1/60とか1/48とかの大スケールで展開されています。
更に、キットはとにかく頑丈で、壊そうとしても壊れないくらいの丈夫さがあります。

でっかくて、ガシガシ遊べて、造形も高クオリティー。そんなYAMATOがゾイドを出す。
一報を受けた時から、マクロスの機体や小出しにされる告知画像を眺めながら、どんな仕上がりになるだろうとワクワクしていました。

そして実際のキットは、期待以上のものでした。


オリジナルと共に

キットは組済みで箱に入っています。箱を開けるだけでそのまま遊べますが、何といってもまず、その大きさに圧倒されます。
オリジナルと並べると、親子のような差があります。

市場には小型キットがどんどんあふれるようになっています。
精密な造形で魅せる小サイズキットには強い魅力を感じます。日本の住宅事情もあり、どちらかというと大型より小型キットの方が時代の流れなのかなとは思います。
その流れに逆らうように登場した超ビッグモデルですが、この大きすぎるシールドライガーを見ると、"でっかい事はいい事だ"と、有無を言わせず納得させてくれます。
ノンスケールとされれていますが、通常スケール1/72に対して、だいたい1/60位ではないかと思います。
まずはそのサイズに対し、よくやってくれたと思います。

手に取ると重さに圧倒されます。
素材は全身これダイキャストの塊で、実に2キロ弱の重さを誇ります。
手に取った時のズッシリ感は本当に凄まじく、重すぎて感動してしまうほどです。そしてその重さが、このビッグモデルの存在感をより際立たせています。

機体は、ほとんどがダイキャスト。
それゆえ、成型色ではなく塗装によって色が再現されています。塗装は非常に綺麗で、塗りムラなどは一切なく、大満足の仕上がりをしています。
更に、細かい塗りわけも、随所に丁寧かつ効果的にされています。
更に「CAUTION」「RZ」等のマーク類が、タンポ印刷で超美麗に入っています。量も適度、位置も気持ちの良い位置に入っています。

これが大型モデルにありがちな間延びを防いでおり、いやむしろ、大型モデルだからこそ出せる質感や量感に繋がっています。

箱を開けただけでこの完成度。改めて驚きです。
塗装済みキットはどうしても個体差があり当たりハズレがあるものですが、ことこのモデルに関してはどれを買っても当たりだと思います。

特大キットで重さもヘビー級。
何ともビッグなアイテムですが、その反面、箱は非常にコンパクトに作られており、シールドライガーがギリギリでキッチリ入る程度になっています。
組立不要の完成キット…、プラモのようにランナーが無いので当然とも言えますが、リボルテックゾイドの箱などと比べると、そのコンパクトさは特筆に価します。

この箱の素晴らしいのは、遊び終わった後に箱の中にシールドライガーを収めるのが容易な点です。
通常ゾイドでも、大型のものは収納・保管が問題になる事がよくありますが、このキットは特大であるにも関わらず収納が容易になっており、特筆すべき点です。


前後より

大きさと重さに圧倒されますが、造形もよく出来ています。
これだけ大きなキットにも関わらず、細部まで手抜かり無く作られているのはさすがYAMATOです。
最初に大型の可動モデルがリリースされると知った時は、正直に言うといかにYAMATOといえどある程度は大雑把な造形になるだろうと予想していました。
しかし実物はこの通り素晴らしい造形。いい意味で裏切ってくれました。

シールドライガーと言えば、多くのバリエーションが存在するですが、このモデルはアニメゾイドの主人公、バン仕様になっています。
カラーリングがバン仕様であり、コックピットも複座型、更にアニメキャラのフィギュアも付いています。
一方、尾部先端のビーム砲はノーマル仕様になっていたり、頭部の牙や尾部付け根のウイングはHMMに近い風になっていたり、様々な特徴もあります。
バン仕様を基本としつつ、様々なシールドライガーから要素を拾いつつ完成したもの、と捉えるのが良いと思います。

