メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 バトルクーガー<BATTLECOUGAR>

■バトルクーガー(グリフォン型) データベース■

 発売年月 1990年7月  発売当時価格 1600円  動力 モーター

 型式番号 RPZ-22

 スペック 全長21.0m 全高9.0m 全幅16.0m 重量60.0t 地上最高速度240km/h 飛行最高速度M3.8 乗員1名

 主な武装
  長距離波動ビーム砲(×2) 雷電角 接近戦用ビーム砲(×2) 機銃(×2) アイアンクロウ(×2) スーパーウイング(×2) 飛行安定スタビライザー(×2)
  パワーコネクター

 特徴
  共和国軍オルディオス部隊はこのグリフォン型を空戦用ゾイドとして加え部隊編成を完成させた。
  グリフォン型のバトルクーガーは共和国ゾイドとしては最高飛行速度を持ち空戦型ゾイドとして攻撃、偵察を主な任務としている。
  またTF特殊部隊飛行メカのショットイーグルとの合体フォーメーションにより攻撃力の大幅なアップができる。


前後より

共和国最速飛行ゾイド、バトルクーガーです。
メカ生体期のゾイドとしては、キングゴジュラスよりひとつ前のリリース…、すなわち共和国機としては最後から二番目のゾイドです。
グリフォン型で、オルディオスに続き幻獣をモチーフとして採用したゾイドです。


ペガサス(ユニコーン)型のオルディオスと共に部隊を編成します。
飛行速度はM3.8と高いですが、地上でも240km/hと快足を誇ります。この、空陸の両方で運用できることが、オルディオスと戦隊を組んだ大きな理由でしょう。

グリフォンは鷹の翼と上半身、獅子の下半身を併せ持つ伝説上の生き物です。
グリフォンは黄金を守る番人とされており、「王」と「知識」の象徴とされている幻獣です。
ペガサスに続きグリフォンが登場し、それが暗黒軍のギル・ベイダーやガン・ギャラドといったドラゴンと戦う。
この構図は、この当時に行われた「正義の共和国軍と悪の暗黒軍の戦い」の構図をより助長しています。


側面より

率直に言ってバランスが悪いです。
バランスの悪さの最大の原因はプロポーションにあると思います。後脚に比べて前脚が極端に小さく、生物としてバランスが悪いです。
前脚が小さいのは、前脚の上に大型の砲を配置している為です。前脚をこれ以上大きくすると砲に干渉してしまう為、このような処理になったのでしょう。
しかし武器を積む為に前脚のバランスを犠牲にしてしまったというのは本末転倒もいいところだと思います。

首が全く無いのもバランスが悪いです。
胴体から直接顔が生えているようで、もう少し何とかならなかったのかと思います。
せっかくカッコいいグリフォンというモチーフを採用したのに、プロポーションが悪く活かし切れていない印象を持ってしまいます。

脚大きさのバランスの悪さは先に書きましたが、脚のデザインも問題です。

脚は一体成型で、プロテクターや爪のみ別パーツになっています(爪は前脚のみ)。
そのデザインですが、それなりにディティールは多くあります。しかしリアルさは皆無です。
というのも、「関節が動く」事が全く想像できないデザインになっています。
一体このデザインでどう曲がるというのか。一体成型の脚を持つゾイドは多いですが、「ここで曲がるんだな」という事が想像できるデザインになっていました。
バトルクーガーの足からは、そのようなものが全く感じられません。
設定上、地上でも240km/hの俊足を誇ります。その設定に対し、この脚は幾らなんでも酷過ぎると思います。


フェイス コックピット

頭部は良いデザインをしていると思います。いかにも鷹という感じで、羽毛を感じらせるディティールの処理も上手いです。
頭部のデザインが良いだけに、改めて首が無い事が惜しいと感じます。

この時期のゾイドらしく、巨大なブレードも付いています。雷電角と名付けられていますが、具体的な用法は不明です。
オルディオスのサンダーブレードとの関連性がちょっと気になります。
正直この大きな角は、デザインとしては邪魔な要素だと感じます。ブレードは体全体の流れに反する角度で付いており、スピード感を大幅に減じているとも思います。

角は、反対方向で付けるか、あるいはいっそ撤去してしまった方が良かったと思います。

なお、反対方向に付ける事は無改造で可能です。

頭部はコックピットになっており、開くとパイロットが入っています。

バトルクーガーのパイロットは1名のみで、ここから全ての操作を行います。


細部デザイン

デザインは良い部分もあります。中でも翼のデザインはかなり光るものがあります。
旧来のサラマンダー系でもレイノス系でもオルディオス系でもない独自のデザインです。
そこに、いかにも共和国らしい技術的なつながりを感じる要素は少ない。ですが、デザイン自体は良く出来ています。

