メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 高速探査機 グランチュラ<GURANTULA>

■グランチュラ(クモ型) データベース■

 発売年月 1983年?月  発売当時価格 580円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 RMZ-04

 スペック 全長6.0m 全高4.8m 全幅6.0m 重量4.6t 最高速度330km/h 乗員1名

 主な武装
  マクサー20ミリビーム砲(×2) ワイヤー射出機 パイクラーエレショット

 特徴
  もとは、ゾイド星の陸上機械獣。軽量なボディと自在に動く脚を生かして、高速陸上探査機に改造。


前後より

探査用ゾイド、グランチュラです。ゾイド史上初の多脚ゾイドでもあります。
8本の脚はひときわ特徴的です。グランチュラが登場した時、2足と4足タイプのゾイドは居ましたが、6足タイプはまだ存在しませんでした。
最多でも4足タイプだった時代に、一気に8足タイプとして登場したのがグランチュラ。そのインパクトは大でした。

また、ガリウス、グライドラー、エレファンタスに次ぐ4番目のゾイドです。これらのモチーフを見てみると面白いです。
なにせ、恐竜、鳥類、哺乳類の次にクモを出したのだから驚きです。

造形は、初期小型ゾイドらしい、フレームむき出しで細身な仕上がりです。しかし従来の機体と違い「虫系」なので、細身な事はむしろプラスに働いています。
いかにも初期ゾイドらしいデザインながら、細すぎる印象は無くむしろ理想的な体形をしています。
グランチュラは、モチーフ選びの時点で勝ちを得たゾイドだと思います。


側面より

8本の脚が改めて不気味です。クモらしさが十分に発揮されたデザインだと思います。

ただ初期ゾイドらしく、モチーフに忠実かというと疑問な所は多々あります。
実際のクモとグランチュラの最大の違いは、脚が生えている場所でしょう。
クモは頭胸部…体の前半分から脚が生えていますが、グランチュラは腹部から脚が生えています。

とはいえ、特徴的な8本の足は実にクモらしいものでもあります。
よくよく見るとクモとはかなり違う。けどパッと見の印象は間違いなくクモ。
グランチュラは、そんな風なモチーフ消化をしていると思います。

また、クモの中で具体的にどの種類がモチーフかは不明です。
名称からすればタランチュラがモチーフな気もしますが、足の細さはタランチュラ的ではありません。
むしろコガネグモなどのスマートな脚に近いように見えます。
そういった意味でも、グランチュラはクモという大雑把なイメージを元に作られたものだと思います。


フェイス

頭部は、共通コックピットが使用されています。
コックピット下部にはマクサー20mmビーム砲が2基付いていますが、これはおそらくクモの牙を模したものでしょう。
「牙がある=共通コックピットを使用しつつも専用パーツをプラスする事によってモチーフ再現を試みている」といっても、不気味な印象のクモの顔と、どちらかというと優しい表情をした共通コックピットのデザインはかなり趣向が異なります。
クモ的な顔かというと、疑問といえば疑問です。

ただ、グランチュラの全体的なデザインの中で、この共通コックピットは良く似合っています。
先にも書きましたが、腹部から脚が出ていたり、モチーフ再現に徹底したとは言いがたい機体です。
そんな不思議なバランスで「クモ型」であるグランチュラ。そのグランチュラの顔としては、いい感じにまとまっていると思います。

コックピットの中には、もちろんパイロットが入っています。

グランチュラのパイロットは1名で、ここから全ての操作を行います。

頭部は、横を向く事ができます。ただし横を向くのは共通コックピットのみで、牙の方は旋回できません。

首の付き位置構造を見ると、「顔は回るが砲は回らない」その構造が良く分かります。

牙と頭部が分離して動いてしまうというのは、評価と解釈の分かれるポイントだと思います。
ちなみに、牙…、マクサー20mmビーム砲は、旋回は出来ませんが仰角や俯角を付ける事は出来ます。

仰角はわずかしか付けられませんが、俯角は大きく取る事が出来ます。もちろん、左右で独立して動かす事も出来ます。


武装

武装は、シンプルながら適量がバランス良く配置されています。
クモらしく、ワイヤー射出機が後部にあるのが面白いです。

グランチュラは、もともと戦闘用というより探査機という色の強い機体です。
おそらく、初期においては野性ゾイド生息域の探査、および野性ゾイドの捕獲が主任務だったと思います。

野性ゾイド捕獲用の機体として見れば、グランチュラはなかなか面白いです。
8本の脚はあらゆる地形に適合します。機動性は抜群で、野生体を翻弄する事が可能。
また、上部にパイクラーエレショットを持ちます。具体的なものは不明ですが、名称から考えおそらく電撃を放つような装備でしょう。
そして、後部にワイヤー射出機。

野性ゾイドに近づくグランチュラ。機動力を活かし射撃位置に移動、パイクラーエレショットを叩き込む。電撃で麻痺した野性ゾイドをワイヤーで絡め取る。
おそらく、初期ゾイドの多くはグランチュラによって捕獲されていると思います。
直接の戦闘では、その貧弱な装備や防御力の無さゆえに目立つゾイドではありませんが、縁の下の力持ちな機体として認識して良いと思います。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。ギミックは素晴らしい出来です。

