メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 戦闘機械獣 ガリウス<GARIUS>

■ガリウス(恐竜型) データベース■

 発売年月 1983年?月  発売当時価格 580円  動力 小型ゼンマイ

 型式番号 RMZ-01

 スペック 全長6.5m 全高7.8m 全幅3.5m 重量12.5t 陸上最高速度270km/h 乗員1名

 主な武装
  マクサー35mmビーム砲 エルパミサイルランチャー(×2) パイクラーエレショット

 特徴
  運動性、戦闘能力は当時(初戦時)としては抜群。高いコックピットを生かしての偵察行動を得意とする。強襲型に改造されたゴドスがその発展型にある。


前後より

極初期の歩兵ゾイド、ガリウスです。
記念すべき第一号ゾイドであり、ゾイドの歴史はガリウスから始まっています。
華々しい活躍こそしていないものの、非常に歴史的意義のある偉大な機体です。

第一号ゾイドながら、キットとしては後のゾイドに継承される構造が完成しきっており、とても驚かされます。
・接着剤不要の組み立てキット
・塗装が不要
・組み立て後に分解する事が可能
・プラ部品は部品番号が刻印されており、番号順に組めば説明書が無くても組み上がる
・関節部にゴムキャップを使用する
・コックピットがあり中にパイロットフィギュアが入る
・完成したキットは動力により歩行ギするミックがある
などなど。

ゾイドのキットはその後、ガリウスと同じ仕様を採用しその数を増やしてゆきます。
TFゾイドなど極一部の例外を除き、この仕様は一切変更される事なく引き継がれてゆきます。これは、いかに第一号ゾイド、ガリウスが優秀だったかという事です。

ガリウスがリリースされた当時は、プラモデルと言えば接着剤と塗料が必要というのが標準でした。
ゾイドはその点を改良しており、「接着剤不要で組み立て難度が低い=子供でもとっつき易い」「塗料が不要=当時問題になっていたシンナー問題の解決」という革新的なキットでした。
しかも、それでいてディティールは従来の接着剤・塗料が必要なプラモデルに劣らない出来で、市場からは大きな驚きを持って歓迎されました。

この時代としては、ゴムキャップも革新的な素材だったし、パイロットフィギュアの存在も大きかったです。
パイロットフィギュアは、この時代の玩具ではほとんど付属しなかった要素です。
これがある事で実在感が増し、感情移入度が大きく上がります。

様々な要素を欲張りに求めながら、それら全て高次元にまとめ上げた傑作キットです。
この時代のキットとしてはオーパーツと言っても良い仕上がりだと思います。
このガリウスが素晴らしい完成度で登場したからこそ、後のゾイドシリーズは大河シリーズとして大成する事が出来たといっても過言ではありません。


側面より

一方、後のゾイドと比べると異なっている点もあります。
それはデザイン面です。
後に誕生するゾイドは装甲をまとっており、肉付きの良い造形をしています。
対しガリウスは装甲と呼べるものが一切無く、肉の付いた造形ではなく「骨」をモチーフにした造形になっています。

「骨をモチーフに」というのは、極初期のゾイドにおいてのみ見られるデザインです。
小型ゾイドでは数種類、大型ゾイドではビガザウロのみが骨をモチーフとしていますが、その他のゾイドは肉の付いた状態をモチーフとしています。

骨がモチーフなだけに、非常に細く貧弱な感じは否めません。
しかし骨格がモチーフなだけに、特有の見所もあります。
背中のラインなどはうっとりするほど滑らかで美しいラインを描いており、こういった部分は骨がモチーフであるからこそのものです。

一方、腕のラインなど、まだまだ洗練されていないと思える箇所も多くあります。
総合的に言うと第一号ゾイドであるゆえのカオスさも感じます。
非常に味のあるデザインなのは確かです。

後のゾイドと比べると、パッと見で「貧弱」の判断を下しそこで終わってしまいそうです。しかしじっくり深く見てみると、色んな要素が見えてきます。
ガリウスは、正直に言うと、まだまだ洗練されたデザインでは無いと思います。
しかしここからゾイドが始まり、色々な部分が後のゾイドにその都度「洗練されながら」引き継がれていったと思うと、非常に興味深いです。


フェイス

頭部は、コックピットを兼ねています。

頭部は独立したパーツになっており、取り外す事が出来ます。
後の小型ゾイドの多くは、これと同型のコックピットを採用する事になります。
それゆえ、このコックピットは「共通コックピット」とも呼ばれます。

デザインはいかにもスタンダードなコックピットという感じですが、そのデザインはガンダムシリーズのガンタンクの影響があるような気もします。

まぁ、デザインは先にも書いたように、スタンダードに「コックピットである」ような感じで、奇をてらった感じはありません。
独自性が発揮されたデザインというよりは、誰しもが思いつく形状を綺麗に整えたといった風に感じます。
なので、実際のところガンタンクの影響が合ったのか無かったのかは不明ですが。

側面にはハードポイントがあり、将来的な拡張に対応しています。
これにより後に様々なゾイドが生まれる事になります。

コックピットのキャノピーは開閉可能です。

パイロットフィギュアを乗せる/降ろす事が出来ます。やはりこういったギミックがあると実在感が大いに増します。
このコックピットに座り戦うんだ…!という事がストレートに伝わり、ワクワク感が大いに刺激されます。


パイロットフィギュア


パイロットフィギュアは1/72で造形されています。造形は非常に細かく出来ています。
服装は軍服で、ヘルメット、ブーツ、防弾ジャケットのようなものが造形されています。
顔はむき出しで、マスクやゴーグルのようなものは付いていないようです。

