ゾイドワイルド デスメタル帝国 ガブリゲーター<GABRIGATOR>

■ガブリゲーター(サルコスクス種) データベース■

 発売年月:2018年6月  発売当時価格:3000円  動力:モーター(M型)  型番:ZW06

 スペック 全長:10.2m 全高:2.3m 重量:37.6t 最高速度:205km/h IQ:72

 評 価  スピード:7 アタック:9 IQ:5 スタミナ:5 ディフェンス:5 ワイルドブラスト:8

 主な装備 グランブルジョー、シクスキラーファング、メタルミキサー、ミストディスチャージャー、爪、尻尾

 特徴1(※箱)
  奇襲戦闘が得意な中型ゾイド。自身で霧を発生させることができ、相手の視界を奪う。
  本能を解放すると、上半身 が伸長し、巨大な口となり、強力な顎「クランブルジョー」で相手を噛み砕く。

 特徴2(※復元の書)
  密林地域の川辺に生息している奇襲戦闘が得意な中型ゾイド。大きく口を開け、上顎を貫通するほど伸びた下顎のシクスキラーファングで相手に噛み付く。
  ミストディスチャージャーにより特殊な霧を発生させながら姿を隠して敵に近づき、一気に攻撃を仕掛ける。
  狩猟本能の高さからか、群れで敵を追い込み、襲いかかることもある。水辺での生体に特化しており、泳いだり潜水したりすることも可能。
  口や足から体内に水を取り込むことによりミストを発生させたり、噴出して水中での推進力に変換していると考えられている。


Mサイズ、サルコスクス種ゾイド

ガブリゲーターは、ゾイドワイルド第一弾の中の一機として発売された中型ゾイドです。
古代の巨大ワニ「サルコスクス」をモチーフにしています。

従来シリーズでもワニをモチーフとしたゾイドは幾つかありました。
特にバリゲーターは、メカ生体ゾイドでも機獣新世紀ゾイドでも初期から登場し、地味ながらも長く登場し続けた名ゾイドです。
ゾイドシリーズにとって、もはやワニは定番と言って良いでしょう。ゾイドワイルドでも早々にラインナップに加わりました。

ただ従来のワニは、モチーフのイメージに反して「小ぶり」「弱い」印象が強くありました。
バリゲーターはまさにそうだし、ネプチューンも小さくて弱い。
レオゲーターは少しだけ高性能でした。しかし数に頼る強引な行軍をしてシザーストーム、レザーストーム、エナジーライガーに一方的にやられるなど、やはり「強い!」と胸を張れるものではありませんでした。

対してガブリゲーターはライガーと同クラスの体格で、更に強力な装備も多く持っている強力機です。
ゾイドワイルドに早速ワニが加わったこと、そしてそのワニがかつてない強さを秘めていたのは大きな驚き、そして喜びでした。

箱は上陸シーンを思わせる構図、裏面の活躍想像図はワイルドブラストでガノンタスに襲い掛かるシーンです。
どちらも水陸両用機の要素が強く意識されています。活躍想像図では多数のガブリゲーターが映っているのも見逃せない所でしょうか。


骨格形態

構造はもちろん「骨格形態→装甲を付けて完全復元」という流れです。
ガブリゲーターの骨格は、ゾイドワイルドシリーズの中でも抜群の迫力があります。

特に頭部が圧倒されます。

凄まじい迫力です。
ワニの頭骨を極めて忠実に再現しつつ、更に小気味良くメカニカルなモールドも付いています。
まさに生物とメカが融合した「メカ生体の骨格」と言えるでしょう。

全体の迫力も凄いのですが、ワニの不揃いの歯を再現しているのも素晴らしいです。
中央には6本の上顎まで貫通する長い歯がありますが、これも良い感じにハッタリ感があって好きです。


