メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 電子戦用戦闘機械獣 ゴルヘックス<GORHECKS>

■ゴルヘックス(恐竜型) データベース■

 発売年月 1987年9月  発売当時価格 1000円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 RHI-4

 スペック 全長14.8m 全高7.2m 全幅5.8m 重量58.8t 最高速度120km/h 乗員1名

 主な武装
  クリスタルレーダーユニット ニ連装ビーム砲 二連装ミサイル ミサイルポッド×4 デルタ・ボックスフレーム 超音波駆動エンジン

 特徴
  最新の電子システムを満載した電子戦用戦闘機械獣。
  背中には新開発のクリスタル状レーダーアンテナが多数装備されていて、どのような周波数帯域の電波でもすばやくキャッチできる。
  そして敵に対しては強力な電波妨害を行う。
  胴体部には頑丈なデルタ型フレームを使用、これにより体内に多くの電子機材を搭載することが可能となった。まさに動くレーダー基地である。


前後より


共和国軍電子戦用戦闘機械獣、ゴルヘックスです。その能力は非常に高く、”動く電子基地”の異名を持ちます。

パッと見で目立つのは、やはりクリアパープルのクリスタルレーダーです。
ボディはライトグレーとブラックで引き締まった印象、その中にクリアパープルが美しく映えます。
全ゾイド中、最も美しい色彩をしたゾイドだと思います。

クリアパープルは非常にSF的で特徴的です。
この色を使用したゾイドは、メカ生体ゾイドの中ではゴルヘックスのみです。
ミリタリー調の色が多いゾイドの中にあって、これだけSF調な色を前面に押し出したのは、何とも大胆不敵です。
しかし、異端な色をこれだけ大胆に使用しながらも、全体としては紛れも無いゾイドに仕上がっており、素晴らしいの一言です。

共和国のステゴサウルス型電子戦ゾイド「ゴルシリーズ」の三番機で、個人的にはこの中で最も好きな機体です。
ゴルシリーズ1番機のゴルゴドス、2番機のゴルドスは、大部分のパーツをエレファンタスやビガザウロと共通化していました。
対し、ゴルヘックスはほとんどのパーツが専用デザインとなっている為、見栄え的には最も良い機体になっていると思います。

もちろん、大部分が流用で作られたゴルゴドス、ゴルドスも、それゆえの魅力があるのは言うまでもありませんが。

先代の機体と比べて特筆すべきは、前後脚だと思います。
ゴルゴドス、ゴルドスは、胴体フレームや脚部を、別機からの流用・共通パーツで構成していた関係で、前後脚の大きさがほぼ同じになっていました。
対し、ゴルヘックスは専用パーツで構成されているので、前後の脚の大きさに差を付ける事が出来ています。
恐竜型特有の巨大な後脚が再現されており、大地を踏みしめる力強さが伝わってきます。


側面より

側面から見ると、非常に均衡の取れた美しいスタイルをしている事が分かります。
尾を下げた前時代的な復元図に基づくステゴサウルス型になっていますが、メカ生体ゾイドの時代としては当然だと思います。

頭がステゴサウルスとしては大きく、尾も少し短めな気はします。
しかしそれが、子供のステゴサウルスのような感じに思えて、何とも可愛らしいようにも感じます。
頭が小さく尾もガッシリしたゴルドスと比べると、大きさも相まって親子のように見え微笑ましいです。

ゾイドは戦闘兵器であり、カッコいいものだと思います。しかし同時に、生物をモチーフにしているので、可愛らしい部分も持ち合わせていると思います。
ゴルヘックスは、特に可愛らしいイメージの強い機体だと思います。
頭部が丸みを帯びてデザインされているのも、そのイメージをより強くしています。

しかし可愛いに終始したデザインではなく、当然ゾイドとしてあるべきリアルで魅力的な作り込みは行われています。
側面から見ると、ボディフレームが特徴的な事に気づきます。三角形のフレームが機体を覆い、デザインを上手く引き締めています。
設定上、名をデルタ・ボックスフレームといい、このフレームを使用する事によって機体強度が上昇し、数々の電子装備を搭載できるようになったとされています。

