メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 重装強行攻撃型 カノンフォート<CANNON FORT>

■カノンフォート(バッファロー型) データベース■

 発売年月 1989年4月  発売当時価格 1000円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 RHI-12

 スペック 全長14.8m 全高6.8m 全幅5.3m 重量55.0t 最高速度190km/h 乗員2名

 主な武装
  重撃砲(×2) ビームホーン(×2) 四連速射砲 二連ガンランチャー ジャミングテイル

 特徴
  暗黒大陸への上陸メカとして開発された戦闘機械獣である。背部の重撃砲は強力な破壊力を持ち、遠くの敵を攻撃する。
  搭乗員は2名で、主砲は独立系統になっており、操縦、攻撃をそれぞれが行うことによって、戦闘能力を向上させている。
  また装甲材質の軽量硬質化により、機動性を高めている。
  胸部は格納庫になっており、弾薬などの物質をつみ、単独での長期作戦行動が可能である。
  尾は、妨害電波を発生することができる。


前後より

対暗黒軍戦用ゾイド第一号であり、メカ生体期においては、最後のHiユニット級ゾイドとなったカノンフォートです。
ディバイソンの廉価版とも言うべき機体ですが、単なる小型化に留まらず、様々な箇所で独自の魅力を放っている名機です。

背中にドカンと大きな大砲を背負った、いかにもミリタリーテイスト抜群のゾイドです。
背中に砲塔。そこに巨大な大砲。ストレートな見せ方ですが、それゆえに魅力的です。カノントータス以来久々の"超"大砲系ゾイドの登場だったと思います。

巨大な砲を背負っていますが、バッファローらしい盛り上がった肩を上手く砲塔に仕立てています。
その為、取って付けたような違和感は全くなく、この辺りの処理はさすがです。
ただキット的に言うと、上下パーツを張り合わせる構造になっており、合わせ目に隙間が出来やすくなっています。
合わせ目が目立つのは大きな難点です。カノンフォートのキモとも言うべき箇所なので、ここはもう少し気を配って欲しかった所です。

砲塔自体のデザインは、良く出来ています。

ハッチなどもあり、いかにも実在戦車の砲塔を思わせる秀逸な出来です。
ここまでリアルな素晴らしい仕上がりなので、ディティールアップする際はスモークディスチャージャーや機関銃をプラすると映えそうです。

砲は二門です。それゆえ、戦車の砲塔のようであり、また戦艦の砲塔のようでもあります。
砲身は太く比較的短くなっており、臼砲のイメージがあります。
現状でも良いと思いますが、カノントータスや改造ディバイソン"ビッグ・バッド・ジョン"のような、「更に巨大な砲を1門」という仕様でも良かったような気がします。
というか砲塔なので、換装して「1門で更に巨大な砲にしたタイプ」「ディバイソンのように小口径の砲を多数装備したタイプ」など…、色々見てみたい気がします。


側面より

ちょっと顔が大きい気もしますが、子牛のようで可愛い気もします。子供チックというのはゴルヘックスとも共通します。

先に砲等の合わせ目が気になると書きましたが、側面から見るとより分かりやすいです。改めて、もう少し気を配って欲しかった箇所です。
その他、側面から見ると特徴的なことがあります。
それはカノンフォートというよりキットの特徴ですが、なぜかカノンフォートの左側面には、大きく「TOMY」の彫刻があります。
何故こんなにも目立つ位置にTOMYロゴが入っているのかは謎です。

このTOMYロゴは、玩具感をかなり強める彫刻です。なので、特にミリタリーな雰囲気たっぷりなカノンフォートでやってしまったのはマズかったかなと思います。
余談ですが、この部分はゾイドジェネシス版として再販された際に金型変更されており、TOMYロゴは消え四角いモールドになりました。

ちなみに、左側面には大きくTOMYロゴがありますが、右側面には小さな文字でTOMYの文字が彫られています。

何故両側にTOMYの彫刻を入れたのか…。改めて謎です。
なお右側面の小さなTOMYは、ゾイドジェネシス版でもそのままです。


フェイス コックピット

頭部デザインは、非常にスタンダードな感じがします。
ディバイソンと同じく上の歯がありませんが、モチーフと共通する仕様です。一見して奇異ですが、モチーフを良く研究・再現している場所です。

難点を言えば、頬のインテークらしき装備が、かなり厚ぼったくダルい感じに造られている事です。
ここがシャープになっていれば、かなり全体が引き締まっていたと思います。
またバッファローという事で角がありますが、下面に目立つ肉抜きがあるのも難点です。
頭部ではありませんが、下面に目立つ肉抜きというと重撃砲にもあります。肉抜きが各部で目立つのはカノンフォートの弱点です。