骨格形態 前後より

頭部以外にも見所が各所にあります。
骨格は本当に素晴らしい完成度で、細部の出来も全体的なバランスも最高です。
ゾイドワイルドの骨格形態ではおなじみの「あばら骨」の位置も完璧です。
またキャップの配置も気持ち良いバランスになっています。少しくすんだ黄色も良い色で、黒い骨格の中で程よく目だっています。

こだわりを感じたのは足の指でもあります。

前足は5本、後足は4本になっています。最初に見たときは「?」と思ってしまったのですが、ワニの指を調べたところ実際にそのような本数になっているとのこと。
これは驚きました。細かい所まで徹底してモチーフを再現していることが分かります。
メカ生体ゾイドの傑作・バリゲーターでさえそうはなっていませんでした(バリゲーターの指は前後ともに3本)。
ワイルドシリーズの、モチーフへのこだわりで歴代シリーズを超えようとしている姿勢が伝わってきます。

リアルな骨である一方、メカニカルな魅力にもあふれています。

特に背中のディティールが良いアクセントになっており、全体を引き締めています。
ちなみにこのドラム状の装備はミストディスチャージャーです。

口の奥にはメタルミキサーがあります。

これは捕えた獲物を砕くという恐るべき装備です。デザインがマグネーザーに似せてあるのがニヤリしてしまいます。
口の中なので通常はあまり見えない部分ですが、そこにまでこだわっている事は特筆すべきです。


側面から見ると、改めて完成度の高さが分かります。
巨大で大迫力な頭部。ワニらしい低姿勢。あばら骨の配置。全体的なバランスの良さ。頭部から尻尾の先まで綺麗に繋がるライン。
文句の付け所のない見事な完成度です。
基本的に「装甲を付けて完全完成させてこそ」という思いがありますが、ガブリゲーターに関しては骨格形態でも飾っておきたくなる位に好きです。


復元完了

骨格形態に目と装甲を付ければ完全復元完了です。
さすがに装甲を付けると雰囲気が一変します。また目を入れたことで強烈な目ヂカラが生まれています。

骨格形態も魅力ですが、やはり完全復元完了したこの姿もたまらなく魅力的です。
ちなみに装甲はわずか4パーツで構成されています。

たった4つのパーツでここまで雰囲気が変わるのは驚異です。

カラーリングはブルー。水上/水中でも活動できるゾイドのカラーとしては最適でしょう。とても似合っています。
また青い装甲と黄色いキャップの色の対比も美しいです。


前後より

ゴツゴツした骨格にスマートな装甲が付いています。
装甲は流麗で、ワニらしいゴツゴツ感にはやや欠けます。ただし、それでもガブリゲーターはワニらしさにあふれています。
何故なら、装甲はゴツゴツ感こそ薄いもののドッシリとした巨大ワニのシルエットを見事に再現している為です。
表面の質感ではなく全体のシルエットで魅せたのがガブリゲーターなのでしょう。
また、キットとしてもそこそこ大型で迫力があります。そこからもワニらしさを感じます。


装甲は、ゴツゴツ感は薄いもののメカニカルなディティールは適度にあります。
特に頭部の装甲は多めにディティールが付いており、かなりの見応えがあります。
ただ強いていえば、頭部以外の装甲にはディティールが少なく、その点においては若干のアンバランスさも感じます。
他の部分も頭部と同じくらいのディティールがあれば良かったのですが……。
それでも、全体として極めて完成度が高いという評価は揺るぎません。


側面から見ると、装甲の付き方が改めてよく分かります。やはり良いバランスをしています。
上下でカラーが分かれているのもワニらしくて良いと思います。


ライダー搭乗

パイロット(ライダー)は背中に乗ります。

水に潜る事も多い機体ですが、劇中の描写を見るとライダーは小型アクアラングをくわえて乗るようです。
ただしキットのライダーフィギュアは他ラインナップからの流用で、特にそのような装備はしていません。
ここは少し寂しいです。欲を言えば専用造形のライダーだったら最高だったのですが。


水中ではかなりパワフルな動きをします。また詳しくは後述しますが、ワイルドブラスト時はかなりライダーに負担をかける姿勢になります。
シリーズの他の機に比べてもかなり過酷で、最もワイルドな気がします。

