メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 キングバロン<KINGBARON>


※撮影に用いているモデルは両頬のメガバルカン砲身が両側とも折れています

■キングバロン(ライオン型) データベース■

 発売年月 1990年6月  発売当時価格 1600円  動力 モーター

 型式番号 RPZ-20

 スペック 全長:19.8m 全高:8.6m 全幅:6.8m 重量:73.0t 最高速度:270km/h

 主な武装
  火炎ビーム砲 六門加速ビーム砲 三門機銃 サイドミサイルポッド(×2) メガバルカン(×2) レーザーブレード(×4) ビームニードル 電磁シールド(×4)
  エネルギー加速装置(×2) 3D後方レーダー パワーコネクター

 特徴
  プロトタイプはキングライガーで特に機動力がすぐれており、極地専用ゾイドとして活躍している。
  キングバロンはさらに総合戦闘力をアップさせるべくビーム砲、機銃など6門を装備、機動力もエネルギー加速装置により、パワーアップされた。
  共和国軍の小隊指揮官機として活躍している。


前後より

キングライガーの超強化型、キングバロンです。(ノーマルタイプのレビューはこちら)
砲力を徹底強化した姿は凄まじく、ノーマルタイプとは全く違う印象になっています。
そのためか、共和国機にしては珍しくキングライガーMK-IIではなくキングバロンという別の名前が与えられています。

同時期には、ジーク・ドーベルを強化したアイス・ブレーザーが就役しています。

アイス・ブレーザーはノーマル機から攻・走・防いずれもパワーアップした万能機でした。
攻撃力は砲が増えたし、速度はウイングを増設した事で上がったし、防御力もアイスメタルを多用した事で上がりました。

一方、キングバロンは砲力が凄まじくアップした一方、走・防はダウンしています。
最高速度は10km/hダウンし、防御力も装甲の一部が撤去された事で低下しています。
このような不器用な強化は、とても褒められた設計とは言えません。しかし、実に共和国らしい強引な感じがします。

見事な強化を果たしたアイス・ブレーザーと、アンバランスな強化になったキングバロン。
両機を見ていると、グレートサーベルとシールドライガーMK-IIを思い出さずには居れません。


側面より

側面から見ると、凄まじいまでの砲力が分かります。前面は、満載した砲により膨れ上がっています。
砲は、ノーマルタイプから実に11門も増えています。
もう完全にやりすぎというか、高速機にこの量はないだろうと思わざるを得ない過積載です。
しかし、ここまで煌びやかな砲を満載した”やりすぎ”な部分には、むしろ一周回って惹かれるものもあります。
ガンブラスターの砲とも通じる、やりすぎてしまったから辿り着けた境地というか、そういった魅力を感じます。
もちろん、「ガンブラスターは鈍重な機体だからあの過積載でも納得できる」「キングバロンは高機動だから過積載が違和感として残る」という違いはありますが。

ただ、個人的にはキングライガーよりはキングバロンの方が好きです。
キングライガーの大きな問題に、そもそもライオンに見えにくいという点があったと思います。
タテガミを模したレーザーブレードを配置していますが、ほとんど目立っていなかった…。

キングバロンは前面に砲を満載していますが、それらはタテガミを思わせる配置になっています。
凄まじい量の砲は過積載のイメージが覆せませんが、その配置はモチーフに気を配っている感じがします。
ライオンは、タテガミが立派なオスほど大きな地位を得るとの事。
タテガミが立派に見えるように造形されたキングバロンは、キングライガーの強化タイプとしてとても良い進化を果たしたなと思います。


フェイス

タテガミが大きくなった事は先に書きましたが、もう一つの特徴は上部の火炎ビーム砲です。
この装備を付けるために、キングバロンは上部にハードポイントを付ける金型改修を行っています。

しかし、正直に言うとどうも似合っていないなぁと思える装備です。
胸部の砲は本体とのシックリ感があると思いますが、上部の火炎ビーム砲は外付け装備にありがちな異質感がかなり勝っています。
わざわざ金型改修…、ハードポイントを追加してまで装備すべき装備なんだろうか…と思ってしまいます。
上部に砲がある事で、胸部の砲の印象がやや薄れているような気もします。増設する砲は、胸部のみに特化させた方が良かったのでないかと思います。


目の色は黒です。メカ生体ゾイドでは、目のある共和国ゾイドでクリアパーツあるいはメッキを使用していないのはキングバロンが唯一です。
なお、強化タイプですが乗員は1名のままで変わっていません。
これだけ武器を増設しながら1名のままなのだから、かなり操縦性が悪化しエースにしか扱えない機体なのではないかと思います。


キングライガーと共に

並べると、その差は歴然です。
何といっても武器満載のキングバロン。軽戦のキングライガー、重戦のキングバロンといった感じでしょうか。

追加装備は、まず前面の砲です。
頭部の火炎ビーム砲、そして胸部の六門加速ビーム砲と三門機銃。改めて凄まじい火力です。
なお、胸部の砲は中央のものが三門機銃で、両側のものが六門加速ビーム砲です。

