メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 ガイサック<GUYSACK>

■ガイサック(サソリ型) データベース■

 発売年月 1984年?月  発売当時価格 780円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 RMZ-12

 スペック 全長10.0m 全高4.0m 全幅6.2m 重量22.0t 陸上最高速度120km/h 乗員1~2名

 主な武装
  ポイズンジェットスプレー 硫酸ジェットガン ロングレンジガン グレートランチャー ビーム砲(×2) ワイヤー射出器

 特徴
  もとは砂漠に住む体長80cmくらいの生きものだったが、バイオテクノロジーによって巨大化させ、毒液などによる奇襲のためのメカ生体に改造した。


ノーマル仕様 前後より

多脚型ゾイドの雄、ガイサックです。
ゴドスと同時に、共和国重装甲スペシャル級ゾイド第一陣として登場しました。

共和国重装甲スペシャル級第一陣は、共に従来機の強化発展版になっています。
ゴドスはガリウスから、ガイサックはグランチュラからです。
これ以降、このクラスのゾイドは全て完全新規設計になります。
第一陣のゴドスとガイサック。これは、従来の小型ゾイドから次世代発展する過渡期あるいは橋渡し的な感じがします。

さて重装甲スペシャル級です。
ゴドスは確かに従来機から比べれば重装甲でした。ガリウスと比べたら特に脚部において顕著です。
対して、ガイサックはあまり「重装甲」ではありません。というか装甲で覆っている部分はほとんどないのでは……という設計です。
ただ、各部が太くガッシリしておりたくましくなった印象をしています。重装甲というよりは「骨太」と言った方が適切でしょうか。
あまり重装甲ではないものの、従来機から比べてパワフルになった感じは十分です。


指揮官機仕様 前後より

ゴドスと同じく、強化用のボーナスパーツが付属しています。
これを使うと、指揮官機仕様として組む事ができます。単一のキットで改造が楽しめるのは最高です。

ボーナスパーツを使うと、ノーマル仕様の余剰パーツが幾つか発生します。

これを他のゾイドの強化用に回すこともできます。ビーム砲が多いのが嬉しいです。

ただ個人的には、ゴドスは指揮官機仕様が好きですがガイサックはノーマル仕様の方が好きです。
背中のビーム砲をタンクに換装。これが攻撃力が下がったイメージになっています。
これだけなら攻撃力減と引き換えに行動半径が上がっていそうなので良いのですが、問題は尻尾です。

尻尾先端に明らかなコックピットが……。
ガイサック=サソリ。砂漠では砂に潜るでしょう。それなのになんだこの意味不明な配置は…というのが最初に見た時の感想でした。
ゴドスのレビューで書きましたが、現在はこのコックピットは偵察用ビークルだと解釈しています。
要するに常に付けているわけじゃなくて、適宜に切り離したりする。だからこのような配置でも特に問題はない。

ただそれでも、今でもやっぱり好きになれない配置です。尻尾の先という極めて不安定で高い位置にコックピットがあるのはやっぱりシュールです。
レッドホーンやゴルドスの尾部銃座も大概ですが、まだしも「低い」という点においてマシです。
ガイサックの場合、不安定な事に加えて転落の恐怖が常に付きまとう仕様……。
「常に乗っているわけじゃない」といっても、逆に言えば「乗るときは乗る」のだから……。

ロングレンジガンやレーダーはカッコいいです。片方に砲、反対側にレーダーという配置は大好きです。
これで真ん中にパイロットさえ居なければ……。まぁ、この過度に不器用な感じが初期共和国っぽくもあるのですが。


側面より

特徴的なハサミと尻尾。紛うことなきサソリです。
ただ忠実度はそれほど高くはありません。サソリはもっと体が平たく、地を這うようなシルエットをしています。
足ももっと小型です。
これはグランチュラをベースにしてサソリを作ったからです。

ただ悪くありません。総合的に良いバランスです。
・極めて忠実ではない。それでも一目で分かるレベルでサソリになっている。
・グランチュラと並べると同系列の発展型な事が一目で分かる。
両要素をバランス良く落とし込んで作られたのでしょう。


