メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 オルディオス<ORUDIOS>

■オルディオス(ペガサス型) データベース■

 発売年月 1990年3月  発売当時価格 3500円  動力 モーター

 型式番号 RPZ-18

 スペック 全長:26.3m 全高19.4m 全幅:12.2m 重量:140t 飛行最高速度:M3.6 陸上最高速度360km/h 乗員:1人

 主な武装
  サンダーブレード ミサイルポッド(×4) 加速衝撃砲(×2) グレートバスター(×2) アクティブレーダー(×2) 冷却用放熱口(×2) 高機動ブースター(×7)
  メタルプロテクター(×4) パワーコネクター

 特徴
  機動力とスピードを兼ね備えた空陸両用の戦闘機械獣。
  高機動ブースターによってマッハ3.6で飛行し、陸上での最高速度は時速360キロに達する。
  主力武器のグレートバスターは、翼で集めた超電磁エネルギーを発射し、厚い装甲をも貫く。
  戦闘総合力は、通常72ZEPである。


前後より

共和国の守護神、オルディオスです。暗黒大陸編後期に登場し、共和国を救った救国の名機です。

馬というのはメジャーな動物で、なおかつ「軍馬」という言葉があるくらい、軍と密接に関ってきた歴史があります。
こう考えると、末期に至るまで登場していなかったのが不思議なくらいのモチーフです。
しかし、厳密には馬ではなく翼を持ったペガサス型です。なおかつ、額には角があり、ユニコーンのイメージも加えられています。

ペガサスやユニコーンは、とにかく高貴で気品溢れるイメージを持たれる幻獣です。
オルディオスは、この時期において顕著だった「共和国=正義の軍」の図式を強力に後押ししています。

オルディオスは、共和国軍で幻獣をモチーフにした最初のゾイドです。
このゾイドが「キメラなのか」あるいは「そういう野生体が存在する」のかは意見の分かれる所でしょう。
個人的にはキメラであると思っています。

大陸間戦争での共和国軍は、ガンブラスターの様に「モチーフの特性とは全く別方向の性能を与えたゾイド」を多数開発しています。
また、合体・変形を行うTFゾイドも開発しています。
この時期の共和国ゾイド開発の傾向は、本来得意としていた「野生体の力を素直に活かす設計」から大きく変質しています。
この時期のゾイド開発は「制御する」「能力をむりやり付加する」傾向が非常に強くあります。
おそらく、第二次中央大陸戦争に勝利し、ゼネバス帝国技術を手に入れた影響でしょう。
オルディオスも、そういった中で誕生した、「高度に制御された」ゾイドだと思います。すなわち、キメラである可能性を強く感じます。

翼を持っているので、当然ながら飛行可能です。
翼は縦方向に伸縮する構造で、その動きによって表情が大きく変わります。

翼は、なかなか大胆な可動です。しかし、残念ながら横方向への可動はなく、縦方向に動くのみです。

「翼がある=飛べる」というのは連想できますが、「縦方向のみ」という可動には疑問を感じます。
縦方向の付き方では、浮く事への説得力が極めて薄い。横方向に倒せるようにして、いかにも揚力を得られそうな見た目に出来るようにすべきだったと強く思います。

両脇には、大型強力武器・グレートバスターが付いています。
この付き位置は、翼が横に開く事を制限する場所です。おそらく、翼が縦方向の可動しかしないのは、その為でもあるのでしょう。

グレートバスター自体は、かなり見栄えの良い武器であり位置であると思います。
個人的には、いっそ翼は付けなくても良かったのかなぁと思ったりします。


見事な馬型(あるいはユニコーン型)です。
オルディオスのアイデンティティを奪った気もしますが…、翼を省いた姿は凄く好みです。
ストーリー上は「ギル・ベイダーが猛威を振るう中で登場した対抗機」なので、飛べる能力は必須だったと思います。
しかし、個人的には地上用高速ゾイドとして完成した方が嬉しかったなぁと思ってしまいます。

