メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 フロレシオス<FUROLESIOS>

■フロレシオス(海竜型) データベース■

 発売年月 1984年6月  発売当時価格 580円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 RMZ-10

 スペック 全長13.0m 全高7.1m 全幅9.0m 重量8.85t 水上最高速度40ノット 水中最高速度45ノット 乗員1名

 主な武装
  20ミリ対空機関砲(×2) ホーミング魚雷(×2) ホサセマイクロソナー 煙幕噴出口

 特徴
  ゾイド星の水陸両用戦闘機械獣。
  巨大なバラストタンクとヒレを利用して、水中を遊泳する。高性能駆逐艦としての機能が与えられている。


前後より

アクアドンに続く水陸両用方として登場したフロレシオスです。
アクアドンより飛躍的に強化された本格戦闘機械獣ですが、陸上での能力は限りなく低い点は共通しており、実質的には海上/海中専用機となっています。

共和国580円小型ゾイドとしては最終号機です。
これ以降の共和国小型ゾイドは、重装甲SP級(780円)に移行する事になります。
共和国側の580円小型ゾイド最終号機という事で、同クラスの中ではかなり豪華な仕上がりになっています。

以前の共和国小型ゾイドは、マトモな装甲と呼べるものが皆無でした。
フロレシオスは、全体的にはやはり装甲がありません。しかし首の裏側のみ装甲が見られます。ここは要注目です。
この辺は、小型ゾイドに装甲が追加されてゆく過渡期の設計が伺えて興味深いです。

ちなみに首の裏にのみ装甲が付いている理由ですが、フロレシオスの任務の一つに「潜行し首だけを外に出し偵察する」ものがありました。
それゆえ、首のみは被弾を考慮しガードしていたものと思います。


側面より

長い首や大きなヒレが特徴的です。これらの為、フロレシオスはかなり優雅な機体という印象を持ちます。
特に、横から見た時が最も優雅に見えると思います。
というのも、背中はキャップが密集する非常にメカニカルな構造になっています。しかし横から見るとバラストタンクで上手く隠れており、スッキリした印象になっています。

体全体は、かなり薄く作られています。
かなり後年の機体ですが、ダークネシオスなどと比べるとその差は歴然です。

まぁ、ダークネシオスはブラキオス改として設計された機なので仕方ないものですが。

薄い体というのはモチーフの特徴と一致します。海竜は薄い体で水の抵抗を減らし、水中での機動性を確保していたと推測されています。
その為、フロレシオスも水中での機動性が高そうに見えます。
それを裏付けるように、フロレシオスは最高速度が水上より水中の方が速くなっています。

ただ機体解説としては「高性能駆逐艦」であり、装備も煙幕噴射口など水上で水上で運用するような装備が充実しています。
その辺はちょっと設定との隔離を感じてしまい惜しいと思います。もっと潜水艦を強調した設定と装備になっていればと思います。

ところで、煙幕噴射口…、スモークディスチャージャーというとコマンドウルフが装備し一躍有名になった装備ですが、最初のこれを装備したのはフロレシオスです。
地球の駆逐艦には煙幕噴射口が付けられている事が多いです。敵の視認を妨害する為に艦隊の外周を回り煙幕を焚く…ような事が行われます。
おそらく、用途ととしては似たようなものと推測します。


フェイス

頭部は、共通コックピットをそのまま使用しています。追加装備で独自性を出す事は行われていません。
とはいえ、モチーフの頭部が特に特徴の無いスタンダードな造形なので、妥当なところだと思います。
共和国小型ゾイド最終号機が独自性を出さなかったというのは少し寂しい気もしますが。

コックピットの中には、もちろんパイロットが入っています。

フロレシオスのパイロットは1名で、操縦は全てここから行います。

長い首の先に付いたコックピットですが、首は基部で倒す事が出来ます。

残念ながら横方向には動きませんが、それでもなかなか表情を出せます。
ただ不満はあります。
首の可動は良いと思います。しかし頭部付け根は、旋回させる事は出来ますが上下に角度を付ける事は出来ません。
その為、せっかく首がここまで動くのに、倒した状態では前を向けないようになっています。非常に残念です。
前を向ければ高速で遊泳するシーンがバッチリ決まったと思いますが…。