頭部 コックピット

二種類の顔を持ちます。
ノーマル仕様は共和国共通コックピット。指揮官機仕様は指揮官機用コックピットです。
どちらも独自ではなく、他ゾイドと同じ共通規格です。
ただし、下部に牙が付いています。これが個性と言えるでしょうか。

個人的にはノーマル仕様が好きです。
ガイサックは全体的にゴツゴツした造りです。ゴドスと比べてもかなりディティールが多いと思います。
体全体がディティールの塊だからこそ、ツルッとしたシンプルな共通コックピットが良いアクセントになっています。
指揮官機用コックピットはゴツゴツしたデザインで、色もボディと同じです。なので少し視認しにくく埋もれている感じがします。


キャノピーを開けると中にはパイロットが1名座っています。
ガイサックの操縦は基本的に全てここから行います。ただし、指揮官機仕様は尾部先端にもコックピットがあります。


グランチュラと共に

既に書きましたが、ガイサックは設定的にもキット的にもグランチュラの発展型です。
グランチュラの脚を太いタイプに換装、更にハサミと尻尾を加えて調整するとガイサックが出来上がります。

こうして比べると、飛躍的に強化された具合が一目で分かります。さすがは重装甲スペシャル級です。
デザインはシンプルだったグランチュラから一変、共和国機の中でもかなりのゴチャメカになっています。
特に脚部において顕著です。

細かいディティールがビッシリと付いているし、パイプやタンクのような装備もあります。
冷静に見れば被弾に対して弱そうだし、シンプルにまとめたグランチュラの脚の方が未来的で高性能な感じがします。
それでも、複雑なディティール、パイプ、タンクなどは有無を言わせぬ力強さを連想させます。
理屈じゃなくて感情で理解させてくれるデザインというか。好きです。

ちなみに、ハサミや尻尾を取ればグランチュラ状態にする事もできます。

脚だけはガイサックのものなので、脚部強化タイプのグランチュラといった感じでしょうか。

ガイサックといえば、かなり特徴的な設定を持ちます。機体解説には
「もとは砂漠に住む体長80cmくらいの生きものだったが、 バイオテクノロジーによって巨大化させ、メカ生体に改造した」

とあります。

バイオテクノロジー………。このような設定が記載されているのはガイサックだけです。
ガイサックは、ゾイド開発の技術史において特筆すべき実験をしているような気がします。
・野生体をそのまま使わず、大型化してから使った。
・グランチュラ……、生物的に言えば全く別の種とフレームを共通させている。
(ガリウスとゴドスも別種だが近縁種である)

後年のキメラ機の元祖と言えるゾイドなのかも……。そんな風にも思います。


販売数

ガイサックは、メカ生体ゾイド期において重装甲SP級では売り上げ個数No.1の実績を残したそうです。
これはを知ったときはかなり驚きました。
正直、スタンダードなゴドス。大砲のあるカノントータス。スタイリッシュなプテラスなどの方が売れていると思っていました。

ただ、ガイサックももちろん魅力的なデザインです。8本の脚で不気味に歩くというギミックも特徴的です。
思うに、「2番目に選んだ重装甲SP級ゾイド」なんじゃないかと思います。
もちろんガイサックが一番好きなファンも居たと思いますが、それでもやっぱり大砲や飛行に惹かれる数には負けると思います。
でもデザインは割といい感じだしマニアックな動きにも惹かれる。とても気になる存在である…。ガイサックはそんなゾイドだったと思います。
だから一番欲しいのを手に入れた次に選ばれやすかったのではないか。そうやって、ジワリジワリと販売数を増やして最終的に1位になったのではないか……と推測します。

ところで、母体であるところのグランチュラは開発サイドのお気に入りだったそうです。
この事は1998年ごろに存在したゾイド公式サイト「ゾイド歴史館」で語られていました。
1998年に製作された「ゾイドウォーズ」という短編ムービーにはグランチュラが多く登場します。