内側の、スラスターを並べたようなデザインはカッコ良く、共和国最速機のデザインとして良いと思います。彫が深い造形なのも見事です。
また、外側の羽を模したディティールの付け方も、流れるような流麗さがあり良いと思います。
ただ詳しくは後の項目で記載しますが、翼は連動ギミックでは動きません。手動でのみ動きます。この点は少し残念です。

翼のデザインは素晴らしいと思いますが、その他ではあまり見るべき所は無いように思います。

武装としては、大型の長距離波動ビーム砲を備えています。

デザイン自体は凝っておりカッコいいと思います。キャップを組み込んだデザインなのも面白いです。
しかし先にも書いた通り、前脚を犠牲にしてまで付けるものではないと思います。
また、この時期のゾイドはこれが慣例になっていたとはいえ、改めてメッキを砲の色にするのは抵抗があります。
ガンブラスターなら特別感があったと思いますが、全共和国ゾイドの標準にしてしまうのはまた違うと思います。

尾部は、側面から見るとディティールが非常に多く、見応えがあります。

しかし、横方向への広がりが皆無で、ただ単に板にディティールを描き入れただけといった印象が拭えません。
総じて、デザインに関しては良い部分もあるが中途半端に終わっている部分の方が多いという、厳しい評価は避けられないと思います。


カラーリング

カラーリングは赤を大胆に使用しており、共和国機としてはかなり奇異です。
最も、この配色はキングライガーと共通するものであり、共和国機として初というわけではありませんが。
ただ、キングライガーは赤がワインレッドのような色合いでしたが、バトルクーガーの赤は原色の鮮やかな赤です。
純白の装甲に原色の赤が大胆に使用されているので、かなり玩具っぽい印象を受けてしまいます。

キングライガーと比べメッキの使用率が高く、ケバケバしいのも難点です。
メッキを使用するというのは、この時期のゾイドのスタンダードです。ですが、金メッキはよほど上手く使わないと厳しいと思います。
キングライガーはメッキの使用を局地的に留める事で上品さを保っていました。また、ガンブラスターのように過度に使用する事で逆に違和感を払拭していた機もあります。

それらと比べると、バトルクーガーは中途半端なメッキ使用です。
使用法としては非常に下手で、単にリアルさを低下させただけで終わっているように思います。

赤が原色の赤であり、メッキがケバケバしい使用になっている。バトルクーガーのカラーリングは、残念ながら手厳しい感想を持ってしまいます。


ギミック

電動ゾイドなので、電池を入れてスイッチを入れると動きます。

ギミックは凡作です。連動ギミックとしては、長距離波動ビーム砲を動かしながら歩行します。
一応、歩くだけではなく連動もありますが、長距離波動ビーム砲の可動は良い出来とは言い難いです。
というのも、長距離波動ビーム砲は、「前後の脚を繋ぐ動力伝達パーツと一体化している為、動く」というものになっています。
つまり専用の動きを取り出したタイプではなく、ついでに動いているタイプのものです。その為、見栄えはほとんどありません。
左右の砲が同時に砲身をせり出すようなものだったら評価は違っていたと思いますが。

歩行に関しては、脚が一体成型なので関節が動かず、ゼンマイゾイド並の動きです。
ただ前脚は、爪の取り付けに若干の「遊び」があります。その為、足首がわずかに動いているように見えるのが救いです。

口の開閉や翼の羽ばたきは手動ギミックで、連動しません。
このデザインで何故羽を動かさなかった…というのはバトルクーガーを手にした全ユーザーが共通して感じる事だと思います。

キットとしては、ハウンドソルジャーから続く「ユーザーが組む」タイプのバッテリーボックスを使用しています。
なので、もちろん、グレードアップユニット接続用のコネクターも装備しています。背中のコネクターが回転するのも、ギミックと言えばギミックです。

ですが、通常時はフタをしてコネクターを隠す構造になっています。その為、全く見えなくなっており残念です。
「通常時にコネクターを隠す」のは、ゴッドカイザーと共通しています。
コネクターが回転しているのはメカとして良いアクセントになっていると思います。見栄えが悪いものでは決してありません。
わざわざ専用パーツを用意して隠しているのは疑問です。

