ゾイドワイルド デスメタル帝国 ラプトール<RAPTOR>

■ラプトール(ヴェロキラプトル種) データベース■

 発売年月:2018年9月 発売当時価格:1200円 動力:小型ゼンマイ 型番:ZW09

 スペック 全長:5.9m 全高:3.3m 重量:9.6t 最高速度:114km/h IQ:57

 評 価  スピード:4 アタック:4 IQ:4 スタミナ:7 ディフェンス:2 ワイルドブラスト:6

 主な装備 クレストレーダー、オーバルボム、ドスクロー、ダンパー、爪、尻尾

 特徴1(※箱)
  歩兵的役割を持つ小型ゾイド。集団での戦闘を得意としている。本能を解放すると背中の大爪ドスクローで敵ゾイドに襲いかかる。

 特徴2(※復元の書)
  歩兵的役割を持つ小型ゾイド。1対1の力は強くないが集団での戦闘を得意としている。
  頭のクレストレーダーで、周囲の様子を察知したり、敵機を追尾したりすることができる。
  足のかかと部分のダンパーにより、走行時の衝撃を吸収したり、より高いジャンプ力を生み出すことができる。
  通常時はかみつきや爪で攻撃をおこなう。本能開放時は背中の大爪ドスクローで切り裂き攻撃を仕掛ける。
  瀕死状態になるとオーバルボム出敵ゾイドもろとも自滅することもあるという。


Sサイズ、ヴェロキラプトル種ゾイド

ラプロールは、ゾイドワイルド第三弾の中の一機として発売された小型ゾイドです。
もはやゾイドではおなじみの小型恐竜、ヴェロキラプトルをモチーフにしています。

アニメでは第一話からデスメタル帝国主力歩兵として大々的に登場し存在感を見せ付けていました。
またコロコロのゾイドワイルド特集でも早くから登場していました。
しかしキットの発売はかなり遅れ、ようやく第三弾として発売されました。
第一弾発売が6月、第三弾発売が9月。
たった三ヶ月ですが、体感的にはかなり焦らされてからの発売だった印象があります。

性能は従来の同モチーフ機と同じく小型主力歩兵というもの。また集団戦法も得意としています。
まさにヴェロキラプトル的なイメージで、やはりこれでこそという安定感があります。

パッケージは表も裏も疾走感を強調した軽快なものです。どちらも集団で写っており、ラプトールのイメージにピッタリです。
強いて言えば、表面のラプトールがキットでは不可能な足の曲げをしている事と足パーツ裏面の肉抜きを補正しているのは少しセコい気もします。
が、まぁ魅力あふれる画像を前にしては些細な問題です。


骨格形態

構造はもちろん「骨格形態→装甲を付けて完全復元」という流れです。
ラプトールの骨格は非常にバランスが良く美しい仕上がりをしています。


バランスの良さは同一モチーフのゾイドを既に何機も作った経験値ゆえでしょうか。
均衡のとれたスタイルは本当に美しいです。

強いて弱点を言うなら首と尾が少し短い気はします。もう少し長ければより優雅で美しくなったでしょう。
しかしその点を差し引いてもかなりの出来です。

頭部は少し特徴的です。

ゾイドワイルドの骨格形態は目を入れずに組むのが基本です。しかしラプトールは目を入れて組むように指示がされており異質です。
眼球があるので目ヂカラはあります。ただ他の機の骨格形態はこの部分が不気味な「穴」になっており「まさに骨だ!」という感じになっていました。
この不気味さがあってこその骨格形態という気がします。

できればこの部分は統一してほしいなぁ……と思います。
目はその部分が「穴になっている」か「眼球が入っている」かでまるで印象が異なります。
シリーズで目を入れる/入れないを統一させてほしいと強く思います。

一応、目を居れずに組むことも可能です。

組み立て指示には反しますが、この方が骨格形態として良いと思います。

目はともかく、頭部そのものの造形はかなり良いと思います。
ゾイドワイルドシリーズの中ではややメカニックの度合いが強く、骨っぽさはやや低めです。
が、鼻先に向かって伸びるラインなどとても美しいラインを描いていると思います。


骨格形態 前後より

やはりバランスの良さが好感です。あばら骨の位置も完璧で抜かりがありません。

特に好きなのは前脚の感じです。
非常にミニサイズ。可愛らしいお手手という感じで惹かれます。
ミニサイズですが造形は造り込まれており、その点でも大きく惹かれます。

ただヴェロキラプトルとしては少し小さすぎるサイズでもあります。
ヴェロキラプトルというよりラプトレックスなどに近い感じでもあります。
なんだったら「ラプトレックス種」の設定でも良かったような気もします。
モチーフ表記との乖離が多いのはラプトールに限った話ではなく、ゾイドワイルのシリーズの弱点ですが……。


