機獣新世紀ゾイド ヘリック共和国軍 ゴジュラス<GOJULAS>

■ゴジュラス(恐竜型) データベース■

 発売年月 1999年8月  発売当時価格 3000円  動力 モーター

 型式番号 RZ-001

 スペック 全長26.0m 全高21.0m 全幅11.1m 重量230.0t 最高速度75km/h 乗員1名

 主な武装
  ハイパーバイトファング クラッシャークロー(×2)  70mm2連装マシンガン(×2) AMD30mm2連装ビーム砲(×2) パノーバー20mm地対空ビーム砲(×2)
  マクサー30mm多用途マシンガン(×2)  TRZ20mmリニアレーザーガン ARZ20mmビームガン

 特徴
  単独行動での極地戦闘専用に開発された恐竜型ゾイド。どんな厳しい環境条件下でも作戦行動ができる。
  軽量化と剛性を高めるため、装甲にはチタニウムを使用している。巨体に似合わず運動性は高く、腕部のクラッシャークローの破壊力は凄まじい。
  現存するゾイドの中では最強である。武装強化したMK-IIや量産型も存在する。


前後より

共和国格闘戦用ゾイド、ゴジュラスです。
メカ生体ゾイド版から、カラー変更と一部設定の変更を経て、1999年に再販されました。(メカ生体版のレビューはこちら)

メカ生体ゾイド終了から9年半…、機獣新世紀ゾイド始動。
待ちに待ったゾイド復活がついに実現し、永い時を経て再びゾイドと対面できた喜び・興奮は語りつくせぬ程のものでした。

機獣新世紀ゾイドの設定は、メカ生体ゾイドの続きであるものの「彗星落下の影響で多くのゾイドが絶滅してしまった世界」となっていました。
ゴジュラスは絶滅を免れたゾイドの一つで、「現存するゾイドでは最強」とされていました。

ゾイド新シリーズでは、ギル・ベイダーやキングゴジュラスを上回る新型ゾイドを出すのではなく、初期ゾイドの再販を中心にした展開で幕を開けました。
正直、メカ生体ゾイド最末期の状態は、強さのバランスを保つ事が難しかったと思うし、また、様々なゾイドを再販させる意味でも、いちど初期の頃まで戦闘レベルまで落としたのは非常に良い事だったと思います。

理想的な設定の下で復活してくれたと思います。


機獣新世紀ゾイド第一号

無事復活したゾイドですが、その第一号ゾイドにゴジュラスを持ってきているのは、さすが分かっているなという感じがします。

ところで再販に至る道のりは長いものでした。
1997年にトミーがゾイドオフィシャルHP(当時の名前はゾイドファンクラブ)を開設し、ファンとの交流を行いながら復活への道を模索し始めました。
そこから、東京ゲームショー等で一部のゾイドを試験的に限定再販する等して本格的な復活の道を探り…、そして1999年の機獣新世紀ゾイドへと繋がってゆきました。

ユーザーと公式の交流は97年~98年ごろに盛んに行われていました。ユーザーの意見で最も多いのは、やはりゾイドの再販・復活望むものでした。
その中には「再販されるなら最悪動かなくてもいい」という意見もありました。

1999年頃は、古い玩具の復刻がちょっとしたブームになっていた時期でもあります。
しかし動力玩具は様々な事情から、復刻時に「動力を省いて不完全な状態で復刻する」事も多くありました。
それは仕方の無い事でもあります。動力付きというのは、普通のプラモデルの生産より遥かに手間やコストがかかります。
複雑な動きをするものの場合、最悪、構造がロストテクノロジー化しており再生産が不可能な場合もあります。
また新型を開発する事を想定しても、その設計の難しさは段違いになります。

そこへきてゾイド…、トミーは偉かった。手間やコストをかけてでも、素晴らしいギミックを昔のまま楽しめるように復刻させたのは大英断だったと思います。
もしここでギミックを省く決断になっていたらどうなっていたか…。
動きを残した仕様で再販に至った事は素晴らしい事であり、大拍手です。


カラー変更

ギミックは残してあるものの、キットは完全復刻ではなく変更されている箇所もあります。それはカラーリングです。
カラーリングは再販されたほとんどの機体が変更される事となりました。

個人的には、「変える必要が無い機体は変えないで欲しい」と思っていました。
要するに、元から評判が良いカラーについては、わざわざ変更しなくても良いのではないかという事です。
逆に、不評だったカラーについては変えたら良い。それのみで良いと思っていました。
なので、当初はこのカラー変更には反発していた記憶があります。

