メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 ペガサロス<PEGASUROS>

■ペガサロス(鳥型) データベース■

 発売年月 1983年?月  発売当時価格 580円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 RMZ-08

 スペック 全長10.0m 全高8.0m 全幅13.0m 重量4.7t 最高速度M2.5 緊急飛行速度M3.4(ブースターロケット使用) 乗員1名

 主な武装
  30mmビームバルカン 20ミリパルスビーム砲(×2) 対空ミサイル(×2)※対地ミサイルに換装可 ブースターロケット

 特徴
  もとは、ゾイド星の機械鳥。他の機械鳥を補食する獰猛な肉食獣。純粋な戦闘機械獣として改造されている。


前後より

グライドラーに続いて登場した、飛行ゾイド第二号です。
ヘリック共和国は、かなり早期に航空兵力を充実させています。

グライドラーはどちらかというと偵察や連絡用といった雰囲気で、とてもじゃないが戦闘機運用は出来そうにない見た目でした。
対し、ペガサロスはスマートな姿でいかにも戦闘機です。

ただ、下部の巨大な車輪は目立ちます。

造形は、ちょっとペットボトルのフタのように見えてしまうのが惜しいです。もう少しタイヤらしいディティールになっていれば良かったと思います。
しかし、ここまでストレートにタイヤにしたのは思い切ったなと思います。脚で着地するのではなく、完全にタイヤで着地するものです。

タイヤが巨大すぎるのは、ちょっとシュールな感じがします。
モルガの車輪のようにデザインと一体化したものなら良いと思いますが、ペガサロスの車輪はあまり一体感は無く取って付けたような印象を持ちます。

というか、設定上は最高速度M2.5を誇る超音速戦闘機です。その造形がこのような巨大なタイヤなのはどうかというのも思います。
複葉機のような古風なイメージで設定された機であれば、前時代的な固定脚も似合って感じられたでしょう。
しかしペガサロスは超音速戦闘機。どうしても、設定との隔離は否めません。

本来ランディングギアとなるべき脚部は、後方にピンと伸ばされています。

長さから考えて、接地させる事はとても出来そうにありません。空中での姿勢制御などに使用されるものと推測します。

脚はあるのに本来の役割はこなさない。
後のゾイドと比べるとかなり奇異ですが、こういった仕様は極初期ゾイドならではです。


側面より

車輪はどうかと思いますが、それでもスマートな機体です。
一直線に伸びた姿勢はいかにも高速機です。顔先にクチバシを模したパーツが付いているのも、スマートさをより強調しています。
ただ首の付き方だけは難があると思います。首のラインは胴体と繋がっておらず、そこだけ不自然な感じがします。
理想的には、胴体と首が繋がるようなデザインである事でしょう。

このようになっていれば、スマートさは飛躍的に上昇したと思います。
ただ擁護するなら、おそらく開発者も当初はこのようなデザインを予定していたと思います。
しかし、この姿では重心が過度に前に寄っています。ゼンマイで前進する際、前にこけてしまう事は容易に予想できます。
防ぐには後部にカウンターウェイトを設けなければならないが、そんな事をしていては機体が肥大化し580円クラスの機体に収まらない…。
そんな事情があったと思います。

動力ギミックは大好きですが、同時に悩ましいものだなぁと思います。
ただ、この後はデザインと動力を見事に両立させた傑作が次々誕生します。むしろギミックがある事を積極的に取り入れ昇華させたデザインも多数生まれます。
ペガサロスの首の処理は、正直に言って残念です。しかしその反動が、後の傑作に繋がっていると思います。


フェイス

頭部は、共通コックピットを使いつつも独自パーツをプラスし個性を出しています。
独自パーツの使い方は秀逸です。先端30mmビームバルカンはクチバシを模した形状になっており見事です。
クチバシなので、いっそ格闘用装備にしても良かったような気はしますが、小型機なので砲にしたのも正解だったと思います。

両頬には、20ミリパルスビーム砲が備えられています。
この装備は特に鳥を模したものではなく、単なる火力補強といった付き方です。
前面に砲が集中したペガサロスは、飛行ゾイドとしてはかなり射撃力の強い部類だと思います。

コックピットの中には、もちろんパイロットが入っています。

パイロットは1名で、全ての操作をここから行います。


グライドラーと共に

様々な問題のあるペガサロスですが、それでもグライドラーと比べると格段の新化が見えます。
ボディフレームは共通していますが、圧倒的にスマートになっているのがよく分かります。