復元完了

骨格形態に装甲を付ければ完全復元完了です。
やはり装甲を付けると雰囲気が変わります。グレーのフレームに鮮烈な赤がよく栄えています。

装甲は7パーツで構成されています。
色は光沢のある赤でギルラプターと全く同じです。光沢があるのでかなり高級感があります。
小型機としては高級感がありすぎる気もしますが、見栄えがするのは確かです。


前後より

ラプトールは装甲を付けた方が好みです。
パーツ数がたった7ということもあり、装甲面積は極めて少なくなっています。
しかしそれがいかにも、スピードと運動性を重視した軽戦闘歩兵ゾイドという感じを出しています。
装甲が少ないにもかかわらず、効果的に使っているので骨格形態と大きく変わった印象になるのも上手いです。

頭部は最も印象が変わっています。

極めて流麗な装甲が付いたことで、スピード感が一気に向上しました。
装甲のディティールは少なく、どちらかというと整流用のカウルという感じがします。
軽量級歩兵ゾイドとして非常に良いデザインです。

トサカがあるのも面白いです。設定ではトサカはレーダーとなっています。

頭部で強いて弱点を言うなら、目と装甲が同じ色なので境目がハッキリしないことでしょうか。これはギルラプターと共通します。
目立つように黄色か緑か…、赤以外の色であれば更に良かったと思います。

あとは、トサカパーツの接続部が露骨に構造が見えているのも若干気になります。

右向きは良いのですが、左向きは少しみっともないです。いかにもオモチャ的な感じが見えてしまっています。
とはいえ、これを差し引いても十分に魅力的な頭部デザインです。

   

装甲の付き方は側面から見るとより分かりやすいでしょう。

こうして見ると、本当に装甲が少ない安価な機体という感じがします。
胴体や脚は完全に剥き出しです。しかし、それが魅力です。

一方で、さすがにむき出しすぎる感じもします。初期のヘリック共和国だってゴドス以降はまだもう少し装甲がありました。
なので、隊長機仕様とかの設定でもう少し装甲面積を増やした増加装甲タイプなんかがあってもいいと思います。
なにしろ数の多い主力歩兵ゾイドなので、そういったバリエーションはぜひとも見てみたいところです。


ライダー搭乗

パイロット(ライダー)は首元に乗ります。
ギルラプターと全く同じ位置です。


激しい動きの多い機体ですが、必死でしがみつきながら操縦します
やはりワイルドです。


中央にトサカ状のレーダーがあるので前方視界がやや悪い気がします。
ライダーは左右いずれかに体を傾けながら操縦するのでしょう。

かつて24ゾイドのロードスキッパーをデザインした横山宏先生は、「首が邪魔だから、パイロットが体を傾けたりする必要がある。そういう人の動きを想像するのが面白い」というような事を仰っていました。
これはその通りだと思います。ラプトールも、前に邪魔なトサカがあるからこそ操縦シーンが豊かに想像できます。


ギルラプターと共に

スタイルが似ているので並べると栄えます。

装甲の色が同じな事が分かると思います。目の色も同じです。
ただし、フレームの色とキャップの色は異なります。

デザインも、やはりギルラプターはハイエンドな機体という感じがします。
こちらも装甲面積は決して多くありませんが、それでも前後脚など重要区画はガードしています。
また背中にはブースターまで装備。大きさ相応のガッシリ感もあります。

対してラプトールは、装甲は少ないしブースターもない。
質より量な仕様がまさに安価な歩兵です。しかし何度も書きますが、それが魅力です。

ラプトールは廉価版ギルラプターの役割を持っている思いますが、完全な小型ギルラプターではなく「似ているがちゃんと個性もある」ようになっているのが絶妙です。
この両機は比べると違いがとても面白いです。互いが互いの魅力を高めあう理想的なハイ・ローのペアだと思います。


レブラプターと共に

並べて驚きましたが、デザインはかなり違います。同じラプタータイプなのにこんなに差が出てるなんて面白いことです。

何と言っても姿勢が大きく違います。レブラプターは首を大きく起こしていますが、ラプトールは一直線に前に出しています。
スピード感があるのはラプトールでしょう。
一方、レブラプターは尻尾が長くて優雅です。先にも書きましたが、ラプトールの尻尾は短くて残念です。
ただ、詳しくは後述しますがラプトールは連動ギミックとして尻尾を振りながら歩行します。
その為にあまり長くできなかったことは容易に想像できます。