これはやはりお気に入りなので抜擢されたとのこと。

開発サイドとしても、8本足のあの不気味な動きは相当な自信作だったのでしょう。
しかしグランチュラはあまり売り上げが芳しくありませんでした。
それでもあきらめきれない。
改良版で起死回生の切り札にしたい・同じ動きのゾイドでリベンジをかけたい。そんな想いで創られたのがガイサックなのでしょう。
その想いは見事に達成されました。このクラスで売り上げNo.1の達成。
これはガイサックが本当に誇るべき実績だと思います。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。
ギミックはグランチュラ+といった感じです。

連動ギミックは8本の脚で不気味に歩くのみ。連動箇所はありません。
8足歩行は実に不気味で、連動箇所がなくとも十分に魅力的です。
ただ、グランチュラから全く変化がないというと寂しい気もします。
ハサミか牙か尻尾か。どれか一つでも連動していれば嬉しかったのですが。

ただその分、手動ギミックは大幅に強化されています。
手動ギミックは、ハサミの可動、ビーム砲(指揮官機ではタンク)の可動、尾の可動、コックピットの開閉です。
指揮官機仕様では、更に尾部先端のロングレンジガンとレーダーの可動もします。

ハサミは大きく動き、戦闘シーンを華麗に演出する事ができます。

左右個別に動かせるのがありがたいです。
刃部分が小さいので分厚い装甲の帝国ゾイドを切り裂けるかはちょっと心配です……が、これで勇ましい格闘戦をしているシーンはぜひとも想像したいところです。

尾も大きく動きます。

サソリの特徴的な部分が大胆に動くのは嬉しいです。
指揮官機仕様では、尾の角度にあわせてロングレンジガンとレーダーの角度を調整できるのも嬉しいです。
ただ、指揮官機仕様では尾の角度を変えるとパイロットがちょっと辛そうな気もしますが……。

ちょっとシュールなところもありますが、手動ギミックはとても充実していると言えるでしょう。
グランチュラは手動ギミックがほとんどなかったので、そこから圧倒的な進化です。
総合的に、とても良いギミックだと思います。


戦歴

戦歴はかなり地味です。交戦力はゴドスに比して低かったようで、帝国小型ゾイドにも負けてしまいます。

特にこちらの、ゲーターに夜間戦闘で破壊されている描写は有名でしょう。
全体的に、帝国軍の脅威を示す際に破壊されるやられメカという印象が強いです。

ゴドスもやられメカです。ただ、こちらはまだしも初期において無敵時代がありました。そこから転落した感じです。
ガイサックは初期から一貫してやられ役だったので冴えません。

あと、グスタフで牽引されるシーンも割と多い気がします。

グスタフは「傷ついた味方を回収するゾイド」です。これもやられメカの印象をいっそう強くしている感じがします。

ただし戦歴は意外なほど長く、デスザウラー就役後もしぶとく運用され続けています。
退役したのは中央大陸戦争最末期。初期の頃からやられていた弱いゾイド。それでも運用期間の長さを考えるに、良いゾイドだったのでしょう。
これはHiユニット級ゾイドで後継機が開発されていない事からも言えます。
決して強いゾイドじゃないかもしれない。でも多脚ならではの器用さで、苦労しつつも戦果を挙げ続けていたのでしょう。
この戦歴はキット販売の「爆発的ではないがジワリジワリと売れ続けた」という部分と似ていると思います。


重装備多脚ゾイド ガイサック

正直、地味なゾイドだと思います。サソリなのに「鋭い」というイメージは低いです。
ただとても良いゾイドだと思います。こういうのって必要だなと強く思います。
この地味なゾイドを長く安定して販売できた。これこそがメカ生体ゾイドの凄かったところだと思います。

「丁度いいゾイド」だなぁと思います。
デザインは地味すぎず、カッコ良すぎず。
戦いでは強くない、けど安定して長く使われた器用なゾイド。
ギミックも特徴的なところがあり、更に手動も優れる。
プレイバリューも高い。

決して派手ではない。華やかさはあまりない。でも堅実で頼もしいゾイド。
ガイサックはそんな名ゾイドだと思います。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド ガイサック

 月刊ゾイドグラフィックス ガイサック


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