ただ、時代の移り変わりというものは確かにあると思います。
アニメやゲームの色彩は年代を経る毎にどんどん豊かになっていき、子供の感性も時代と共に少しずつ変わっています。
そんな流れの中で変わったと思えば、色変更については肯定的に受け止める必要があるのかな、と思います。
頑なに完全復刻に固執するのではなく、別カラーだからこそ出来る世界観の広がりを体感する方向で楽しめばいいと、今は思っています。

ただ、その上で不満も幾つかありました。
カラー変更を肯定的に捉える一方、やはり昔に思い入れがある者としては旧カラーを再現したい。
当然、塗装で再現する事になるわけですが、そこで問題になるのがクリアパーツやキャップでした。

クリアパーツやキャップは、その特性上、塗装で色変更するのが困難です。
この部分が色変更されたゾイドは多く、旧カラーの完全再現を困難にしていたのはもどかしい事でした。
その為、出来るだけカラー変更を肯定的に捉える一方、隠しきれない不満を感じていたのも事実です。
完全な無色透明クリアパーツを付けるなり、キャップに関しては出来るだけ色を変えないか元の色も付ける、あるいは別でカスタムパーツとして単品キャップを販売するなどの配慮は欲しかった所です。

ゾイド本体の他、パイロットフィギュアの色も変更されています。もともとは金メッキ(帝国側は銀メッキ)だったものが、グレー(帝国側は青)になっています。

これに関しては嬉しい変更でした。
というのも、小さなパイロットフィギュアとはいえ、やはり塗装してやりたい。
しかしメッキされていると、いちいちメッキを落としてから塗らないといけないのに対し、機獣新世紀のものはすぐに塗れます。

単体として比べると、確かにメッキがある方が目立つ=パイロットが乗っているイメージが掴みやすいかもしれません。
しかしフィギュアに塗装する程のヘビーユーザーにとっては、機獣新世紀版のものは嬉しい変更だったと思います。


メカ生体版と共に

メカ生体版と比べると、全体的なイメージはそれほど変わっていないと思います。
しかし実は全パーツの色が変っています。

メカ生体時代の共和国ゾイドは、基本的に銀色は使用しないものであり、変わりにグレーを多用していました。
(例外は24ゾイド、ガンブラスター、サラマンダーF2、キングライガー)
銀は帝国軍が多用するカラーで、その色の住み分けを行っていました。

しかし新世紀の共和国軍は、銀の使用を全面解禁しています。これによりゴジュラスの装甲はグレーから銀色に変化しています。
同時期に再販されたゴルドスも、背びれがグレーから銀色に変わりました。シールドライガーも白いパーツが銀色に変化しました。
個人的にはグレーの方が思い入れもあり好きですが、いかにも強固な金属である感が強い新版のカラーも、甲乙付けがたい魅力があると思います。

ただ全体的なバランスを見ると、機獣新世紀版のゴジュラスは全体的な明度差が低く、ぼんやりとした印象も持ちます。
メカ生体版は装甲とボディパーツの色の差が大きく、これにより機体全体がクッキリとしたイメージになっていると思います。
また、青みがかったパーツを使用しているのも効果的で、こちらの方が面白いと思います。

機獣新世紀版のカラーは、良い出来であるものの惜しいと思います。
尾部や腹のパーツをもっと濃くすれば、もっとメリハリが出て良くなったと思います。

そしてもう一つ強く思うのは、先の項目でも書きましたが、キャノピーの色変更についてです。
キャノピーの色は、ブラウンから濃いオレンジに変わりました。
透過度は低くなっており、中のパイロットがやや視認しにくくなっています。この点は非常に残念です。

色味に関しては各人の好みであり、また時代を考えれば鮮やかなオレンジに変更したのは正解だと思う所もあります。
しかし個人的には、重量感がありドッシリと構えるゴジュラスには、オレンジよりもブラウンの方が似合っていると強く思います。
やはり新版のオレンジを認めつつも、しかし無色透明のパーツは同梱して欲しかった所です。

色以外では、背中のエンジンのカウル部分の造形に差があります。

旧版のものではなく、MK-II量産型以降で改変された、キャノン砲接続用のラックが付いたver.になっています。
個人的に、メカ生体ゾイドの末期はアイス・ブレーザーやキングバロンのような装飾過多なゾイドが増えすぎたと思っていました。
いちどバランスの良いシンプルなゾイドを見直すべきだと思っていました。
なので、機獣新世紀ゾイド第一号のゴジュラスが、キャノン砲接続ラックを残し将来的な拡張性を認める一方、製品としてはキャノン砲が付属せずノーマルのまま出したという事に大きな意義を感じていました。