地上での速度は360km/hで、ハウンドソルジャーをも超え、共和国最速です。
その速度で、ジーク・ドーベルやデッド・ボーダーを次々に倒すようなゾイドだったら良かったのになぁと思ったりしてしまいます。


側面より

プロポーションは極めて良く出来ており、馬のシルエットが見事に再現されています。
縦方向にしか動かない翼も、それゆえに横から見た時の見栄えは抜群です。

武装のバランスも良いと思います。
グレートバスターは、付き位置も造形も凄くシックリきています。名前はやや安直な気もしますが。

付き位置を上から見た時の、メカニックの感じも好きです。

キャップが密集し、ゴチャゴチャした感じがたまりません。
グレートバスターは強力武器ですが、こうしたゴチャゴチャしたメカニックの末についているので、強力さへの説得力は大いにあります。
連動ギミックも持ち、砲を前後に動かます。ギミックがある事も、強力砲である事をよく表しています。

基部は連動ギミックがありますが、砲自体は仰角を付けられる手動ギミックがあります。

総じて、遊び甲斐の非常に高い武器に仕上がっていると思います。

ところで、翼を取ると以下のような感じです。

やはり、かなりスッキリとします。
個人的には、背中のメカニックが見やすいという意味でも、改めて無い方が好きかなぁと思います。


フェイス コックピット

頭部デザインは秀逸です。
凛々しく気品溢れる馬な感じで、まさに見事という感じです。
ディティールの付き方も上手いと思います。青パーツは適度にゴチャゴチャしており、反対に白いパーツはスッキリしており対比も気持ち良いです。

頭部の角・サンダーブレードも、過度にうるさくない程度に収められているのは好感触で、ゴッドカイザーやバトルクーガーに比べれば違和感はありません。
角は突撃用の武器で、突き刺した後に放電し敵メカを内部から破壊できるとされています。
その構造は、マグネーザーやサンダーホーンと共通します。学年誌では、マグネーザーの発展型であると記載されています。

口は、手動で必要以上に大きく開きます。

口は特に武器ではないと思いますが、小型ゾイドの武装くらいならむしりとれそうです。

頭部はコックピットになっており、中にはパイロットが入っています。

オルディオスのパイロットは1名で、全ての操作をここから行います。

コックピット開閉画像から分かる通り、先に紹介した突撃用角・サンダーブレードは、コックピットハッチに付いています。
突き刺し時にハッチが壊れないのか、ちょっと怖そうな気もします。

ところで、オルディオスの目はメッキで、クリアパーツではありません。メッキなので、当然ながら電飾ギミックもありません。
3000円を越える大型の目のあるゾイドで、電飾がないのはちょっと寂しいです。

目の処理は少し残念ですが、全体的にはかなり良い出来の頭部をしていると思います。
強いて難を言えば、タテガミのデザインはもう一歩メカになりきれていないなという気はします。
「毛をメカに」というのは凄く難しい分野だと思いますが、同じくタテガミをメカに仕上げたシールドライガーと比べると、少し気になります。
ただ、それを差し引いても十分に良い仕上がりだと思います。


カラーリング

オルディオスは、カラーリングの処理について触れる必要があるでしょう。
オルディオスを初めて見た時は、デザインと同じくらいカラーリングに衝撃を受けた記憶があります。
基本的にはMK-II部隊用カラーですが、赤が入っているのが大きな特徴です。

白・青・赤のトリコロールカラーは、まぁ率直に言ってガンダムだよなぁと思ってしまいます。
あえて全く同じカラーにするのは避けたほうが良かったのではないかなぁと思います。

個人的には、赤は使用せず下のようなカラーだったら良かったのになぁと思っています。

オルディオスらしさは大きく減じられているかもしれませんが。

メカ生体ゾイドの共和国軍カラーは、初期は渋くてリアル系でした。
MK-II部隊の登場から「白・青・金」の派手なカラーが採用されましたが、それでも「共和国らしさ」だけは強く保たれていた。
しかし大陸間戦争では赤を採用するゾイドも登場し始め、共和国らしいカラーすらないがしろにされるようになっていった。
オルディオスのカラーを見ていると、共和国ゾイドのカラーリング移り変わりを改めて感じます。


