メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 空間探査機 グライドラー<GLIDLER>

■グライドラー(鳥型) データベース■

 発売年月 1983年?月  発売当時価格 580円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 RMZ-02

 スペック 全長5.3m 全高5.2m 全幅6.2m 重量3.9t 巡航速度M1.0 最高速度M2.3 緊急飛行速度M4.2(ブースターロケット使用) 航続距離2万km 乗員1名

 主な武装
  ビームバルカン ブースターロケット 対空ミサイル(×4)※対地ミサイルに換装可、また混用も可能

 特徴
  もとはゾイドゾーン(2P01)の機械鳥。
  軽快な運動性を生かして空間探査機に改造。共和国メカの空間偵察機として使用される。
  発展型にペガサロスがある。第1次星域戦突入時、帝国メカによりその大半が撃破された。


前後より

ガリウスに次いで登場した、第二号ゾイドです。飛行可能なゾイドとしては初の存在であり、記念すべき機体でもあります。
とはいえ、極初期の機体という事もあり、プロポーションはお世辞にも良いものとは言えません。
翼は綺麗なラインを描いており、更に羽毛をメカニカルにしたようなディティールが入っているのは、初期の機体ながら出色の出来です。
ですが全体としては鳥に見えません。鳥として見るには、巨大な脚(?)のインパクトが凄すぎるのです。
また、鳥にしてはクチバシが無いのも気になります。

極初期のゾイドは、一応モチーフはあるものの、「モチーフに似た」というレベルの捉え方でした。
後の、「細部までよく再現した」機体と比べると、その方向性の差が顕著です。

キットの造りも、後のゾイドと比べると非常に特徴的な所があります。それはギアの色です。
蛍光オレンジというあまりにも派手な目立つギアを使用し、ゼンマイからの動力伝達をアピールしています。

これもまた、極初期のゾイドゆえの仕様です。
極初期のゾイドは、科学教材的な、知育玩具的な側面が大いにありました。その為、ギミックの造りが分かりやすいようになっているものでもあります。
もちろん、後のゾイドも知育玩具と言える造りになっています。しかしそのバランスは初期ゾイドの方がより顕著でした。
非常に特徴的な色をしたギアですが、極初期のスタンスが伝わってくる意味において非常に興味深いものです。


側面より

極初期の機体なのでプロポーションはあまり気にするべきではない…とは思いますが、それでも思ってしまいます。
飛行ゾイドとしてはあまりにも、限りなく、空気抵抗がありそうです。
それでいて、飛行性能はスーパークルーズ(超音速巡航)が出来る程の高性能機とされているので、ちょっとシュールに感じてしまいます。

ただ側面から見ると、フレームの形が良く見えます。
フレームの形は鳥のようであり、もしかして巨大すぎる脚がなければちゃんとしたスマートな鳥型に見えたのかも…とも思えてきます。
脚を改修し、更に首の角度を変更可能なようにすれば、割と化けるのかもしれません。

巨大すぎる脚は、水上機のフロートのようにも見えます。
グライドラーは鳥型ですが、媒体によっては水鳥型と書かれています。この装備は、やはりフロートを意識したものであるとして間違いないと思います。


フェイス

頭部は、共通コックピットをストレートにそのまま使用しています。その為、頭部だけだとガリウスと全く同じになっています。
「専用パーツを付けて鳥らしく」という思想はこの段階ではまだ無いようです。

コックピットの中には、もちろんパイロットが入っています。

それにしても、「ガリウスとグライドラーが共通したコックピットを持つ」というのはなにげに重要な事実だと思います。
陸上機ガリウスと航空機グライドラー。
両者の操縦は大きく違っているものと思いますが、同じコックピットでこなせるという事です。
この辺りに、ゾイドの操縦法の謎を解くヒントがあるような気もします。


鳥型ゾイド

先にも書きましたが、スーパークルーズが出来る程の高性能機です。最高速度はM2.3で、更に緊急時の速度はM4.2とされています。
最高速度は、プテラスでさえM2.2です。緊急時の速度で言えば、あのギル・ベイダーの最高速度M4すら上回っています。
更に、航続距離も2万kmを誇ります。ゾイド星を半周以上も飛行できる驚異の航続距離です。
恐るべしグライドラーのスペックですが、これを初期ゆえのシュールな設定と捉えるか、後のゾイドと整合性を取るべく考察してみるかは分かれ目だと思います。

個人的には後のゾイドとの整合性を取りたかったので、あれこれ考えてみました。
速度についてはこちらの、航続距離についてはこちらのコラムにまとめてあります。

スピードや航続距離のカタログ数値の他、武装もあんがい強力です。
胸部にビームバルカンを持ちますが、これは12砲身のガトリングになっておりなかなの迫力です。また、威力もかなりのものを期待できそうに見えます。
ガトリングといえばゾイドでは定番武器ですが、グライドラーのビームバルカンこそ最初のガトリング砲です。