横方向に旋回させる事が出来ますが、あまり決まったポーズとは言いがたいです。

どちらかというとダレています。


海竜型

私事ですが、子供の頃にフロレシオスは好きでした。その事は妙に覚えています。
正確に言うとゾイド全体の中でのマイランクは決して高くありませんでしたが、共和国の同クラスゾイドの中では唯一抜きん出て好きだったので、よく覚えています。
同クラスの他ゾイドが骨骨だった中、フロレシオスは首にわずかながら装甲があるし、背中は大きなタンクがあるし、ヒレが優雅だし。
なんだかちょっと、他と比べるとたくましくありました。

また、海竜というモチーフが好きでした。
フロレシオスは正確にはプレシオサウルス型という事ですが、当時はフタバスズキリュウが大好きだったので、これがモチーフだと思っていました。
何となく名前も似ているし…というかフで始まる所くらいですが…。

フタバスズキリュウは日本国内で発見された海竜という事で、当時の図鑑ではおなじみでした。
また、映画版ドラえもんなどメディアでの露出も多く、かなり子供にとってメジャーで憧れの存在だったと思います。
そんなモチーフな事も手伝い、フロレシオスは当時から意識して見ていました。


アクアドンと共に

アクアドンと比べると、かなり大型化しています。
首があるから大きく見えるというのもありますが、タンクもかなり大型化しています。直径は同じですが長さはかなりあります。
更に、ヒレが大きく横に張り出しているので幅もある。二周りほども大きな印象を持ちます。

構造は、両者ともかなり似ています。両脇のバラストタンクはいかにも同列の機体という感じです。
背中のメカニカルな造り込みも似ています。
両者ともかなりキャップが密集していますが、その数はフロレシオスの方が多くなっています。
後継機としてシステムを大型化しパワーアップさせた。しかし構造としては革新的なものではなく、あくまで既存技術を発展させたものである事が伺えます。
こういった技術的なつながりや発展が感じられるのはとても良いと思います。

それにしても、海ゾイドの第一号がカエルで第二号がプレシオサウルス。
何ともまぁ飛躍したなぁと思います。
当時はアクアドンとフロレシオスが同時に玩具屋に並んだわけですが、アクアドンはかなり苦戦したと思います。
動きのユニークさなどアクアドンが負けない要素も多いとは思いますが、単純に子供が憧れる要素としてはフロレシオスが圧勝だったと思います。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。ギミックはなかなか面白いものを持っています。

連動ギミックとしては、ヒレを大きく動かしながら前進します。
ヒレの動きは「左右そろって」動くようになっています。
既にグライドラーやアクアドンも左右そろって動くギミックは実現していました。なので目新しいものではありませんが、それでもやはり嬉しいです。

なおヒレが動くのは前のみで、後ろ側は連動しません。
ただ後のヒレはあまり目立たない大きさ・位置なので、これでも良いかなという気がします。ちにみに後ヒレも手動で動かす事なら可能です。

前進はタイヤで行っています。
タイヤは極力目立たないように造形されている為、裏面から見た時以外はほとんど見えません。
車輪は3輪で、前2・後1です。ちなみにアクアドンも3輪でしたが、前1・後2で前後逆な感じになっています。

連動ギミックは以上で、連動箇所自体は少ないです。
しかしアクアドンと同じく「水に浮ける」事が大きな特徴となっています。バラストタンクにより実際に浮くもので、これは嬉しい所です。
ゼンマイを巻き水上に浮かせると、みごと泳いでくれます。
ただ長い首はアクアドンよりもトップヘビーで、安定感はやや劣ります。横転の可能性はかなり高いです。
首を倒せばこの問題は解決しますが、しかし先に書いたように顔が前を向かないのでちょっと微妙でもあります。
改めて、頭部付け根の可動が残念に思えます。

アクアドンと同じく、水で遊んだ場合はその後の分解・乾燥作業が必須です。サビさせてしまっては後で泣きを見ます。
しかし、メンテナンスは多少面倒ですが、泳がせるのはやはりそれ以上に楽しいです。

