threezero フル可動アクションフィギュア SHIELD LIGER

■threezero フル可動アクションフィギュア SHIELD LIGER データベース■

 発売年月:2014年4月  価格:21905円  発売元:threezero  販売元:グッドスマイルカンパニー  備考:LED点灯ギミックにボタン電池(AG1)×3が必要


完成済みフル可動アクションフィギュア

threezeroから発売された特大キットです。
組み立てキットではなく、完成済みのフル可動アクションフィギュアとなっています。
箱を開けると、破損防止の防護材の中にシールドライガーが入っています。

箱デザインはシンプルながらなかなか凝っています。

青いラインはシールドライガーをイメージしてでしょうか。牙を模したデザインが洒落ています。
また、各面から見た図面が載っているのが嬉しいです。

説明書の類は白黒両面刷りのものが1枚入っています。

何故か全て英語です。現時点ではこのキットが海外でも販売されているかどうかは不明です。
機体設定などは一切なく、可動の説明や電飾ギミックについての解説のみ載っています。

製作はthreezeroです。
threezeroというと、日本ではかなりなじみの薄いメーカーだと思います。かく言う私も、このシールドライガーを機にその名を知りました。

threezeroとは…、まずデザイナーの王剣峰とアシュレイ・ウッドが合同で創設した模型メーカーがthreeAという会社で、その後、王剣峰が単独でも活動するようになり、単独で創設した会社がThreezeroであるとの事です。
threeA時代から素晴らしい高クオリティの造形を送り出す会社というのはマニアの間で有名だったようです。
threeAが発売した恐らく最も有名なキットは、メタルギアREXでしょう。

‭このキットは、幸運にも模型展示会で実物を見る事が出来ました(第4回関西まるち模型クラブ(仮)模型展示会)。
造形も素晴らしいクオリティですが、加え、丁寧の施されたウェザリングが印象的です。
展示会の時は、このREXを眺めつつ、こんな凄いクオリティでゾイドが作られるんだ…と圧倒されていました。

そして実際発売されたキットは、このREX以上の衝撃的な出来でした。


コンセプトアートデザイン

造形は1987年に発売されたオリジナル版シールドライガーではなく、ゾイドコンセプトアート版のシールドライガーになっています。
コンセプトアートの絵が、かなり忠実に立体化されています。もちろん細部ではアレンジもありますが。

コンセプトアート版デザインという事で、まずはこのデザインについて述べておく必要があると思います。

デザインは個人的に大好きです。というのも、自分が思い描くメカ生体そのもののアレンジがされています。
外観の印象はとにかくマッシヴで骨太。これ以上無いほど力強い印象を受けます。ここに惹かれます。
HMMのスマートに細身にアレンジされたデザインと、対極にあるような気がします。
どちらも魅力的ですが、個人的な好みとしては、コンセプトアートの様に骨太でマッシヴな部分を強調したものに軍配を上げます。

HMMデザインは、「スピーディーに敵の攻撃を避けながら華麗に攻撃し、ライト級~ミドル級の打撃を何度も与え仕留める」ような印象を受けます。
対しコンセプトアートデザインは、「恐るべき頑丈さで撃たれても撃たれても前進を続け、最後には強力な一撃を叩き込んで仕留める」ような印象を受けます。
駆け抜けるというより叩き潰す。スマートではないが一撃で黙らせる実力を秘める。まさに荒々しい本来戦闘機械獣という風に感じます。

ゾイドに惹かれる理由は様々ありますが、「元となる生物が好き」という所があります。
そしてなにゆえ元となる生物が魅力的かというと、やはりその人の能力を大きく超えた「力強さ」に惹かれるのではないかと思います。
驚異的なタフネスや一撃で仕留める圧倒的なパワーを持ったゾイドというのが大好きです。

コンセプトアート版のデザインは、オリジナル版が動力キットであるゆえに再現できなかった部分を、制約から解き放たれた事で見事に昇華したものと感じます。
つまり、各部分をよりマッシヴにスパルタンに仕上げています。
もちろん、高速機なのである程度スピーディーな感じは残しています。力強さを強調しつつスピーディーな部分も忘れていない。このバランスも好きです。

そんなコンセプトアートのデザインが忠実に立体化されているという事で、個人的にその時点で魅力たっぷりです。


サイズ

キットですが巨大です。オリジナルのシールドライガーと並べると、親子のような差があります。
だいたい1/60くらいではないかと思います。一部媒体では「1/72」と表記されていますが、パイロットサイズも大きい為、おそらく誤記と思われます。
その巨大さにただただ圧倒されます。

巨大なシールドライガーと言えば、YAMATOのシールドライガーを思い出します。
そのYAMATO版と比べると…、

ほぼ同じ大きさです。(YAMATO版について詳しくはこちら)

