メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 スネークス<SNAKES>

■スネークス(ヘビ型) データベース■

 発売年月 1986年6月  発売当時価格 780円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 RMZ-25

 スペック 全長20.8m 全高3.0m 全幅4.2m 重量23.6t 陸上最高速度180km/h 水上最高速度45ノット 乗員1名

 主な武装
  ガトリング砲(×2) ロケット弾ポッド(×2) ビーム砲(×2) 2連装ミサイル

 特徴
  その特徴ある車体は、密林、凹凸の激しい不整地において、性能をいかんなく発揮した。
  軽量で細長い車体により、静かにすばやく行動でき偵察などの特殊任務にあたった。


前後より

共和国軍が誇る、万能特殊ゾイドです。
ヘビをリアルな戦闘メカにするというのは、とりわけ難問だったと思います。
しかし長い胴体を生かして武器を満載するという事で見事な戦闘車両になっており、見事な仕上がりです。

長く伸びた胴体に、火器を満載しています。
武器のデザインがそれぞれ秀逸で、数あるゾイド武器の中でもリアル感の特に高い仕上がりだと思います。

おそらく、この武器デザインの秀逸さは開発者としても自信作だったと思います。
ガトリング砲は後にレイノスに、ロケット弾ポッドはゴルヘックスに、それぞれ後年のゾイドに受け継がれています。

搭載している砲を詳しく見ると、興味深い事が分かります。
名称は、ガトリング砲、ビーム砲、ロケット弾ポッド、2連装ミサイル。
その機構は、「火薬で撃ち出すガトリング砲」「光学式のビーム砲」「推進剤の噴射で飛ぶロケット弾」「誘導弾であるミサイル」。
それぞれシステムが異なっており、4種類もの砲を持つゾイドである事が分かります。スネークスは武器を満載しているだけでなく、その種類も実に豊富です。

この多彩な砲の種類は「軽量で細長い車体により、静かにすばやく行動でき偵察などの特殊任務にあたった」という設定と非常に合致していると思います。
砲の種類が多ければ、それだけ多彩な任務に対応できます。何とも、素晴らしい設定だと思います。


側面より

ヘビ型ゾイドだけに、非常に長大な胴体を持ちます。
上面はほぼ装甲で覆われており、下面はむき出しの機構が露出しています。
この構造は被弾面積を考えれば非常に合理的です。また、バリゲーター等と共通するデザインでもあります。

胴体は基本的に同じようなデザインのボックスをつないで構成しており、やや退屈な気もします。
しかし中央に大型の機関部を置いてアクセントとするなど、センスの良い仕上がりをしているとは思います。

機関部のデザインは特徴的です。
キット的には中にゼンマイが入っています。実物ではゾイド生命体が入っている事でしょう。
それだけに他のブロックより大型ですが、不格好さはありません。むしろ大型である事を逆に活用したデザインになっているのが素晴らしいです。

他のブロックには無い出っ張りや各種装備があったりと、想像が膨らみます。

また、ゼンマイのつまみの処理も秀逸で、まるで機関部のメカを構成する一部のように、絶妙に配置されています。
サイカーチスやダブルソーダと並び、最もゼンマイのつまみが気にならないゾイドの一つだと思います。


フェイス

頭部は、プテラスと同じ新型共和国共通コックピットを使用しています。
このコックピットのデザインは、共和国らしくかつスタイリッシュでスマート。非常に高い完成度だと思います。
この共通コックピットを使用した機体がプテラスとスネークスだけというのは残念な事です。

スネークスは、新型共通コックピットに専用パーツを加える事で頭部を完成させています。
コブラを模した専用パーツは、上面のメカニックの造り込みも激しく、かなり見応えがあります。
無茶を承知で言えば、これを展開・収納できるようになっていれば完璧だったと思います。

頭部はもちろんコックピットになっており、キャノピーを開けるとパイロットが乗っています。

スネークスのパイロットは1名で、ここから 全ての操作を行います。


ヘビ型ゾイド

「ヘビの中でもどのヘビがモチーフか」というと判断に迷います。
少なくとも頭部はコブラを意識した感じがします。ただ全体的な印象としては、コブラとしてはやや迫力不足な感じもします。
スネークスは、「色々なヘビのイメージを総合した形」とでもするのが良いと思います。