尾の振り、尾部20mm対空砲の仰角、ホーミング魚雷の旋回、首の角度変更、頭部の旋回、コックピットハッチの開閉です。
なかなかの充実具合です。
この中で、尾の振りは重要です。

尾部を左右に振る事が出来るものですが、尾は舵の役割を果たします。
つまり、尾の角度を調整したうえで泳がせれば、実際にその通りの航路をフロレシオスは動きます。
尾のディティールは、かなり艦船的なモールドになっています。実際の機能もデザインも、かな実機感の強い仕上がりをしていると思います。

総じて、なかなかの完成度を誇っていると思います。


戦歴

戦歴はかなり謎に包まれています。
ゾイドバトルストーリーが始まって間もなく、共和国は新鋭バリゲーターを就役させています。
なので、フロレシオスは当初から二線級の扱いとなり、表立った戦闘には参加する機会に恵まれませんでした。
フロレシオスが主力一線級として運用されたのは、前史な期間においてです。

学年誌やてれびくんでも、活躍シーンは特に確認できません。
やられシーンが幾つか確認できた程度です。

ただ、前史の帰還まで網羅した書籍History of ZOIDSでは、多少ですが情報が載っています。
それによるとレッドリバー戦役において重要な役割を演じた事が記載されています。
レッドリバー戦役はゼネバス帝国とヘリック共和国間で起こった最初の戦いです。
対立し国境を挟み睨みあう両国。冷戦状態でいつ戦争に発展してもおかしくない状態。
そんな中、ついに帝国軍が動く。レッドリバーで帝国軍による奇襲攻撃が行われ、ついに両国は開戦。これがレッドリバー戦役です。

共和国軍は奇襲を受けダメージを受けますが、この時、フロレシオス沿岸警備隊が「川をのぼり支援を行った」とあります。
川で運用されたというのは小型ゾイドの特性を活かした素晴らしい成果です。
また、共和国領の湾内にシンカーの大群が押し寄せた際、これを撃退したというのも紹介されています。
あの強力シンカーを、しかも大群を撃退したというのは超超大金星です。残念ながら「撃退した」というのみで詳細な経緯は描かれていませんが。

もう一つ残念なのは、この辺りの成果は「文字のみ」であり、具体的な絵なりジオラマでは示されていないという事です。
願わくばこの大金星の勇猛なシーンを、迫力のジオラマで見たかったところです。

ジオラマとしては、戦闘機械獣の全てで勇ましい姿が掲載されています。

ただこれは機体紹介ページのもので、具体的なストーリーは特に掲載されていません。
勇ましいシャークマウスが描かれ、また本体も手が加えられたカスタム機のようです。
ただこのフロレシオスがどういった戦果を残したかは不明…。

ストーリーもジオラマもあるがそれぞれ単独…。
魅力的な機体なので、双方揃ったものがあれば嬉しかったのですが、ちょっと残念です。

戦歴において謎が多いのはたいへん残念です。
ただ、あのシンカーを撃退した事は改めて驚きです。あんがい戦闘力は侮れないものがあると思います。
戦力比較表では「負け」になっていましたが…。
ただ、数少ない描写から色々な想像を膨らませたいところです。


高性能駆逐艦 フロレシオス

さすが共和国580円小型ゾイドの最終号機だけの事はあり、色々な魅力に溢れています。
設定面でのチグハグや戦歴に謎がある点など残念な箇所もあります。しかしそれを補って余りある名機だと思います。

もちろん、後の重装甲SP級ゾイドと比べると貧弱感は否めませんが、小型ゾイドが徐々に重装甲化しそう微増になってゆく過渡期が感じられる点も好きです。
そういった意味で、玄人向きの機体だとも思います。

メカ生体ゾイド期においては、非常に残念な事に海竜型ゾイドはフロレシオス以降誕生しませんでした。
やはり前進ギミックが仇となりヒレタイプは作りにくかったのでしょう。
しかし、海竜というのは魅力的なモチーフだと思います。
是非いつか、フロレシオスの構造を受け継ぎ正当進化したゾイドを見てみたいと思っています。


バリエーションモデル

 ヘリックメモリアルボックス2


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