各部のバランスはオリジナルに極めて近く、アレンジが激しかったHMMとは対照的です。

個人的に、シールドライガーはオリジナルの少し顔が大きめのバランスが好きなので、YAMATO版がオリジナルに近いバランスだったのは嬉しかったです。
自分の好みのバランスで造形されている上に笑えるほどのビッグスケール、丈夫でフル可動、細かい塗装やマークもばっちり決まっている。
まさに求めていた理想形の一つです。


側面より

オリジナルに近いバランスとは先に書きましたが、細部にはアレンジもあります。アレンジは、胴体において顕著です。
胴体のデザインアレンジは、可動を実現する為にされています。体をひねる事を実現するために、前中後3ブロックで構成されています。

多少スリム化もされていますが、HMMに比べるとまだ太めで、オリジナルとHMMの中間位の太さになっています。
特筆すべきはバランスでもあります。
胸部が太く、そこから一気に絞り込むラインが形成されています。
おかげで力強さとしなやかさが共存した感じになっており、理想的な仕上がりだと思います。


フェイス

パッと見では、かなりオリジナルに忠実な印象を持ちましたが、良く見るとアレンジも多く見られます。
大まかな面構成に関してはオリジナルと同じですが、牙に関しては、HMMの影響が強く感じられます。
その他、一部ディティールにも差が見られます。

全体的には良い感じに仕上がっていると思いますが、鼻先には少し違和感を感じます。
先が左右つながっているのがのっぺりとしており、個人的には左右で二分割した方が猫科動物の鼻先らしくなったのではないかと思えます。
また、側面のパイプディティールが省略されているのも多少気になります。この二点のみ、個人的には残念です。

これはCGで補正したものです。鼻先はこのようになっていれば嬉しかったです。

牙はHMMのようになっていますが、実は中の牙は別パーツ化されており、抜いてオリジナルの様な、前歯のみの形態にする事も可能です。
ただ取り外し/装着の工程がやや面倒なのが、ネックでもあります。

中の牙を取り外すには、外装をいちど外す必要があります。
この時、当然、下あごも外す必要がありますが、パーツは下部のキャップによって固定されています。これがちょっと問題です。
キャップ位置が非常に深い部分で、指で掴むのがかなり困難です。

その上、キャップはかなり固めに入っています。更にその上、キャップは軟質パーツで塗装済み…。
下手に掴むと塗装がはがれてしまいます。
この対策の為か、予備用キャップが2個用意されており、もしここで失敗しても大丈夫なようにはなっています。

ただ、それを差し引いてもこの点は弱点だと思います。キャップ位置をもう少し前に出すだけで解決できただろうだけに残念です。
ちなみに、上記問題の為、牙を差し替えたver.に換装して撮影しようとしたのですが、破損を恐れて断念しています。

 

シールドライガーの頭部といえば、手動ギミックの塊です。それらはよく再現されています。

まずEシールド発生装置の展開ですが、もちろん行えます。また、上下に加え、左右のタテガミも開きます。これはやはりHMMの影響かと思います。
上下のEシールド発生装置は、細かい塗り分けによってメカ的な密度が大幅に増しており、素晴らしいリアル感を出しています。
また、裏面にもそれらしいモールドがあります。

キャノピーも開きます。ただこの点は微妙に不満が残ります。

コックピットは複座式になっており、シートや計器類など細かく出来ており、素晴らしい完成度を誇ります。
キャノピーの色合いは薄いブラウン。メカ生体版のスモークブラウンとも機獣新世紀版のオレンジとも違う色ですが、なかなか絶妙な色だと思います。
中には、これもまた良く出来たアニメキャラのフィギュアを乗せられます。キャノピーの透過率は非常に高く、中のフィギュアまでよく見えるようになっています。
フィギュアは、アニメの主人公、バンとフィーネです。細かい所までよく造形されており、また塗装も綺麗に塗られています。

不満点というのは、キャノピーの開き具合です。
オリジナルは、がばっと大きく前までキャノピーが開きましたが、このキットは画像くらいが限界になっています。

その他、口の開閉はもちろん行えます。
総じて、微妙な不満はあれど素晴らしい頭部だと思います。


シールドライガーらしさ

このモデルを見たとき、凄くシールドライガーらしいな、ゾイドらしいなと思いました。
個人的に抱いているゾイドのイメージに合致したモデルでした。
元のゾイドが持っていた重々しい力強さやリアルなメカニック。戦闘兵器であるという事。それらが素晴らしく表現されていると感じます。

