メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍/ゼネバス帝国軍 戦闘装甲輸送車 グスタフ<GUSTAV>

■グスタフ(昆虫型) データベース■

 発売年月 1986年4月  発売当時価格 2600円  動力 モーター

 型式番号 RPZ-02

 スペック 全長:14.76m 全高:9.36m 全幅:8.28m 重量:68.0t 最高速度:50km/h(※最大重量積載時) 最大牽引力:250t 乗員:1名

 スペック(トレーラー) 全長:7.29m 全高:2.5m 重量:21.0t

 主な武装
  全方位レーダー 爆発物感知センサー

 特徴
  傷ついた味方を回収するために開発された。
  そのぶ厚い装甲、強力な牽引力は、輸送メカとして最適であったが、武装していないために敵の攻撃による犠牲が多い。


前後より

輸送用ゾイド、グスタフです。大パワーと強固な装甲を持ちます。

大パワーは牽引力がなんとゾイドマンモスの10倍。装甲強度はレッドホーンをも超えるゾイド史上最強クラス。
ただし攻撃力は一切なし。小型機銃さえ付いていません。
分厚い装甲で敵の攻撃に耐えながら前進、そして物資を最前線に運びます。あるいは戦場から傷ついた味方を回収する任務もあります。
このように「非戦闘用」「輸送用」というかなり特殊な位置付けのゾイドです。

従来から輸送に使えるゾイドは存在しました。
例えばビガザウロやマンモスは重量物牽引機なるものを付ければ物資を輸送できます。
ザットンやモルガも輸送を意識した仕様です。
しかしそれらは、あくまで戦闘ができる上で輸送「も」できるという仕様。
グスタフは、非戦闘用の純粋な輸送専用ゾイドです。



キットには二基のトレーラーが付属しており、後部に連結する事ができます。
グスタフは基本として二基のトレーラーを牽引します。
こうすると輸送用というイメージがグッと高まります。
ちなみにキットに付属するトレーラーは二基ですが、キットを複数集めれば無限に連結する事も可能です。


連結は上のパーツを使って行います。接続は単純なので容易です。
惜しいのはトレーラーを3基以上にしたいならキットを複数買わなければいけない所です。
改造セットとしてトレーラーだけを販売しても良かったと思います。


トレーラーはキャタピラ式になっています。
これがまたリアルなディティールで実物感を演出しています。
ちなみに「牽引式なのにキャタピラ」というのは不思議な事でもあります。それについての見解はこちらのコラムを参照。


側面より

前部に本体、その後にトレーラーが付いています。
本体は昆虫型とされていますが、ダンゴムシでしょうか。
ただ正直に言うと、ダンゴムシではなくて風の谷のナウシカの「王蟲」だと思います。
堅牢な装甲、そしてそれが重なり合う感じもよく似ています。大型サイズな所もダンゴムシではなく王蟲に近いと言えます。
詳しくは後述しますが、ギミックもかなり近い動きをします。

更には、広告も狙ったような構図のものがあります。

無数のグスタフが迫りくる迫力の一枚。
これは映画版のラストシーンまたは漫画版の大海嘯を思わせます。

ただ、もちろんダンゴムシのイメージも入っていると思います。触覚の感じは実にダンゴムシっぽいです。
ダンゴムシは庭先や公園で子供がよく遊び相手にしている生物。
グスタフはそんな親しみやすさ。そして王蟲が持つ巨大で畏怖させるイメージ。その両方をバランスよく混ぜたゾイドだと思います。
見た目が似ているとはいえ、よく混ぜたなぁ……と関心してしまいます。


本体は半円状のシルエットです。
これはダンゴムシや王蟲と比べると異なっています。実際は前後に長く、楕円状になるべきです。
ただしデザイン上の違和感はほとんどありません。仕上げは凄いセンスだと思います。

全身の装甲は設定に違わず非常に強固なイメージを出しています。一枚一枚が分厚そうだし、それを重ねている効果も抜群です。
広告では、具体的に装甲強度に触れられたものもあります。

48mm特殊合金装甲板。
……ただ事実かは分かりません。というのもこの時期の広告情報にけっこういいかげんな所があるのは否定できないからです……。
この少し後に出たカノントータスの広告では、「装甲強度はグスタフを超える」とあったりします。
そんなカノントータスの装甲は、確かに重装甲SP級としては最高級だが大型ゾイドには及ばない水準です。
こういう情報を総合して考えると「ウーム……いったいどれが正解だ?」となってしまいます。