デルタフレームや上部のクリスタルレーダーのおかげで、ゴルヘックスは非常にスッキリしてスマートな印象を受けます。
しかしよく見ると、フレームの内側の作りこみは凄まじい事になっています。
ゴチャゴチャと複雑な立体が交じり合いメカを形成しており、ハイパワーユニット級としては随一の作り込みを有します。
デルタフレームやクリスタルレーダーに目を奪われがちですが、このゴチャゴチャした作り込みは、ゴルヘックスの大きな魅力の一つです。

デザインとしては、2つの哲学で攻められていると感じます。
「デルタフレームやクリスタルレーダーを特徴的に配置する事で新型機然としたイメージにする」
「フレームの内側の作り込みを徹底して行い、メカ的なリアルさが従来機に対し低下しないようにする」
相反する要素の融合が見事に行われています。この事が、ゴルヘックスをスマートな新鋭機であり、なおかつゾイドとして全く違和感の無いものとして仕上げています。

キャップの使用率は高くなく、デザインとしてもっと使うべきと批判されがちでもあります。
ただボディのゴチャメカ具合が凄まじい為、キャップが無くとも十二分にゾイドらしいリアルなメカに仕上がっており、個人的には特に弱点ではないと思っています。
ただ前脚部分のキャップだけは、排気口を思い切り潰す位置に付いているようにも見え、もう少し配慮が欲しかったと思います。
この点は、ゴルヘックスで感じる唯一の不満です。


フェイス コックピット

頭部デザインは特徴的です。
大きさは先に書いた通りステゴサウルスとしては少し大きめで、子供ステゴサウルスのようで何とも可愛らしく、大好きです。

デザインは、航空機を模したようなラインになっているのが特徴です。特にキャノピーの感じは、まさに戦闘機のそれです。
先代機のゴルドスのコックピットもまた、航空機(グラマンA-6イントルーダー)を模したようなラインになっていました。
後継機のゴルヘックスにもそれが受け継がれているのは非常に面白いです。

また、後のものと比べるのは変な話ですが、頬のふくらみ等は、1999年3月にデビューした700系新幹線のデザインにも似ています。

この形状は「エアロストリーム」と呼ばれ、高速時に車体を安定させる為の形状です。
戦闘機や新幹線といった高速メカの形状が、ドッシリ構えた恐竜型ゾイドのフェイスデザインに似るというのは変な話かもしれません。
しかし非常にスマートで新型機的な印象を与えているのは紛れも無い事実であり、個人的にはとても良い事だと思います。

デザインの他、ゴルヘックスの頭部の大きな特徴は、搭乗方法でもあります。
一人乗りゾイドであり頭部コックピットから全ての操作を行うものですが、その搭乗方法は前代未聞です。
ゴルヘックスの下側からシートが下りてきて、「食べる」ようにパイロットをコックピット内に誘います。
ゾイドでは他にほとんど採用されていない搭乗方法ですが、非常に面白いと思います


クリスタルレーダー

ボディや頭部も特徴的ですが、ゴルヘックスの最大の特徴は、やはりクリスタルレーダーを置いて他に無いと思います。
クリスタルレーダーは幾つかの特徴を持っています。その特徴は、色と形状です。

それまでの共和国ゾイドは、クリアパーツの色にはオレンジかブラウンを使用するのが慣例でした。
その慣例を撃ち破り、ゴルヘックスは在ります。
また形状はディティールの非常に少ない単純な形をしており、メカ的な作り込みを極限まで追求する共和国の姿勢とは相反したデザインです。

この事は、賛否両論あるものです。
保守的な位置に立てば、クリアパープルはあまりにも異端すぎると思えるし、形状もゴルドスの作り込みから考えると、随分退化した感じがします。
しかし個人的には、色も形状も大いにアリだと思っています。

まず形状に関してですが、ゴルヘックスはゴルドスの後継機であり、ディメトロドンへの対抗機です。
ゴルドスやディメトロドンのレーダー形状は、極限まで作り込まれておりビッシリとディティールが彫られています。
正直、もう行き着くところまで行き着いている作り込みで、これ以上更に作り込めと言っても、なかなか難しいものだったと思います。
特に、より小型になったゴルヘックスでは。
しかし、後継機/対抗機としては、より高性能なレーダーに見せる必要もある。そこで、「クリスタル」という新たなレーダーシステムを設定したのだと思います。