特に、個人的に嬉しかったのは、背中の装甲の処理です。

この部分の廃熱口の処理がオリジナル版に忠実な所が良いと思います。個人的に、微妙に左右非対称というのは非常に燃えます。
HMM版はこの部分が左右対称になっており個人的には残念でした。
色分け的にも非常に引き締まった感じの塗り分けがされており最高です。
装甲の下に、オリジナルと同じように砲が収納されていますが、これについて詳しくは後の項目に譲ります。

足の爪はHMMのような一本一本独立したタイプではなく、オリジナル版と同じ全て繋がったタイプのものです。裏面は埋まっています。

引っかいて切り裂く印象のHMMに対し、一体整形で作られた分厚い爪は、ハンマーのように叩き潰すイメージを持ちます。
どちらもそれぞれの魅力がありますが、好みで言えばこちらの方が好きです。

また、シールドライガーらしさという点で言うと、全身に密集したパイプ類も挙げられると思います。

オリジナルのシールドライガーは、全身これ極太パイプの塊という感じで、パイプが多用されていました。
YAMATO版でもパイプ類が再現されており、また塗装によっていっそう強調されているのが嬉しいです。
胴体など可動部にも、軟質パーツを使用することによってパイプを配置する事に成功しています。


可動(オリジナルの再現)

可動モデルなので、当然、各部可動します。
まずはオリジナルで動く部分が再現されているかどうかですが、これはほぼ完璧に再現されています。
頭部のギミックは、フェイスの項目で書いた通りです。キャノピーの開き角度以外は完全に再現されています。

特徴的な背中のビーム砲の展開ギミックは、完全再現されています。

背中の装甲を開け、砲を展開させ、そして装甲を再び倒す。
シールドライガーではおなじみのギミックですが、やはり完全再現されているのは嬉しいです。

また、独自ギミックもあります。

ビーム砲の砲身を、伸縮させる事が出来ます。砲に付けるギミックとしては、なかなか面白いものだと思います。

シールドライガーでもう一つ特徴的なのは、わき腹のミサイルポッドの展開ギミックですが、これももちろん再現されています。
また、この部分には素晴らしい仕掛けもあります。

この部分は内部にクリックが入っており、展開時にカチカチとメカニカルな音が鳴ります。かなり気持ちいいです。
またクリックが入っている事で、収納/展開だけでなく途中の半端な角度で止めておく事も可能です。

素晴らしい仕掛けというのは、展開時に現れます。
HMM版は、ミサイルポッドを展開した時に「射線上に脚がある」という弱点がありました。対し、YAMATO版は撃ち抜かずに安心して撃てる位置まで展開されます。
それを支えているのが、スライドギミックです。わき腹装甲を側面に展開した後に、若干ですが横にスライドさせ、引き出す事が出来ます。
細かい配慮ですが、効果は絶大。この気の利いた配慮は大拍手です。


可動2

ここからは、このモデル独自の可動を見ていきたいと思います。
脚部の可動は優秀で、様々なポーズを取れます。
足の曲げ角度も大きく取ることが出来、座りポーズも難なく行えます。また、足首の角度も自由が聞くので、接地性もかなり優れています。
肩の角度も自由が利き、ハの字立ちにも内股にも出来ます。

ダイキャスト使用ゆえに強度が非常に高く、安心して動かせる点も優れています。この点は動かしていると部品がポロポロ取れてゆくHMM版とは対極的です。
可動範囲はHMMシールドライガーと同等かそれ以上のものを有しますが、HMMライガーゼロやリボルテック版ブレードライガーよりは劣っています。
ただ、これだけ大型モデルがここまで気持ちよく動けば個人的には大満足です。

脚部の他で、可動に関し特筆な点は、顔の位置が動かせるギミックです。

顔を大きく上げて咆哮しているような体勢、あるいは沈み込ませて飛び掛る直前の構えの感じ等が演出でき、その効果は抜群です。

低く落とした時は、ラインが背中の装甲から美しく繋がるようになっており、ライン取りに気が使われている事を感じます。
また、極太パイプが顔の上下に連動して大きく動いているのも、いかにもメカニカルな感じで非常に良いと思います。
ただ難を言うなら、上げた際、首の下に大きく隙間が開いているのと、横方向への曲げがあまり利かない点はわずかに不満が残ります。

