メカ生体ゾイド ヘリック共和国軍 機甲部隊高速戦闘型 バトルローバー<BATTLE ROVER>

■バトルローバー(オルニソレステス型) データベース■

 発売年月 1988年3月  発売当時価格 1500円  動力 Hiゼンマイ

 型式番号 R24-5

 スペック 全長6.0m 全高3.6m 全幅1.8m 重量2.4t 最高速度230km/h 乗員1名

 主な武装(メガトプロス本体)
  バルカン砲 電磁ハンド(×2)

 主な武装(共和国軍機甲部隊バトルローバー戦士)
  機関銃 赤外線暗視グラス ※前衛・偵察の使命を預かる戦士。ブルーの軍服に身をつつみ、ヘルメットの赤外線暗視グラスにより夜間も行動可能。

 特徴
  共和国軍の対デスザウラー作戦は、中央山脈を舞台に接近戦に入っていった。
  共和国軍は重撃メカのメガトプロスを主力とし、高速型バトルローバー、水陸型ネプチュ-ンで新機甲部隊を編成し戦いに備えていた。
  バトルローバーは高速型のオルニトレステス型で部隊の前衛、偵察、攻撃に活躍する。


前後より

共和国24部隊の俊足、バトルローバーです。
高速偵察の切り札とされており、その設定に違わず武装は軽めで高速に特化しています。

24ゾイドは「デスピオンとメガトプロス」「ドントレスとネプチューン」と、対になるゾイドの比にアンバランスさがあるのは否めません。
そんな中、バトルローバーは明確にロードスキッパーが意識された造りになっており、24ゾイドの中では珍しく、並べる事でより映えるゾイドになっています。

造形としては、やはり共和国24ゾイドらしい優雅な青いクリアパーツが目に付きます。
しかしそれに終始したわけではなく、造り込まれたメカニックも魅力です。
ゴチャメカを優雅なクリア装甲が覆う。この対比。これこそが共和国24ゾイド最大の魅力だと改めて感じます。

クリア装甲を取ると、造り込まれたメカニックを堪能できます。

この作り込みこそが、クリア装甲という異端なものを使いながら見事にゾイドと言える仕上げを生んでいます。
キャップの使用率が多いのも嬉しいです。

メカニックは基本的には左右対称ですが、一部には左右非対称な部分もあります。
尾部付け根付近の一部は、左右非対称になっています。

給油口を思わせる装備がありますが、1/24というスケールを強く意識した装備にニヤリとします。
24ゾイドは、こういった細部の作り込みの趣味が本当に良いです。


バトルローバー兵士

キットには、帝国24ゾイドと同じく、1/24スケールの可動フィギュアが1体付属します。
兵士の造形は、共和国24ゾイド第一弾メガトプロスと同じく非常にスタンダードな兵士という感じになっています。

胸当てが左右非対称に付いているのが特徴的です。またメインカラーはブルーで、機体の色と似ているのが最大の特徴と言えるかもしれません。

フィギュアは、もちろんコックピットに搭乗可能です。バトルローバーのコックピットは背中にあり、搭乗させると機体のスケール感がよく分かります。

コックピット後方には、兵士に持たせられる銃が付いています。バナナマシンガンの付いた機関銃です。

形状はやや薄っぺらい造形で、もう少ししっかりとした造り込みが欲しかったなぁと思います。
しかしこんな銃でも、兵士に持たせるとなかなかキマります。

欲を言えば、銃のサイズが小さ目なので、小ぢんまりとしたポーズになりがちです。大げさなポーズが決まりにくいのは、やや物足りない感じもします。


側面より

モチーフはオルニソレステスです。
マーダと同じモチーフですが、これはなかなか面白いです。
というのも帝国側24ゾイドはデスピオン(サソリ)なりドントレス(カマキリ)なり、「もともと共和国側が使用していたモチーフ」を使う傾向にありました。
共和国側24ゾイドもまた、帝国側が使用していたモチーフを使っている。これはなかなか面白い事です。

側面から見ると、均衡の取れたスタイルが何とも美しいです。
オルニソレステスは首と尾が長い恐竜ですが、その姿が見事に再現されています。特に、長い首がクリア装甲で形成されているのは、うっとりする程の美しさです。

バトルローバーは、高速偵察の切り札という謳い文句で登場したゾイドです。
それもあり、目立つ武装がほとんど無い構成になっています。その事もまた、均衡の取れた美しいスタイルを強調しています。

側面から見ると、クリア装甲の使用率が分かります。
実はクリア装甲は、特徴的に使用してあるものの使用率は決して高くはありません。
共和国の通常機と同じく、「基本はむき出しのメカニック。しかし守るべき所は強固に守る極端な集中防御方式」という伝統が守られています。
印象的な使い方によって機体全体のイメージを「クリアブルーの装甲」にしてしまうデザイン手腕は驚かされます。