デザイン

翼については無い方が好みですが、それを差し引いてもデザインはかなり良いと思います。
グレートバスターや背中、頭部デザインの秀逸さは先に書いた通りです。
この時期のゾイドらしくディティールが甘い箇所も多く感じますが、全体的な趣味が良いのでそれほど気にはなりません。

ただディティールの甘さではなく、仕上げの雑さを感じる場所も幾つかあります。
まずは翼です。

タテガミと同じく、ここもあと一歩メカになりきれていないと感じます。が、問題はそこではありません。
手前と奥を比べると分かると思いますが、手前側は肉抜きが激しく目立ちます。また、可動の為のオモチャ的な造りが隠しきれていません。

ゾイドである以上、こういった箇所が出てしまうのは仕方のない事です。
しかし、問題はこれが「手前側」である事です。目立つ側でこういった処理をしているという事です。
なぜ目立つ側をこうしたのだろう…。比較的目立ちにくい奥側(裏側)の方が見栄えが良いというのは、ちょっと意図を図りかねます。
この処理を見ていると、もしかすると、オルディオスの翼は当初の予定では「横に倒す」ようになっていたのかなぁとも思えてきます。

もう一つは、後ろ足の処理です。
オルディオスの前脚は、サーベルタイガーを思わせる各関節が見事に連動し動くものになっています。その精度は、さすがゾイドと言える仕上がりです。
しかし、一方で後足は酷いもので、小型ゼンマイゾイド並の豪快な肉抜きの付いた一体成型です。

後脚も関節毎に動かそうよ…というのは理想ですが、固定にするにしても、せめて大型ゾイドなのだからフタをして見栄えを保つ努力くらいは欲しかった所です。

全体的なデザインは悪くないですが、各所で雑というか粗というか…、残念な箇所が目立ちます。
こういった箇所が点数を大きく下げているように思え、惜しいなぁと思います。


ギミック

電動ゾイドなので、電池を入れてスイッチを入れると動きます。
ギミックはまずまずの出来です。

連動ギミックは、首を動かしながら、翼を動かしながら、グレートバスターを動かしながら、歩行します。
首は、上下に大きく動きます。高速ゾイドとしては、首が動くのはなかなか面白いです。
翼、グレートバスター、歩行ギミックは、先に書いた通りです。

特筆事項として、翼とグレートバスターのギミックは、任意でOFFにする事も出来ます。
背中にメインスイッチとは別にギミック切り替え用スイッチがあり、これによりON/OFFが可能なのです。
「翼を好きな位置で固定させながら」歩行させる事ができるというのは、なかなか気が利いています。
このようなギミックON/OFFスイッチは極めて珍しい例ですが、他でももっと採用されて良いと思います。

この他、グレートアップユニットに対応したジョイントもあります。
ジョイントはかなり後部にあります。
その為、武器やTFゾイドを合体させる際は、基本的に「後方を向けて」搭載する事になります。

オルディオスは後方への攻撃手段を持たないゾイドなので、これは良い処理だと思います。

手動ギミックは、口の開閉、グレートバスターの仰角、尻尾の上下、コックピットの開閉です。
尾は大きく動きます。

デザインも可動も、コマンドウルフを思わせます。なお内部にはキャップが使用されており、間接がヘタらない為の配慮が見られます。

連動ギミックに比べると、手動ギミックは控えめです。しかし、最低限のものは揃えているという印象でもあります。

全体的には、まずまずといった印象です。
後脚など残念な箇所もありますが、ON/OFFスイッチなど光る部分もあります。


戦歴

戦歴は、華やかさに満ちています。
初陣は、ちょうどギル・ベイダーが猛威を振るう中でのものでした。
ギル・ベイダーは圧倒的最強を誇り、共和国軍を暗黒大陸から叩き出す寸前まで追い詰めます。
並行して中央大陸へも爆撃を敢行し、大きなショックを与えました。