大きさは同じくらいですが、大きな違いがあります。
一つは重さです。
YAMATO版はダイキャストを利用していた関係で、2kg近い重さがある超重量級キットでした。
threezero版は、プラ製なので非常に軽いです。動力も入っていないので、オリジナル版よりも軽い位です。

もう一つは、もちろん質感です。
YAMATO版はピカピカの新品という感じですが、threezero版は過剰なほどのウェザリングが施されています。
完成済みで提供されるキットは珍しくありませんが、ここまで凝ったウェザリングを施したものはなかなか無いと思います。


前後より

巨大なモデルですが、緻密な造形とウェザリングのおかげで、大型モデルにありがちな間延びは一切ありません。
むしろ大型モデルだからこそできる圧倒的な質感と迫力が出たモデルになっています。

赤いラインもびしっと決まっており、カッコ良いです。
造形自体もマッシヴで力強いものですが、この赤いラインがそれをいっそう引き立てていると思います。

赤いライン以外は、特にマーキング類は入っていません。
共和国のマークや機体番号など、様々なマーキングが細かく入っていたYAMATO版とは対照的です。

ウェザリングは一つ一つ手作業で行っているとのことで、製品には個体差があるとの事です。
なので、このウェザリング具合と全く同じものは二つとなく、世界に一つだけのモデルです。
そういった意味で、おのずと思い入れも非常に高くなります。


側面より

体形に注目です。
胸部が非常に分厚く、そこから腰にかけて一気に絞られているのがよく分かります。
出すところは出して絞る所は絞る。この緩急の付け方が魅力的で、理想的な体形をしていると思います。

脚部は、非常にたくましくなった印象です。
特に、極太サスペンション(コイルスプリング)が力強さを演出しています。いかにも素晴らしい跳躍を生むバネという感じで、良いと思います。
ただ惜しい所もあります。

オリジナル版は、ふくらはぎ部分にガードがありましたが、無くなっています。

また、オリジナル版は、キャップ位置が”中心軸をずらしたように”付いている個所がありましたが、全て中心が揃っています。
この二点の為、デザインとして少し面白みに欠けてしまった部分があると思います。

とはいえ、全体的には非常に力強いデザインになっており、魅力的です。


フェイス

頭部は最もアレンジが多い箇所です。
しかしよく見ると、面構成といい大きさといい、オリジナル版に対しかなり忠実です。 各部のパネルラインの入り方などもかなり忠実です。
そしてその上で、オリジナルの形状を尊重した上で大胆なアレンジが加えられているという感じです。

最も変化しているのはエネルギーシールド発生装置だと思います。上部の発生装置は大きく伸びており、ひときわ印象的です。
また側面にもパーツがプラスされています。
そうとう巨大化したので、展開時の迫力は今までと桁違いです。

巨大化したシールド発生装置の大型化は、強力なイメージがよく出ており、カッコいいです。
展開した姿を見れば分かりますが、従来の姿よりもより広範囲にシールドを張れそうに見えます。
見た目的にも、機能を想像する際にも、素晴らしい進化をしたと思います。

エネルギーシールド発生装置は、表裏共に緻密なディティールが入っています。

エネルギーシールド発生装置を展開した時の後頭部は、比較的アッサリしたディティールになっています。

エネルギーシールドに関しては、元キットの特性を理解した上で「進化」させた部分だと思います。
それに対し、オリジナル版から独自にアレンジされた部分もあります。
それはキャノピーで、こちらは「進化」というより「変化」というような感じです。

キャノピー式なのは同じですが、形状が大きく変化しています。V字とも言えるほど大きな切込みが入りました。
また、展開が前に開くタイプから、後方に開くタイプに変化しました。
どちらも、ブレードライガーの影響を少し感じます。

キャノピーが後方に開くタイプに変わったので、鼻先のデザインも少しアレンジされています。
猫科の鼻を意識したようなデザインになっており、この部分のアレンジは大好きです。

操縦席には彩色されたパイロットが座しています。顔立ちは初老のパイロットという感じです。
取り外しは出来ないようです。
操縦席のコンソールなどは細かく良く出来ています。
シートも細かく出来ています…が、シートにもウェザリングがあるので、座り心地は少し悪そうな気もします。

総合的に見て、初見ではアレンジの激しさにギョッとしますが、よく見るとオリジナル版がよく尊重された上で素晴らしいアレンジが加えられていると思います。


武装

武装面は、基本的に元のシールドライガーと同じですが、一部相違があります。

最大の武器、レーザーサーベルはもちろん健在です。
牙の先端がキンキンに尖っているのは嬉しいです。レーザーサーベルのラインも良いと思います。
ただ可動が微妙で、ほどんと開きません。これは正直ガッカリでした。