戦歴

戦歴はかなり物悲しさが漂います。

機獣新世紀ゾイドは、いちど強さをリセットし「ゴジュラスが最強」の世界でスタートしました。
更に公式ファンブックでは「絶滅寸前でレッドホーンやアイアンコングより圧倒的に数が少ない」とも設定されています。
これらの設定を複合して考えるに、まさにゴジュラスが活躍する為の場だった。そう言っても過言ではないと思います。

数で勝る帝国軍。共和国軍は圧倒的劣勢だが、しかし最強・ゴジュラスを擁する。
ゴジュラスが孤軍奮闘し倍する敵をばったばったと倒してゆくかと思いきや、全く活躍シーンが無いまま…、というか登場シーンすらほとんど無いまま物語は進みます。
唯一の登場シーンは、多数のレッドホーン、イグアン、サイカーチスなど帝国大部隊に包囲されているシーンで、「ゴジュラスの力をもってしても防ぎきれない帝国軍の恐るべき物量」という感じのシーンでした。

その後、物語はシールドライガー&コマンドウルフによる高速戦隊を中心に描かれるようになります。

ゴジュラスが再び登場したのはジェノザウラー、レブラプターという帝国側次世代機が登場した直後で、遺跡制圧に向かう帝国部隊を迎え撃ちました。
この際、ジェノザウラーの荷電粒子砲には何とか耐えたものの、その直後、多数のレブラプターに飽和状態で攻撃され力尽きています。
この後は、再び物語り上から姿を消します。

更に後年、デスザウラーが復活した際には再登場していますが、この時もやはりデスザウラーの前にあえなく散っています。

改造タイプまで含めれば、改造タイプの1200mm砲装備のウルトラザウルスを支援する為に用意されたデストロイドゴジュラスは、なかなかの活躍をしていますが。
しかしデストロイドは給弾や補佐が主な任務で、あまりゴジュラスらしい感じはしません。

思うのは、「ゴジュラスが最強の世界」「そのゴジュラスは数が少ない」という、まさにゴジュラスが活躍すべき舞台を用意しながら、その活躍を全く描かなかったのはどうなのかという事です。
まぁ、しょせん戦争は数というか…、活躍できなかったというのはある意味でリアルだったかもしれませんが…。
しかし、ここまで活躍する舞台を整えておきながら全く活躍しないまま陳腐化してしまったというのは、肩透かしもいい所です。
是非是非、メカ生体時代ほどとは言わないまでも、相応の活躍はして欲しかった所です。

アニメでも、活躍はいまひとつです。
初代アニメでは共和国軍の切り札として登場したものの、キャノン砲を撃つ砲台のような運用法をされており、ゴジュラスとしてはどうなのかなぁと思ってしまいました。
他にも、ジェノブレイカーの荷電粒子砲によってゴジュラス部隊ごと全滅した描写もあり、やはり活躍には程遠い印象が拭えませんでした。

全体的に、かなり寂しい感じがします。
まぁ、擁護するとアニメに関しては仕方なかった側面はあります。
というのも、当時の技術水準ではゴジュラスのような複雑なディティールをもつメカを存分に動かす事は不可能で、「それゆえ砲台的な運用ややられ役にならざるを得なかった」ものでもあります。

しかしバトストは大いに動かす事が出来たと思います。
あのゴジュラスが、それはもう全く活躍していない。これは、今でも大いに不満に思っている所です。


共和国最強 ゴジュラス

やはり、活躍すべき最高の舞台を整えられながら活躍しなかった というのは改めて残念です。
肩透かしは半端無いものです。
変な例えかもしれませんが「押すなよ!絶対に押すなよ!」と言われて本当に押さなかったような…というか。
とにかくゴジュラスファンとして大いに白けた事は否定しがたいです。

次々開発される新型に全く付いていけず、意地を見せる事も無くただただ老朽化していった感じがしますが、個人的にはゴジュラスはやはり活躍して欲しいと思います。
ひいきもありますが、ゴジュラスがパワフルに活躍してこそゾイドらしいと思います。
もちろん、いつまでも活躍させろというわけではなく、徐々に別のゾイドに時代が移ってゆくのは当然だと思いますが。
しかし、時代が移る前…、最初期の頃だけでも、せめて一時代を築いて欲しかったというのはどうしても思ってしまいます。

機獣新世紀ゾイドの第一号として復活した事は最高に嬉しい。
しかしそれと同時に、戦歴を見直した時に何とも言えないモヤモヤを感じてしまうゾイドでもあります。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド ゴジュラス

 メカ生体ゾイド ゴジュラスMK-II限定型

 メカ生体ゾイド ゴジュラスMK-II量産型

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ゾイド妄想戦記 ゴジュラスマリナー

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