その他、4発のミサイルやブースターロケットを持つとされています。しかしこれらの装備は、いったいどれがそれなのか不明です。
キットを見ても、それらしい装備が見えません。
ここから考えるに、ミサイルは内臓式であり外観上は分からないのかもしれません。しかし、それにしてもどこに収納…?
もしかすると巨大な脚部がブースターロケットであり、またミサイル収納場所も兼ねているのかも…。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。ギミックはなかなか面白いです。

連動ギミックとしては、翼と足を動かしながら前進します。
翼は、小さな翼を懸命に動かしている様からパタパタという言葉が似合う感じです。
小型ゾイドという事も手伝い、動いている時のグライドラーはなかなか可愛らしいものがあります。
可動範囲は、水平から画像のような角度まで開きます。まずまず広い角度だと思います。

特筆事項は、「左右の翼を揃えて羽ばたく」事です。
二足歩行ゾイドの腕を思い浮かべれば分かりやすいですが、普通に設計すれば「左右交互に」動くようになる筈です。
しかしそれでは翼の動きとして不適当という事で、グライドラーの翼は工夫を凝らした上で、きちんと「左右揃って」羽ばたくようになっています。
何気ない部分ですが、ゾイドがギミックにかける情熱が伝わってきます。

この後、翼の羽ばたきギミックを持ったゾイドは数多く誕生します。その全てが、きちんと左右揃って羽ばたくスタイルをとります。
ゾイドギミックにおいて、ド派手な羽ばたきギミックは真骨頂の一つです。その始祖は、第一号飛行ゾイド・グライドラーにあります。

脚は、翼と違い交互に動かします。
揃って動く翼と交互に動く脚。改めてグライドラーを動かすと、初期ゾイドながらなかなか魅力的に見えてきます。
なお、グライドラーは脚を動かしますが、実は脚で前進しているわけではありません。
脚の奥には車輪があり、それにより前進しています。グライドラーは、タイヤ使用ゾイドの第一号でもあります。

初の飛行ゾイド。初のガトリング装備ゾイド。初の羽ばたきギミック搭載ゾイド。初の車輪式ゾイド。グライドラーは。初めて尽くしのゾイドです。

手動ギミックは、共通コックピットが旋回可能なのと、キャノピーの開閉です。
手動ギミックはやや寂しい仕上がりですが、連動ギミックはなかなかの見応えがあり、極初期の小型ゾイドとしては誇って良い出来だと思います。


戦歴

戦歴は、かなり謎が多いです。
ゾイドバトルストーリーが開始された頃は、既にペガサロスに主力の座を譲り一線を退いていました。
設定にある「第1次星域戦突入時、帝国メカによりその大半が撃破された」という一文が唯一、一線級だった頃の戦いを思わせます。
初期の対空火器はお粗末なものでしたが、それでも大半が撃破されたグライドラー。
おそらく運動性能は劣悪で、戦闘用としてはあまり適さないゾイドだったのだと思います。
また、防御力も見た目通りのものだったのでしょう。

ペガサロス就役後は戦闘用としての任務を終えましたが、その後も偵察用・連絡用としては運用され続けたようです。
その頃の活動記録は、わずかですが残されています。
戦闘機械獣のすべてには、ゾイド史上初の大規模部隊同士による近代戦として有名な「アルダンヌの戦い」の様子が載っています。
この戦いに、グライドラーも偵察機として使用されています。
最も、偵察機として飛び立ったにもかかわらず会敵できないまま消息を絶つ…という活躍には程遠いものでしたが…。

なおこの時、上のイラストのように垂直離陸しているようなシーンがあり、なにげに貴重です。
(戦闘機械獣のすべて アルダンヌの戦いは、ジオラマではなくイラストで構成されています)

また戦闘機械獣のすべてによると、民間でも使用されたとの記載があります。
民間でも使用されたとハッキリ書かれているのは、おそらくグライドラーが唯一です。
民間用と軍事用が並行して生産されたのか、退役した軍用が民間に払い下げられたのかは不明です。

戦闘用としてはパッとしなかったのは確かですが、偵察・連絡用として。また民間用として活躍したというのは大いに誇っていいものでもあります。
グライドラーのスタイルを見ていると、正直、戦闘よりもそういった任務の方が似合っているとも思います。


初代飛行ゾイド グライドラー

極初期ゾイドならではのシュールな造形が色濃いですが、それでもこの機体は様々な追求できる要素があり、とても魅力的です。
「初の○○」が多い機体でもあり、ガリウスと共に初期ゾイドとして語り継がれるべき始祖ゾイドだと思います。

後のゾイドと比べるといかにもカッコ悪いのは否定できませんが、深く追求すればするほどどんどん味が出てくる、スルメのようなゾイドだと思います。
「カッコいい」ではありませんが、それでもゾイド世界をより深く楽しむ為のヒントが多く隠されている、ディープな楽しみ方が出来るゾイドです。


バリエーションモデル

 メカボニカ メカトロス

 ヘリックメモリアルボックス1


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