フェイス コックピット

頭部はシンプルな造りです。
ただ側面にパイプがあるのは特筆です。ゴジュラスやゴドス、ウルトラザウルスなど、共和国ゾイドの多くが頭部側面にパイプを持ちます。
バトルローバーの頭部はシンプルな造りですが、その中に共和国らしさはキチンと込められています。

先端にバルカン砲が付いているのも特徴ですが、これは大きさから考えて対ゾイド用ではなく対人用ではないかと思います。
バトルローバーは、24ゾイドにしては頭部位置の高いゾイドです。
ロードスキッパーやドントレスと対峙した時は、直接パイロットを狙う事も出来そうです。
ちょっと想像したくないですが…。

シンプルながらよく出来た頭部ですが、残念な部分もあります。
それは目の処理です。
バトルローバーは実は目がありますが、視認が困難です。目は、クリア装甲を外すとその付き方がよく分かります。

何故視認が困難かというと、このクリアブルーの目の上にクリアブルーの装甲が付くからです。
同じ色のパーツを重ねれば目立たないのは必至。
出来れば別の色にするか、あるいは無理ならいっそ目を付けない処理を取るべきだったと思います。
メガトプロスもネプチューンも目はありません。そう思うと、いっそ無い方が良かったのかなあと思ったりします。

ゾイドの多くは頭部にコックピットを持ちます。しかし極小ゾイドのバトルローバーは、頭部にはコックピットを持ちません。
先にも書きましたが、背中にコックピットを持ちます。

背中のコックピットの前には防弾板が設けられています。この配置はなかなか小気味良いです。
防弾板もクリア装甲でできているので、防御と視認性を両立した構造になっています。

コックピットは、さすが24ゾイドと言える作り込みです。

操縦桿がついている他、肩を固定する装備があるのが小気味良いです。

パイロットを外すと、防弾板は倒しておく事ができます。

パイロット不在だと、座席の質感も良く分かります。
メガトプロスやサンドスピーダの座席は皮製を思わせる比較的豪華なものだったのに対し、バトルローバーのものは簡素なものです。
高速で動くバトルローバーこそ乗り心地に配慮して欲しいような気もします。
しかし簡易量産機という意味では良いと思うし、むしろ戦闘兵器としては他が豪華すぎるという気もします。

そんな風に思う所はありますが、しかし総合的に言うとやはり24ゾイドらしい高い完成度を誇るコックピットだと思います。


ロードスキッパーと共に

ライバルのロードスキッパーと比べると、なかなか面白いです。
この二機はサーベルタイガー&シールドライガーにも劣らぬほど魅力的なライバルだと思います。

両者とも高速偵察用ゾイドですが、最高速度ではわずかにバトルローバーが勝ります。
しかし、瞬発力や加速力ではロードスキッパーが勝っていそうに見えます。これは公式データが無いので推測ですが。
戦闘では、胸部にビーム砲を持つロードスキッパーに対し、電磁ハンドで格闘をこなすバトルローバーの対比が面白いです。
総合的には両者とも互角程度ではないかと思いますが、その能力を比べると何とも魅力的です。

玩具として比べても面白いです。
バトルローバーの玩具の構造は、ロードスキッパーの機構を流用して作られています。
パーツこそ流用はありませんが、その構造を見ると姉妹機と言っていいものです。

キャップの位置を比べると、構造が流用されているのがよく分かると思います。

両者とも重心の高い二足歩行機で、よくぞ動く玩具でここまでやったくれたなと改めて思います。
また脚部に注目すると面白いです。
機構は同じですが、デザインは大きく異なります。
ロードスキッパーは鳥類特有の逆関節になっており、バトルローバーは順関節になっています。
構造は同じながら見た目で差を出す。デザイン面での挑戦的な姿勢が伺えます。


第4回ゾイドアイデアコンテスト大賞受賞作

バトルローバーは、第4回ゾイドデザインコンテストの最優秀賞をキット化したもので、その点も特筆事項です。
第1回はバリゲーター、第2回はカノントータス、第3回はブラックライモスがそれぞれキット化されています。
傑作ゾイドの数々がユーザーデザインから誕生しているのは面白いです。
当時、いかにユーザーとメーカーが相互に高めあっていたかという事がありありと分かります。

第4回最優秀作はこちらのイラストです。

正直に言うと、オリジナルゾイドデザインというよりは、ロードスキッパーをアレンジしたデザインな感じがします。
パイロットも、帝国側の兵士っぽいです。
しかし、おそらくこのイラストから、メーカーが「ロードスキッパーの機構を流用した共和国ゾイドを作ろう!」と決意し、バトルローバーが生まれたのでしょう。
このイラストのままデザインされているとは言いがたいですが、このイラストがアイデアの種となりバトルローバーが生まれたのは疑いようがありません。