ペガサロスは高速飛行に特化しており、グライドラーは低速で浮く事に適していそうです。

翼は、グライドラーのものに増翼をかぶせ巨大化しています。その形状はかなり美しいものです。
空中での運動性は、基本的に翼が大きいほど良好になります。この大型化した翼は、高速飛行中でも良好な旋回性を提供しそうです。
ただ、学年誌などではペガサロスに対し、「翼が小さいので運動性が悪い」と書かれていたりします。
なのでちょっと謎だったりもします。
ただ、これはプテラスが就役した後に書かれた説明です。
解釈するならば「グライドラーよりは格段に向上した」「しかしプテラスの運動性能は更に高いものであり、それと比べれば悪い」という事なのかなあと思います。

イメージ的には「グライドラー<ペガサロス<<プテラス」という位だと思っています。
グライドラーの翼はスタンダードな形です。しかしプテラスはゾイド特有の穴あき翼。この辺に、運動性が格段に向上した秘密がありそうです。


戦闘機型ゾイド

ところで、ペガサロスについては不思議な事があります。それは何故開発されたのか? という事です。
ペガサロスはグライドラーの後継機です。より高性能なものを求めるのは自然な事ではありますが、不思議なのはペガサロスの「戦闘機」というスタイルです。

ペガサロスは純粋な戦闘機として開発されています。その目的とは何ぞや、というとなかなか難しい問題です。
というのも、シンカー就役前の帝国は飛行ゾイドを持たぬ筈です。
ゾイドバトルストーリー1巻には、シンカーに遭遇した共和国軍の「おかしいぞ。帝国軍は飛行ゾイドを持たぬはずだが……」という台詞があります。

戦闘機というのは空戦に特化して作られるものです。その目的は敵航空機の撃墜。
しかし帝国に飛行ゾイドが居ないのなら、その開発の意図とは一体…。
「いつか現れるであろう帝国飛行ゾイドに対抗する為」に開発されたのかもしれませんが。

ただこれを深く考えた時、自分なりの見解を出す事が出来ました。

ガリウスは、メカ生体ゾイドの頃はヘリック共和国軍専用のゾイドとして扱われていました。
しかし今では、
・ヘリック共和国で開発されたゾイドではなく、もっと古くヘリック王国の時代から存在していたゾイドである。
・国家分裂時にゼネバスも多数持ち出した。その為、ガリウスは両軍で使用されている。
というのが通説になっています。
この設定はいわゆる「後付け」であり、安易に受けるというよりは精査した上で結論を出さなければいけないと思っていた分野です。

しかし、この問題に対しペガサロスを交えて考えた時、答えが出た気がします。
やはり「持ち出されていた」「両国で使用されていた」というものです。

ガリウス、グライドラー、エレファンタスの3機のいわゆる「メカボニカ」はヘリック王国製、それ以降のゾイドはヘリック共和国独自のものとして良いと思います。
そしてこのメカボニカ3機は「持ち出されていた」「両国で使用されていた」と考えたいです。

国家分裂時、グライドラーが持ち出され帝国側も運用していたとすれば、飛行ゾイドという特性上、当然その排除は急務となります。

すなわち「グライドラーを排除する為の戦闘機」が誕生するには自然な流れです。
ペガサロスの開発を合理的に解釈するなら、国家分裂時にグライドラーが持ち出されていたと解釈するのがベストだと思いました。

その上で、「おかしいぞ。帝国軍は飛行ゾイドを持たぬはずだが……」の発言も解釈をしたいと思います。

・ゼネバス皇帝は、国家分裂時にグライドラーを持ち出した。
・帝国領土内で「グライドラー生産ラインの確立」また「共和国側グライドラーを排除する為の戦闘機の開発」を進める算であった。
・しかし、帝国領土内にはグライドラー野生体が存在せず、帝国製グライドラーは生産できなかった。
・また、帝国領土内には飛行に適した野生体がそもそも存在しなかった。せいぜいエイ型や原始的な始祖鳥型のみであった。
・その為、持ち出たグライドラーを除き、帝国は飛行ゾイドを全く保有できないものだった。
・そうこうしている内に、共和国側はペガサロスを就役させる。優れた空戦力でまたたくまに帝国側グライドラーを全損に追い込む。
・以降、帝国はシンカー就役まで飛行ゾイドがゼロという常態になったのである。

…というような流れを想像します。
なかなか説得力はあり、面白い見解になったと思います。今ではこのように考えています。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。ギミックは並程度かなあと思います。