従来のメカとは全く構造の違うクリスタルレーダーだから、形状は単純化したものであっても大いに許される、むしろ賞賛されるものであると思います。
また、クリスタルであるから、色は紫色が最も正しい色だと思います。

「より強力になる」というのを、このように方向性を変えて表現するのはアリだと思います。
同じ方向ばかり追い続けると、いつかそれ以上進化させようが無いほどに行き着いてしまう。更に同じ方向ばかり続けると、どうしても「飽き」が出てしまいます。
それを回避する素晴らしい回答が、このクリスタルレーダーだと思います。

他でも、例えばギル・ベイダーのビームスマッシャーは最強の飛び道具として登場しました。
しかし巨大砲を積んだわけではなく「円盤状に成型して放つ」という新しい発射手順を表現した事で、非常に革新的かつ説得力のある素晴らしいものになっていたと思います。
クリスタルレーダーやビームスマッシャーのような、高性能を表現するための新境地のデザインは、とても素晴らしかったと思います。
あまり突拍子も無い発想で生まれても困りますが、その辺は旧来の表現とのバランスを取りつつ、是非研究し続けて欲しいと思います。
それは、今後新たなゾイドを生む際のキーワードにもなると思います。


武装

クリスタルレーダーは特徴的な装備ですが、攻撃用装備はあまり持ちません。
最低限の自衛武器程度という具合で、やはり本機はあくまで電子装備に特化した機体と言えます。
直接戦闘では、イグアンにすら劣ります。
Hiユニットを搭載した新型機にこのような弱い設定を与えてしまう、徹底したリアルさに惚れます。

最も、カタログでは「攻撃力は強力」と記載されたり、箱裏の活躍想像図では強力・ブラックライモスを倒すシーンが描かれていたりしましたが…。

当初こそ直接戦闘でも力を発揮する大物を思わせる登場でしたが、次第に偵察メカであり直接戦闘力は極めて低いというポジションに落ち着いてゆきます。

火力としては、ミサイルやロケットの兵装が非常に多いゾイドです。腹部に大型の連装ミサイルを持ち、尾部にミサイルやロケット弾を集中させています。
ミサイル類の中で、腹部…、機体下部の連装ミサイルは、目立たない位置に付けているのが特徴的と思います。

ゾイドは、基本的に武器を分かりやすく装備するのが常ですが、そんな中にあって異端です。
ただ隠し武器のような感じがして、とても好きです。

連装ミサイルの付近にノズルのようなものも見えますが、こちらは用途が設定されておらず不明です。
個人的には、クリスタルレーダー周りの稼動において出る膨大な熱等を逃がす排気口だと思っています。
おそらくゴルヘックスの機体特性から言って、ダッシュ力や機動性を発揮するための装備ではないと思います。

ゴルヘックスのように、下部に多くの装備を持つゾイドというのは、珍しいと思います。
シールドライガーのような脚の長い機体ならともかく、本機のような短足の機体は、あっさりとしたディティールで留められている事がほとんどです。
それはレッドホーンやゴルドス、マッドサンダーといった大型ゾイドでも例外ではありません。
対し、ゴルヘックスの下部デザインは、非常に凝っています。

首、胴体、尾部それぞれでデザインが変っており、非常に高い見応えを誇ります。
ゴルヘックスほど凝った下面を持つゾイドはなかなかありません。隠れた魅力の一つです。

腹部ミサイルは、その付き位置から言って対地ミサイルだと思います。
それに対し、尾部の装備は対空であると思います。強力なレーダーを持つので、優秀な防空ゾイドとして機能出来そうです。
尾部の装備のうち、連装ロケット弾は、これもまた優秀な防空ゾイドだったスネークスが装備していたものと同型になっています。

ゴルヘックス就役の頃から、スネークスは徐々に一線を退いています。
この事から考えて、防空ゾイドとしてはスネークスの後継機的な側面もあると捕らえてみても、面白いと思います。


ギミック

Hiゼンマイを巻くと、力強く動きます。

連動ギミックは、なかなか面白みがあります。前進に加え、首の横振り、クリスタルレーダーの展開を行います。
こう書くと凡作のようにも聞こえますが、首もレーダーも大きく動く為、実際に見たときの見栄えはかなり高くなっています。