非常に長大なボディを持ちますが、実際のヘビと比べると短いというのも事実です。
ゼンマイキットという特性上、それは致し方ない所だと思います。しかし実は、この事を解決できる手段が秘められていたりします。
胴体ボックスのつなぎ目の形状が各ブロックで統一されており、複数のキットを用意しその気になれば、いくらでも延長する事が可能です。

こんな風に延長できます(延長には機獣新世紀ゾイド版キットを使用)。
こういった遊びがあるのは非常に面白い事です。


スネークスこぼれ話

不確定情報ですが、スネークスはカラーパターンが二種類あるとの噂があります。
市場に多く出回っているのは、本レビューでも使用している装甲がオリーブグリーンの機体ですが、その他にもダークグリーンの機体が少数存在すると言われています。


このダークグリーンの機体は、電撃ホビーマガジンの1999年4月号にも掲載されています。
1998年と1999年の東京ゲームショー・トミーブースでも展示されていたと言います。
特に1999年のイベントでは、オリーブグリーンの機体とダークグリーンの機体が並んで展示してあったとの事です。

●実際にダークグリーンの機体は販売されていたのか。
●発売されていたとしたらどの時期なのか。
●それともトミー本社内部にある特別な非売品モデルだったのか。
非常に不明点の多いものですが、販売途中でカラー変更が行われた可能性も否定できず、今後更に調査したいと思っています。
補足ですが、海外版にもこのパターン(装甲:ダークグリーン)の機体は無かった事を確認しています。

販売されていたかどうかは不明ですが、カラーリングとしてみると非常に綺麗な色をしています。
濃い緑と灰色のコントラストも気持ちが良く、正直な所、オリーブグリーンの機体より良い色をしていると思います。
実在しているとすれば、是非とも手に入れたいモデルです。

また、小型ゾイドにしては珍しく、単独での広告があったりします。

小型ゾイドで単独の広告があるというのは非常に珍しく、スネークスはトミーの自信作だったのかな?と思ったりもします。
細かい設定が載っているので非常に貴重な資料でもあります。

●温度感知センサー(左右) ヘビ型メカは相手の発する温度を感知して敵の存在を知る。夜間戦闘時にも確実に敵を破壊できる。
●補助エンジン 地上、水上の行動中に推進力を高めるための補助エンジンを搭載している。
●連装ミサイル 後部のミサイルは対ミサイル用の迎撃ミサイルだ。敵の発射したミサイルを確実に破壊する頼もしい装備である。
●ガトリング砲(左右) 一分間に2000発発射できる高性能ガトリング砲。上部に弾倉を付けている。
●低床型コックピット 共和国メカの中ではバリゲーターの次に地上スレスレのコックピットだ。敵に発見されにくく、しかも攻撃を受けにくい。
●無音型マグネッサーシステム 帝国側の推進装置を分析し、共和国メカ用に開発した独自のシステム。特殊行動の為に無音装置を取り入れている。

また、よく見るとこの広告のスネークスは試作品だったりします。実キットとの差を探しても面白いです。

最後にもう一つ。
あまり有名ではありませんが、初期に行われたゾイドデザインコンテストの応募作が元になっているようです。

特徴的な頭部横の機銃などが再現されているのが分かります。ただ、イラストの頭部は旧共通コックピットに見えます。

「二重ボディの外側がやられても脱皮しても戦える」というアイデアは、文中にもありますが本当に凄いです。
しかし、「離脱時は装甲をパージして高速で走行できる」とかであれば、蛇のイメージを上手く使用した機構かもしれません。
残念ながらこのアイデアはスネークスに採用されませんでしたが、今後のゾイドにおいて使えるかもしれないアイデアだと思います。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。
連動ギミックは蛇らしく体をうねらせながら前進するもので、かなりインパクトのあるものになています。
うねる加減もリアルですが、それ以上に前進が特徴的です。

スネークスはタイヤを使って前進します。タイヤは出来るだけ外から見えないように隠されており、積極的にタイヤを見せたモルガとは好対照です。
そしてそのタイヤ前進ですが、特徴的なのはスピードです。
速度は凄まじく速く、チョロQと同程度の速さで動きます。
おそらく最初に動かした時「ゼンマイがどこか壊れているのでは?」と疑ってしまうと思います。それ程速いです。
うねらせる以外では特に何の連動ギミックもありませんが、とにかく速いので、それだけでかなりの満足感があります。

手動ギミックは、各武器の仰角を変える事が出来ます。尾部先端のものは仰角を付ける事が出来ない代わりに、旋回させる事ができます。
武器が多いゾイドなだけに、各武器が動くのは嬉しいところです。