頭部デザインはスタンダードだと思いますが、共和国ゾイドとしては珍しく、キャノピーを廃し装甲式コックピットを採用しているのは大きな特徴です。
これは大きく触れる必要があると思います。

共和国側で初めて装甲式コックピットを採用したのはディバイソンで、その次はマッドサンダー。これらの機体は明確な「装甲式コックピットにする必然性」がありました。
対しカノンフォートは、「必ずしもそうする必要は無いが装甲式コックピットにした」初のゾイドです。
カノンフォートの装甲式コックピットは、「小型ディバイソン」という事を考えれば何となく納得できる感じはします。
しかしカノンフォートが「共和国=キャノピー」の図式を大きく切り崩し、後の機体がすべからく装甲式コックピットを採用して行く走りになったのは否定できません。

技術的な事を考えれば、むしろ装甲式になっていく事は当然です。
より安全なのは、言うまでも無く装甲式。
ディバイソンやマッドサンダーで蓄積された装甲式コックピットの技術が熟成し、いよいよ全ゾイドに搭載できるようになったと考えた方が合理的です。
ですが一方で、ゾイドはフィクションでもあります。
フィクションならではのデザイン的分かりやすさを示す大きな記号として「共和国=キャノピー」という伝統はあったと思います。
装甲式にする必要がある極一部の例外的機体を除き、キャノピー式の共和国という伝統は、出来れば引き継いで欲しかったと思います。
そうしてこそ、「共和国らしさ」が強調され、また例外的機体のカリスマ性が高まったと思います。

他方、暗黒ゾイドについても触れる必要があります。初期の暗黒ゾイドはキャノピー式のスタイルを採用していました。

暗黒軍編スタートにあたり、従来の「共和国=キャノピー、帝国=装甲式」の図式を逆転させ、「共和国=装甲式、暗黒=キャノピー」にしたかったのだと思います。
この逆転によりデザインに革新を与え、これまでに無い新しいデザインを提供したかった意図が見えます。

しかし非常に残念な事に、暗黒軍はキャノピー式のスタイルを早々に廃してしまいました。
ジーク・ドーベル以降の暗黒ゾイドには、帝国ゾイドと同じ装甲式コックピットが採用されています。
唯一、ギル・ベイダーはキャノピー式を採用しましたが…、しかしその後はやはりまた装甲式に戻ります。
結局、暗黒軍のキャノピー式ゾイドというスタイルは、かなり中途半端に終わってしまいました。

もし、この目標が当初の目的通りに達成されていれば、
「共和国には技術革新が起こり装甲式コックピットになった」「キャノピー式のデザインは暗黒軍が引き継いだ」
という事になっており、それはそれで非常に魅力的かつ納得のいくものになっていたと思います。
非常に残念な事です。

ただその上でもう一つ思うのは、仮に全ての暗黒ゾイドがキャノピー式で登場し、「共和国=装甲式、暗黒=キャノピー」の図式が定着していたとしても、やっぱりそれはどうなのかなぁという事です。
ユーザーに「暗黒=キャノピー」の図式が刷り込まれたら、その時、ゴジュラスやコマンドウルフといった旧来の共和国ゾイドの扱いはどうなるのだろう…?
そんな事も思ってしまいます。

従来の「共和国=キャノピー、帝国=装甲式」の図式を逆転させようという意図は、確かに面白い要素もあります。
ですがこのように考えると、当初からかなりの矛盾をはらんだものであり、失敗は必然だったのかなと思ってしまいます。

カノンフォートの話からかなり逸れてしまいましたが、そんな風に思います。

総合すると、個人的にはキャノピー式であって欲しかったと思います。
しかし実は、キットではキャノピータイプのカノンフォートは簡単に作る事が出来たりします。コマンドウルフのキャノピーが、なんと無改造で装着できるのです。

完璧かというとそうでもなく、隙間やキツい個所もあります。それでも無改造でここまでフィットするのは驚きです。
ここから、少し改修すれば完璧に合うようになります。
この設計が偶然なのか意図的なのかは不明です。もし意図的だったとすれば、なんともニクい事です。

