メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 局地戦用高機動型 シールドライガー<SHIELD LIGER>

■シールドライガー(ライオン型) データベース■

 発売年月 1987年7月  発売当時価格 1980円  動力 モーター

 型式番号 RPZ-03

 スペック 全長21.6m 全高9.0m 全幅6.0m 重量92.0t 最高速度250km/h 乗員1名

 主な武装
  レーザーサーベル(×2) 二連装加速ビーム砲 三連衝撃砲 連装ビーム砲 ミサイルポッド(×2) エネルギーシールド発生装置
  冷却用ラジエーター(×6) 各種センサー

 特徴
  帝国軍の高速メカ、サーベルタイガーに苦戦をしいられてきた共和国軍が対サーベルタイガー用として開発した決戦メカ。
  サーベルタイガーを上回る性能をとの要求に応えるべく最高速度はサーベルタイガーのそれを上回っており、時速250キロの高速を保持するために機体の各所に
  エンジン冷却用のラジエーターが装備されている。
  また背中の砲を胴体内部に収納して、空気抵抗を減らすシステムが採用されスピードアップに大きな効果をあげている。
  武装もレーザーサーベルをはじめ、体の各部に配備されておりコンパクトながら強力なものとなっている等、共和国軍が総力をあげて開発した対サーベルタイガー
  用の切り札である。


前後より

共和国初の実用高速戦闘ゾイド、シールドライガーです。
サーベルタイガーの登場からキット的には1年、劇中での経過年数では6年。ようやく出現した、待望の対サーベルタイガー用ゾイドです。

水色の装甲と純白のキャップ・武装が何とも爽やかです。
ミリタリー的な色かと言われると微妙な所でもありますが、こと「似合っている」「軽快で速そう」というイメージは最高です。
シールドライガーは「駆け抜ける青い風」の二つ名を持ちますが、ピッタリな色だと思います。
ちなみに水色というのは、「帝国の特定のゾイドに対抗して開発された機体に採用される色」で、ダブルソーダ、レイノスと共通する選択です。

厳密に比べると、ダブルソーダの水色は少しくすんだ感じで、シールドライガーは、より鮮やかな水色です。
なおレイノスはシールドライガーと同じ水色をしています。

高速機らしく、頭部先端から尾の先に至るまで、流れるような非常に美しいラインになっています。
特に、後頭部から背中の装甲に繋がるラインが絶妙だと思います。
設定的に速いとされているだけでなく、見た目からも速さが伝わってきます。空力を考えて作られているのはさすがです。
しかし共和国らしいゴチャメカ具合も健在です。
「青い機体」という印象の強いシールドライガーですが、実は装甲率はさほど高くありません。というか、むしろ剥き出しのメカが非常に多いです。
しかし機体各所に目立つように効果的に装甲を配置しているので、結果として「青い機体」というイメージを出す事に成功しています。

「なめらかな装甲で機体全体を覆う」というのは帝国的デザインです。それはスピード感を出すデザインとしては適任だったでしょう。
しかし剥き出しのメカが多いにも関わらずスピーディーなイメージを出す…、共和国的デザインでスピード感を出すというのは、なかなか難題だったと思います。
シールドライガーは、機体各部に効果的に装甲を配置する事で、ゴチャメカながら、上手く流麗でスピーディーなイメージを出す事に成功しています。
まさに見事なデザインだと思います。

ゴテゴテしたバーニアやウイングなど付けていない、スッキリした感じも好きです。
シールドライガーは全身の流線型のボディーから、我こそは高速ゾイドであるという主張がみなぎっていると思います。


側面より

側面から見ると、改めて「ゴチャメカながら流麗」という矛盾するデザインを見事完成させたシールドライガーの絶妙さが分かります。
造り込まれたゴチャメカは見事です。
胴体は極太パイプが密集して作られており、力強い感じがします。