もともとグライドラーの機構を流用しているので、同程度のギミックはあります。
しかし二番煎じという印象はぬぐえません。

連動ギミックとしては、翼を動かしながら車輪で前進します。
翼は、グライドラーよりかなり大型化している為、力強さを感じます。あいかわらず「左右そろって」翼を振っているのは感動します。
しかしやはり、既にグライドラーが為しえていたことでありペガサロス独自とは言えないものです。

手動ギミックは、両頬のビーム砲の仰角変更、背中のミサイルの旋回、キャノピーの開閉です。コックピットは、独自パーツを使用している関係で旋回不能です。
武器の可動は定番中の定番で、基本を押さえているのは良いですが独自性という意味ではやや弱いです。

総じて、ギミックはちょっと印象に残りづらい感想です。ペガサロス独自の何かがあれば良かったのになぁと思います。
グライドラーの流用だから仕方ない点はあったと思います。
しかし例えば、後年のシールドライガーはサーベルタイガーから多くを流用しつつも、独自の手動ギミックを多数備えて高評価を得ました。
小型機に大胆なものを求めるのは酷ですが、何か一つでも独自性があれば良かったのになぁと思ってしまいます。


戦歴

戦歴は、かなり謎が多いです。
ゾイドバトルストーリーでは、具体的な活躍は描かれていません。
学年誌では、わずかに名前が出てきますが、あまり具体的なものは見られません。
「主力戦闘機だ」という程度で、どのように出撃しどのような効果を挙げたか というのは残念ながら不明です。

唯一具体的に内容が描かれたのは、マルダーの就役時です。「マルダーの対空砲火により痛撃を受けた」とある位です。
そしてプテラス就役後は、文字上ですら登場する事は無くなりました。初期における主力戦闘機なのにこの扱い。ちょっと悲しいです。

ただ、History of ZOIDSや戦闘機械獣のすべてでは、具体的な描写もかなりあったりします。
History of ZOIDSでは主力戦闘機として運用されており、初期のおいてはかなりの戦果を挙げたとされています。
しかしその後、帝国軍は対抗してシンカーを就役させます。
シンカーは、最高速度は劣るものの装甲と旋回性で勝り、更にエースパイロット”ゴードン”が優れた空中戦法を開発し、ペガサロスに優位を得るようになります。
しかしその後、更に共和国軍がペガサロスの編隊飛行や集団戦法を徹底します。
戦術向上により、再びシンカーとペガサロスの戦力は拮抗し、激しい戦いを続けるようになった とされています。

戦闘機械獣のすべてでは、初期においては主力戦闘機だったが、シンカー登場後は力不足となったとされています。
そのため、プテラスが就役した後は戦闘機任務を降り、対地攻撃に使用されるようになったというものです。

戦闘機械獣のすべてでは、整備中のスナップも載っていたりします。

こういったものも、貴重な風景です。燃料タンクらしきものから補給している風に見えますが、このスナップから色々考えても面白いと思います。

History of ZOIDSや戦闘機械獣のすべてをまとめて考えると、
・初期においては最強の制空戦闘機だった
・しかしシンカーが登場すると苦境に立たされる
・戦術向上で多少持ち直すものの、やはり総合力でシンカーにかなうものではなく、劣勢になっていった
・その後、後継機プテラスの登場で、戦闘機の座を譲り対地攻撃機に転化された
という感じでしょうか。

ゾイドバトルストーリーの方をいまいちど見直すと、具体的な活躍描写は無いものの戦力比較表でかなりの好成績を示している事が分かります。
他の共和国小型ゾイドがのきなみ「負け」なのに比べ、ペガサロスは「勝ち」あるいは「引き分け」が多く、かなり奮闘しています。
この戦力比較表から推測するに、対地攻撃機として使用されたペガサロスは、かなりの有効性を発揮したのでしょう。

更に後の時代、プテラスも後継機レイノスの登場によって戦闘機の座を下ります。
そして対地攻撃や軽爆撃機として運用される事になりますが、こういった主力機の入れ替わりは共和国伝統のものとなってゆきます。

色々と見ていると、なかなか魅力的な戦歴を持った機体だと思います。


制空戦闘機 ペガサロス

まだまだ洗練されていない部分の多いゾイドですが、それでも魅力あるものも沢山持っています。

バトルストーリーでの登場は多くありませんが、グライドラーやペガサロスをより深く知る事は、プテラス以降の飛行ゾイドをより魅力的に見せる事に繋がると思います。
洗練されていない部分は多いし、後のゾイドと比べると直球でカッコいいとは言いがたい部分も残ります。
しかし、玄人向けのマニアックで素晴らしい機体だと思います。


バリエーションモデル

 ヘリックメモリアルボックス2


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