連動ギミックとしては、歩くだけです。しかし、その歩き方が何とも不気味で素晴らしい出来です。
なにしろ、グランチュラの脚は8本もありますが、この8本の脚を全て動かしながら歩きます。
他に連動ギミックが無い分、鑑賞は必然的に脚に向かいます。
連動ギミックが少ないのは寂しい。しかし、他を排除する事で不気味な脚の動きに目がいくように仕向けたのは、むしろ正解だったと思います。

特徴的な脚の動きですが、その玩具的な構造も特徴的です。

実は4脚が1セットになっています。これが2つあります。
つまり見た目上は8本の脚がそれぞれ独立して動くようになっていますが、構造としては二対で動かしているのです。
裏面から見ると、その構造がより分かります。

この構造はアイデア賞ものです。初期のゾイドには構造の面白さが溢れていますが、グランチュラもそんな中の一機です。
ともかく、その動きは必見。そして構造の理解も必見な機体になっています。

手動ギミックとしては、頭部の旋回、マクサー20mmビーム砲の仰角/俯角変更、パイクラーエレショットの旋回です。

パイクラーエレショットは360度全周囲に旋回できます。
手動ギミックに関しては、このクラスとしては相応のものかなと思います。

グランチュラのギミックを総じて言うと、数値的な可動箇所が多くありません。しかし実際のインパクトは素晴らしいものがあり、優秀なものだと思います。


戦歴

ゾイドバトルストーリーでは、主役を張ったような戦いは掲載されていません。やはり、メインの用途としては裏方。探査や捕獲用だったのだと思います。

しかし、やられ役としては何度か出演しています。
初期戦役の有名な戦いに、アイアンコング150機が一斉に中央山脈を突破し共和国領土になだれ込んだものがあります。
この時、「共和国の小型ゾイド部隊が、かなわぬ事を知りながら繰り返し攻撃を試みた。コング部隊の進撃スピードを何とか遅らせようという共和国軍の苦しい作戦であった」との記述があります。
そしてコング部隊と蹴散らされている小型ゾイドの写真もありますが、よく見るとこれがグランチュラです。

奥の方にはペガサロスとエレファンタスの残骸も確認できます。が、最も多いのはグランチュラです。
アイアンコングとゴジュラスの決戦時も、足元をよく見るとグランチュラが転がっています。
少なくとも多数のグランチュラがコングに挑んでいったというのは確実です。勇ましくもあり、また悲壮感極まるものです。

グランチュラは、虫型という特性から考えて配備数は多かったと思います。
その多くは探査用だったと思いますが、戦場に送られた機体もあった。そして貧弱な装備や劣悪な防御に苦戦しつつも戦っていた…。そんな姿を想像したい所です。

グランチュラの戦歴については、戦闘機械獣のすべてにも載っています。
この本の「アルダンヌの戦い」では、戦闘に参加している描写があります。この時は、偵察用として使用されています。
また機体解説によると、「砂漠や岩場での戦闘に強く、武装は貧弱だが集団戦や奇襲攻撃を行う」とされています。
この辺りからも、想像を広げたい所です。

学年誌の方だと、戦闘に参加している具体的な描写を1つだけですが見つけることが出来ました。
「砂漠の戦い」と呼ばれるグローバリーIII飛来以前の戦いで、ビガザウロ率いる共和国部隊の前衛として参戦しています。

砂漠の戦いで前衛部隊を務めたという事は、「砂漠や岩場で戦闘に強い」という、戦闘機械獣のすべてにおける記述が裏付けられた形です。
やはり8本の脚により、砂漠を軽快に走破できたのだと思います。ガイサックの就役より前は、砂漠戦においてはメイン級の戦力だったのかもしれません。
ただし、この戦いの時は帝国側が送り込んだ改造レッドホーンにより全滅させられていますが。

決して出番は多くない機体ですが、数少ない描写を見ていると、なかなか想像を掻き立てるものでもあります。
探査シーン、捕獲シーン、そして戦闘シーン。色々なシーンで使われるグランチュラを想像したい所です。
しかし、よくよく見てみると描写されたものは全て敗退するシーンになっています。想像する中で、機体特性を活かした活躍シーンも想像したい所です。


多脚型ゾイド グランチュラ

ゾイドと言えば恐竜や哺乳類などのヒーロー系が主役的な所はあります。
しかしそれらヒーローゾイドが活躍できるのは、ゾイドワールドが何とも魅力的だからです。
そしてその魅力的な世界観は、素晴らしい種の多様性があるからこそ出来ていると思います。

グランチュラは、初めて登場した虫系ゾイドです。
虫系はじめ、いわゆるキワモノ系も多く登場したゾイド。これこそが、種の多様性を強烈に印象付け、ゾイドワールドの地盤を確たるものにしたと思います。
その先駆けとなったグランチュラ。まさに、非常に意義のあるゾイドだと思います。

もちろん単体でも魅力的なゾイドですが、世界観を大いに盛り上げた所でも見つめ評価したい所です。
地味ながら今後もこのようなゾイドが活躍して欲しいと強く願います。


バリエーションモデル

 ヘリックメモリアルボックス1


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