また、脚部デザインも特筆の出来だと思います。
ここもむき出しのゴチャメカで構成されていますが、何とも複雑な立体が組み合わさり、脚部を造り上げています。
単なるパネルラインを彫っただけではない、真のゴチャメカ具合というか、素晴らしい造形です。

もう一つ好きなのは、一部のキャップ位置です。

キャップの受け位置が、わざわざ中心をずらしたようになっています。この素直じゃない感じが好きです。
脚部の構造は、サーベルタイガーと同様です。そしてサーベルタイガーの脚部は、きちんと中心をそろえたデザインになっています。
なので、この部分はあえてそのようにしたと考えられます。
共和国らしい不器用さというか、中心がずれているゆえに大げさに回る感じが出ており大パワーを感じるというか、色んな妄想が広がります。
マニアックですが、個人的にシールドライガーのデザインの中でとても好きな個所です。


フェイス コックピット

頭部は巨大です。
というのも、モチーフ…、ライオンの特徴であるところのタテガミを意識したデザインになっているからです。
大型の頭部はスマートさには劣りますが、こと百獣の王としての貫禄・迫力に関してはバツグンです。

デザインは秀逸だと思います。ライオンのタテガミを上手くメカに仕立てているのは見事です。
また、全体的な面構成もさる事ながら、各部にパイプやインテークなど効果的なディティールがある点も見逃せません。

頭部は、上部と下部の装甲を展開させる事もできます。設定的には、この状態はエネルギーシールドを展開している状態です。

装甲を展開させる事で、機体前方に強力なフィールドが発生し、敵のビーム砲をはじき返します。
シールドライガーは、物理的な装甲ではなく、「エネルギーシールドを展開する事で防御する」という活気的な機体であり、機体名の「シールド」はこれに由来します。
おそらく重装甲=重量が増える=機動力の低下という事で、装甲は増やせないがある程度の防御力は確保したいという矛盾を解決すべく、誕生した装備と思います。

しかし強力な装備である反面、エネルギー消費量が多いので多用は出来ないともされており、万能ではありません。
エネルギーシールドという新機軸の防御方式を生み出した点も、万能にしすぎずリミットを設けた点も、素晴らしいと思います。

見た目的には、収納した状態も展開した時も、どちらも捨てがたい魅力があります。
個人的な思い出ですが、子供の頃はシールドライガーMK-IIを持っていました。
そして、タテガミを立てた状態もカッコいいけど倒した状態もカッコいい…。どっちの状態で飾ったらいいのだろうかと、延々迷っていた記憶があります。

倒している際はスピード感を感じさせる流線型になり、ひとたび展開すれば非常に戦闘的な表情を見せます。
今、改めて見ても、どっちで飾ろうかかなり悩みます。ともかく、延々と迷ってしまうくらい、どちらの状態もカッコいいです。

頭部はコックピットにもなっており、キャノピーを開けるとパイロットが1名入っています。

キャノピーは、前方にがばっと大きく開きます。
パイロットは1名です。戦闘用の大型ゾイドでパイロットが1名というのは、ゴジュラスに続いて二機目です。
しかも格闘戦が得意な機体なので、ゴジュラスと並び操縦技量の試される機体だと思います。


各部展開

シールドライガーは、頭部の他にも、機体の各部を開く事ができます。
このギミックは最高です。

背中には、二連装加速ビーム砲が折りたたみ状態で収納されており、装甲を開ける事で展開できます。

隠し武器的な感じで、オトコノコの心を絶妙にくすぐる武器です。
背中の装甲のディティールが微妙に左右非対称なのも見逃せません。

展開した後は、全周囲に旋回できる他、砲身の仰角・俯角を付けることが出来ます。ただ砲身は左右で一体化しており、独立して動かす事は出来ません。

大きさは小型ですが、基部の大げさな感じやパイプがある所が凝っており、見応えはかなりあります。
設定としては、大きさの割には非常に強力で、中型ゾイド程度なら一撃で破壊できるとされています。
さすがに少し強力すぎる気もしますが、これだけ凝ったデザインをしているから、一定の説得力もあります。