バリゲーターから続く「ワニはパイロットに辛い」の伝統も感じて少しクスッとします。


バリゲーター、ネプチューンと共に

先輩ワニと並べると、いっそうデザインが見えてきます。
この三機は全てスケールが違うのも面白いです。バリゲーターは1/72、ネプチューンは1/24、ガブリゲーターは1/35です。
キットの大きさはガブリゲーター→ネプチューン→バリゲーターですが、設定上の実物サイズはバリゲーター→ガブリゲーター→ネプチューンになります。

ワニをモチーフとしたゾイドですが、いずれもデザインの方向性が異なっているのは非常に興味深いところです。
ガブリゲーターは、迫力ある大型サイズのキットとドッシリ感を強調したデザインでワニになっています。

バリゲーターはキットサイズは小型で迫力に欠けますが、装甲がゴツゴツしていてワニらしくなっています。

サイズゆえに少し可愛らしさもあり子ワニという感じがします。

ネプチューンは……、キットサイズは中型。デザインはさすがにツルッとしすぎてワニらしさに欠けます。

良い部分もありますが、やはりワニ型としてはかなり中途半端になってしまったと思います。

こうして並べると、やはりバリゲーターの完成度は凄いと思います。
そしてガブリゲーターは、この傑作に迫り並ぶほどの完成度を出したと思います。
ガブリゲーターは単体でも魅力的ですが、歴代ワニと共に並べるといっそう味わい深くなります。


弱点

デザインはまさしく傑作なガブリゲーターですが、ちょっとした弱点も感じます。それはモチーフについてです。
レビュー中では「ワニ」と書いていますが、正確なモチーフは「サルコスクス」です。
古代の超巨大ワニですが、その頭部形状はガビアルに近い細長いものだったと言われています。

<画像はwikipediaより>
こちらがガビアル。
これはガブリゲーターと大きく異なります。ガブリゲーターはワニらしくはありますが、サルコスクスらしくはありません。

ちなみに古代の超巨大ワニというともう一種「デイノスクス」という種も居ました。
これは幅の広いまさにガブリゲーター的な姿をしていました。
「サルコスクス種」でなく「デイノスクス種」となっていれば……というのは大きく悔やまれます。

ガブリゲーターは先に描いたように指の数までこだわる程の徹底したモチーフ再現を試みています。
それなのにこんな大きなミスを犯したのは謎です。

また名前の「ゲーター」部分はアリゲーターっぽい感じがしてますます半端です。「バリゲーター」を意識した名前なのだとは思いますが……。
個人的には「デイノスクス種・ガブリスクス」だったら完璧だったと思います。


戦闘

戦闘ではパワフルに戦います。ワニらしく全身に強力な武器を満載しています。
歯は超強力。しかも捕えた獲物は喉のメタルミキサーで粉砕してしまいます。
爪や尾も強力な武器。また水上や水中で自在に動けるのも大きな武器と言えるでしょう。
更に、単に攻めるだけでなく、ミストディスチャージャーという霧を発生させる装備があます。これを活かしたテクニカルな戦いが出来るのも魅力です。

運動性は一見して低そうに見えますが、「奇襲戦が得意」とされているので瞬発力などはかなり高いのでしょう。
最高速度も205km/hと以外にもワイルドライガーと並んでいます。
強力な武器、ミスとディスチャージャー、瞬発力、最高速度。
これらを活かして戦うガブリゲーターは、まさに強力機と言えるでしょう。

そして、もちろんワイルドブラストもできます。


ワイルドブラスト

圧巻のワイルドブラスト。通常より圧倒的に大きく口を開き、敵を粉砕します。
この名称は顎関節地獄噛(がくかんせつじごくかみ)と付いています。

ワイルドブラストは、キットでは頭部を前にスライドさせることでその形態になります。
何ともダイナミックな仕掛けです。

口がどんだけ開くんだ……という位に開きます。
通常状態でも小型ゾイド、例えばカブター程度なら噛めるでしょう。しかし同サイズのゾイドとなれば厳しい。せいぜい部位に噛み付くのが精一杯です。
それがワイルドブラストをすると、同サイズのゾイドを丸ごと噛みつける程になります。