これは最大まで開いた時と最も閉じた時ですが、微妙すぎる差なのが分かると思います。

このパワフルなデザイン。他のゾイドの腕なり武装なり噛み千切る勢いがありそうなのに。
キットでも何かを咥えさせて遊んだり色々妄想したいのに。残念ながら出来ません。

もう一つ残念なのは下あごです。
あごは、先端にいくに従って細くなるのが普通だと思いますが、threezero版は先端が大きく膨れており、少ししゃくれた印象を持ちます。
また下あごは、前歯がありません。少々不恰好な気がします。

可動もデザインも、下あごには弱点が詰まっている感じがします。

爪は、元のイメージを良く残しつつ、多少アレンジされています。裏面もよく作られています。肉球を意識したようなモールドが少し可愛らしいです。

爪のデザインに鋭さはありませんが、「強力な前脚で思いきり殴りつけハンマーのように叩き潰す」ような、鈍器的な印象を受けます。
鋭く切りつけるのはレーザーサーベル。叩き潰すのはクロー。互いの用途の違いが想像出来る、素晴らしいデザインの差が出ています。

胸部には三連衝撃砲があります。

多少ですが可動し、俯角を付ける事が出来ます。デザインはメカニカルで非常に良いアレンジだと思います。
単なるパイプ状の砲口ではなく、内部にもう一つ段が付けてあるのも小気味良いです。

背中には、新規武器が増設されています。

名称や設定は不明ですが、比較的長砲身の砲で、また装甲でガードされているので見栄えが高いです。
この砲ですが、可動します。

このように展開/収納(と言っていいのかどうか…)する事が可能です。
具体的にどのような効果があるのかは不明ですが、ギミックとしては面白いと思います。
ただ仰角をとる事は出来ません。
どちらかというと、用途不明な展開/収納ギミックを付けるよりも、仰角をとれるようにして対空射撃も可能な演出をした方が良かったような気もします。
あるいは……、側面に展開する事から考えると、もしかすると砲ではなく、エネルギーシールドに関連するような装備なのかもしれません。
設定面をぜひ知りたい所です。

背中の2連装加速ビーム砲は、もちろん再現されています。

特徴として、左右の砲身がそれぞれ別に可動する事が挙げられます。
従来のシールドライガーは、全て左右の砲が繋がっていたので、同時にしか動かせませんでした。ここへきて初めて、左右を別々に動かせるようになりました。
一方、デザインとしてはオリジナル版の方が好きです。
もともとは「小型であるが強力なビーム砲」という設定で、それを納得させるべく、基部がやや大げさなデザインになっていたり、パイプが配置されていたりしました。

threezero版は単なる小型ビーム砲という感じになっており、非力な印象を持ちます。

展開するプロセスは元と同じです。

装甲を開け、ビーム砲を展開します。装甲板は左右対称デザインになっており、ちょっと寂しい気もします。
可動域はオリジナル版と同等で、もちろん横に向ける事も可能です。

わき腹の装甲は元と同じように展開しますが、武装は特に無いようです。

オリジナル版だと、ミサイルポッドがありました。またコンセプトアートのイラストでもドラム状の装備があったので、何も無いというのは寂しいです。
というか何も無いなら展開する意味が無いような気もします。

その他、尾部の武装は撤去されています。
まとめると、レーザーサーベル、爪、三連衝撃砲、2連装加速ビーム砲は据え置き。
背中の砲(×2)が増設。ミサイルポッド、尾部の連装ビーム砲が撤去という風になっています。


デザイン総括

幾つか残念な個所はありますが、それよりもそれを補って余りある素晴らしい魅力にあふれたシールドライガーだと思います。
一見するとオリジナル版とはもはや別物と思えますが、よくよく見るとオリジナル版のデザインの延長線上で作られている事に気付きます。
改めてコンセプトアートのデザインと、それを素晴らしいクオリティで再現したthreezeroに驚きます。


質感

最大の特徴は、質感ではないでしょうか。過剰なほどのウェザリングが施されており、大きな魅力になっています。
事前にthreeA製作のREXを見ていたので、その程度のウェザリングだと予想していました。
実際のシールドライガーはそんな程度ではない。凄まじいウェザリングだったのでした。

一見すると本当に過剰です。
生物としてみると正直汚い。兵器としてみると、攻めてもう少しメンテしようよ…という気がします。
ですが、この質感は生きた機械…「メカ生体」と捉えた時、限りなく魅力的です。
先にも少し書きましたが「驚異的な頑丈さで撃たれても撃たれても近づき、最後には強烈な一撃のもと敵を倒す」というパワフルなメカ生体のイメージ、力強いデザインを、このウェザリングがいっそう強調しています。