わき腹の装甲も展開します。こちらは、ミサイルポッドが収納されています。

やはりオトコノコの心をくすぐる好ギミックです。
近距離用の小型ミサイルで、一度に多数発射できるので一気に敵を殲滅できると設定されています。
なおミサイルですが、正面から見るとギリギリで脚を射抜かない位置になっているのが分かります。

よく計算された設計だと思います。

これらの収納/展開ギミックは、設定的に「空気抵抗を減らす為に」とされています。
徹底上、サーベルタイガー以上の高速性を発揮するシールドライガーですが、単に「後発機だから」ではなく、このような事をした上であるのが良いと思います。
つまり、限りない苦労の上でようやく250km/hという速度を実現したんだなと思える所が良いと思います。
こういった配慮があるおかげで、シールドライガーの速度設定には素晴らしい説得力があります。
また、他にも良い効果を生んでいると思います。

一つは、サーベルタイガーの傑作ぶりをより強調している点です。
サーベルは、シールドの登場によって最速の地位を奪われた。しかしシールドは「武器を収納する」というような苦労をしなければいけなかった。
これはサーベルの優秀さを強調するものでもあります。

もう一つは、サーベルVSシールドを想像する際の面白さです。
サーベルは全身にビーム砲を持ちますが、特に収納されているものは無く、全て外部に露出しています。
言いかえればすぐに使える状態で、このバランスがいいと思います。
機動力で勝るシールドだが、それは武器収納…空気抵抗を抑える事にによって支えられている。
すなわち武器を収納した状態では機動力で勝るが攻撃しにくい。かといって武器を出せば機動力が落ちてしまい、性能差が縮むだろう。

トータルで全て上回るわけではなく、ある部分では弱点も用意されている設定に燃えます。


サーベルタイガーと共に

共和国を代表するゾイドの一つですが、実に半分近くの部品は帝国軍サーベルタイガーと共通のものになっています。
この事自体は、例えばゴドスとイグアン、サイカーチスとダブルソーダなど前例が多くあり、ゾイドでは珍しい事ではありません。
とはいえ大型ゾイドでそれをやった事に大胆さを感じます。

設定的には、鹵獲したサーベルタイガーを解析して生まれたのがシールドライガーですが、その事が設定だけでなくキットにも反映されているのが非常に面白いです。

シールドライガーのデザインで重要なのは、共和国側の機体としては初めて、帝国用中型キャップを使用した事でもあります。
従来、共和国側で中型キャップを使用するゾイドは、共和国用のものを常に使用していました。

左が共和国用中型キャップ、右が帝国用中型キャップ。

共和国用キャップはリベット穴のようなものがあったり彫刻も細かかったりと、かなりメカニカルな雰囲気を出しています。
対し、帝国用キャップは装甲で覆われたような流麗さが感じられます。
おそらく、共和国用キャップでは「高速機としてのスピード感が出にくい」ゆえに、帝国用キャプを使用したのでしょう。
通常、軍としての規律があるので、同じ軍なら同じキャップを使って欲しいと思います。
しかしシールドライガーに関して言えば「サーベルタイガーの鹵獲改良機だから」という事で、帝国用キャップを使用している事にも一定の説得力があるような気がします。

「鹵獲したサーベルタイガーを解析して生まれた」この設定は本当に絶妙だと改めて思います。


ギミック

電動ゾイドなので、電池を入れてスイッチを入れると元気に動いてくれます。

連動ギミックとしては、口を開閉させながら前進します。
サーベルタイガーと全く同一のギミックですが、素晴らしい関節の動きは相変わらず素晴らしいです。
また、サーベルタイガーの脚は大部分が装甲で覆われていたのに対し、シールドライガーの脚は大部分がむき出し。
同じ動きですが、受ける印象がやや違います。なので、同じ動きとはいえ、なかなか新鮮な目で見ることができます。