これは凄まじいインパクトです。

構造は側面から見ると分かりやすいでしょう。

本当に凄い開き方です。事前情報でこれを見たときは「やりすぎだろ……」と思ったものですが、実際にキットで見ると圧倒されます。
実物を見ると「やりすぎだ。だがそれがいい!!」という感想になります。

ちなみに見ての通りライダーが猛烈に辛そうです。
口はものすごい勢いで開閉するのですが、必至にしがみついて操縦を続けなければならない仕様です。
何ともワイルドです。


ギミック

電動ゾイドなのでスイッチを入れると元気よく動きます。ギミック派「通常」「ワイルドブラスト」の二つに切り替えができます。

通常状態では首を振り、尾を振りながら歩きます。スタンダードな連動ですが、動きがかなりゆったりしておりドッシリしたワニの感じをよく表現できています。
口パクをしないのは少し寂しいですが、なかなか見応えがあります。

態勢を整えてからスイッチを入れると、衝撃のワイルドブラストを行いながら歩行します。
巨大化した口をゆっくり開けて・・・そして勢いよく閉じる!
これは本当に凄いインパクトです。動きだけでなく、閉じる時の「カチンッ!」という小気味良い音も魅力です。
音の演出もギミックの一つとして数えて良いでしょう。

ちなみに、動きは骨格形態でも可能です。

ワイルドブラストもこの状態から可能です。

連動は素晴らしい出来ですが、反面、手動ギミックはありません。強いていえばライダーの搭乗/降機くらいです。
外部装備が少ないゾイドワイルドでは仕方ない面もありますが、一つもないのはちょっと寂しいです。

それでも、やはりワイルドブラストの動きが素晴らしく全体的にギミックは大満足の出来です。


活躍

ゾイドワイルドはアニメと漫画でストーリーが展開しています。
いずれでもデスメタル帝国四天王の一人「狡猾のキャビア」の乗機として登場しました。
キャビアは四天王といってもその先鋒で正直言って小物感が漂う感じ……。

ガブリゲーターもワイルドブラストの脅威を描かれるものの早々に敗退してしまいました。
これは実に悲しかったところです。
バリゲーターの伝統を引き継いだ……と言えなくものいですが、このパワフルなワニがあまりにもあっけなくやられたのは残念極まりないことです。
パワフルな見た目に見合う素晴らしい活躍を描いて欲しかったところです。

もっとも、このレビューを描いている2019年1月時点では、まだゾイドワイルドは絶賛展開中です。
今後の展開において再登場・そして大活躍する可能性は大いに残っています。
そうなることを大いに期待しています。


衝撃開口 ガブリゲーター

モチーフ表記と活躍は残念ですが、それ以外は本当に良い出来でゾイドワイルド第一弾ラインナップの中では抜群に気に入っています。
ガブリゲーターという名前も最初に聞いた時は少し違和感がありました。ガブリって……と。
それもワイルドブラストのギミックを見たら、この名前しかないわと鮮やかな手のひら返しをしました。

ところで、ゾイドワイルドシリーズの機体なので外付けの大砲などは持っていません。が、そのような改造をしても実に似合います。

低姿勢でドッシリしているので、重火器を満載した姿がこの上なく決まります。
使いやすい位置にハードポイントがあるので、何かしらの武器を用意すればこのような改造は簡単にできます。
ゾイドワイルドらしい生物らしさを押し出した格闘戦も良いのですが、武器を増設した俺仕様を想像しても面白いでしょう。
これができるのも嬉しい所です。

大型キット。電動でドッシリ動くワニ、ガブリゲーター。ゾイダーのハートに火をつける傑作です。


Back
index

inserted by FC2 system