胴体は、先に書いたように3ブロックで構成されています。胴体の可動はそこそこといった程度です。

尾部は良く動きます。軟質パーツの中に針金が入っている構成になっており、自由自在に動かせます。
これにより表情付けの幅が一段と広がっています。

ただ、針金で動かしている構成上、あまりハードに曲げすぎると金属疲労により折れてしまうので、少し慎重に動かさないといけないのはマイナスでもあります。
先端の装備は、オリジナルに忠実な形の二連ビーム砲になっています。この砲は、外してアニメ劇中の様にする事も可能です。

大きな可動部分は以上ですが、他にも細かく動く箇所が幾つかあります。

肩や爪のカバーが開くようになっています。

これにより、メンテナンス風景を演出できます。このような細かい部分にギミックを仕込めたのは、大型モデルならではの強みと言えます。

また、これは手動ギミックと言って良いのかどうかは分かりませんが、胴体内部にはゾイドコアが収納されています。

可動に関しては、総じて素晴らしい出来だと思います。
キャノピーの開き角度以外は、オリジナルが持つ手動ギミックの全てを完全再現。可動のキモである脚部の可動も良好。首や尾部もよく動き、表情付けが様々楽しめる。
それに加え、YAMATO版独自の様々なプラスアルファギミック。
細部までぬかりない素晴らしい完成度です。


付属パーツ

スタンドが付属しており、飛びかかるシーンで固定する事も出来ます。
ただこのスタンドは、シールドライガー浮かせるものではなく、一部を支える事に使用します(後脚は地に付いています)。
まぁ2キロ近くもある超重量級モデルを完全に浮かせるスタンドは無理だと思うので、この仕様で十分だと思います。

付属品は他にもあります。
このモデルは、先にも書いたように胴体内にゾイドコアが収納されていますが、このゾイドコアは別Ver.が付属します。
ジーク融合版が付いており、感情移入度の増す非常に嬉しいアイテムになっています。

また、キャラクターのコックピット用の座りポーズフィギュアが付いているのは先に書いた通りですが、フィギュアは他にも幾つか付属します。

ジーク、フィーネ、バンの立ちポーズです。こちらも、細かい所まで良く出来ており、塗装も綺麗です。
ただジークとバンは自立できますが、フィーネだけは足の裏の面積が小さいので自立できません。

付属品としては以上のような感じで、なかなか気の利いた具合。痒い所に手の届く嬉しい内容になっていると思います。
非常に高価格帯の商品ですが、それに見合う満足が得られます。


超巨大フル可動モデル YAMATOシールドライガー

総じて、素晴らしい完成度を誇ります。細部に至る入念に作り込まれた傑作キットに仕上がっています。

基本的にはオリジナルに忠実な造形で、パイプの密集具合やわき腹のミサイルポッドなど、オリジナルに対する強い敬意が感じられます。
その上で緻密な塗装や大型モデルならではの作り込みがされており、密度やリアル感が増しています。
更に、HMM版など最新モデルからも良い部分はどんどん取り入れてデザインされています。

そういった点から、ハングリー精神というかフロンティア精神というか。非常に意欲あるものを感じます。
おそらく、究極のシールドライガーを目指したキットだと思います。そして確かにそうなっています。
触っていて非常に気持ちの良いキットだと思いますが、そういった思いで作られている事を強く感じるからでもあります。
そして何だか無意味にはしゃいでしまう位に大きくて重いので、テンション補正もかかってYAMATO版シールドライガーは非常に気に入っています。

細かな弱点が無いわけではありません。しかしその弱点があっても、その上でなお、YAMATO版シールドライガーは傑作だと思います。
価格は非常に高いものですが、個人的には値段以上の価値があるモデルだと思っています。


バリエーションモデル
 YAMATO CP01 ビームキャノンユニット

 YAMATO ノンスケールフル可動ダイキャストモデル シールドライガーDCS-J

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