ちなみに色に関しては、初代シールドライガーと同じ、装甲:水色、牙や爪:白になっています。水色の微妙な色合いも、かなり近い感じです。
信じがたいかもしれませんが、オリジナル版と同じ色ながら、ウェザリングによって現在のような感じになっています。

このウェザリングは非常に魅力的です。
強いて難を言うなら、全体的に同じ調子でウェザリングされています。
例えば裏面など汚れの付きにくいであろう場所はやや抑えるとか、爪などの汚れやすいであろう場所は過剰気味にするとか、各部で多少の差があっても良かった気はします。
またそれとは別に、このウェザリングされた機体は最高にカッコいいと思いますが、あえてウェザリングをしていないver.も見てみたい気はします。

と、思う事が無いわけではありませんが、全体的にこの質感は大きな魅力であると言うのは確かです。


可動(オリジナルの再現)

可動モデルなので、当然、各部可動します。
まずはオリジナルで動く部分が再現されているかどうかですが、おおむねクリアしています。
頭部のエネルギーシールド展開、背部のビーム砲の可動は、先に書いた通りです。
キャノピーはアレンジされつつも開きます。ただ口はほとんど動かず、改めて残念です。

特筆なのは尾部の可動です。

全ての関節がボールジョイントで連結されており、素晴らしい保持力と可動を実現しています。
先端のデザインはアレンジされており、何か開きそうな感じにも見えますが、この部分は固定です。


可動(アクションフィギュアとして)

ここからは、このモデル独自の可動を見ていきたいと思います。
脚部の可動は優秀で、様々なポーズを取れます。足の曲げ角度も大きく取ることが出来ます。
また、足首の角度も自由が効くので、接地性もかなり優れています。

足首はボールジョイントで接続されており、ぐるぐる回せます。生物としてあり得ないくらい回るので、接地性良く、大げさなポーズ付けも自在です。

脚の接続部分は二重関節になっており、見栄えと可動を両立しています。

ボディは前・中・後の3ブロックで構成されています。それぞれ引き出し式の関節構造になっています。

引き出しは意外なほど大きく引き出せます。これによりひねりを加える事が出来、胴体にも表情付けをする事ができます。

胴体の他、首も引き出し式の関節になっており、引き出して左右に振る事が出来ます。
ただ上下への可動が無いので、若干表情付けが難しくなっています。下あごが動かない点といい、ポーズ付けをする上での大きな弱点となっています。
もう一つ弱点を言うと、素晴らしいウェザリング…つまり完成後の汚し塗装が入っている関係で、場所によっては関節が微妙に固くなってる場合もあります。

ただ弱点はありつつも、この大きさのモデルとしては非常に良好な可動を誇っていると思います。
パーツがポロリするという事もありません。カッコいいポーズから可愛い系のポーズまでキマります。

欲を言えば、可動が素晴らしいだけに、フライングベースを用意してもらえれば完璧だったような気もします。


電飾ギミック

歩行ギミックはありませんが、電飾ギミックがあります。LEDが二基搭載されており、キャノピーが青く光ります。
「目のないキャノピー式のゾイドでありながら電飾ギミックを持つ」というのはおそらく初ではないでしょうか。
電飾ギミックが付く事で、何とも言えない高級感が出ており嬉しいです。

ただ光量はそんなに高くなく、LED付近がぼぅ…と光る程度になっています。
もうちょっと全体的に光るような明るさだったら良かったのになと思います。
また光る位置は座席の後部ですが、コンソール付近が光るようにしても面白かったのかなと思ったりもします。

電飾にはボタン電池を3つ使用します。
頭部下の装甲を展開させると、バッテリーを思わせる装備が付いています。そしてバッテリーを取ると、中に電池を入れられるようになっています。

電池が全く目立たないような構造になっており、なかなか良い配慮であると思います。
またスイッチも目立たないように処理されています。

ただ一点だけ難点があります。
ボタン電池はAG1という少し特殊なものを使用します。微妙に入手が大変で、微妙な難点です。


超巨大フル可動アクションキット シールドライガー

総じて、素晴らしい仕上がりをしていると思います。
その独特の突き抜けた方向性というか、とにかくパワフルな姿や凄まじいウェザリングなど、人を選ぶ部分は確かにあると思います。
しかし迫りくる機械獣の迫力は、随一の出来になっているのは確かです。

大胆なアレンジもありますが、このモデルからは「黙って俺について来い」的な力強いメッセージも感じます。
個人的には造形自体も好きだし、色々と熱いものも感じるし、大好きなモデルです。


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