非常に残念な事に、ゾイドデザインコンテストからキット化されたゾイドは、メカ生体ゾイドではバトルローバーが最終です。
第5回デザインコンテストは行われているし、最優秀作も決定しています。
しかし第5回は、最優秀作を決定しただけで、そこからキット化される事はありませんでした(募集段階では最優秀作はキット化と謳われていました)。

「ゾイドデザインコンテスト、ユーザーのイラストからキットされる」
この夢のような企画が復活するのは、ずっと先の機獣新世紀ゾイドまで待たねばなりません。


ギミック

ゼンマイを巻くと元気に動きます。ギミックはなかなか楽しめます。

連動ギミックは無く、歩くのみとなっています。
しかしHIゼンマイがロードスキッパーと同じく高速回転用に調整された特注品で、通常のゾイドよりかなり早く歩行します。
歩行というより走行といった感じで、設定通りの高速機になっています。
ロードスキッパーと同じく、脚の長いゾイドです。脚の長いゾイドが高速で走るので、なかなか満足度は高いです。

そして手動ギミックが、かなり楽しめます。
手動ギミックとしては、腕の可動と尾部の可動、コックピット防弾板の可動があります。

腕は大きく可動します。

付け根とひじの二箇所で動くので、表情を大いに付ける事が出来ます。
腕は、ゾイドでは連動で動かして当然な感じもします。しかしバトルローバーは手動ながら大きく動くので、これはこれで良いと思います。

指はゴジュラス系のデザインで、握る事ができます。

設定は電磁ハンドとなっています。
少し後に登場するアロザウラーも、極めて似たデザインで電磁ハンドの設定の腕を持っていました。
同時期に似たデザインの腕が同じ設定で登場しているのは、何ともニヤリとします。
この辺りの技術的な繋がりを感じさせる描写において、メカ生体ゾイドは極めて上手いです。

デザインを見たら分かるとおり、電磁ハンドは実際にものを握らせる事が出来ます。

24ゾイドという大きさの関係上、敵ゾイドを掴むというより敵兵を捕まえる感じの方が絵になります。
大きく可動する腕なので、こんな風に対人用で威力を発揮した事もあったでしょう。
対人相手には「電磁」な部分は使用されていないと思いたいですが。

対ゾイド戦時には、おそらくこの腕で敵ゾイドを押さえ込んで固定し、頭部のバルカンで撃つような戦い方だったと思います。
こんな風に思うと、バトルローバーの武装はなかなか理に適った配置になっています。

腕は大きく可動しますが、尾部も大きく可動します。

高速走行時の安定性を保つのが、おそらくこの尾だと思います。
そういった雰囲気を存分に味わえます。

防弾板の可動は、キャノピーの所で書いた通りです。またもちろんですが、パイロットフィギュアと絡めて遊ぶ事もできます。
改めて見ると、手動ギミックも数こそ多くはありません。しかし一つ一つの可動域が大きく、満足度は非常に高いものに仕上がっています。

総じて、満足度はなかなか高いゾイドだと思います。


戦歴

バトルローバーの戦歴は、なかなか勇ましいものを持ちます。
ゾイドバトルストーリーでは、3巻で大統領親衛隊のローザが乗った機体として描かれており、なかなか華のある機体と言えます。

学年誌やてれびくんでも活躍しています。
主にメガトプロス率いる共和国24部隊の先鋒として登場し、帝国24部隊と戦っています。高速偵察用のバトルローバーですが、あんがい戦闘の描写も多くなっています。
またてれびくんでは猛烈な数のバトルローバーが進軍する様子も描かれており、共和国24ゾイドの中でも特に量産された機体である事が伺えます。

その一方で敗戦もかなり確認できます。
特にゴーレム参戦以降は、偵察のバトルローバーがゴーレムに遭遇し一方的に敗退するようなものも複数あります。
やはり根本的には偵察用の機体であり、戦闘能力が重視されたゴーレムとの相性は最悪なのでしょう。

とはいえ、小型ゾイドながら勇ましく雄雄しく戦った、かなりの戦歴を持つ名機だと思います。


共和国24部隊高速偵察機 バトルローバー

共和国24ゾイドでは入門用的なスタンダードなゾイドだと思います。
非常にバランスが良く、綺麗にまとまったゾイドだと思います。

その分、プレーンに徹しすぎた感じもあり、特出したものが無いのが弱点と言えるかもしれません。
全くと言っていいほどアクが無いデザインだと思いますが、それゆえに印象に残りにくいという面は否定しがたくもあります。
しかし、完成度が高いのは疑いようが無いのは確かです。

共和国24ゾイドは異端とされる事も多いですが、よく見ると造り込まれたメカニックや完成度の高いデザインなど、非常に質が高いものになっています。
バトルローバーは、そんな共和国24ゾイドの入門用として非常に良く出来たゾイドだと思います。


バリエーションモデル

トイズドリームプロジェクト 復刻版バトルローバー


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