手動ギミックとしては、先に書いた通り各部の装甲が展開し、非常大きな魅力となっています。
その他、尾部は上下に角度を変える事が出来ます。

角度はかなり大きく付けることが出来、シールドライガーのポーズ付けに一役買っています。

総合的に、単にサーベルタイガーのコピーで終わらず、独自の素晴らしい要素を加えた傑作に仕上がっていると思います。


戦歴

シールドライガーの戦歴は、ひときわ勇壮です。

登場時期はD-DAY上陸作戦から約半年後。つまり帝国軍が破竹の勢いで攻めていた時期です。
強力な新鋭メカに加え、練度・士気共に最高の帝国軍。ウルトラザウルスの力をもってしても抑えきれない帝国の勢い。このまま共和国は負けてしまうのか。
そんな時、颯爽と登場し、見事帝国軍の勢いを止めて見せたのがシールドライガーです。

初陣は、バトルストーリーでも学年誌でも、対サーベルタイガー戦となっており、みごと土を付け、サーベル無敵時代を終わらせています。

サーベルを上回る高機動ゾイドは戦場をかき回し、帝国軍を大混乱に陥れます。
僚機にコマンドウルフを付けた共和国高速戦隊は、この時期の共和国にとって希望の光でした。

その後、帝国がデスザウラーを投入すると、さすがにこれに抗するには力不足で、共和国の戦線はついに崩壊します。
そんな状況下でも、果敢にデスザウラーに挑んだシールドライガーも多数確認されており、勇ましい戦いがクローズアップされています。
ほとんどの場合はデスザウラーの恐るべき格闘力の餌食になっていますが、中には一矢報いた例もあったりします。
シールドライガーの戦歴は、何とも勇ましく華やかです。

シールドの天下に完全な土が付いたのは、帝国が改サーベルタイガーであるところのグレートサーベルを投入した時でした。
機動力が大幅にアップしており、ほぼ互角に追いつかれる。その上8連ミサイルポッドはじめ強力な武装はシールドを大きく上回る。
高機動ゾイドという同じジャンルで上回る機体が登場した事で、シールドライガーはいよいよ力不足になってしまいました。
その後は武装強化され、シールドライガーMK-IIとして再び戦場に登場する事になります。


特攻!!ゾイド少年隊 主人公機

バトルストーリーの戦歴ではありませんが、もう一つシールドライガーが大活躍していた舞台があります。
1988~1989年にかけてコロコロで連載されていたゾイド漫画「特攻!!ゾイド少年隊」において、シールドライガーは主人公大和タケルの愛機として活躍しました。
シールドライガーが主人公機。当時、いかにシールドライガーが人気だったかが分かる事例だと思います。

主人公が独自に手を加えた「ゴールドライガー」という劇中オリジナルの改造機として登場しています。
また、88年開始という事で、途中からはMK-IIのようにキャノン砲を付けて活躍する事になっています。
劇中では、サーベル、コング、デスザウラーなどなどを倒し、更に後半では暴走したゴジュラスやデッド・ボーダーとも激戦を繰り広げています。

最も、率直に言って漫画としての出来はワンパターンな展開が多く、主人公補正がかかりまくった描写も多い為、バトルストーリー的なものを求めてみた場合はかなり肩透かしを食らうと思いますが。


駆け抜ける青い風 シールドライガー

帝国派か共和国派か。それはファンにとって永遠のテーマだと思いますが、どちらに属すかを決める際に、サーベル派かシールド派かで決めた人も多かったと思います。
後に高速機は乱発され、またその設定にも次第に無茶が多くなってきて破綻してしまったものもあります。
しかしシールドライガーは共和国高速ゾイドの礎にして傑作ゾイド。それは間違いないものと思います。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド シールドライガーMK-II

 機獣新世紀ゾイド シールドライガー

 機獣新世紀ゾイド シールドライガーDCS-J

 復刻版シールドライガーMK-II

 デザートライガー

 シールドライガー コマンダー仕様

 シールドライガー バン仕様


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