同サイズのヴェロキラプトル型ゾイドは他にも居ます。

姿勢はスナイプマスターに近いでしょうか。ただ、ラプトールはスナイプマスターよりも更にスピード感を目指した姿勢に見えます。
こうして見ると、最初のヴェロキラプトル、レブラプターは首を起こしていた。二番目のガンスナイパーはやや前に倒した。三番目のスナイプマスターは前に突き出した。
そしてラプトールは姿勢をかがめて更に究極的にスピード感を求めた、という感じがします。

姿勢の他に、脚の曲げについても違いがあります。
ラプトールは他の三機と比べて足を深く曲げています。これは強いバネの力を感じさせます。


戦闘

割と強そうなデザインだと思います。装甲こそ少ないものの骨格フレームは頑丈さも感じます。
しかし、実際はワイルド世界では最弱に近い位置にあります。

まず軽快そうな見た目に反して速度はかなり低く、114km/hに留まっています。
これはガブリゲーター、ナックルコング、トリケラドゴス、ステゴゼーゲなどよりも遅い数値です。
こんなに速そうなのに……。
どうにかガノンタスやキャタルガよりは高速ですが、そりゃあ亀よりは速くて当然というか、誇れるものではありません。
瞬発力、一瞬で加速するバネの力は素晴らしいようです。が、最高速度の低さはやはりネックです。

機体評価では、攻撃力は低めの評価がされており冴えません。防御力にいたっては最低レベルの評価です。
やはり、あくまで数で攻める歩兵ということでしょうか。
それでも、せめてもう少し強い設定でも良かったと思います。
レーダーもあるし、小型とはいえ恐竜です。小型ゾイドとしては強めな位だと嬉しかったのですが…。

ただし、ワイルドブラストはそこそこ強力です。


ワイルドブラスト

ワイルドブラストは、背中のドスクローを展開して敵を切りつけます。
この名称は「リッパーエッジ」と付いています。
これはワイルドライガーも警戒したほどの強力さを持ちます。

展開は真上から前方に向けたもので、横の敵には当たりません。なので使い勝手は悪そうですが、当てれば強力なのは確かなようです。
無粋な事を言うと、上から攻撃してくる敵をこれで倒したとして残骸がライダー位置に降ってきて危ない気もします。
その辺は根性でどうにかするのでしょうか。

一連の動作はこの通り。クローを出現させ、装甲ごと前方に大きく振り下ろす!
動作はキットでは手動で行います。自動でないのは少し寂しいですが、その分好きな位置で保持することもできます。


ドスクローはかなり巨大です。
大きさで言えばワイルドライガーのタテガミクローにも匹敵します。もちろん、あちらは三連ブレードに対してこちらは一枚しかないなど総合力では劣りますが。
しかし小型機が持つ武器としてはかなり大きく、ワイルドブラスト時のインパクトを出すのに成功したと言えでしょう。

先ほど、ワイルドブラストしてない時のラプトールは弱いと書きました。
もしかして、ラプトールはワイルドブラストに性能を極端に割り振ったのかなぁと思います。
それゆえワイルドブラストは強力である。しかし通常時は今ひとつ弱いという考えです。
真相は分かりません。ただ、そう思わせる位にワイルドブラスト時の姿は力強さがあります。

横方向に振れないので使い勝手にも制限がありますが、それでも当たりさえすれば一撃必殺の強さがある。
ぜひともこのワイルドブラストで華麗に戦ってほしいものです。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。
ゼンマイは美観に配慮したタイプで、”巻き”は通常は腹部に取り付けてあります。


これは設定ではオーバルボムという爆弾です。ラプトールは、瀕死状態にまで追い込まれるとこれで敵ゾイドもろとも自爆することもあるとのこと。
なかなか物騒な装備です。
この装備は骨格形態時から既に付けています。

自爆用装備を標準で持っているのは謎な気もしますが、おそらく通常時はエネルギータンク的な機能をしているのでしょう。
ラプトールはスタミナの評価が高い機体です。これを支える装備だと思います。
そして高エネルギーが詰まっているから、その気になれば爆弾としても転用できるのでしょう。

 

連動ギミックは、尻尾を振りながら前進します。
今までのヴェロキラプトル型ゾイドはいずれも尻尾が固定でした。ゼンマイで二足歩行なので尻尾を振るとバランスが厳しくなったのでしょう。
難関を超えて尻尾の振りを達成したラプトールのギミックはチャレンジ精神にあふれています。
今までのシリーズにはないギミックを! という意気込みを感じて感動します。

歩行はヒョコヒョコした感じに可愛く歩きます。さすがに高速で走ることはしませんが、特有の可愛さがあるのでこれはこれで良い感じです。

連動ギミックは尻尾の振りがあり満足ですが、残念なのは腕が連動しない事です。
というか、腕は実は胴体に埋め込まれていて一体成型です。連動どころか手動でも動きません。