レーダーは、垂直近い角度から、大きく開いた角度まで動きます。

首を振りレーダーを動かす姿は、いかにも敵を求めて移動中という感じがします。

また、腹部の動力伝達パーツまわりも動きます。
通常、こういった動力伝達用パーツは、いかにもギミックを作るためのパーツである事が分かる、わざとらしいデザインになりがちです。
しかしゴルヘックスの場合は、腹部のデザインが極度のゴチャメカになっています。
それゆえ、その中で動力伝達用パーツが動いていても違和感が無く、むしろゴチャメカが動いている感じが出ており素晴らしいと思います。

手動ギミックでは、二連装ビーム砲の角度を変えられる事と、尾部のミサイル郡の角度を変更できる事、そしてコックピットへの搭乗ギミックです。
やや少なめですが、武器の角度変更というスタンダードがある事、コックピットへの搭乗がインパクトある事から、及第点の出来だと思います。

総じて、このクラスとしては非常に特徴的かつ優秀なギミックを持つゾイドだと思います。


戦歴

ゴルヘックスの戦歴は、ゾイドバトルストーリーではほとんど描かれていません。
同じ電子戦機でもD-DAY上陸作戦の先陣をきったディメトロドンとは雲泥の差です。
しかし、ディメトロドンは状況が超特異だっただけで、電子戦機はもともと偵察など地味な行動が主です。
バトルストーリーは、最前線でのゾイド同士の激しいバトルを描く事に重点が置かれていたので、描写が少なかった事は仕方の無い事とも思います。

学年誌掲載のものまで併せると、小一掲載のもので、前線に出た事があります。デスザウラーが登場した直後の号です。
未知なる敵・デスザウラーの能力を測るべく、シールドライガーの援護を受けつつ接近、電子能力を発揮しています。

この時、かなり正確なデスザウラーの様子スペックをはじき出して見せています。

この他は、小三の号で氷山に乗って帝国領クック基地を砲撃するシーンが掲載されていますが、これはバトルストーリー3巻に掲載されたものと同じです。
これ以外で活躍が確認できる号はありません。新型ゾイドに蹴散らされるやられ役としてもほとんど登場しておらず、非常に描写が少ないゾイドになってしまっています。
しかし機体の特性上、その能力でもって地味ながら影から部隊を支え、活躍し続けたものと思います。


動く電子基地 ゴルヘックス

個人的な思い出ですが、’88年の年末だったか'89年の元旦だったかに手に入れたゾイドです。
たしか神社にお参りに言った後、出店の売店にゾイドがズラリ売られていました。
そこで「お年玉は無くてもいいから!」という取引で、ゴルヘックスとライジャーを手に入れました。
その事もあり、非常に思い出の深い強いゾイドとして在ります。

ステゴサウルスはトリケラトプスの次くらいに大好きな恐竜で、そんな事もありマッドサンダーと一緒にお気に入りのゾイドでした。
ただ子供の頃は出番が少ない事と、バトルストーリー3巻に掲載されている戦力比較表を読み、あまりにも弱い戦闘力にショックを受けていた記憶もあります。
弱いけど、何とか活躍させたいとずっと思いながら遊んでいました。
今では、電子戦機というポジションを理解し、直接戦闘じゃない部分で戦線を支え続けていた傑作機と、誇らしく見る事が出来ます。
そんな事もあり、Hiユニット級の中では一番。全ゾイドの中でもベスト5には必ず食い込むほど好きなゾイドです。

ゴルヘックスが残した教訓は非常に大きいと思います。
電子戦としての設定に忠実な強さ(弱さ)であり、戦場をよりリアルに盛り上げた事。
デザインは異端な部分が多いが、ゾイドとしては全く破綻しておらず、むしろデザインの可能性を大きく広げた事。

ゴルヘックスは、保守的な部分と革新的な部分が混在した機体だと思います。
そしてフロンティア精神にあふれています。
今後もゴルヘックスのようなゾイドが現れる事に期待しています。


バリエーションモデル

 機獣新世紀ゾイド ゴルヘックス

 ゾイドフューザーズ ゴルヘックス


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