また、頭部付近も大きく動きます。
ヘビといえば威嚇する際に首を大きく持ち上げますが、その姿勢が再現可能になっています。

首の角度を上げ、頭を下げる。非常に蛇らしいギミックです。

その外は、コックピットの開閉が可能です。

ギミックは、総じて非常に面白いものになっています。
インパクト抜群の高速走行。ミリタリー感の強い武器の可動。蛇らしい首の動き。バランスが程よく取れているのも好印象です。


戦歴

スネークスの戦歴は、確認できているところでは、あまり目だったものはありません。
このゾイドは、部隊同士の会戦で使用されるというよりは、局地戦を展開する事が多かったような気がします。
バトルストーリー1巻のヘルキャットとの砂漠戦や、3巻のベアファイターと共同で帝国基地を奇襲、アイアンコングMK-IIに挑んでいる様子が有名でしょう。
これらはいずれも局地戦であり、主力ゾイドでは無かった事が伺えます。

唯一、部隊同士の戦いに参加し活躍を演じたのは、バトルストーリー1巻にも収録されている、ウルトラザウルス上陸作戦時です。
ウルトラザウルス率いる水上部隊に随伴し、真っ先に帝国領土に上陸を果たした機体がスネークスでした。

バリゲーターを差し置いて上陸戦の先鋒に選ばれたのは栄誉な事です。上陸後は、強敵イグアンを締め上げています。
またこのシーンは、スネークスが水上航行も可能であると証明できる貴重なシーンでもあります。

確認できた戦果は以上で、学年誌のみに掲載された活躍というのは確認できませんでした。
(「学年誌掲載のものは全てバトルストーリーにも掲載されている」と言った方が適切かもしれません)
おそらく、スネークスはやはり特殊ゾイドなのでしょう。
上陸戦など特殊なケースを除き、正面きっての会戦ではあまり使用されず、それゆえに表立った描写が少ない。
しかしその特性ゆえ、目立たない場所で地道に活動を続けていたものと思われます。

表立った描写が少なかっただけに、隠れた活躍を想像したいところです。
低いボディは隠密性に優れる。どんな場所ででも活動可能な走破性。地中を掘り進む事もでき、更に水上も航行可能。
なんとも万能なゾイドだと思います。
それゆえに、デスザウラーが共和国首都を陥落させ、共和国軍がゲリラ戦を展開していた時期などは、特に重宝されたゾイドなのではないかと思います。


特殊任務遂行 スネークス


スネークスは、重装甲スペシャル級としては比較的後期に出たゾイドですが、人気の方は芳しくなかったようで、販売からしばらくすると早々に一線を退いていきました。
かなり一線に留まった時期の短かったゾイドです。
同時期のプテラスやカノントータスが、何度も何度も再生産され玩具屋に並び、またバトルストーリーにも登場した事と対照的です。
もっと言えば、前年に発売されたバリゲーターや前々年に発売されたゴドスやガイサックも、何度も再生産され玩具屋に並び、またストーリーにも登場しています。
こう考えると、なんとも哀愁を感じます。正直、このクラスの共和国機では最も振るわなかった機体だと思います。
先にカラーリングが2パターンある可能性を不確定情報として紹介しましたが、それが実在するとすれば、販売不振を払拭しようとしたテコ入れだったのかもしれません。
その努力は残念ながら報われなかったわけですが。

デザイン自体は非常に良くまとまっており、また独特でもあり、非常に優秀だと思います。
しかしそれが売れなかったのは、モチーフ的なイメージからのものだったのかもしれません。
例えば同じ価格でワニかヘビを選べと言われれば、おそらく大半の子供は迷わずワニを選ぶでしょう。

これ以降、特異なモチーフはなりを潜めます。次級のハイパワーユニット級ゾイドでは、恐竜や哺乳類など、無難なモチーフが大半を占めるようになりました。
スネークスは、以降のモチーフ選びに影響を与えたゾイドと言えるかもしれません。
ただ特異なモチーフがいてこそのゾイドだとも思うので、その事を残念だなとも思ってしまいます。

また、大人になってから改めて落ち着いて見直すと、スネークスの良さは良く分かります。
子供にとってはダイレクトに良さが伝わりにくい部分があるかもしれませんが、じっくり見ると非常に良く出来た、隠れた名機だと思います。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド ステルスバイパー

 ゾイドグラフィックス スネークス


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