金メッキが採用されているのが特徴でもあります。
このメッキの理由は謎で、ユーザー間で憶測が飛び交いつつも決定的な結論は出ていません。
無くした時に見つけやすいようにとか、コックピット中に入れた時に目立つように(人が入っているという事が分かりやすいように)とか言われています。
また、宇宙服をイメージしてあるのでは、とも言われています。
極初期のゾイドは「宇宙」を強くイメージした世界観を持っていたので、これはなかなか有力な説かもしれません。

意図は結局不明なままですが、個人的には飛び交う全ての説が総合的に議論され採用されたカラーなのではないかと思います。
パイロットフィギュアにメッキが採用されているのは、メカ生体ゾイドシリーズの大きな特徴です。


第一号ゾイド

第一号ゾイドでモチーフは骨です。ゾイドとしてはいかにも貧弱な感じは否めませんが、よくよく考えると第一号ゾイドなので当然かもしれません。
というのも、第一号ゾイドなので必然的に対人用兵器として位置づけられていると推測出来ます。
後の「既にゾイドが在る」状態において登場したゾイドは、対ゾイド戦…、ゾイドの大型火器や格闘武器による攻撃に耐える防御力が必要だが、他にゾイドが居ない(居たとしても極めて原始的なゾイドでしかない)状況で登場したのがガリウス。
歩兵の装備程度なら重い装甲を付けずともフレームの強度ではじき返せる。
合理的な姿と解釈できない事もありません。

ガリウスの搭載火器も、対人用としてはかなり有効そうに見えます。
あと足も…、あまり想像したくはありませんが、踏み潰すのに適していそうに見えます。

対ゾイド戦を想像すると、いかにも貧弱でやられイメージしか出てこないガリウスですが、第一号ゾイドであるからこそ想像できる「対人」という側面を考えると、非常に勇ましいものも想像できます。


ギミック

極初期のゾイドという事で、ギミックはアッサリしたものです。
連動ギミックとしては、腕を振りながら前進します。
後のゾイドと比べるとシンプルですが、なにしろ二足歩行なので重心が高く、見栄えはそれなりにあります。
なお二足歩行ですが、実際は尻尾の先端が地面についており、これが第三の脚の役割を果たしています。
なので正確に言うと、見た目は二足歩行、正確には三足歩行となっています。

また、装甲が無く機体が軽いからか、思いのほか長く歩きます。
…後のゾイドは重たく、ゼンマイを思いきり巻いても割とすぐに止まりがちで、キットを持ち上げるとまた動き出す…という感じなのがあります。
その点、ガリウスは軽量なので最後まで歩き通すような感じです。

手動ギミックとしては、コックピットを旋回できることと、キャノピーの開閉、腰のミサイルの仰角変更です。
総じて、やはりアッサリ仕上がりですが、一号ゾイドとしては妥当な仕上がりだと思います。


戦歴

戦歴は、かなり謎が多いです。
というのも、ゾイドバトルストーリーが開始されたのは1984年。ゴジュラスの発売をきっかけに、学年誌はじめ各種媒体での掲載が始まりました。
1884年といえばゴドスの発売された年でもあります。
ゴドスは何度も登場していますが、同型で旧式のガリウスがピックアップされる機会は少なく、ついに具体的な戦闘描写が無いまま一線を退いてしまいます。
その後のゾイドバトルストーリーでは「既に一線を退いており訓練に使用されている」という扱いになっています。

初期戦役で使用されていたがゴドス就役後は旧式化し一線を退いた。その後は訓練機になった。
それは確実なようですが、具体的な描写がないので謎が多いです。

そんな中、唯一確認できたのは、改造タイプの記事です。

首に大型のレーダーが付いている他、脚部も大きく変わっています。
この改造タイプが掲載されたのは、既にゴドスの就役後の事です。なので、これは旧式化したガリウスに改修を施した延命措置なのかもしれません。
初期戦役での主力ゾイドだっただけに、膨大な数が生産されていたはずです。ゴドス就役後は膨大な数が余剰機となった事でしょう。
一部は記載通り訓練機に転換されたと思います。
しかしそれでも余った機体はこのように改修されて再び一線に赴いたか、あるいは無改造のまま二線級の場所に送られたような機体も多かったと思います。

ガリウスは、具体的な描写は非常に少ない機体です。活躍シーンはおろか、やられシーンすら確認できませんでした。
極初期の頃は活躍したと思いますが、残念ながらバトルストーリーが具体的に描かれるようになったのは後の時代になってからだった…。
非常に寂しい機体です。

しかしそれを逆手に取り、極初期の活躍を自由に想像してみたり、あるいは旧式化した後の扱いを想像してみると、意外なほど楽しい機体でもあります。


初期主力ゾイド ガリウス


デザインは、正直まだまだ洗練されていない部分が多いし、華は少ないです。
戦歴も登場シーンが少なく地味です。
ですが、第一号ゾイドながら後のゾイドに引き継がれる確かな完成度を持っているのも確かです。
後のゾイドは、ガリウスが築いたものを下敷きに、それを絶えず改良しながら創り上げてゆき、そして大人気を得ました。
そういった点を踏まえてガリウスを見直すと、色々と興味深く学べるものが多い気がします。

子供の頃は、正直、何だこの細いヤツは…位にしか思えなかった機体ですが、よりディープになってから見直すと素晴らしい意義を感じられた機体です。
始祖ゾイドとして、忘れじの機体です。


バリエーションモデル

 メカボニカ メカギラス

 ヘリックメモリアルボックス1


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