ハッチについての話が長くなりましたが、開けると、中はもちろんコックピットになっています。キャノピーは後方に開くタイプで、ガバッと大きく開きます。

コックピット内は標準的な出来です。

カノンフォートは、頭部の他にもコックピットを持ちます。それは背部の砲等です。

背部には火器管制員が搭乗しており、操縦と攻撃を分担する事でパイロットの負担を減らし、戦闘力を高めることに成功しています。
確かに、これだけ火器の多い機体だから、この仕様は大いに納得できるものです。

砲塔にハッチが付くというのはいかにもリアルで、そういった意味でもこの位置のコックピットは大好きです。
またハッチが付いている事により、砲塔のデザインが左右非対称になっているのも要注目です。
微妙に左右非対称なのが好きなので、カノンフォートのこの部分は特に大好きです。

あえて難点を言うと、この位置のコックピットは、閉所恐怖症のパイロットは絶対乗れないなと思います。
こんなにも狭い場所に密閉されたコックピットは前代未聞です。実際は、もっと広い空間になっているのかもしれませんが。


各種装備

カノンフォートと言えば背中の二門の大砲ですが、その他の武器もなかなか充実しています。
二対の角・ビームホーンはどういう機構の装備なのか明確な設定が無く謎な所がありますが、個人的には格闘&射撃の両方をこなす便利武器だと解釈しています。
(この事に対する詳しい推察経由はこちらのコラムを参照)

こちらのコラムに少し補足すると、レッドホーン、ブラックライモス、ディバイソンと、格闘戦要の角を持つゾイドの多くは、「首を縦に振る」ギミックを持ちます。
そのギミックは、「角で相手を突き上げる」ものを連想させます。

これに対し「首を横に振る」ギミックを持つゾイドは、ゴルドスやゴルヘックスのように、「周囲をうかがいながら索敵中」といった風に取れるものがあります。
また、メガトプロスやサンドスピーダのように、「頭部の砲を前方にばら撒いている」といった印象のものもあります。

また、首ではなく「口の開閉」に重きが置かれたゾイドは、噛み千切るイメージが強い機体に多くなっています。
頭部ギミックは、よく見ると「その機体特性にあわせた動き」が仕込まれているように感じます。
動かせるから動かすというより、一定の「動かすべき箇所」があって動かしている風に思えるのです。

さてカノンフォートは首を「縦に」振れます。

これはもう、他の角を持つ機体と同じように、やはり「突き上げる」事を再現したかったのだと思うべきだと思います。
そういう風に考え「格闘用に使える説は外せない」と考えたものでもあります。

砲塔、角の他にも装備があります。胸部には、長砲身のガンランチャーがあります。

ちょっと大きすぎて首の可動に干渉するのは頂けませんが、付き位置と口径から考えると、対人用として恐ろしい威力を発揮しそうな装備です。
キットでは左右に旋回させられるのみですが、その基部のデザインから推測して俯角が付けられるのは確実と思います。

背中の四連速射砲も見逃せません。小口径の砲ですが、4本もの砲身が束になっているので迫力は上々です。

キットでは旋回出来るのみですが、「速射砲」の名から考えると、仰角を付けて対空砲としても使用可能だと思います。
四連速射砲のデザインも好きですが、基部のデザインも微妙に左右非対称になっており好きです。

その他、尾部にも設定が与えられており、妨害電波を出せるジャミングテイルになっています。
大きく角度をつけられるようになっており、ジャミングシーンを想像しやすいようになっています。

ですが、デザイン自体はメカニカルな雰囲気が薄く、もう少しディティールを増やしても良かったんじゃないかと思います。
数少ない、デザイン上で弱点を感じる部分です。

カノンフォートは、その砲塔や各種武装のおかげでかなりミリタリー感の強いゾイドです。しかし、まだ他にもミリタリー感の強い装備があります。
それは胸部の物資コンテナです。
大きく膨らんだ胸部は大型の格納庫になっており、中には燃料弾薬食料など戦闘に必要なものを満載できます。
このクラスとしては非常に優秀な輸送機でもあります。非常にリアルな装備であり、活躍を想像する際にも大いに嬉しい装備です。
こういった部分が意識されたゾイドというのは、かなり貴重です。


ディバイソンと共に



バッファロー型という事で、やはりディバイソンと比べたくなります。共にパワフルに砲戦を展開するゾイドという事で、並べるとひときわ大迫力です。

カノンフォートは開発中の原画が公開されていますが、ディバイソンのものと比べると非常に面白いです。

生物的な野牛の雰囲気を色濃く残したディバイソンに対し、あくまで戦車風のディティールを主として構成されているカノンフォート。
「メカ生体」という概念の捉え方にかなり差があるように思います。比べると何とも興味深いです。
両ゾイドとも、原画のイメージを的確に汲みながら、よりゾイドらしいラインに煮詰めまとめ上げた上で製品化されていると感じます。