またそもそも、48mmとはずいぶん薄い気がします。
旧日本軍の九七式中戦車チハでさえ防盾は50mmの厚さがあります。
ソ連のT-34は砲塔前面90mm、ドイツ軍のキングタイガーに至っては前面180mmもの厚さがあります。
もちろん厚さだけが全てじゃない。おそらくゾイド星の金属なので薄くても強いとかの事情はあると思いますが。

話を元に戻します。
そんなわけで広告は100%信頼するかと言われたら「?」な所もあります。
ただまぁ、グスタフの装甲が極めて強い事は確かでしょう。

ちなみに広告の解説文言が検証すると「?」になったりするのは、広告=国民に向けたプロパガンダとして捉えると面白いと思います。
プロパガンダなので多少盛った情報にしてあったり、最新ゾイドの情報は当然ながら機密事項なのであえて嘘が書かれているとか。
そんな風に楽しんでも面白いでしょう。
もちろんこれは一例です。ユーザーごとに色んな説が出てくるとより面白と思います。

 

さて装甲にはビッシリとディティールが付いているのも特徴です。廃熱口のモールドや大パワーの駆動をイメージさせるサスペンションなど様々なメカが見えます。
このディティールの複雑さが、シルエットだけ見るなら単なる半円で起伏の少ない・ともすれば面白みのない完成度になってしまいそうなメカに大きな魅力を与えました。
リアルなディティールは見ていて飽きません。
力自慢の輸送機。その設定に対して大きな説得力を持たせていて、見れば見るほど惹き込まれます。

冷静に考えると、装甲にこれだけディティールが付いていていいんだろうか? という問題はあります。
せっかく分厚い装甲にしたのに被弾に弱そうでもある…。例えば巨大な廃熱口部分。ここに当たったらどうなるんだろう?
全体的にビッシリとディティールが付いているので、こうしたところに被弾する確立は高そうです。

いやしかし、デザイン上は素晴らしい効果を出しています。
また冷静に見ると弱そうという所もいいバランスだと思います。
いくら設定上最強クラスの防御力といっても、やっぱり戦闘ゾイドの巨砲を簡単に跳ね返してはある意味がっかりというか…、そういう位置のゾイドと思います。
「設定上最強クラスだがあえて隙を作っている」 そんなバランスに見えます。

それともう一つ、デザインではレーダーの配置も絶妙です。
半円状で起伏が少ないシルエットですが、唯一レーダーだけは特徴的に伸びています。
これが大きなアクセントになり、デザインに面白みを出しています。

レーダーの造形もリアル感あふれる感じで良くできています。若干旧式っぽく見えるのも似合っています。


フェイス

顔は何と言ったら良いか迷いますが、「虫っぽい」感じになっています。
また大きな触覚が抜群の効果を挙げています。


コックピットハッチを開けると、中にはパイロットが1名入っています。グスタフは一人乗りで、全ての操作をここから行います。
こういうゾイドなので複数乗りでも良かった気はしますが、巨大戦闘ゾイドでさえ1人で操縦できるゾイドだから一人乗りで当然な気もします。

頭部で特筆すべきはキャノピーです。実はこのキャノピーは、初代共通コックピットのものと同じです。

非戦闘用ゾイドだから古い規格の小型ゾイド用が流用できたのでしょう。とても良い仕様だと思います。


輸送用ゾイド

1986年春……、ゴジュラスとアイアンコングでゾイドが人気が勢いよく上昇していた時期に発売されたゾイドです。
輸送、というとかなりマニアックなカテゴリーです。
メインターゲットが子供の作品では、やはり最前線で派手にドンパチする戦闘用メカこそが華でしょう。
リアル系作品なら、「偵察用」「長距離火力支援用」位ならまだしも用意する事もあります。
いやしかし、輸送のみに特化したメカを出した例は少なかったと思います。
当時、「人気が出たからゴジュラスより人気が出そうな後継機を出そう」ではなく「既存ゾイドは据え置きで継続販売。その代わりに周辺ゾイドを出して世界観そのものに深みを持たせよう」という戦略を持っていたのは興味深い所です。
そしてまた素晴らしいと思う所です。

ところでグスタフのキットは、実はメカ生体ゾイドで最もロングセラーだった機種の一つです。
発売は1986年春。そこから生産は1990年初頭まで続きました。実に4年近くも生産され続けたのです。
補足すると、ゴジュラスやレッドホーンは1984年発売でメカ生体ゾイド終了時まで生産され続けました。6年ほどです。
いやしかし、それらは途中で強化タイプにリニューアルしました。
強化タイプまで含めるなら「ゴジュラス→レッドホーン→サラマンダー→アイアンコング→サーベルタイガー」の順で販売期間が長い。
ただ「当初と同じ状態で継続販売され続けた」ゾイドとしてはグスタフはこれらを超えます。
ノーマル状態でこれほどまで長く生産されたゾイドは極めて珍しく、他にウルトラザウルス(1986年末~1990年末)があるくらいでしょうか。