これは大きな弱点です。購入前はこの小さなお手手が動くだろうととても楽しみにしていたのですが……。
複雑な形状なので、切り離して可動化するのもかなり大変そうです。
この部分はラプトール最大の弱点です。

 

手動ギミックは、ワイルドブラストの展開です。これはワイルドブラスト項目で書いた通りです。
非常に大きく展開するので見応えがあります。

また、ワイルドブラスト時には面白いカラクリもあります。
分かりやすいように骨格形態で説明します。ワイルドブラストで背中の装備を起こすと、連動して口が開きます。

ワイルドブラストは背中のクローが展開するだけではありません。
口が開くので「咆哮をあげながらワイルドブラストする」ようになっています。まさに本能開放という感じです。
これはとても面白い連動です。こうしたギミックがあると組み立てる喜びや動かす喜びがどんどん広がります。

ギミックは、連動も手動も残念な部分はありますが総合的には良い出来だと思います。


活躍

ラプトールは主力歩兵ゾイドということもあり極めて多数が登場しています。
漫画ではそれ程でもありませんが、アニメではまさに主力という数が登場します。

デスメタル帝国では、帝王ギャラガーおよび四天王には専用の強力ゾイドが与えられています……が、その他の兵は基本的に全てラプトール。
一般兵だろうが隊長クラスだろうが通常仕様のラプトールで戦っています。
まさに膨大な数のラプトールが登場します。

他にも、反デスメタルを掲げる抵抗勢力も主力はラプトール(色違い)。
更には野生に生息するラプトールも多く登場します。

基本的にはやはり雑魚ゾイドでライガーなどに蹴散らされますが、それでも瞬発力の高さや意外なタフさを発揮したりしています。
タフさについては特筆で、設定上は「ディフェンス:2」とされている脆い機体のはずが直撃を食らってもしぶとく耐えていたりします。
特に印象的だったのは27話で、キャタルガのワイルドブラストをモロに受けたシーンです。
これは不意打ちが見事に決まり、キャタルガ側からすればまさに理想的な位置にワイルドブラストをぶちかましたシーンでした。

ですが吹き飛ばされたラプトールは空中で姿勢を立て直して見事に着地。特にダメージを負った感じもなく戦線に復帰しました。
なおライダーの技量はデスメタル帝国の隊長経験者なので低くはありませんが、かといって特別良いと言えるものでもない……。せいぜい中の上程度。
それでいてこれなのだから、ディフェンス2とは一体……。

思うに、確かに装甲面積は極めて少なくその意味では弱い。
ただし生体部分の頑丈さ、タフさは恐竜型らしくやはり強力ということだと思います。
過去シリーズで言うとゴジュラスが同じような防御力でした。装甲はあまり無いけどとにかく頑丈でタフでしぶとく戦い続ける。
そう思うとラプトールの防御力は実に恐竜らしいなと思います。

 

劇中ではデスメタル帝国機の他にも多くが登場します。
ラプトールは一見怖い顔をしていますが、見ていると意外にも極めて大人しく人に対しても従順であると分かります。
反デスメタル勢力がラプトールを使っていることからもそれが容易に分かります。
野生体の描写ではより顕著です。10話に登場した群れで移動するラプトール、23話に登場した幼い兄弟と仲良くなった個体などは特にラプトールの生態や性格を描写し深い印象を残しました。

ただシュプリーム団などのゾイドと高度に対話できる面々はラプトールを使用していません。
ここから読めるのは、ラプトールは人にとっては極めて扱いやすく徴用が楽である=数をそろえやすく優れた兵器たる。
ただしその能力はやはり低い(恐竜型らしい頑丈さを加味しても弱い)。なのでゾイドと高度に対話できるライダーはラプトールを選ぶ事は少ない。
という事でしょう。

おそらくカブターやクワーガよりもその有効性は低い。それでも、数を揃えやすいのは兵器としては最も大きな利点です。
また弱いと言ってもゾイドではあります。制圧目標地点に敵ゾイドさえ居なければ、わずか数機程度でも制圧できる能力は持っています。
主力歩兵ゾイドとしては理想的なゾイドでしょう。

アニメでは第一話から登場し、一貫して多くが登場しています。今後もそうでしょう。
これからも主力ゾイド的な描写、愛らしい野生体の姿、あっと驚くエピソード。様々な描写がある事に期待しています。


主力歩兵 ラプトール

とにかくいろんな意味で魅力的なゾイドだと思います。
デザインは丁度よくカッコイイし、強さの設定も主力歩兵としてちょうど良い。
とにかく数が多く、デスメタルで兵器運用される姿も野性の姿もそれぞれ魅力的。色んな描写があるから想像が膨らみます。

主力歩兵ゾイド。小型恐竜型ゾイドの傑作と言えるでしょう。


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