ゾイドバトルビデオ

■ゾイドバトルビデオ データベース■

 発売年月:1988年12月  発売当時価格:1800円  発売:トミー  メディア:VHS  収録時間:10分


ゾイドバトルビデオ

メカ生体ゾイドシリーズ時に制作された映像作品です。
当時ゾイドは大人気でしたが、技術的な問題から映像化はあまりされませんでした。手描きではアニメは困難、実写は予算がかかりすぎる。そんな事情があったそうです。
メカ生体ゾイド時代の映像作品は、テレビCMを除けばわずか数本が作られるだけでした。ゾイドバトルビデオは、そんな中で作られた貴重な映像作品です。

本作はまた、メカ生体ゾイド時代にソフト化された唯一の映像作品でもあります。
その他の映像作品は、デパートの玩具コーナー等で流されるのみでした。
ソフト化された唯一の映像作品。その意味でもかなり貴重な作品です。

制作はあの東映が行っています。
内容は、「今まで制作したテレビCMを集合させる」「そこに新規撮影した映像を加えて一本のストーリーにした」というものです。
作品自体は、現在ではタカラトミー公式チャンネルで見る事ができます。
あれこれ説明するより見た方が手っ取り早いでしょう。

前半は機体紹介。
これ以上ない力強い台詞回し、大げさなくらい激しい効果音、派手な爆発、そして紹介される両軍の名機たち。
もうマジすぎて笑っちゃうくらいの展開ですが、それが実に燃えます。

後半はストーリー部分。
展開はD-DAY上陸作戦からマッドサンダー登場までを名機登場と共に振り返る構成です。
こちらもまたナレーションが魅力的で実に燃えます。

冷静に見ればツッコミどころもかなりあります。
「音もなく上陸を完了した」はずのディメトロドンが思いっきりガッシャンガッシャン音を立ててるし、しかも見つかって砲撃受けまくってるし。
走るグレートサーベルにトコトコ随伴しているブラキオスやブラックライモスは微笑ましくすらあるし。
アイアンコングはミサイルをどこに撃ってるか分からないし。
両軍のにらみ合いの場面は距離が近すぎるし。
とまぁ色々あるんですが、この映像はそんなシュールな部分はどうでもいいのだと思います。

本作はシリアスなゾイドバトルストーリーを追った映像でもありますが、同時に「子供が思い描くゾイド」だと思います。
玩具は豊かな想像力を提供します。
多分、キットを手に入れた子供は頭の中でそのゾイドを大暴れさせる……、そうして楽しむでしょう。
本作は、そうした「キットを手に入れた子供達が頭の中で想像する派手なバトル」それを映像化したものだと思います。
だから細かい事は構わない。ゾイドバトルストーリーの大筋に沿いながら、撃ちまくって大爆発を起こしながらテンション高く進む。
音もなく上陸したのに音が響いてても良い。なぜかというと音もなく上陸したという言い回しがカッコイイ、でも金属的な足音が響くのもカッコイイ。
だからどっちも採用しちゃう。細かい事よりも、その場その場のテンションが最高に上がる演出で作られていると思います。

クライマックスに向けての盛り上がりも上々です。両軍の全力が終結してにらみ合う。
そしてデスザウラーとマッドサンダー、両軍の切り札の対決が始まる。
「この戦いに勝者はいない」
締めくくりも熱いです。

あえて決着をつけないのは「その後」をユーザーに想像してもらいたいのか、あるいは…、正直に言うとマッドサンダーが勝つでしょう。なので帝国派少年でも後味が悪くないようにぼかしておいたのか。理由は分かりませんが、熱くそして余韻を残したラストは印象的です。

 

本作は長かった中央大陸戦争がようやく終わろうとしたその時に作られました。
この後もメカ生体ゾイドは暗黒大陸にステージを移して続きましたが、それは「ゾイド新世紀」と銘打ってロゴもリニューアルして行われました。
ゾイドバトルストーリーも「新ゾイドバトルストーリー」という新しい括りになっています。
本作は、中央大陸戦争までのメカ生体ゾイドの集大成と言って良いでしょう。

かなりの力作だったようで、「待望のバトルビデオができたぞ!」という事で大きく宣伝されました。
ゾイドグラフィックスvol.15でも大特集がされています。

先に「当時は映像化が難しかった・実写は予算がかかりすぎる事情があった」と書きました。
ゾイグラ15の情報によると、本作の制作費はテレビアニメニ話分程度との事です。
たった10分の映像……、しかも本作の映像は半分以上が既存のCMを再利用したものです。
という事は新規分だけでテレビアニメニ話分の予算がかかったのだと思います。
いかに実写映像には予算がかかるかが分かります。

個人的に好きなのは、まずゴジュラスMK-IIとウルトラザウルスが並んで撃ちまくっているシーンです。
効果音がやや軽いですが、軽快な音と共にキャノン砲を撃ちまくっている姿はカッコイイです。
あとはクライマックスのマッドサンダーのシーンです。
側面からのアングル、大写しで前進するシーンは大迫力の一言です。回転するマグネーザー、ハイパーローリングチャージャーの何と力強いことか。
強いて言えば、口をパクパクさせながら前進しているのはどうかと思いますが…。できれば歯を食いしばった状態で固定して進んで欲しかったと思います。
まぁ、それは些細な問題です。

その他で不満点を言うなら10分という長さでしょうか。
本編映像自体は何も文句のない出来なのですが、そうではなくてこの時間だったらまだまだテープが余っているだろうという事です。
没シーンなり元になったCMのオリジナル映像なり、何かオマケ的な映像でも入れてくれれば良かったのになぁ…と思ってしまいます。
まあ、オマケ特典が一般化したのはもっと後の時代なので仕方ないかかもしれませんが。


私の思い出を言えば、当時は手に入れる事ができませんでした。
存在自体は知っていました。
盛んに宣伝されていたし、ゾイドバトルビデオとゾイドバトルミュージックは私が行く玩具屋のレジ横ショーケースにいつも飾ってありました。
それをよく眺めていたのを覚えています。
ショーケースの商品というのは何か他とは違う雰囲気があります。触れないし何か特別な感じがする。
そんなわけで、当時の私にとってこの二つは高嶺の花だった思い出です。
今にして思えば、キットのようにバンバン売れる商品じゃないからショーケースに入れていただけなんでしょうが…。

当時なぜ買わなかったのか。
価格で言えば買えない事もない代物でしたが、クリスマスプレゼントなどの限られた範囲で選ぶアイテムにはなりませんでした。
やはりキットを優先させてしまったのでした。これをゲットできるのはキットをコンプしてるような超エリートユーザー。そんな印象を当時は持っていました。

売り上げは不明です。
実際、チビッコはキットを優先して欲しがったと思うのですが……。
当時価格1800円。サーベルタイガー、シールドライガーが1980円だったのでほぼ同価格帯です。同価格帯ならどちらを選んだだろう。
ただ、本作は現在でも割とよく見かけます。やはり大人気だったゾイド、「ついに発売された映像作品」という事でそこそこの売り上げはあったのでしょう。

CG技術が成熟した現在の目で見れば、かなりチープに見える部分もあります。しかし今でも色あせない実写特有の迫力も確かにあります。
総合的に言って新規ユーザーにオススメできるかどうかはともかく、当時を懐かしんで見る映像としてはとても好きな一作です。

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