これは凄いなぁと思います。多分ですが爆発的には売れていない。しかし着実に堅実にジワリジワリと売れていたのでしょう。
その結果として終盤まで残り続けた。
輸送用の激渋ゾイド。ハッキリ言って初年で打ち切られていてもおかしくないと思います。
それがここまで長く販売され続けたということは、当時のゾイドがいかに世界観の魅力を打ち出していたか。グスタフの販売方法が絶妙だったかを強く思わせます。
本当に凄いことです。


積載

トレーラーにゾイドを乗せて遊ぶことができます。
これがグスタフが長期に渡って売れ続けた理由と思います。トレーラーに何かを乗せると、グスタフの魅力は一気に倍加します。

サイズ感はキットを乗せやすいものになっています。

小型ゾイドは特に収まりが良く、まさにピッタリな感じになっています。


Hiユニット級も、わずかに狭い感じもしますが十分に乗ります。


二基つなげれば大型ゾイドでも余裕で乗せることができます。

小型から大型まで幅広く。要するに手持ちキットのほぼ全てを乗せられます。
設定上の輸送力は最大で250tです。
これはグスタフ発売時点で最重量ゾイドだったゴジュラス230tを超えます。
250tの牽引力設定はそこからだと思います。これは絶妙です。
「あらゆるゾイドを運べる力持ち・グスタフ」
「ゴジュラスはグスタフで輸送できるが、けっこうギリギリだ。ゴジュラスはやっぱり巨大だ」
この二つが同時にアピールできています。

ちなみにグスタフ発売の半年後には、あのウルトラザウルスが発売されています。
これはゴジュラスを大きく超える超巨大ゾイドで、重量はグスタフが二機がかりでもギリギリ運べない507tもの超重量を持ちます。
思うに、ウルトラザウルスはとにかく半端ないデカさ。空前絶後の巨大さがアピールされたゾイドです。
設定重量は「グスタフ二機がかりでも運べない」というところから設定されたようにも感じます。

さて設定上は250tが限界。ウルトラザウルスなどは運べない。
ただし、キットに乗せることは可能です。

ゾイド史上最大重量を誇るマッドサンダー。これも画像の通り乗ります。
さすがに超巨大クラスになると狭い感じは否めません。乗せる角度には工夫が要ります。
ただ多少の苦労をすれば乗せることができるのは凄いです。

個人的な思い出ですが、グスタフとマッドサンダーは当時両方持っていました。
このように乗せて遊んでいたのですが、ただどうしても設定と矛盾してしまうのは悩みでした。
そこで当時は「このグスタフは見た目は同じだがパワーアップしたスーパーグスタフだ」みたいに都合よく脳内補完していたような記憶があります。

ともかく、手持ちキットとからめて遊べる仕様は最高です。
輸送用ゾイドだから、おそらくですが「グスタフだけ持ってる」ユーザーは極少数だったでしょう。
大多数は「戦闘ゾイドがあったうえでグスタフを持っている」感じ。
こうしてグスタフにゾイドを乗せて遊んだユーザーが無数に居たと思います。

味方を影から支える輸送専用ゾイド。何とも渋くて世界観をリアルに盛り上げます。
グスタフがゾイドワールドの魅力を倍加させたことは間違いありません。
単体でももちろん魅力あふれます。しかしゾイドを乗せるとそこから更に何倍も魅力的になります。
また乗せると、何故このゾイドが乗っているんだろう。どんなシーンなんだろう。そんな事を想像せずには居れなくなります。
無限の想像力を与えてくれるゾイドでもあります。

……余談ですが、上に「小型から大型まで幅広く。要するに手持ちキットのほぼ全てを乗せられます」と書きました。
そう、「ほぼ」です。唯一だけ例外があります。
それはキングゴジュラスです。このゾイドは足幅が広すぎてグスタフの甲板には乗らないのです。

ただ、キングゴジュラスだけは乗らないという仕様も、それはそれでキングゴジュ伝説を更に一つ増やしたような気がするので良いと思います。


両軍共通仕様

グスタフは、中央大陸戦争開戦後に開発されたゾイドの中では唯一「帝国でも共和国でも運用する共通ゾイド」となっています。
(何となく共和国側と扱われる事が多いのですが)
キットのシールも、どちらの国でもいけるように両国の紋章が配置されています。