手動ギミックとしては、口の開閉と翼の可動が出来ます。
口の開閉はゾイドではおなじみのギミックですが、電動ゾイドなのにここが手動なのは悲しいです。

翼は大きく動きます。

良デザインの翼が大きく動く。これは嬉しいです。ですがやはり連動にして欲しかった所です。

「翼を持っているにのに連動で動かない」のは、ガン・ギャラドとバトルクーガーのみです。
最初の飛行ゾイド、グライドラーですら立派に翼を羽ばたかせるというのに。
最末期に登場した飛行ゾイドが、まさに決定版とも言うべき翼ギミックで登場したのではなく、全く逆の完成度に退化しているのは悲しいものです。

連動・手動共に、ギミックはかなり厳しいです。
連動を増やして欲しいのはもちろんですが、手動ギミックももっと増やせたと思います。特に、尾は完全固定されており、全く動かないのは疑問です。
シールドライガーのように手動で動かせるようにすれば良かったのにと思います。というか、そうしなかったのは謎だと思います。
これだけ大型の尾であれば、動くだけでそれなりに見栄えがするものになったと思います。自らギミックを放棄しているようで非常に残念です。

総じて、半端な部分が多く最低限のギミックでしかないという、厳しい評価を下さざるを得ない機体だと思います。


戦歴

戦歴は、謎の多い機体です。
ゾイドバトルストーリーはオルディオスの参戦頃までしか掲載されていないので、戦歴としては一般認知度の最も低い部類だと思います。
学年誌にはわずかながら登場します。

対地攻撃に優れていたようで、ダークホーンや改造デスザウラー相手に豪快に立ち回っています。

また、共和国最速を活かし、ギル・ベイダーを引き付ける囮役を担っていたりもします。
しかし残念ながら空戦は描かれておらず、ギル・ベイダーやガン・ギャラド相手にどの程度戦えたのかは謎です。
更に、非常に残念ながら、キングゴジュラス参戦後の暗黒軍首都攻略戦…、最終決戦時にはその姿は確認できませんでした。
この時の空戦部隊はオルディオスやサラマンダーでした。

バトルクーガーの性格はオルディオスと酷似しています。
空中・地上のどちらでも、高レベルで戦えます。しかし飛行最高速度を除き、ほぼ全ての能力でオルディオスはバトルクーガーを上回ります。
バトルクーガーが得意とする対地攻撃の分野でさえ、オルディオスはそれ以上の力を有しています。
地上での戦闘力もオルディオスが上で、最高速度240km/hのバトルクーガーに対し、360km/hです。更に、大型なのでパワーでは桁違いでしょう。
優秀な機体であるものの、オルディオスが居た時点で運用する意味があまり見いだせない機体であり、それゆえに運用があまりされなかったのかもしれません。

また、バトルクーガーの開発背景を考えるに、オルディオスを補佐する目的があったのではないかと思います。
サーベルタイガーとヘルキャットや、シールドライガーとコマンドウルフ。地球で言えば米軍のF-15とF-16のような関係のように。
「強いが量産は難しいオルディオス」と、「小型で性能はそこそこだが量産しやすいバトルクーガー」で、混成部隊を組もうとした目的が透けて見えます。
しかし予想以上にオルディオスの数が揃ってしまい、バトルクーガーは浮いた存在となってしまったのではないか……。というような妄想もしてしまいます。

あるいは、飛行共和国最速を活かし、偵察等の直接戦闘以外の部分で活躍していた……それゆえに画面にあまり映っていないのかもしれません。
しかしいずれにしろ、あまり存在感は無かったというのは否定できません。


共和国最速 バトルクーガー

決して悪だけではなく、良い所もあります。しかし全体としてみればかなり違和感を大きく感じてしまう…、衰退期のデザインを大きく感じてしまいます。

グリフォンというモチーフは悪くなかったと思います。
ライオンの下半身に鷹の上半身。
もしも、既にサーベルやシールドで成熟されていた脚の構造を取り入れつつ、ダイナミックな翼の羽ばたきも実現したような、そんなモデルになっていたら…。
これぞゾイドという集大成と思える程の機体に仕上がっていた可能性は高いと思います。多少価格を上げてでも、そうした方が良かったと思います。
数々の傑作ゾイドに引けをとらないものになれた可能性を大いに感じます。

そういった事を強く思うからこそ余計に、非常に惜しいなあというか、残念に感じてしまうゾイドです。


バリエーションモデル

 なし


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