メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 サンダーカノン<THUNDER CANNON>

■サンダーカノン(トリケラトプス型) データベース■

 発売年月 1990年7月  発売当時価格 680円  動力 なし

 型式番号 RTF-3

 スペック 全長11.5m 全高3.6m 全幅3.7m 重量18.0t 最高速度60km/h 乗員1名

 主な武装
  大口径キャノン砲(×2) レーザーシールド 頭部機銃 全天候3Dレーダー

 特徴
  共和国軍のトランスファイターゾイドの3号機の小型戦闘機械獣である。
  サンダーカノンは武器威力の高い大口径キャノン砲を2門装備、トランスファイターの中では一番の攻撃性能を発揮する。


メカ体形 前後より

TFゾイドの重砲型、サンダーカノンです。
メガトプロス、マッドサンダーに続く共和国トリケラトプス型第三弾です。
ただ、デザインはミニマッドサンダーという感じは全くなく、独自のデザインになっています。
既存ゾイドとの連携というより、TFゾイドらしさを追求したものと言えます。

TFゾイドは全三機。全て揃えるとこのような感じです。

改めて異端を感じるデザインではあります。しかし、三機並べるとそのデザイン的共通性の為、さすがに魅力が上昇します。
やはり、特殊カテゴリリーのゾイドなだけに、全て揃えて並べたい所です。

カラーは、見ての通り似て非なる感じで構成されています。
統一した号が良かったか。あるいは微妙に違う現在のものが良いかは意見が分かれると思います。個人的には統一した方が良かったと思っています。

デザインでは、やはり巨大なキャノン砲が目立ちます。

大口径砲はロマンです。カノントータスをはじめ、大砲の魅力を持ったゾイドが多数居ます。
ですが、サンダーカノンのキャノン砲は、さすがにデカすぎて浮いている気がします。
大型装備は「これ以上やったら一線を越える」というギリギリのラインを見極める必要があると思います。
あるいは、「大きいことは大きいが、やや物足りなくもある」程度に留め、ユーザーの改造意欲を刺激する程度が望ましいと思います。
そういった意味で、ちょっと一線を越えているかなという気がします。

ただ、付き方は面白いです。
フリルから生えているのではなく、胴体側面に付いています。そして、砲身がフリルを突き抜けているのです。

こういった付き方をしているので、かろうじで「小型機ながら大口径砲を積んでいる」事への説得力はあるように思います。
巨大砲が全面に唐突に付いているのではなく、全身を使って付いているのです。

全体的なデザインは、TZゾイドらしい仕上がりです。
しかし、改めてリアル感の薄い一群だなと感じてしまいます。

各部ディティールの少なさ、リアル感の低さはTFゾイド自体の問題なので、サンダーカノンを責めるのは酷だと思います。
しかし、その上でもなお詰めの甘さを感じる部分もあります。それは脚部です。


脚部にはブースターを思わせる装備が付いていますが、何故か前後脚でデザインが異なります。前脚は丸型、後脚は楕円型です。
また、装甲上部の放熱口を思わせる台形のディティールですが、前脚のものは内部に横筋が彫られています。対し、後脚にはそれが無い。
わざわざ微妙にデザインを変えた意味を図りかねます。
このように、サンダーカノンという単一のゾイドの中で不調和を起こしている部分を感じます。

同じトリケラトプス型という事で例を出すと、例えばメガトプロスとマッドサンダーのデザインは全く異なります。
しかし脚部を見ると、メガトプロスのバンパーとマッドサンダーの装甲板に、何となく共通性を感じる事が出来ます。

このように、「独自のデザインでありながら自軍としての共通性も感じる」ものが良いと思います。

サンダーカノンがTFゾイドらしいデザインになっているのは当然です。
しかし欲を言えば、通常ゾイドとの共通性も感じられる何かを含め、ニヤリとさせる仕上げにして欲しかったと思ってしまいます。


フェイス、コックピット

頭部デザインは独特です。
フリルと顔が完全に分離されているので、トリケラトプス感は低めな気がします。ただ、口元のクチバシ的な形などは、モチーフを再現しようとした跡が見られます。
口はいかにも可動しそうに見えますが、完全固定で開きません。ちょっと残念です。

フリルはレーザーシールドとされています。メッキで敵のレザーを反射させるというのは理に適っています。
しかし、このフリル面積ではガードできる部分がかなり限られている気もします。
下部は機銃を思わせる形状になっていますが、設定はなく何の装備かは不明です。

鼻先の三本目の角は、機銃になっています。
大きさや付き位置を考えると対歩兵でしょうか。しかし上のキャノン砲に比べかなり貧相な気がします。
キャノン砲は大きすぎ、鼻先の機銃は小さい。そんなアンバランスな印象です。逆に、それが魅力なのかもしれませんが…。

鼻位置にインテークを思わせるディティールがあるのは良いと思います。しかし、全体的に見ればゾイド感の薄い仕上がりになっていると思います。

TFゾイドではおなじみですが、頭部はコックピットではありません。コックピットは、頭部ではなく背中にあります。

金色のハッチを開くと、中にコックピットがあります。サンダーカノンのコックピットはここだけで、全ての操作をここから行います。

ところで、サンダーカノンのフリルには、正面に穴が開いています。
この穴ですが、背中のコックピットを開けた際、そこから前方が直接視認出来るようになっています。
こういった配慮は考えられているなあと思います。


ガンウォークモード 前後より

TFゾイドが変形するのは、基本的に「必殺武器を撃つため」です。
ショットイーグルはディスクボンバーを撃つ為に。ゴルゴランチャーはバーストミサイルを撃つ為に変形します。
しかし、サンダーカノンは通常形態でもキャノン砲を撃てます。
むしろ、そっちの形態の方が安定して撃てそうに見えます。
変形する意義とはいったい…。