原画の段階ではかなり差があった両者ですが、そこからの仕上げの力量が非常に高く、それゆえ仕上がった製品は統一感のある確かなゾイドになっています。
この両機の原画と仕上がりを見ると、「原画のイメージは大事にするが、製品になった際の全体のイメージ統一も大事にする」という思想が見えてきます。

仕上げの際、さりげなく各部のイメージを統一させているのはニクいです。
わき腹を走るラインは特に、カノンフォートがディバイソンで培われた技術を元に開発された機体である事を雄弁に物語っています。
このような、「両者とも個性あるが、その中で技術的な共通性が感じられる」というのは最高だと思います。

またカノンフォートは、バファロー型第二弾として、ディバイソンよりも進化した部分もあります。それは脚部です。
ディバイソンの脚部関節はモチーフと比べると減っています。ですがカノンフォートではその点が改善されており、見事にモチーフを再現したデザインになっています。
こうして並べると、やはり関節が正しいカノンフォートの脚部が魅力的です。


ブラックライモスと共に

カノンフォートは小型ディバイソンですが、同時に帝国軍ブラックライモスの影響も大きいと感じます。

・重パワーの戦車系ゾイド。
・格闘から砲戦までこなす。砲戦は遠距離から近距離、対地から対空に至るまで広くカバー。
・それでいて機動力は水準以上を維持。
・電子戦にも対応。
・パイロットはこのクラスとしては珍しく複数。それゆえ操作性が良く戦闘力向上に繋がっている。

機体性格は本当に酷似しています。
デザインも、脚部の装甲などかなりの影響がみられます。脚の装甲はモールドもかなり似ており、コピー品と言われても否定できないレベルです。
キット的には、ブラックライモスでは凹モールドだった部分が、カノンフォートでは「抜き」になっている個所があり、進化が感じられます。

さすがに強力なブラックライモスといえども、中央大陸戦争後期にはかなりの数が破壊されています。中には鹵獲された機体もあったでしょう。
カノンフォートは、鹵獲したブラックライモスのデータおよびディバイソン開発で得られたデータも反映させて作られた機体と考えても良いと思います。

カノンフォートは、共和国機にしては全身を装甲で覆ったスタイルなのも特徴です。
その点も、「積極的に敵ゾイドのデータを取り入れて造られた」と考えて良いと思います。


ギミック

Hiゼンマイを巻くと力強く動きます。ギミックは、さすがHiユニット級最後のゾイドだけの事はあり素晴らしい仕上がりです。

連動ギミックは、砲塔を左右に旋回させながら、2門の砲を交互に上げ下げしながら前進します。
砲塔が左右に動くのは、まさに戦車の動きそのもので嬉しいギミックです。砲身の上下も、なかなか大きな範囲で迫力があります。

反面、ゼンマイゾイドの宿命として「止まる位置を指定できない」ゆえの厄介さもあります。
うちのカノンフォートは、たいてい停止時には砲塔を左に振った状態で止まります。
停止時あるいは妄想時には、手動で自由に動かせたらいいなぁと思う事もあります。

手動ギミックは、首の上下、口の開閉、ガンランチャーの旋回、四連速射砲の旋回、ジャミングテイルの上下、コックピットの開閉です。
かなりの充実です。
火器の可動は定番ですが、首が上下に動く事などはかなり凝った造りと言えます。

全体的に、ここが動けばいいのにと思う個所はほぼすべて動きます。
意外なギミックこそないものの、不足の無い堅実な仕上げをしており、高評価のギミックをしていると思います。

戦歴

カノンフォートの戦歴は悲壮感漂います。
戦闘力はこのクラスとしては一流です。ですが就役したタイミングがとにかく悪かった。その一言に尽きます。

初陣は暗黒大陸への上陸作戦時。この時、上陸部隊の中心兵力に抜擢されています。並居る既存ゾイドを差し置いて部隊の中心に抜擢とは、その期待の高さが伺えます。
しかし上陸時、暗黒軍はダーク・ホーンを中心とした部隊で迎撃しています。
図らずも戦車系ゾイド同士の戦いとなったわけですが、大型ダーク・ホーンを前にしては、いかにHiユニット級としては強力なカノンフォートでも軽戦車扱いは必至。
結局、重戦車の圧倒的破壊力を見せつけられる形で敗退しています。