そんな中、ようやく誕生した対抗機がオルディオス。
ポジション的には、デスザウラーに対するディバイソンに似た感じと言えば分かりやすいと思います。
しかし、オルディオスは強かった。強すぎた。

「総合力ではギル・ベイダーに大きく劣る」とはされています。
しかし、劇中ではギル・ベイダーに完勝するシーンが圧倒的多数です。
新ゾイドバトルストーリーでは「奇跡の勝利」のように書かれていましたが、学年誌での扱いはオルディオス圧勝のものも少なくありません。
少なくない、というか大多数です。

当時はマッドサンダーを押しのけ「共和国軍最強ゾイド」とされる事も多く、その扱いはまさに破格でした。
もちろん、デスザウラーやデッド・ボーダーはまとめて雑魚扱いできる能力です。

オルディオスを得た共和国軍は、暗黒大陸で再び勢いを取り戻します。
取り戻したどころか、暗黒大陸首都にまで侵攻しています。

(キングゴジュラスはこの後の参戦である)

ガン・ギャラドに敗北する事もあったし、やっぱりギル・ベイダーに苦戦する事もあるにはあった。
しかし、それでもこの実績は凄いです。
これは、オルディオスを押し戻す事はガン・ギャラドにもギル・ベイダーにも無理だった。オルディオスこそ最強だったという証でしょう。

これは、ちょっとどうなのかなぁと思います。
オルディオスはあまりにも強すぎたので、後のキングゴジュラスの描写にも悪い影響を出してしまったと思います。
つまり、オルディオスが既にギル・ベイダーを倒してしまっているので、キングゴジュラスがギル・ベイダーを倒したところでさほどの盛り上がりはない。
オルディオスの力で暗黒大陸首都まで進撃できたので、「形勢逆転」を描く事も難しい。

これは、例えば、
「ディバイソンがデスザウラーより強くて中央大陸の大部分を制圧でいていたら、マッドサンダーを魅力的に描く・インパクトを与える事は極めて難しかっただろう」
と言うと分かりやすいでしょう。
しかし、新型巨大ゾイド・キングゴジュラスもアピールする必要はある。
結果として、キングゴジュラスは破壊的スペックを身につけ、無理やりインパクトを出したような気がします。

ディバイソンは凄かったなと思います。
デスザウラーに一撃を喰らわし共和国軍の勢いを大いに取り戻したものの、一方でデスザウラーの強力さをより強調する存在でもあった。
だからマッドサンダーが輝いたと思います。
オルディオスは、ちょっと欲張りすぎてしまったなぁと思います。

リアルタイム時を思い出しても、オルディオスには今ひとつ燃えなかったなという思い出があります。
当時、ギル・ベイダーに本気で恐怖し、何とか対抗できるゾイドをはやく開発してくれ共和国軍…と願っていました。
それが実行されたのがオルディオスなのですが、見た目の説得力に劣る事(歴代最教ゾイドのような圧倒的力を感じない)と、あまりにもギル・ベイダーをほいほい倒すものだから、逆に白けてしまった思い出があります。
これがディバイソンのような立ち位置なら燃えたと思うのですが。

戦歴は華々しさに満ちていますが、個人的にはあまり燃えないゾイドです。


天馬 オルディオス

光る部分も多く、特にデザインはかなりセンスを感じる一機です。
ですが、それ以上に疑問を感じてしまい、燃えきる事の出来ないモヤモヤを感じるゾイドです。

特に戦歴の部分は、魅力的にしようとしすぎて「オルディオスのみ」を見てしまったと思います。
他が見えておらず、バランスを崩してしまった。
暗黒軍参戦時、デッド・ボーダーも同じような過ちを犯していると思います。
しかし、デッド・ボーダーは「暗黒軍ついに参戦!!」という最中で登場したのだから、まだしも納得できるものがありました。
一方、オルディオスは擁護すべきものがあまり無いのが問題だと思います。

良い部分もありつつも、個人的には「末期」を強く感じてしまうゾイドです。


バリエーションモデル

 月刊ゾイドグラフィックスex オルディオス


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