三門機銃は、この時代に実弾砲を採用している珍しい装備です。
この時代の暗黒軍ゾイドは「アイスメタル装甲」と呼ばれる耐ビーム装甲を採用していました。
アイスメタル装甲は、キット的には銀メッキになっている部分です。メッキ部分という事で、おそらく「ビームを反射させてしまう」ような機構だと推測します。
耐ビーム装甲が採用されだした事から、旧式ながら実弾砲が見直され採用されたのかもしれません。


前面は、何度見ても凄まじい搭載量です。
この搭載量を達成するために、キングバロンは強化改造機としては珍しい設計を取り入れています。
通常、強化改造機は装備を増設する事で完成します。しかし、キングバロンは「キングライガーの装甲を一部外し、その上で武器を増設する」設計になっているのです。
防御力を犠牲にしてまで砲力を求めた執念は凄まじいものです。

中央部には、サイドミサイルポッドがあります。

エネルギー加速装置の基部に付いたものです。これにより、側面の敵にも対応したとの事です。
付き位置から考えて、設定を知るまではずっとエネルギー増幅装置の類だと思っていました。これが回転しエネルギーを増幅するのだろう…と。
設定を知った時は、まさかミサイルポッドだったとは…と驚きました。
しかし、エネルギー加速装置の基部に火器を付けるというのは、ちょっと説得力に欠けるんじゃないかなと思います。

砲の増設は改めて凄まじいですが、それ以外にも特徴があります。
エネルギー加速装置の先端には、新型のキャップが付いています。

これにより排気量が増しています。
キングバロンは、最高速度こそキングライガーより低下しました。しかし、この装備により運動性に関しては向上しているとの事です。
ただ、運動性が向上したとの事ですが、先端にキャップを付けただけではちょっと説得力に欠けるんじゃないかなという印象でもあります。
やはり、先に紹介したサイドミサイルポッド部分はエネルギー増幅装置にしておいた方が良かったんじゃないかなと思います。

カラーリングは、キングライガーの赤部分と白部分が逆転した感じです。
「強化タイプは色が逆転する」のは、帝国軍が好んで使用していたパターンです。
キングバロンの色変更は、従来の帝国軍的なパターンであるのが興味深いです。
悪くないカラー変更だと思いますが、難を言えば赤が原色の赤で安っぽいっ事と、頭部のコックピットハッチが帽子のように見えてしまい今ひとつ締まりが無いと感じてしまう事が残念です。


ギミック

ギミックに関しては、ほぼキングライガーから変化はありません。
あいかわらず連動ギミックは口の開閉+歩行のみです。
強化改造型なので、せっかくだったらグレードアップユニットを活かした何かを加えてくれれば良かったのですが。
例えば、胸部の密集した砲が動くなどあれば、かなりのインパクトがあったと思います。そうなっていないのが悔やまれます。

手動ギミックは、わずかながら差があります。頭部の火炎ビーム砲が全周囲に旋回させられるのです。
ギミックは、極めてわずかながらキングライガーを上回っています。
しかし、それでもこの量では最低レベルのギミックしか持たないゾイドという評価は覆りません。


戦歴

末期に登場したゾイドだけに、戦歴は謎が多いです。
新ゾイドバトルストーリーより先の時代に登場するゾイドなので、活躍シーンは学年誌でのみ確認できます。
確認した中では、高速部隊の一翼として活躍していた事が伺えます。
強化された運動性を活かし、オルディオスとの連携ではあるもののアイス・ブレーザーを捉え一撃を喰らわせた事もあります。

…しかし、致命傷を与えるには至らず、この後に逃走を許しています。そして、追撃はオルディオスが行っていました。
運動性の高さや砲力の高さは認めつつも、やはり最高速度の遅さが悔やまれるものでもあります。

また、キングゴジュラスと行動を共にする事もよくありました。
キングゴジュラスが開発されていた海底基地では防衛部隊の一機になっていたし、キングゴジュラス完成後は行動を共にしていたりもします。

一方、暗黒首都攻略戦ではギル・ベイダーに派手にやられていたりもします。
やはり、いかに強化されたとはいえ巨大ゾイドを相手にするには力不足だったのは否めません。

キングバロンの性能を深く考えると、利点はやはり高い砲力と向上した運動性でしょう。
これにより、暴風のように暴れ回れるはずです。
しかし、本体側のエネルギー総量は変わらないし、特にエネルギータンクが増設されているわけでもありません。
その為、強力だが稼働時間は極めて短いと考えるべきでしょう。
また、砲を増設しているとはいえ、いずれも小~中口径です。なので、大型ゾイドを撃ち抜くには非力であるとも思います。
おそらく、群がる中型以下のゾイドや歩兵を短時間で殲滅する為の設計なのだと思います。
そうして敵の護衛を殲滅した後は、速やかに撤退し戦いの場を後続する大型ゾイドに譲る…というものではないかと思います。


高機動超砲撃型 キングバロン

色んな意味で凄まじいゾイドだと思います。
メカ生体ゾイドの末期をこれでもかと象徴したゾイドだと思いますが、その吹っ切れたかのような過積載ぶりはなかなか味わい深くもあります。
登場が最末期で、単機での目覚しい活躍もない。極めてマイナーなゾイドですが、メカ生体ゾイドの最後のシーンを語るには欠かせないゾイドだと思います。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド キングライガー

 ゾイドリバースセンチュリー キングライガー


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