間違いなく、このクラスとしては非常に優秀な性能を誇ります。しかし何とも就役時期が悪く活躍を逃してしまったのは大いに悔やまれます。
その後も地道に運用は続いたようですが、更に新鋭のガル・タイガーやギル・ベイダーが登場する頃になると、全くの力不足となってしまいました。
活躍している姿はほぼ見当たりません。何とも悲運の機体です。

ただ、学年誌やてれびくんをでは、少数ながら活躍シーンが確認できます。

学年誌では、ヘル・ディガンナー部隊を相手に存分に暴れまわった事があります。やはり同クラスのゾイドが相手ならば充分に戦えるようです。
またマッドサンダーを護衛しデッド・ボーダーをけん制したり、ディバイソンと共に戦隊を組んで戦う姿も見られます。

てれびくんでは、暗黒軍による中央大陸への上陸作戦が描かれています。
この時の暗黒軍兵力はデッド・ボーダーとヘル・ディガンナーの混成大部隊。
これをマッドサンダー、ディバイソンを中心とした共和国水際部隊が迎撃し、かろうじで阻止に成功する…というものでしたが、ここで少数ながらカノンフォートの姿も確認できました。

これらを総合して考えるに、カノンフォートの極初期生産機は暗黒大陸上陸作戦よりも前に就役しており、迎撃戦などである程度の戦果を挙げている。
上陸作戦時は、部隊によってはかなりの被害を受けたが、一部は活躍した機体もある…という事だと思います。
やはり相応の実力はあり、活躍した機も少なくない…と考えたい所です。
しかしこれらの活躍シーンが、新ゾイドバトルストーリーで全て削除されているのは悲しすぎます。

まぁ、その学年誌やてれびくんにしても、活躍したのは極初期のみで、その後はやられシーンばかりになるんですが。

やられシーンもまた、新ゾイドバトルストーリーには未掲載のものがあります。やはり、比率としてやられシーンが圧倒的に多かったというのは揺るぎません。
個人的にはバリゲーターに次ぐ、やられ役が板についたゾイドだと思います。

カノンフォートは、更にもう一つ悲運な所を語らねばなりません。
就役後の共和国部隊編成を見ていると、あんがいカノンフォートよりコマンドウルフNEWやベアファイターNEWの配備の方が目立ちます。
残念ながら、暗黒大陸上陸作戦時は大量に配備されたカノンフォートですが、それ以降は急速に配備数を減らしたようです。

ヘル・ディガンナーを倒せる程度には強かったものの、更に強力なゾイドひしめく暗黒軍相手には全く抗し得なかったカノンフォート。
ハッキリと言ってしまえば中途半端。然るに、わざわざ増産・機種変換させるより既存機で戦った方が良いと判断されたのかもしれません。
機種変換するにはパイロット育成に幾らかの時間やコストがかかるだろうし、カノンフォートが2人乗りで多くの人員を使うことも考慮されたでしょう。
特に、ベアファイターNEWがこの時代でも重宝された理由はここにあるように思えます。

十分な能力を持っていたが時代にそぐわなかった。
こういった事例は地球にもあります。個人的にはカノンフォートにはグラマンF8Fベアキャットのような不遇さを感じます。
ベアキャットは最強のレシプロ戦闘機と称されるほどの高性能機として完成しましたが、完成直後、時代はジェット機の台頭を迎えます。
いくらレシプロ機として最強でもジェット機にはかなわない…。残念ながらほとんど活躍しないまま退役していきました。

理不尽な事ですが、傑作機とは結果を伴って初めて認められる称号です。
そういった意味では、カノンフォートは傑作機になれなかった悲運の機体と言わざるを得ません。


重砲撃 カノンフォート

デザインはなかなか良いと思います。単機でも良いが他の機と並べたらより魅力的に見えるというのは素晴らしい事です。
ギミックも不足なく満足の出来です。

ですが悲惨な戦歴を踏まえて改めて考えると、優等生過ぎた所はあるのかなと思ったりします。
通常、それは傑作として歓迎されたでしょう。しかし暗黒大陸編という一大転換期においては、そんな程度の力では乗り切れなかった。
混迷期を乗り切るには、それこそ黄金砲くらいのインパクトが必要だった…という事でしょうか。

時代に翻弄され傑作機になれなかった高性能機。
悲運の機体ですが、調べれば魅力的な所が満載されています。
大苦戦しながらも時には砲力を遺憾なく発揮し、また小回りの利く輸送部隊としても活躍した…。そんなシーンを想像したいところです。


バリエーションモデル

 ゾイドジェネシス カノンフォート


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