ただ変形のプロセスはなかなか面白いです。
まず、両脇のキャノン砲を側面に倒します。そしてフリルを上げ…、

次に、頭部をくるんと一回転させます。

機銃の代わりに、二連装のビーム砲(?)のようなものが出てきます。
この装備の設定は無いので、実際に何なのかは謎です。ただ、その形状から考え何かしらの砲である事は確実と思います。

機銃の後に別の砲が。
内部構造がどうなっているのか、ちょっと謎です。撃ったら暴発しそうな気もします。
「片方だけにする」「その代わり弾数を増やし安全性も増す」という方が良いような気がします。
回転して別の武器が出るというのは、玩具としては面白いギミックですが。

ガンウォークモードは、正直に言ってあまり意味が見いだし難い形態です。
わざわざキャノン砲を横に倒して撃つ意味とは。
横幅を広げて撃つと、散布界が広がり命中率が落ちそうな気がします。また、軸にかかる負担が大きくなるようにも見えます。

まぁ、様々な疑問はともかくとして、ガンウォーク形態という位なので「実は」という事があるのかもしれませんが。
サンダーカノンのキャノン砲は、発射ギミックが用意されています。

キットにはBB弾が幾つか付属します。
それを先込め式で装填し…、

砲身にあるトリガーを引けば、発射ギミックを楽しめます。
威力はそこそこといったところです。ただ、その仕様上、弾は1発ずつじか装填できないのは大きな難点です。


武器形態 前後より

ガンウォークモードから更に変形すると、武器モードになります。間違い探しレベルですが、脚の位置と尾部が変わっています。

尾部は、角度を上げV字に開く事で完了します。

尾翼のおかげで、航空機のようにも見えます。

SFシューティングゲームの自機的というか、特に、キャラバンシューティングの自機にかなりイメージが近いです。
キャラバンシューティングは同時期に流行っていたものなので、実際に影響はあったんじゃないかなぁと思います。

このモードだと、対応するゾイドとドッキングできます。

ただ、見ての通り横幅が広いです。なので、一部干渉して上手くドッキングできないゾイドもあります。
このハウンドソルジャーも、かなり苦労して半ば強引に付けています。

せっかくのコネクターがあっても、活かせないゾイドも居るというのは残念です。
この問題はショットイーグルやゴルゴランチャーでは起こっていません。横幅の広いサンダーカノンのみが持つ問題です。

キットに付属する互換用ジョイントを使用すれば、ほぼ全てのゾイドに装着する事も出来ます。
しかし、やはり色や造形の関係で似合うものが少数なのは否めません。


側面より

側面から見ると、通常形態のそれなりに均衡の取れたバランスが分かります。
また、変形の大胆さも改めてよく分かります。
そこに「変形する意義」が加わっていれば良かったのですが。

通常形態を見ると、脚が短いなあと思います。
トリケラトプスである事を考えても、かなりの短足です。
実際、この見た目の通り最高速度は低く、60km/hしかありません。
運動性も低そうに見えます。
この時期、共和国部隊の中心はオルディオスをはじめ高機動化が進んでいました。
随伴はなかなか厳しかったと思います。


ギミック

ギミックは、変形・およびそれに付随する可動です。各部なかなか多数動きます。
改めて可動箇所を書くと、フリルの可動(縦横)、顔の回転、砲の展開、脚の可動、コックピットハッチの開閉、尾部の展開、キャノン砲の発射です。

なかなか優秀ですが、脚が横に向けて開かない(ハの時立ちできない)事と、口の開閉が出来ない事が残念ではあります。
特に、動力を排したにもかかわらず八の字立ちできないのは惜しいです。


戦歴

戦歴はほとんど確認できません。というか、今のところ確認した中では、登場が一切ありません。
ゾイドバトルストーリーはオルディオス就役のあたりで終わっている為、それ以降に就役したサンダーカノンは登場する事がありませんでした。
学年誌のストーリーでも、活躍はおろかやられ約としての出演すら確認できません。
ここまで描写が確認されないのはサンダーカノンだけです。

大口径砲を持つといっても、それは「このクラスとして」であり、一回り以上大きなゾイドの砲に比べれば劣る。
ドッキングも干渉するので使いにくい。
それゆえのものかもしれません。

とにかく、確認できるものがなく哀愁が漂うゾイドです。
画面の中に姿が確認できないのは、全ゾイド中でもサンダーカノンだけです。


大口径砲搭載 サンダーカノン

デザイン面でも戦歴でも難が多く、魅力薄に感じてしまうのは否めません。
TFゾイドは大々的に宣伝されたシリーズです。当時、TFゾイド専用の広告があったほどです。
しかし、結局サンダーカノンで終了。戦局にも大した影響を与えることなく、地味な活動しただけに留まりました。

サンダーカノンは、その変形の大胆さを見れば分かるように、完成度は決して低くないものです。
しかしそれゆえにドッキングしづらいという問題も出してしまっています。
これはTFゾイドの大きな矛盾を示しているとも思います。

大胆な変形をした方が魅力が上がる。しかしそうすると弊害も出てしまう。
色んなゾイドと合体させるには、コンパクトな変形にとどめる必要がある。

残念ながらTFゾイドの系列はサンダーカノンで途切れましたが、一連のTFゾイドを見ると、この反省は後年のブロックスゾイドに活かされているのかなと思う部分もあります。
ブロックスゾイドは、TFゾイドの反省を確かに活かしていると思います。
そういった意味では、やはりゾイドを語る上で無視できないシリーズだと思います。


バリエーションモデル

 なし


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