これはけっこう謎な事で、開発経緯はどうなっているのだろう……と思います。
戦争前…、王国時代に開発されていたなら共通ゾイドになっていても不思議ではありません。
しかし開戦後に開発されたゾイドで共通とはこれいかに。
戦時中なので仲良く共同開発した可能性はないでしょう。

このことは「輸送用なので両軍とも同じような仕上げになった」とだけ解説されています。
これを信じるなら、「帝国と共和国で別に開発されていた」「だが偶然にも同じ仕様になった」ということのようです。
ただ、そうはいってもここまで同じになるものでしょうか。
例えば積載量。当然ですが限界まで増やしたいでしょう。その分野の技術を限界まで工夫し仕上げるでしょう。
その結果として両軍とも全く同じ数値になったというのは不思議です。
外観も帝国が開発すればもう少し丸みを帯びた感じになりそうな気がします。

・中立を保つ組織があるのか?
・共和国が開発して、それを帝国が鹵獲・コピーしたのか?
 (ただし両軍とも同じタイミングで使い始めているのでこの説は難しいかもしれない)

それとも別の理由が?
この辺りを考えるのもマニアックな楽しみかもしれません。

 

ところでキットのグスタフはカラーリングについては共和国仕様です。
灰色の装甲はモロに共和国だし、緑もマンモスや後のディバイソンと同じです。
では帝国カラーのグスタフとは。


発売当初の広告では、このカラーが帝国仕様と解説されているものもあります。
ただこれは表記ミスでしょう。灰色・緑のカラーは明らかに共和国仕様です。
(この広告も当時のユルさを示すものでしょう)

グスタフには海外版もあります。

そちらは「レッドスカベンジャー」の名でこのような色になっています。
銀と赤のまさに帝国らしいカラー。現在ではこれが正式に帝国仕様とされています。

帝国仕様は名前もグスタフではなくレッドスカベンジャー。そんな風に脳内補完しても良いと思います。
レッドスカベンジャーという響きは帝国っぽさがあります。

「グスタフ」はスウェーデン語で「神の助け」を意味します。戦場で孤立した兵士。そこに救助部隊のグスタフが来れば、まさに神の助けでしょう。
「スカベンジャー」は腐肉食、ゴミ集めなどを意味する言葉です。グスタフは傷ついた味方の回収だけでなく、撃破した敵ゾイド残骸の回収する、敵兵士を捕虜として回収する、そんな任務もあったでしょう。それを指してスカベンジャーと呼んでいたのかも……。
グスタフを味方回収の助けと捉える共和国。敵ゾイドや兵を回収するスカベンジャーと捉える帝国。
こんな風に考えて、両国・両軍の思想の違いを考えても面白いと思います。


当初の販売計画

両軍が運用するゾイド。輸送用ゾイド。何度も書きましたが、グスタフはかなり特殊なゾイドです。
その為か、当初はゾイドとしてではなく「トレーラーセット」という周辺アイテムの扱いでリリースされる予定だったようです。

やはり輸送専用という仕様はメーカーには迷いがあったのでしょう。良いものには違いがない。しかし売れるのだろうか……。
そんな思いから販売形態を最適化するために試行錯誤があったのでしょう。

結果としてグスタフはトレーラーセットではなくいちゾイドとして発売されました。
それは大正解だったと思います。

余談ですが、後年には「ショットウォーカー」「サンドスピーダ」がこれに近い道を辿っています。
これらは当初「フィギュアプレイセット」の名で発売される予定でした。
しかし後に変更して、24ゾイドの中の一機として発売されました。

更に余談ですが、上のトレーラーセットと書かれた画像を見ると「カタツムリ!?」となっています。
これはちょっと謎です。
ただ、確かに硬い装甲、半円状のシルエット、トレーラー部分をカタツムリの軟体部分に見立てればカタツムリと言えなくもないかも……。


戦闘ゾイド化の可能性

グスタフは純粋な輸送用ゾイドで、戦闘用装備はありません。
ただし、「武器を装備すれば強力な戦闘ゾイドに生まれ変わる可能性はある」ともあります。
キットでも、側面にはビッシリとハードポイントが用意されています。
これを使ってハリネズミのように砲を満載する事も可能です。付け方の工夫次第では、大型武器を積むことも十分可能でしょう。
グスタフは、そんな改造意欲を刺激する仕様でもあります。

実際に、下のような仕様のグスタフは存在します。

フォート・グスタフ。凄まじい量の砲を積んでいます。この他にも、箱裏には「移動トーチカ」という大小さまざまな方を付けた仕様も紹介されています。
ただし、これらがバトストで活躍しているシーンは皆無です。機体紹介のみです。
残念ながら、バトストの世界ではグスタフの戦闘ゾイド化は何らかの理由で失敗した。試作機が作られたのみなのでしょう。

ちなみにフォート・グスタフや移動トーチカは共和国製です。共和国はグスタフの戦闘ゾイド化に積極的だったようです。
対する帝国は、現在のところ戦闘用に改造したグスタフは確認できていません。
結果として言うと共和国側の目論見は失敗しています。
帝国は、当初から改造は無理と判断していたのでしょうか。とすれば、ここでも先見の明が出ているような気がします。


ギミック

電動ゾイドなのでスイッチを入れると元気に動きます。
ギミックは面白いです。

連動ギミックは触角を動かしながら、レーダーを回しながら、殻(装甲)をワシャワシャ動かしながら車輪で前進します。
グスタフは四輪の車輪駆動です。


タイヤは滑り止めの付いたゴムになっています。なのでツルツルの床でも力強く走ってくれます。更に多少の勾配なら登ることもできます。

トレーラーは見た目こそキャタピラ式ですが、実際は車輪式になっています。
こちらは動力はなく、グスタフに引っ張られるだけの仕様です。

グスタフの牽引力は高く、ゾイドを乗せても楽々運べます。
トレーラーにゾイドを乗せると魅力が倍加しますが、動かすと更に更に魅力的になります。
あぁ今から戦場に行くのか……。
あるいはあえてバラしたゾイドを乗せて、傷ついた味方を回収しているシーンを再現してみたり。
色んな想像が動く事でよりリアルになります。

ちなみに設定上は250t……すなわちゴジュラス程度が牽引限界のグスタフですが、キットではウルトラザウルスでもマッドサンダーでも運べる脅威の力持ち具合を発揮します。

その他のギミックは、触覚が動くのは虫っぽくて良い感じです。ただし、左右別々に動くのは少し難点です。
レーダーは回るのがいかにもそれっぽくて好きです。

殻のワシャワシャ具合は王蟲のようなうねりがあって見事です。
ただ走るだけでなく、力強い牽引力に説得力を持たせた走りになっています。

手動ギミックは少なく、コックピットの開閉のみです。手動ギミックは非常に少ないですが、じゃあ他に何を付けるかと言われると難しい感じもします。
これは仕方ないでしょう。

総じて、特に大胆なギミックがあるわけではありませんが、やはり実際にゾイドを乗せて輸送できるという唯一無二の仕様は大きな魅力があります。
実にグスタフらしい良いギミックです。


戦歴

戦歴は地味です。
というか輸送用なので地味であって当然です。
先の項目で書きましたが、戦闘用への転化はついに行われませんでした。
一貫して輸送での運用があったのみです。

自らが主役になる事はないものの、戦闘ゾイドを戦場に輸送したり、あるいは回収したり。
ゾイドバトルストーリーや学年誌を見ると、登場からゼネバス帝国滅亡時期まで活躍しています。
決して頻繁ではありませんが、忘れそうになったタイミングでまた登場してる…くらいの頻度で登場しています。
輸送用ゾイドとして理想的なバランスでしょう。

確認できる中で最後の登場は、おそらく強化仕様と思われる仕様がゼネバス皇帝専用デスザウラーを運んでいるシーンでした。

こちらは皇帝親衛隊所属機で、各部が強化されているようです。400tのデスザウラーを運べるのだからまさに特製でしょう。
カラーリングも黒で一般仕様とは異なります。

残念ながら大陸間戦争では運用シーンが確認できませんでした。
この時期は、輸送の分野では破格のスケールを持つホエールカイザーやタートルシップが目立っていました。
しかしこれらは巨大すぎるゆえに細かな運用はできません。
グスタフは、この時期も継続して輸送任務を黙々とこなしたと思います。

決して華はないものの、堅実で魅力的な戦歴です。


回収屋 グスタフ

輸送用としてこれ程最高のゾイドがあったでしょうか。
この素晴らしいゾイドが世界観に計り知れない貢献を果たしてくれたのは間違いありません。
輸送専用という渋すぎる分野に果敢に挑戦し、そして大成功を収めた当時のゾイド。その挑戦精神と実力の高さを改めて感じます。

渋すぎるゾイドですが、見れば見るほど魅力的です。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド グスタフ ムンベイ仕様


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